(仮称)墨田区移動等円滑化促進方針及び墨田区バリアフリー基本構想(案)です。 目 次。 第1章、バリアフリー基本構想等策定の趣旨。1ページ。 1、策定の経緯・目的。1ページ。 2、マスタープラン及び基本構想の位置付け。1ページ。 3、計画期間。2ページ。 4、策定体制、2ページ。 第2章、墨田区の現況とバリアフリーの課題。3ページ。 1、区の現況。3ページ。 2、バリアフリーに関する取組。6ページ。 3、墨田区交通バリアフリー基本構想等の取組状況。13ページ。 4、区民参加と意見反映の取組(基礎調査)。15ページ。 5、バリアフリーに関する課題。17ページ。 第3章、マスタープラン(移動等円滑化促進方針)。19ページ。 1、基本理念と基本方針。19ページ。 2、移動等円滑化促進地区の考え方。30ページ。 第4章、重点整備地区の選定(バリアフリー基本構想)33ページ。 1、検討対象地区の整理。33ページ。 2、各地区の現況等。35ページ。 3、重点整備地区の選定。49ページ。 第5章、バリアフリー事業の方針及び特定事業。69ページ。 1、区全体で取り組む事項。69ページ。 2、押上駅・錦糸町駅周辺地区。71ページ。 3、曳舟駅・京成曳舟駅周辺地区。75ページ。 第6章、バリアフリー事業の進行管理等。79ページ。 資料編。81ページ。   1ページ。 第1章、バリアフリー基本構想等策定の趣旨では、策定の経緯と目的、マスタープラン及び基本構想の位置付け、計画期間、策定体制について説明しています。 1、策定の経緯・目的。本区では「交通バリアフリー法」に基づき、平成16年6月に「墨田区交通バリアフリー基本構想」、平成17年3月と平成27年6月に「墨田区交通バリアフリー道路特定事業計画」を策定し、区内のバリアフリー化を推進してきました。この間、鉄道駅や道路のバリアフリー化が進み、基本構想策定時とは状況が大きく変化するとともに、「ハートビル法」と「交通バリアフリー法」の拡充・統合により「バリアフリー法」が施行され、建物や道路の連続性を確保した「面的、一体的なバリアフリー化の方針」や具体的な事業計画の策定が努力義務となりました。区全体のバリアフリー化の方針を示し、バリアフリーに関する考え方を共有するとともに、事業者や区民との連携・協力のもと、効果的な施策を展開するため、バリアフリー法に基づく「移動等円滑化促進方針」(以下「マスタープラン」という。)及び「バリアフリー基本構想」(以下「基本構想」という。)を策定します。 2、マスタープラン及び基本構想の位置付け。「バリアフリー法」及び「移動等円滑化の促進に関する基本方針」に基づき、バリアフリーに関する総合的な方針等を示すものです。また、区の上位計画である「墨田区基本構想・墨田区基本計画」、関連計画である「墨田区地域福祉計画」、「墨田区都市計画マスタープラン」、「墨田区地域公共交通計画」等との整合を図りながら、区のバリアフリー施策を推進するものです。 移動等円滑化促進方針(マスタープラン)は、面的なバリアフリー化に向けた方針、理念を示し、当該方針を踏まえた「移動等円滑化促進地区」を定めるものです。 バリアフリー基本構想は、バリアフリー化を重点的かつ一体的に推進する「重点整備地区」を定めるものです。また、重点整備地区の具体的な範囲や整備に向けた事項を定めます。バリアフリー基本構想における特定事業として令和17年度までに重点整備地区内で実施する具体的な事業内容を分野別、事業主体別に定めます。 2ページ。 3、計画期間。計画期間は令和8(2026)年度から令和17(2035)年度の10年間とします。なお、各事業や上位関連計画の進捗状況、経済社会情勢の変化等を踏まえて、中間年で見直しを予定しています。 4、策定体制。マスタープラン及び基本構想の策定は、公共交通事業者や施設管理者、関係団体等から構成される「墨田区バリアフリー推進協議会」でご意見等をいただきながら進めました。また、庁内においては、関係部署で構成される「墨田区バリアフリー推進本部」、「墨田区バリアフリー推進本部幹事会」、「墨田区移動等円滑化促進方針及び墨田区バリアフリー基本構想策定作業部会」を設置し、関係部署間の連絡調整を図りました。