(仮称)墨田区移動等円滑化促進方針及び墨田区バリアフリー基本構想の概要版(案)です。 第1章、バリアフリー基本構想等策定の趣旨では、策定の経緯と目的、マスタープラン及び基本構想の位置付け、計画期間について説明しています。 策定の経緯、目的です。本区では平成16年6月に「墨田区交通バリアフリー基本構想」、平成17年3月と平成27年6月に「墨田区交通バリアフリー道路特定事業計画」を策定し、区内のバリアフリー化を推進してきました。鉄道駅や道路のバリアフリー化の進捗、「バリアフリー法」の施行などの状況を踏まえ、区全体のバリアフリー化の方針を示し、バリアフリーに関する考え方を共有するとともに、事業者や区民との連携・協力のもと、効果的な施策を展開するため、バリアフリー法に基づく「移動等円滑化促進方針」及び「バリアフリー基本構想」を策定します。 マスタープラン及び基本構想の位置付けです。「バリアフリー法」及び「移動等円滑化の促進に関する基本方針(国)」に基づき、バリアフリーに関する総合的な方針等を示すものです。また、区の上位計画である「墨田区基本構想・墨田区基本計画」や墨田区地域福祉計画等の関連計画との整合を図りながら、区のバリアフリー施策を推進するものです。 計画期間です。計画期間は令和8(2026)年度から令和17(2035)年度の10年間とします。なお、各事業や上位計画及び関連計画の進捗状況、経済社会情勢の変化等を踏まえて、中間年で見直しを予定しています。 第2章、墨田区の現況とバリアフリーの課題では、区の現況や区民参加と意見反映の取組(基礎調査)、バリアフリーに関する課題について説明しています。 区の現況です。人口は増加傾向にあり、令和17(2035)年に約30.8万人でピークを迎え、その後減少に転じると推計されています。高齢者人口は今後数年は横ばいで推移することが見込まれていますが、令和32(2050)年には、約7万人になると推計されています。障害者等の人口は種別により微増減しています。 鉄道駅では、バリアフリールートの整備は概ね完了しています。ホームドアの整備は事業者間で差異があります。 バスでは、ノンステップバスの導入やスマホアプリのバス接近情報サービス等の提供が進められています。 道路では、道路バリアフリー整備、細街路の拡幅整備、交通安全施設の整備等の施策が進められています。 公園では、約半数の公園等でバリアフリートイレの整備が完了し、園路や案内設備等の整備も進められています。 建築物では、公共施設に関する計画等に基づき、計画的な維持管理・修繕・更新等が進められています。 交通安全では、音響式信号機の整備や道路標識及び道路標示の設置等が進められています。 ソフト面では、バリアフリーマップや心のバリアフリーの啓発冊子等を作成し、区民に周知しています。 区民参加と意見反映の取組(基礎調査)です。基本構想等の策定にあたり、区民等へのアンケート調査、関係団体等へのヒアリング調査、障害当事者を含む区民の参加によるまち歩き点検を実施し、意見を収集し、現況把握を行いました。 バリアフリーに関する課題です。 課題①、ハード面・ソフト面の一体的なバリアフリーの推進。 課題②、障害者差別解消法や心のバリアフリーの更なる周知。 課題③、区民、関係団体、事業者との連携によるバリアフリーの推進。 第3章、マスタープラン(移動等円滑化促進方針)では、基本理念と基本方針、当事者参画の視点、移動等円滑化促進地区の考え方を説明しています。 基本理念と基本方針です。基本理念は、だれもが自由に出かけられ、互いに助けあい思いやるまち、です。 基本方針は、次の3点を掲げています。 方針①、区民の心のバリアフリーの推進。バリアフリー施策の推進にあたっては、ハード面・ソフト面のバリアフリーだけでなく、心のバリアフリーの意識醸成が大切です。様々な障害の種類や程度があることを区民、事業者、行政機関の方々に周知し、相互理解を進めていくことで心のバリアフリーの推進を図ります。具体的な取組事例は、支援を必要とする方々との交流機会の創出、相互理解やコミュニケーションの重要性の周知。区報やホームページ、ポスター、動画、冊子等による意識啓発、などです。 方針②、ソフト面のバリアフリーの推進。情報発信の工夫やコミュニケーションツールの導入等のソフト面のバリアフリーを推進します。