○墨田区食品衛生関係不利益処分取扱要綱実施要領
平成14年12月27日
14墨福衛生第818号
1 趣旨
この実施要領は、墨田区食品衛生関係不利益処分取扱要綱(平成14年12月27日14墨福衛生第818号。以下「要綱」という。)第13条の規定に基づき不利益処分の手続の細目を定めるものとする。
2 違反事実の確認及び認定
(1) 保健所の食品衛生監視員(以下「監視員」という。)は、施設等に臨検し、食品等の検査若しくは収去又は食中毒調査をした場合において、食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)に違反している疑いのある事実を発見したときは、次の帳票、物件又は書類を証拠として整備し、保健所長の違反事実認定を受けなければならない。
ア 試験検査を要するものについては、その検査成績書等
イ 法第19条及び第20条の規定に基づく表示の方法、基準に違反するものについては、その証拠となる表示のラベル等の物件等
(ア) 営業施設の基準(食品衛生法施行条例(平成12年東京都条例第40号。以下「施行条例」という。)第3条の規定による営業施設の基準)
(イ) 公衆衛生上必要な措置の基準(食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号。以下、「規則」という。)第66条の2に規定による基準。)
エ 食中毒発生の場合については、調査結果をまとめた書類及び医師からの食中毒患者等届出票等の書類。ただし、医療機関を受診した患者がいない場合は、食中毒患者等届出票は不要とする。
オ 上記以外の場合については、その違反となる証拠物件、写真その他関係書類
(2) 食中毒発生の場合において、違反事実を確認し、食中毒事件として取り扱うのは、疫学的調査により次の3つの条件を満たしたときとする。
ア 患者発生の事実が確認され、その疾病が食中毒であること。
イ 原因食が明らかなこと(マスターテーブルによる推定の場合を含む。)。
ウ 責任の所在を確認することができること。
3 廃棄処分及び危害除去処置命令に係る取扱い
要綱第2章に規定する廃棄処分及び危害除去処置命令については、次のとおり取り扱うものとする。
(1) 廃棄処分(要綱第3条)
廃棄命令は、違反があった食品、添加物、器具、容器包装又はおもちゃ(以下「違反食品等」という。)の再製、転用、返品等が不適当であると認められるときに、廃棄命令書(第5号様式)により行うものとする。
なお、営業者等が所在不明その他の事情により廃棄命令を行ったにもかかわらず当該営業者等に廃棄させることが困難であると認められるとき、又は廃棄命令に営業者等が従わないときは、監視員は、直接違反食品等を廃棄することができる。
(2) 危害除去処置命令(要綱第4条)
ア 取扱改善命令
取扱改善命令は、営業等停止並びに施設及び取扱改善命令書(第6号様式)により行うものとする。
イ 販売禁止命令
販売禁止の命令は、違反食品等を廃棄処分にする必要がなく販売を禁止すれば足りると認められるときに、使用・販売禁止命令書(第7号様式)により行うものとする。
なお、販売禁止処分を行った違反食品等については、次のとおり取り扱うこととする。
(ア) 再製
再製が可能なものについては、営業者等から再製・転用願(第8号様式)の提出を受けるものとする。
再製品については、営業者等に自主的に検査させ、その後、食品衛生検査施設で検査し、法に基づく基準に適合するときは、当該再製品の販売を認めるものとする。
(イ) 転用
再製は不可能であるが、食品、添加物、器具、容器包装又はおもちゃ(以下「食品等」という。)以外の用途に転用が可能である場合は、営業者等から再製・転用願の提出を受け、その転用方法、内容が適当であると認められるときは当該違反食品等の転用を認めるものとする。