さらに、区民及び乳幼児の保護者等へのアンケートの実施や関係団体等へのヒアリング、まち歩き点検を実施し、区民の意見の反映に努めました。   3ページ。 第2章、墨田区の現況とバリアフリーの課題では、区の現況、バリアフリーに関する取組、墨田区交通バリアフリー基本構想等の取組状況、区民参加と意見反映の取組(基礎調査)、バリアフリーに関する課題について説明しています。 1、区の現況。 (1)上位・関連計画等。 ①墨田区基本構想・基本計画。墨田区がめざす未来のまちの姿を描き、まちづくりの方向性を示す「基本構想」と、将来の姿を区民、事業者、区の協働によって実現するため、区の最上位の総合計画として「基本計画」を策定しています。 墨田区基本構想の内容を図で示しています。 第1章、2035年のすみだ「人がつながり 夢をカタチに 墨田区」。 第2章、まちづくりの基本理念。1、「人が主役であること」。2、「つながり」を活かすこと。3、「まちの個性」を磨き続けること。 第3章、それぞれの視点から見た未来像。基本目標1、豊かな感性が磨かれる。基本目標2、あたたかいおせっかいがめぐる。基本目標3、安全で心地よい暮らしがある。 ②墨田区地域福祉計画。地域住民等の参加を得て、地域の様々な課題を明らかにするとともに、その解決に向けたしくみをつくる計画です。「地域共生社会の実現」に向けた地域福祉推進のしくみづくりのため、区民、地域の関係団体・機関、区が、どのような役割を果たすべきか、どのような取組をしていけばいいのか、という方向性を示す目的を持っています。個々に課題を抱えている区民への支援と、墨田区社会福祉協議会が進めてきた地域づくりとの連携を深め、さらに強化し、「プラットフォームによる地域福祉」という視点を持って、地域福祉を推進していくための包括的な支援体制を整備していくことを目指しています。 墨田区地域福祉計画の内容を図で示しています。 基本理念。互いに尊重しあい、共に生きる支えあいの地域をつくる。 基本目標。基本目標1、包括的に支援するしくみを強化する。基本目標2、区民が安心して暮らせる福祉のまちをつくる。 バリアフリーや障害者等への理解促進に関連する事業。 「デジタルデバイドの解消」、「障害者差別解消法普及啓発事業」、「すみだスマイル♡フェスティバルの開催」、「ヘルプカード等の配布事業」、「認知症普及啓発」、「幅広い世代への「福祉教育」プログラムの実施」、「あんしんバリアフリーマップの運営」、「区立図書館の障害者サービス事業、手話、点訳、音訳、要約筆記等のボランティア育成プログラム」、「交通バリアフリー事業の推進」、「福祉のまちづくり施設整備への助成」、「道路等の適正利用の確保」、「道路バリアフリー整備事業」。 4ページ。 ③墨田区都市計画マスタープラン。都市計画法における市町村の都市計画に関する基本的な方針(都市計画法第18条の2)であり、東京都の定める「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画区域マスタープラン)」に即し、墨田区の将来のあるべき姿やまちづくりの方向性を示すものです。本計画では、商業機能、交流機能、業務機能など多様な都市機能により墨田区の魅力やにぎわいを創出する地区として錦糸町駅周辺地区、両国駅周辺地区、押上・とうきょうスカイツリー駅周辺地区を広域総合拠点に位置付けています。また、拠点間で都市機能の分担・連携を図り、人・もの・情報の活発な交流を誘導する拠点連携軸の内、区南北軸については、四ツ目通り、タワービュー通り、曳舟川通りを背骨として区内の交通や人々の移動のしやすさの更なる向上や多様な都市機能の集積を図るものとして位置付けています。 墨田区都市計画マスタープランの内容を図で示しています。 まちづくりの目標。下町文化にふれあい 人とつながり「すみだらしさ」を次世代に継承するまちへ。 分野別構想の内、バリアフリーに関連する事項。 「安全で快適に歩ける空間づくり」、「交通結節点のバリアフリー化の推進」、「無電柱化の推進」、「道路・駅の交通安全対策の推進」。 ④墨田区地域公共交通計画。誰もが安全・快適で使いやすい持続可能な交通ネットワークを形成するとともに、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域公共交通に関する考え方や方向性を示すものです。 