障害者差別解消法における「不当な差別的取扱いの禁止」、「合理的配慮の提供」について、引き続き周知啓発に取り組んでいきます。具体的な取組事例は、職員対応等の接遇向上によるソフト施策の充実。施設内のバリアフリー情報の内容の充実。歩行者、自転車等の利用者に向けた交通ルールの周知啓発、などです。 方針③、ハード面のバリアフリーの推進。公共交通事業者や施設管理者等と連携し、ハード面のバリアフリーを推進するとともに、面的・一体的なバリアフリー整備が必要な地区等を選定し、効果的なバリアフリー整備を進めていきます。施設管理者間で調整、協議を行い、連続性のあるバリアフリー事業に取り組んでいきます。具体的な取組事例は、関係機関等の連携によるバリアフリールートの確保。公共交通機関や公共施設のバリアフリー化。道路や各施設における定期的な点検や補修の実施、などです。 当事者参画の視点です。施設管理者等は所管する施設の新設、改修、見直し等にあたっては、原則として当事者参画の場を設け、意見を取り入れながら検討を進めることが必要です。さらに、企画、運営内容等の振り返りを行い、関係者で共有することで、効果的な当事者参画の実施に向けた知見を蓄積します。当事者参画を実施することで、当事者の施設利用時の困りごとや多様なニーズを把握する機会となります。また、ニーズに適った対応が困難な場合の代替案やより有効な整備に結び付き、すべての人にとって、使いやすい施設づくりにつながります。 当事者参画の実施方法です。 1.対象とする当事者の例。高齢者、車いす使用者、肢体不自由者、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、認知症の人、外国人、乳幼児連れの保護者、小学生や中学生等、心や体のはたらきに障害(難病等に起因する障害も含む)のある人、など。 2.当事者参画を実施する際の留意事項。 ①障害特性の十分な理解。②実施時の情報保障等。③多様な当事者の参画と意見の取扱い。④実施後の記録・振り返り。 3.当事者参画の方法。①アンケート調査。②関係団体等へのヒアリング。③まち歩き点検。④ワークショップ、意見交換会。⑤説明会。⑥パブリックコメント。 移動等円滑化促進地区の考え方です。墨田区は、都心部に位置し、交通利便性が高い状況や移動等円滑化促進地区の要件に鑑み、区内全体の移動等円滑化を面的、一体的に進める必要があることから、区全域を移動等円滑化促進地区に設定します。また、バリアフリー法及び「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン」に基づき、生活関連施設を設定します。 第4章、重点整備地区の選定(バリアフリー基本構想)では、重点整備地区の選定について説明しています。 重点整備地区の選定です。区内の鉄道駅を中心とした検討対象地区(11地区)を設定し、公共交通機関の状況や主要施設の集積状況、人口等の状況を整理した上で、総合的に判断し、面的・一体的にバリアフリー事業を進めていく重点整備地区として、2地区を選定しました。 1.押上駅・錦糸町駅周辺地区。地区の現状です。押上駅・錦糸町駅ともに駅乗降者数及びバス運行本数、アンケートでの駅周辺等の歩道に関する意見が多いことから、施設間を結ぶ経路のバリアフリー整備の効果が高いと考えられます。押上駅周辺地区では、東武鉄道伊勢崎線(とうきょうスカイツリー駅付近)連続立体交差事業とその周辺における街路整備事業が実施されています。錦糸町駅周辺地区では、地下鉄8号線(豊洲から住吉間)の延伸に伴い駅周辺のまちづくりの検討が進められています。 両地区の間にすみだ保健子育て総合センター及び賛育会病院が立地しています。 基礎調査の結果等における課題です。駅の利用者や旅行者等が増加し、駅のホームやエレベーター等が混雑している状況です。歩道が狭い箇所や勾配のある箇所の改善、歩道を通行する自転車に関する意見があります。 2.曳舟駅・京成曳舟駅周辺地区。地区の現状です。公共施設や病院、学校が複数立地しています。他地区と比べて高齢者、乳幼児、障害者の人口が多いです。令和7年9月に東武曳舟駅周辺地区まちづくり方針が策定され、今後、市街地再開発事業の都市計画決定とともに補助326号線(曳舟たから通り)の拡幅整備に併せた駅前交通広場の整備が予定されています。 基礎調査の結果等における課題です。駅のホームドアの整備やホームの通路幅の狭さに関する意見があります。