なお、転用が行われた場合、保健所長は、営業者等に転用したことを証明する書類を添えた報告書を提出させるものとする。
(ウ) 返品
保健所長は、違反食品等を返品する場合は、数量等を確認の上、封印をし、返品させるものとする。
なお、返品先が他区にある場合は当該区に、東京都及び他府県の管轄区域にある場合は東京都に連絡し、必要な措置を依頼するものとする。
(エ) 任意廃棄
保健所長は、販売禁止命令を行った違反食品等について、営業者等から廃棄したい旨の意思表示があった場合は、廃棄・任意廃棄書(第9号様式)の提出を受け、任意廃棄させるものとする。
ウ 使用禁止命令
使用禁止の命令の処理については、前記イの販売禁止命令に準じて行うものとする。
エ 回収及び移動禁止命令
4 廃棄処分等の対象とする営業者等
違反食品等に係る不利益処分を行うときの処置すべき営業者等の決定は、保健衛生事務事業に係る都区協定(昭和50年3月31日協定)に基づく食品衛生行政の運営に関する細目協定(昭和50年3月31日協定)に定めるところによる。
5 廃棄処分等の前段の処置
違反食品等については、3の廃棄処分及び危害除去処置命令の前段として、次の処置を行うものとする。
(1) 監視員は、違反食品等について数量、仕入れ先及び製造者を確認の上、飲食、使用又は販売の用に供されることがないよう封印テープにより封印(署名及び年月日を記入)し、保管・任意保管請証(第12号様式)を徴し、廃棄処分等の処置命令の執行が完了するまでの間保管させるものとする。
なお、当該違反食品等が腐敗、変敗等により処分執行までの間保管することが困難であると認められるときは、事前に廃棄・任意廃棄書を徴し、廃棄させることができる。
(2) 違反の疑いがあり、引き続き調査を要するときは、保管・任意保管請証を徴し、証拠となる当該食品等及び帳簿その他の物件を調査完了するまでの間、任意に保管させることができる。
(3) 違反食品等の処置に関する対応は、監視員が行うものとする。
ただし、緊急を要する場合は、都の監視員が墨田区の依頼に基づいて処理することができる。
6 検査命令
法第26条第1項の規定による検査命令の取扱いについては、別途東京都と協議の上、処理するものとする。
7 営業等(法第68条第1項及び第3項の規定により準用されるおもちゃ及び営業以外の給食の供給を含む。以下同じ。)の停止、禁止及び営業許可の取消し並びに施設又は設備の改善命令に係る取扱い
要綱第3章に規定する営業等の停止、禁止及び営業許可の取消し並びに施設又は設備の改善命令については、次のとおり取り扱うものとする。
(1) 営業等の停止(要綱第5条)
ア 営業等の停止命令は、営業等停止並びに施設及び取扱改善命令書又は営業等停止命令書(第13号様式)により行うものとする。
イ 営業等の停止期間の設定は、要綱別表の範囲内において次に掲げる項目に必要な日数をもって決めるものとする。
(ア) 試験検査等原因の究明及び原因の除去に要する日数
(イ) 施設又は設備の改善及び違反食品等の回収に要する日数
(ウ) 従業員の教育、管理運営基準等の遵守に要する日数
(エ) その他必要な処置に要する日数
ウ 営業等の一部停止命令は、一部停止命令で拡大防止又は再発防止ができる場合のみ行うものとする。また、事件拡大防止等に必要な範囲において行うものとする。
エ 保健所長は、区長への意見の申出に当たって、営業等の一部停止が必要であるときは、10の違反事実調査結果書に営業等の停止の範囲を具体的に詳述すること。
(2) 営業等の禁止(要綱第6条)
ア 営業等の禁止は、営業等禁止命令書(第14号様式)により行うものとする。
イ 区長は、営業等の禁止処分の継続中にその禁止事由が消滅したときは、保健所長からの報告に基づき、解除命令書(第15号様式)により営業者等に対し解除命令を行うものとする。
(3) 営業許可の取消し(要綱第7条)