墨田区地域公共交通計画の内容を図で示しています。 目指すべき将来像。地域で支える多様なネットワーク ~誰にでもやさしく 快適に移動できるまちの実現~。 目標。目標1、多様な交通ネットワークをつくる。目標2、安全・安心で快適に移動できるまちにする。 目標3、誰にでもやさしい交通をつくる。目標4、公共交通を地域で支える。目標5、環境に配慮した交通に転換する。 バリアフリーに関連する施策。乗り継ぎしやすい環境づくり。ユニバーサルデザインに配慮した公共交通の実現。 5ページ。 (2)人口等の状況。 ①人口の状況。墨田区の人口は、平成25年以降、微増傾向で推移しており、令和7年4月1日時点では287,766人となっています。将来人口推計では、令和17(2035)年に307,526人でピークを迎え、令和37(2055)年には271,175人になると推計されています。 ②高齢者等の状況。墨田区の高齢者人口は、令和元年以降、微減傾向で推移しており、令和7年4月1日時点では59,109人となっています。平成30年以降、前期高齢者(65歳から74歳)は減少傾向ですが、後期高齢者(75歳以上)は増加しています。なお、高齢者の人口の将来推計では、今後数年はほぼ横ばいで推移することが見込まれているものの、団塊ジュニア世代が65歳以上となる令和22(2040)年には65,176人、さらに団塊ジュニア世代が75歳以上となる令和32(2050)年には69,975人になると推計されています。 ③障害者等の状況。令和6年度末時点の身体障害者手帳所持者は7,459人、愛の手帳所持者は1,903人、精神障害者保健福祉手帳の所持者は2,316人となっています。近年の身体障害者手帳所持者数は微減、愛の手帳所持者及び精神障害者保健福祉手帳所持者数は微増となっています。 ④外国人等の状況。住民基本台帳に基づく外国人の人口は、令和元年から令和4年までは約12,000人でしたが、令和5年以降増加傾向にあり、令和7年4月1日時点では17,035人となっています。 ⑤未就学児の状況。平成25年以降の未就学児(0歳から5歳まで)の推移をみると、平成31年に12,855人でピークを迎え、その後減少傾向に転じ、令和7年4月1日時点では10,677人となっています。ベビーカーの使用が想定される0歳から2歳までの人口は平成30年に6,959人でピークを迎え、令和7年4月1日時点では5,520人となっています。なお、こどもの人口の将来推計では、未就学児の人口は緩やかに増加傾向に転じ、令和11(2029)年には12,013人と推計されています。 6ページ。 2、バリアフリーに関する取組。 (1)鉄道駅。 錦糸町駅(JR東日本、東京メトロ)と押上駅(都営地下鉄、東京メトロ、京成電鉄、東武鉄道)では、1日当たり乗降者数が20万人を超えています。鉄道駅の1以上のバリアフリールート整備は概ね完了しているものの、小村井駅では片側ホームで階段昇降機が必要です。ホームドアの整備は、事業者間で整備状況に違いがあり、更なる整備が求められる路線もあります。 鉄道駅のバリアフリー整備の状況。 事業者、JR東日本。総武線両国駅。1日あたりの乗降者数69,019人、バリアフリールート整備済み、ホームドア整備済み、バリアフリートイレ整備済み。 総武線錦糸町駅。1日あたりの乗降者数188,345人、バリアフリールート整備済み、ホームドア整備一部整備済み、バリアフリートイレ整備済み。 事業者、都営地下鉄。大江戸線両国駅。1日あたりの乗降者数32,093人、バリアフリールート整備済み、ホームドア整備済み、バリアフリートイレ整備済み。 浅草線本所吾妻橋駅。1日あたりの乗降者数20,405人、バリアフリールート整備済み、ホームドア整備済み、バリアフリートイレ整備済み。 浅草線押上駅。1日あたりの乗降者数214,236人、バリアフリールート整備済み、ホームドア整備済み、バリアフリートイレ整備済み。 新宿線菊川駅。1日あたりの乗降者数23,203人、バリアフリールート整備済み、ホームドア整備済み、バリアフリートイレ整備済み。 事業者、東京メトロ。