歩道が狭い箇所や勾配のある箇所の改善、歩道を通行する自転車に関する意見があります。 第5章、バリアフリー事業の方針及び特定事業では、区全体で取り組む事項や、各重点整備地区で取り組む事項を説明しています。基本理念及び基本方針、重点整備地区の現況等を踏まえ、バリアフリー基本構想における特定事業等を以下に示します。特定事業の実施目標年度は、基本構想の目標年度に合わせて令和17年度までとします。 区全体で取り組む事項です。区全体で取り組むバリアフリー事業の方針。区内では、鉄道駅やバス停、道路、公園、建築物等におけるハード面のバリアフリー整備が行われており、引き続きバリアフリー整備済の施設等を含めて、国の定める基準(移動等円滑化基準)への適合に努めるとともに、関連するガイドライン、条例等に留意した整備を推進していくこととします。また、基本理念の「だれもが自由に出かけられ、互いに助けあい思いやるまち」を目指すためには、生活関連施設と生活関連経路の連続したバリアフリー化が重要となることから、大規模改修等に伴うバリアフリー整備の際には関係する施設管理者等と調整及び協議しながら進めていきます。さらに、関係する施設管理者等は特定事業以外でも調整・協議に応じ、積極的に連続性のあるバリアフリー事業に取り組んでいきます。 特定事業。公共交通特定事業の主な事業です。鉄道では、定期的な点検と施設の補修の実施。車両の車いすスペースや案内表示装置の設置及び更新。出口案内標識、ホーム上の案内標識の設置、更新等。触知案内図など、わかりやすい案内サインの維持更新。ホームページ等を活用した施設内のバリアフリー設備の情報提供などに取り組みます。 バスでは、バスロケーションシステムによる情報提供。車いす、ベビーカー利用等のお客様への乗降介助に関する教育やバリアフリーに関する研修の実施。利用者への乗車マナーの普及啓発、車内デジタルサイネージ動画による注意喚起放送などに取り組みます。 タクシーでは、ユニバーサルデザインタクシーの導入促進。車いす利用者等の円滑な乗降等に関する研修の継続的な実施の推進などに取り組みます。 道路特定事業の主な事業です。道路の定期的な点検、維持管理。区内を通行する自転車等の利用者のルール、マナーの啓発の推進。植栽の枝の道路へのはみ出しなど、適切な機能の確保のための指導などに取り組みます。 教育啓発事業の主な事業です。福祉教育の取組、心のバリアフリー啓発冊子等の配布。障害の理解、啓発や心のバリアフリーに関する普及啓発イベントの実施。バリアフリーマップや音声ガイド(ことばの道案内)の充実と普及。区報やホームページを活用した情報発信、「区のお知らせ」点字版・音訳版の発行などに取り組みます。 押上駅・錦糸町駅周辺地区です。地区のバリアフリー事業の方針。 特定事業。公共交通特定事業です。主な方針。JR錦糸町駅、とうきょうスカイツリー駅のホームドアの整備を進めていきます。主な事業。ホームドアの整備、など。 道路特定事業です。主な方針。東武伊勢崎線(とうきょうスカイツリー駅付近)連続立体交差事業とともに、墨田区道墨111号(言問通り)の拡幅事業や押上駅北口の交通広場を含めた周辺の街路整備事業を進めていきます。自転車対歩行者事故の発生リスクを低減させるため、墨田区自転車活用推進計画に基づき、自転車と歩行者の双方が安全、快適に通行できる自転車通行空間を整備します。主な事業。道路の定期的な点検。舗装の段差や劣化の修繕。街路事業(道路拡幅等)の実施。自転車走行空間の整備、など。 建築物特定事業です。主な方針。ソフト面のバリアフリー事業を継続して実施するとともに、施設の大規模改修時には当事者参画の視点を取り入れながら、トイレの洋式化、バリアフリートイレの整備、エレベーターの設置や段差解消等の事業を進めていきます。すみだ福祉保健センターやすみだトリフォニーホールでは施設の大規模改修に併せてバリアフリートイレの整備や増設等を進め、区立小中学校では施設の大規模改修等にあわせて施設のバリアフリー化を進めていきます。主な事業。定期的な点検と施設の補修の実施。大規模改修、移転等に併せた施設のバリアフリー化の実施。ベンチ等の休憩施設の設置。ユニバーサルシート(大人用ベッド)の整備、事業化の検討、など。 都市公園特定事業です。主な方針。公園の再整備に併せて施設のバリアフリー化の実施やバリアフリートイレの整備等を進めていきます。主な事業。