営業許可の取消しは、営業許可取消命令書により行うものとする。
(4) 施設又は設備の改善命令(要綱第8条)
施設又は設備の改善命令は、営業等停止並びに施設及び取扱改善命令書により行うものとする。
なお、施設又は設備の改善命令は、急施を要する場合を除き、次の措置を経た後に行うものとする。
ア 衛生指導注意票による改善指導
イ アにより改善がなされない場合は、改善勧告書による改善勧告
8 不利益処分の執行
要綱第2章及び第3章の不利益処分に係る命令は文書により行うことを原則とするが、食中毒等直ちに危害の排除を要すると認められ、文書により命令する時間的余裕がないときは、その命令は口頭をもって行うことができる。
なお、口頭により命令をした場合は、事後、文書により命令の内容を通知するものとする。この命令書の日付は、口頭による命令を行った日とする。
(1) 命令書の交付
不利益処分に係る命令書は、福祉保健部保健衛生担当部長が監視員の立会いの上、営業者等に手渡しで交付する。
この場合、営業者等から命令書の受領書を徴するものとする。
(2) 不利益処分の履行
廃棄命令、販売禁止又は使用禁止による違反食品等の処置の確認及び営業等の禁止又は停止期間中の履行状況の確認等については的確厳正に行うものとする。
(3) 不利益処分の記録及び報告
ア 不利益処分に係る起案文書は、長期保存とする。
イ 監視員は、不利益処分があったときは、その違反の概要、命令書の交付年月日その他必要な事項を営業者ごとに記録するものとする。
(4) 聴聞及び弁明の機会の付与
9 減算(要綱第9条)
(1) 不利益処分は、食品衛生上の安全保持のため行う必要な措置であって、特に不利益処分の減算措置については、濫用すべきものではなく、具体的事由に基づき慎重に行うものとする。
また、営業等の停止日数を減算することができる場合とは、要綱別表中、法第6条違反の事故発生の場合に限るものとする。
(2) 要綱第9条第1号の事件拡大防止等の措置とは、原因究明及び原因除去、施設若しくは設備の改善、取扱改善、衛生教育、施設若しくは設備の消毒又は健康管理指導の措置のいずれかを保健所長の指導により行った場合をいうものとする。
(3) 要綱第9条第2号を適用するのは、別表に掲げる原因食品及び病因物質による食中毒である場合を原則とし、保健所長が認める場合とする。
なお、減算日数は、別表に掲げる日数の範囲内とする。ただし、減算後の営業等の停止日数は、7(1)イ(ア)から(エ)までに掲げる項目に必要な日数をもって決めるものとする。
(4) 保健所長は、区長への意見の申出に当たり、営業停止日数の減算が必要であるときは、次項10の違反事実調査結果書の「営業等停止日数の減算の必要性及びその理由」欄に必要とする理由について具体的に詳述するものとする。
10 不利益処分に関する意見の申出(要綱第10条)
保健所長は、区長に不利益処分に関する意見の申出をするときは、違反事実調査結果書(第20号様式)に関係書類を添えて行うものとする。
都知事の権限に属するものも同様とし、区長は、この申出を受けたときは、都知事に通報するものとする。
関係書類は、検査成績書、事実書(答申書又はてん末書)、保管請証その他の違反及び処分内容に応じた必要な書類をいう。
なお、写しを用いる場合は、その末尾に照合年月日及び担当職員の職氏名を記入するものとする。
11 その他の措置
(1) 始末書
始末書は、要綱に基づく不利益処分を行うまでに至らない違反事実について、厳重な行政指導を要するときに徴するものとする。その内容としては、再び同様の違反を起こさないようにするため、営業者等から違反の事実、経過、今後の対策等を記載させるものとする。
(2) てん末書
てん末書は、事実関係を明らかにする必要があるときに営業者等からその事実のてん末を報告させるために徴するものとする。
(3) 違反食品に対する措置指導書