半蔵門線錦糸町駅。1日あたりの乗降者数100,315人、バリアフリールート整備済み、ホームドア整備済み、バリアフリートイレ整備済み。 半蔵門線押上駅。1日あたりの乗降者数175,342人、バリアフリールート整備済み、ホームドア整備済み、バリアフリートイレ整備済み。 事業者、京成電鉄。押上線押上駅。1日あたりの乗降者数210,000人、バリアフリールート整備済み、ホームドア整備済み、バリアフリートイレ整備済み。 押上線京成曳舟駅。1日あたりの乗降者数18,871人、バリアフリールート整備済み、ホームドア未整備、バリアフリートイレ整備済み。 押上線八広駅。1日あたりの乗降者数13,301人、バリアフリールート整備済み、ホームドア未整備、バリアフリートイレ整備済み。 事業者、東武鉄道。伊勢崎線とうきょうスカイツリー駅。1日あたりの乗降者数115,682人、バリアフリールート整備済み、ホームドア未整備、バリアフリートイレ整備済み。 伊勢崎線曳舟駅。1日あたりの乗降者数23,356人、バリアフリールート整備済み、ホームドア未整備、バリアフリートイレ整備済み。 伊勢崎線東向島駅。1日あたりの乗降者数18,205人、バリアフリールート整備済み、ホームドア未整備、バリアフリートイレ整備済み。 伊勢崎線鐘ヶ淵駅。1日あたりの乗降者数12,332人、バリアフリールート整備済み、ホームドア未整備、バリアフリートイレ整備済み。 亀戸線曳舟駅。1日あたりの乗降者数5,030人、バリアフリールート整備済み、ホームドア未整備、バリアフリートイレ整備済み。 亀戸線小村井駅。1日あたりの乗降者数10,795人、バリアフリールート整備済み、ホームドア未整備、バリアフリートイレ整備済み。 亀戸線東あずま駅。1日あたりの乗降者数7,523人、バリアフリールートは階段昇降機の設置による、ホームドア未整備、バリアフリートイレ整備済み。 7ページ。 (2)バス。区内を運行するバスは、3事業者合計で約30系統、延べ2,000本以上となっています。バス事業者では、ノンステップバスの導入やスマホアプリのバス接近情報サービス等の提供が進められています。 バス車両のバリアフリー化の状況。バス車両1,501台はすべてノンステップバスです(令和6年4月1日時点)。 バス停のバリアフリー化の状況。バス停総数287か所、上屋整備済み88か所。ベンチ整備済み94か所、視覚障害者誘導用ブロック整備済み箇所283か所。 区内のバス停留所・バスルートの状況を地図で示しています。 8ページ。 (3)道路。区内の道路は、令和6年4月1日現在、総延長で約287km(首都高速道路を除く。)あり、このうち特別区道は約88%を占めています。区では、安全で快適な道路環境を目指して、道路のバリアフリー整備や電線類地中化整備、道幅が4mに満たない細街路の拡幅整備、ガードレール等の交通安全施設の整備等の施策を進めています。 道路のバリアフリー整備状況を整備済み・整備中・整備予定に分けて地図で示しています。 9ページ。 (4)都市公園。区内には約160か所の公園・児童遊園・区民広場があり、約4割が500㎡以下です。公園等のトイレの約半数はバリアフリートイレの整備が完了しており、園路や案内設備等のバリアフリー化も順次進めています。 区内の都立公園、区立公園、児童遊園、区民広場の位置を地図で示しています。 10ページ。 (5)建築物。区では、令和6年11月に「すみだ保健子育て総合センター」を開館しました。整備にあたっては、障害当事者等を含む区民参加による検討やアンケート調査結果による意見を踏まえて、検討を進めてきました。既存の公共施設については、墨田区公共施設等総合管理計画、墨田区公共施設マネジメント実行計画等に基づき、計画的な維持管理、修繕、更新等を行っています。その中で、大規模修繕等に併せて、バリアフリーへの対応が不十分な公共施設等については順次対応を図っています。 (6)交通安全。曳舟駅、京成曳舟駅の周辺では、交通安全特定事業計画が策定され、取組が進められています。区内では音響式信号機が90か所整備されています。(令和7年3月時点)音響式信号機の設置場所は、国道6号(水戸街道)、墨119号路線(曳舟川通り)、都道306号(明治通り)等の幹線道路に集中しています。 