定期的な点検と施設の補修。再整備に併せた施設のバリアフリー化の実施、など。 交通安全特定事業です。主な方針。地区内における信号機の改良や道路標識等の補修、横断歩道及びバス停留所付近の違法駐車の指導取締り等を実施します。主な事業。道路標識等の適切な補修。横断歩道及びバス停留所付近の違法駐車の指導取締りの実施、など。 押上駅・錦糸町駅周辺地区の地区範囲・生活関連施設・生活関連経路を地図で示しています。 曳舟駅・京成曳舟駅周辺地区です。地区のバリアフリー事業の方針。 特定事業。公共交通特定事業です。主な方針。曳舟駅のホームドアの整備を進めていきます。主な事業。ホームドアの整備、など。 道路特定事業です。主な方針。再開発事業による都市計画道路整備として、道路拡幅、歩道設置、無電柱化、交通広場の整備を進めていきます。自転車対歩行者事故の発生リスクを低減させるため、墨田区自転車活用推進計画に基づき、自転車と歩行者の双方が安全、快適に通行できる自転車通行空間を整備します。主な事業。道路の定期的な点検。舗装の段差や劣化の修繕。再開発事業による都市計画道路整備(道路拡幅等)。道路のバリアフリー化。自転車走行空間の整備、など。 建築物特定事業です。主な方針。ソフト面のバリアフリー事業を継続して実施するとともに、施設の大規模改修時には当事者参画の視点を取り入れながら、トイレの洋式化、バリアフリートイレの整備、エレベーターの設置や段差解消等の事業を進めていきます。すみだボランティアセンターや区立小学校、中学校では、施設の大規模改修等に併せて施設のバリアフリー化を進めていきます。主な事業。定期的な点検と施設の補修の実施。大規模改修、移転等に併せた施設のバリアフリー化の実施。ベンチ等の休憩施設の設置。ユニバーサルシート(大人用ベッド)の整備、事業化の検討、など。 都市公園特定事業です。主な方針。バリアフリートイレの再整備や再開発事業による都市計画公園の整備を進めていきます。主な事業。定期的な点検と施設の補修。バリアフリートイレの再整備。再開発事業による都市計画公園の整備、など。 交通安全特定事業です。主な方針。地区内における信号機の改良や道路標識等の補修、横断歩道及びバス停留所付近の違法駐車の指導取締り等を実施します。主な事業。道路標識等の適切な補修。横断歩道及びバス停留所付近の違法駐車の指導取締りの実施、など。 曳舟駅・京成曳舟駅周辺地区の地区範囲・生活関連施設・生活関連経路を地図で示しています。 第6章、バリアフリー事業の進行管理等では、特定事業計画の策定、墨田区バリアフリー推進協議会による進捗管理、当事者参画による効果的なバリアフリー施策の展開、中間見直しについて説明しています。 (1)特定事業計画の策定。重点整備地区の特定事業を着実に進めていくため、特定事業者(特定事業を行う事業者)は令和8年度中を目途に速やかに特定事業計画を策定します。特定事業者は特定事業計画に基づいた整備等を実施するとともに、特定事業計画に挙げられていない項目についても、対応できるものは積極的な取組を検討します。 (2)墨田区バリアフリー推進協議会による進捗管理。区民や学識経験者、公共交通事業者、施設管理者等で構成する「墨田区バリアフリー推進協議会」により、重点整備地区における特定事業等の実施状況の確認や事業実施の評価・検証等を行い、継続的なバリアフリー事業を推進します。また、本協議会では、重点整備地区だけではなく、区全体のバリアフリーに関する情報連絡や意見交換等を行っていきます。 (3)当事者参画による効果的なバリアフリー施策の展開。各バリアフリー事業は当事者参画の視点を持って進める必要があるため、特定事業者等は事業実施前や施設設計段階から、区民や当事者の参画によるアンケート調査、ヒアリング、まち歩き点検等を行い、障害者及び高齢者、子育て世帯等の視点を取り入れながらバリアフリー事業を進めていきます。 (4)中間見直し。区は墨田区バリアフリー推進協議会による各事業の評価、まちづくりの動き、当事者参画による意見等を踏まえて、令和12年度に中間見直しを行い、区全体のバリアフリーの実現につなげていきます。 奥付。 墨田区移動等円滑化促進方針及びバリアフリー基本構想、概要版(案)。 発行、墨田区。 編集、墨田区 福祉部 地域福祉課。 郵便番号130-8640、京都墨田区吾妻橋一丁目23番20号。 電話番号、03-5608-1163。