違反食品に対する措置指導書(第21号様式)は、残品の確認、回収等の措置について文書により指示するために交付するものとする。
(4) 告発の取扱い
ア 告発
告発は、法第81条から第83条まで、第85条、第87条及び第88条に規定する罰則を適用する必要があると認めるときに行うものとする。
イ 告発の手続
保健所長は、告発しようとするときは、次に掲げる証拠書類を添えて、告発状(第22号様式)により最寄りの捜査機関に送付するものとする。
なお、この場合、保健所長は区長に事前に報告するものとする。
(ア) 事実調査報告書(第23号様式)
営業者の本籍、住所、氏名、生年月日、営業種別、違反事実、違反発見の動機、違反の発生年月日、違反の発生場所、違反の概要、違反に対する措置等を詳述し、責任の帰属する点を明らかにする。
(イ) その他の証拠書類
現場写真(台紙に貼り、撮影年月日及び撮影者氏名を明記すること。)、命令書の写し、検査成績書、始末書、答申書、違反事実調査結果書その他証拠となる書類、物件等違反事実を十分確認することができるもの(書類作成者は、署名すること。)
なお、特に、販売行為等相手方のある場合は、当該相手方に係る証拠書類についても添えるものとする。
(ウ) 保健所長は、告発状を正副2通を作成の上、正本の写しを区長に送付するとともに、その結果が判明次第、書面により報告すること。
12 措置基準等の違反に対する措置
(1) 営業者(器具又は容器包装を製造する営業者を除くものとし、法第68条第3項の規定により準用される給食供給者を含む。)は、規則第66条の2に規定する基準に従い、公衆衛生上必要な措置を定め、遵守しなければならない。
(2) 器具又は容器包装を製造する営業者は、規則第66条の5に規定する基準に従い、公衆衛生上必要な措置を講じなければならない。
(3) (1)及び(2)の規定にかかわらず、公衆衛生上必要な措置が遵守又は講じられていない場合は、次により必要な不利益処分を行うものとする。ただし、他の条項に抵触する違反が生じた場合はこの限りではない。
ア 不利益処分の対象となる違反として取り扱うのは、次に掲げる適用条項に違反しており、改善させる必要がある場合とする。
(ア) 規則第66条の2第1項の規定による別表17に基づく基準の適用条項
a 1のイの前段及びへ
b 2のイからチまで
c 3のイからルまで
d 4のイからトまで
e 5のイからニまで
f 6のイからホまで
g 7のロ、ハの前段及び後段、ニからヘまで並びにチからヲまで
h 8のイ及びロ
i 10のイ及びロ
j 11のイからリまで
k 12のイ及びロ
l 13のイからハまで
(イ) 規則第66条の2第2項の規定による別表18に基づく基準の適用条項
a 1から7まで
(ウ) 規則第66条の2第3項に基づく適用条項
(エ) 規則第66条の5に基づく適用条項
(4) 区長は、(3)のアの不利益処分の対象となる違反を発見したときは、営業者等に対し7の(4)と同様の処置を行うものとする。
(5) 必要な不利益処分は、(4)の処置を経た後に行うものとする。
付則
1 この要領は、平成15年1月1日から適用する。
2 墨田区食品衛生関係行政処分取扱内規実施要領(昭和53年12月21日58墨保健発第1032号)は、廃止する。
3 この要領の適用前にした墨田区食品衛生関係行政処分取扱内規実施要領の規定による行政処分は、この要領によりした行政処分とみなす。
付則
この要領は、令和3年6月1日から適用する。
別表
原因食品 | 病因物質 | 減算日数 |
生食用かき | ノロウイルス サポウイルス ロタウイルス A型肝炎ウイルス | 1日から4日まで |
生食用鮮魚介類 | 寄生虫 | 1日から6日まで |
貝類 | 麻痺性貝毒 下痢性貝毒 | |
魚介類加工品 | ヒスタミン | |
生食用馬肉 | サルコシスティス |
様式 省略