路線、都道306号線(明治通り)(水戸街道から八広中央)。実施すべき事業、①信号機の改良(音響機能の整備、歩行者用青時間の確保)、実施時期は平成17年度から平成21年度、②特定経路上の交差点部での横断歩道の設置、実施時期は平成18年度から平成19年度。 路線、区道119号線(曳舟川通り)(済生会向島病院から曳舟駅)。実施すべき事業、特定経路上の交差点部での横断歩道の設置、実施時期は平成18年度から平成19年度。 路線、特例都道465号線(四ツ目通り)(明治通りから曳舟たから通り)。実施すべき事業、①信号機の改良(音響機能の整備、歩行者用青時間の確保)、実施時期は平成17年度から平成21年度、②特定経路上の交差点部での横断歩道の設置、実施時期は平成18年度から平成19年度。 路線、全路道路区間共通。実施すべき事業、道路標識及び道路標示の設置(道路標識の超高輝度化、道路標示の適切な補修・高輝度化)、違法駐車行為防止のための事業(横断歩道上、バス停留所付近における違法駐車車両の重点的な指導・取締りの実施、墨田区による放置自転車撤去と連携した視覚障害者誘導用ブロック上の放置二輪車等の指導・取締りの実施、区と連携した違法駐車行為の防止についての広報啓発活動の実施)、実施時期は継続。 その他配慮すべき事項、関係機関との連携の強化、周辺の交通規制等との整合性の確保、違法駐車行為の防止のための事業の実施、実施時期は継続。 11ページ。 音響式信号機の整備状況・位置図を地図で示しています。 12ページ。 (7)ソフト面のバリアフリー及び心のバリアフリーの取組。 ①あんしんバリアフリーマップ。高齢者、障害者、乳幼児を連れた方などが安心して外出し、行動範囲を広げられるよう、公共施設等のバリアフリーに関する情報提供を行うマップを作成、公開しています。「バリアフリー協力店」等の基準を満たす民間施設も掲載しています。 ②視覚障害者のための、ことばの道案内。最寄り駅やバス停留所から、区内の公共施設までの歩くルートをことばで道案内しています。各施設のルートは、NPO法人「ことばの道案内」が作成したホームページ(ウォーキングナビ)で公開しています。 ③遠隔手話通訳サービス。区役所窓口において手話通訳を必要とする方のために、タブレット端末から手話通訳オペレーターにテレビ電話をつなぐ「遠隔手話通訳サービス」を実施しています。 ④冊子「すみダックといっしょに『心のバリアフリー探検ツアー』」の発行。啓発キャラクター「すみダック」、「すみピヨ」が、まち中のバリアフリーを見つけるために探検し、心のバリアフリーを学ぶための小学生向け副教材を作成しています。学校や区の施設等で配布し、バリアフリーや施設について学ぶ機会に役立てています。 ⑤心のバリアフリー応援隊。墨田区内で心のバリアフリーにつながる取組を行う事業者、店舗、NPO法人、ボランティア団体及びサークル等を「心のバリアフリー応援隊」として認定しています。認定団体の主な取組は、意思疎通の支援、建物のバリアフリー化等の環境整備、心のバリアフリーの情報発信の協力等です。認定状況は、令和7年10月時点で7件です。 13ページ。 3、墨田区交通バリアフリー基本構想等の取組状況。 (1)計画の概要。 策定、平成16年6月。計画期間、平成16年から平成22年まで。附属計画、「墨田区交通バリアフリー道路特定事業計画」を策定(平成17年3月)、「墨田区交通バリアフリー道路特定事業計画」を策定(平成27年6月)。 基本理念。だれもが移動しやすく、安全で安心な、ふれあいのあるバリアフリーのまちづくり。 基本方向。①ユニバーサルデザインの視点に立ったバリアフリー化の推進。②区民や当事者等の参加・協働により、身近に感じられるバリアフリー化の推進。③墨田区民の優しさがあふれるバリアフリー化の推進。 (2)重点整備地区等の設定。 重点整備地区。曳舟駅周辺地区。 優先整備地区。とうきょうスカイツリー・押上・本所吾妻橋駅周辺地区、両国駅周辺地区。 (3)曳舟駅周辺地区における特定事業。 公共交通特定事業として、曳舟駅ではエレベーターや触知案内板、音声案内の整備が進められ、京成曳舟駅ではエレベーターやエスカレーター、バリアフリートイレ、視覚障害者誘導用ブロック等の整備が進められました。道路特定事業計画として、駅から主要な公共施設に至る特定経路のバリアフリー化が進められました。なお、一部区間については曳舟駅周辺地区の再開発事業等に併せて整備するものとしています。交通安全特定事業では、交通安全教育の推進や道路標識の高輝度化、音響式信号機の設置が進められました。 14ページ。 (4)墨田区交通バリアフリー道路特定事業計画(平成27年6月策定)。 各地区の整備対象路線と、令和7年時点での整備状況は次のとおりです。 とうきょうスカイツリー・押上・本所吾妻橋駅周辺優先整備地区。①墨26号路線(小梅通り:言問通りから桜橋通り)。整備済み。②墨49号路線(浅草通りから業平四丁目10番先)。整備済み。③墨111号路線(浅草通りから横川一丁目16番先)。整備済み。④墨29号路線(見番通り:水戸街道からすみだ郷土文化資料館)。未整備。⑤墨112号路線(四ツ目通りから健生堂病院)。未整備。 両国駅周辺優先整備地区。⑥墨6号路線(国技通りから京葉道路)。整備済み。⑦墨10号路線(清澄通りから国技館通り)。整備済み。⑧墨107号路線(北斎通りから京葉道路)。整備済み。⑨墨7号路線(両国四丁目37番先から清澄通り)。整備済み。⑩亀沢2001、2002、2018号路線(緑町公園周辺)。整備済み。 ネットワーク路線。Ⓐ墨109号路線(区役所通り:浅草通りから新大橋通り)。一部整備済み。Ⓑ墨46号路線(タワービュー通り:浅草通りから北斎通り)。整備済み。Ⓒ墨105号路線(春日通り:清澄通りから四ツ目通り)。未整備。Ⓓ墨104号路線(北斎通り:清澄通りから四ツ目通り)。整備済み。Ⓔ墨111号路線(京葉道路から新大橋通り)。未整備。 墨田区交通バリアフリー道路特定事業計画における整備対象路線図を地図で示しています。 15ページ。 4、区民参加と意見反映の取組(基礎調査)。 (1)区民等へのアンケート調査。 区民や子ども、乳幼児の保護者を対象に、バリアフリーに関する関心や意向を把握するため、アンケート調査を実施しました。調査では、「施設の利用のしやすさ」、「障害者差別解消法と心のバリアフリー」、「支援を必要としている方への手助けの経験」及び「区の取組」等について尋ねました。 主な内容。歩道に関する課題としては、「歩道を通行する自転車」、「歩道の幅員や勾配」、「横断歩道で止まらない車両」及び「歩道と車道の段差や勾配」が多く挙げられていました。また、自由意見では歩道を通行する自転車や電動キックボードがスピードを出していて危ないことが特に挙げられていました。そのほか、施設等のエレベーターやトイレ、ベビーカーや車いすスペースについて、利用しにくいとの回答も一定数ありました。障害者差別解消法における「不当な差別的取扱いの禁止」、「合理的配慮の提供」の認知度は約5割から6割であり、その内「言葉も意味も知っている」との回答は約3割から4割でした。「心のバリアフリー」の認知度は、区民及び乳幼児の保護者向けアンケートでは約3割でした。啓発に必要な取組として、「SNSを利用した情報発信」を約5割の方が選びました。支援を必要としている方への手助けの経験については、区民及び子ども向けアンケートともに約8割の方が「経験がある」と回答しており、特に「電車やバスで席を譲った」との回答が多いです。一方で、支援を必要としている方への手助けをためらった理由として「何を手助けしたらよいか分からなかった」との回答が2割以上ありました。子ども向けアンケートでは、バリアフリーに関するマーク、サインの認知度の調査を行った結果、「マタニティマーク」、「ヘルプマーク」及び「障害のある人のためのシンボルマーク」の認知度は7割以上ありましたが、「オストメイト」、「白杖SOSシグナル」、「手話マークや筆談マーク」等の認知度は低い結果となりました。 (2)関係団体等ヒアリング。 障害者や高齢者など、バリアフリーを必要とする当事者の支援や区と連携した取組を行っている団体や事業者等を対象に、取組の意向や区との連携方法等を把握するため、ヒアリングを実施しました。 主な内容。誰かを頼らないと外出できないことを前提として、あきらめがちになってしまうが、一人で外出してやりたいことを実現でき、楽しくいきいきと暮らせると良い。支援を必要とする方が地域にいることを知り、互いにコミュニケーションが増えることで心のバリアフリーの意識醸成につながる。外出前に施設やルートの情報を事前に調べることが多い。道路や施設の管轄、境界によってバリアフリールートが寸断される。聴覚障害者は音声案内が聴こえないため、電車の遅延や災害時も含めて文字情報があると良い。高齢者や視覚障害者にとっては歩きスマホやスピードを出して歩道を走る自転車や傘をさした自転車との接触が怖い。歩道と車道の段差を解消してほしいという意見と視覚障害者は2cmの段差があることで歩道と車道の境界を認識できるので段差がなくなると困るという意見がある。イベントのチラシ等に会場内のソフト面のバリアフリーの取組が記載されていると、ハード面で対応ができていなくても、障害者や乳幼児の保護者等にとってはイベントに参加しやすくなる。盲導犬や聴導犬の周知啓発、店内でのソフト面の取組がされてくると、店舗等の利用がしやすくなる。 16ページ。 (3)まち歩き点検。 高齢者、障害者、ベビーカー利用者等と公共交通施設や道路、公園等を現地で確認することで、各施設における課題や特徴、好事例等を共有しました。点検後の意見交換会では、日常の困りごとやバリアが生じている箇所への工夫に関する意見がありました。また、施設整備は限られた条件の中で行うため、設計段階から当事者参画が必要であるといった意見もありました。 実施概要。日時・天候。令和7年5月27日(火)。曇り。まち歩き。午後1時30分から午後2時30分まで。意見交換。午後2時40分から午後3時45分まで。点検経路。Aルート。押上駅B3出口、押上駅前バス停(都営バス)、四ツ目通り、区道、くるみ児童遊園、すみだ保健子育て総合センター(区内循環バス停留所含む)。Bルート。錦糸町駅北口、四ツ目通り、錦糸公園、ひがしんアリーナ、四ツ目通り、横川三丁目バス停(都営バス)、区道、すみだ保健子育て総合センター。参加者。高齢者、視覚障害者、聴覚障害者、手話通訳者、車いす利用者、介助者、ベビーカー利用者、区施設管理者等、公共交通施設管理者、警察、墨田区バリアフリー推進協議会会長、墨田区障害者団体連合会会長。 まち歩き点検の様子の写真を掲載しています。 17ページ。 5、バリアフリーに関する課題。 経済社会情勢や法制度の変化、バリアフリー事業の状況や基礎調査の結果を踏まえ、バリアフリーに関する課題を以下のとおり整理しました。 課題①、ハード面・ソフト面の一体的なバリアフリーの推進。区内では、鉄道駅やバス停、道路、公園等、建築物等におけるハード面のバリアフリー整備が行われてきました。引き続き、バリアフリー整備済みの施設等を含めて、現在の基準に適合した整備や見直し等を進める必要があります。一方で、基礎調査の結果では、物理的なバリアに関する意見だけではなく、音声や文字情報の提供、事前の情報収集、エレベーターや優先スペース等の利用、歩道を通行する自転車等に関する意見も多くみられています。ハード面のバリアフリー整備には時間と費用がかかることから、高齢者や障害者等の移動や利用に資する情報提供、バリアフリー施設の利用案内、区民への交通ルールの周知啓発といったソフト面のバリアフリーも併せて実施していく必要があります。 課題②、障害者差別解消法や心のバリアフリーの更なる周知。区民アンケートの結果では、困っている方等に対する手助けは約9割の方が経験をしている一方で、障害者差別解消法で義務化されている「不当な差別的取扱いの禁止」と「行政機関等及び事業者における合理的配慮の提供」の両項目に対する認知度は3割弱と低く、「心のバリアフリー」の普及啓発とともに、一層の周知啓発が必要であると考えられます。これまで、パンフレットやチラシ、動画による周知啓発や学校教育における取組が進められていますが、今後は周知啓発内容の充実や区民への理解促進を効果的に実施するため、関係機関等の連携が必要であると考えられます。 課題③、区民、関係団体、事業者との連携によるバリアフリーの推進。障害者や高齢者、乳幼児の保護者、外国人など、バリアフリーが必要な区民は多岐にわたるため、施設整備や施策の実施にあたっては、様々な意見を反映させる必要があります。これまでも区内では様々なバリアフリー事業が進められてきましたが、区民アンケートや関係団体等へのヒアリング、まち歩き点検では、日常生活における課題、施設利用時の困りごと、利便性の向上に関する意見等がありました。今後は、墨田区バリアフリー推進協議会を活用した区民、関係団体、事業者によるバリアフリー推進体制を構築し、実施主体別の進捗状況を把握するとともに、当事者参画の視点を重視しながら区全体のバリアフリーを推進していく必要があります。 18ページ。 このページは白紙です。  19ページ。 第3章、マスタープラン(移動等円滑化促進方針)では、基本理念と基本方針、当事者参画の視点、移動等円滑化促進地区の考え方について説明しています。 1、基本理念と基本方針。マスタープランの基本理念及び基本方針は、区の関連計画や基礎調査の結果を踏まえて、以下のとおり設定し取り組むものとします。基本理念には、高齢者や障害者、子育て世代など、すべての区民が安心して外出し、安全に移動できるまちづくりを目指す思いが込められています。基本理念の実現のためには、物理的なバリアの解消だけでなく、心のバリアフリーの推進が不可欠です。区民一人ひとりが相手の立場を理解し、助けあいと思いやりの心を育むことで、だれもが尊重しあい、支えあう社会の実現を目指します。 基本理念。だれもが自由に出かけられ、互いに助けあい思いやるまち。 基本方針。方針①、区民の心のバリアフリーの推進。方針②、ソフト面のバリアフリーの推進。方針③、ハード面のバリアフリーの推進。 当事者参画の視点。 方針①、区民の心のバリアフリーの推進。バリアフリー施策の推進にあたっては、ハード面・ソフト面のバリアフリーだけでなく、心のバリアフリーの意識醸成が大切です。区民等でのアンケート結果では、8割の方が手助けの経験がある一方で、何を手助けしてよいか分からなかったという回答もありました。聴覚障害や内部障害、精神障害、発達障害、認知症など、外見では障害があることが分かりにくい人がいることや、重複障害を含め、様々な種類や程度があることを区民、事業者、行政機関の方々に周知し、相互理解を進めていくことで心のバリアフリーの推進を図ります。 心のバリアフリーを体現するための3つのポイント。①障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。②障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。③自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。ユニバーサルデザイン2020行動計画。 20ページ。 具体的な取組事例。高齢者や障害者など、を必要とする方々との交流機会の創出、相互理解やコミュニケーションの重要性の周知。区報やホームページ、ポスター、動画、冊子等による意識啓発。教育関連事業と連携した体験学習や特別支援学校との副籍交流事業の継続によるバリアフリーに関する理解の促進。実施主体、区。 コラム、マンガでわかる!すみダックと学ぼう みんなで支え合う 心のバリアフリー(墨田区発行)。墨田区では、障害のある人の困りごとや基本的なコミュニケーション方法、サポートする時の注意事項等を紹介した冊子を作成しています。 21ページ。 方針②、ソフト面のバリアフリーの推進。バリアフリー法に基づき、各施設において高齢者や障害者等の移動等円滑化に必要な支援や情報提供、施設等職員の教育、高齢者や障害者等設備の利用に関する周知啓発が行われています。だれもが安心して暮らせる社会をつくるために、様々な方が移動、利用等がしやすくなるような情報発信の工夫やコミュニケーションツールの導入等といったソフト面のバリアフリーを推進します。また、災害時を想定した適切な情報伝達や要配慮者の避難支援も推進します。なお、区民アンケート結果では、障害者差別解消法における「不当な差別的取扱いの禁止」、「合理的配慮の提供」の認知度が低いことから、引き続き周知啓発に取り組んでいきます。 具体的な取組事例。「不当な差別的取扱いの禁止」、「合理的配慮の提供」に関する周知啓発。実施主体、区。公共交通機関における発車時刻や案内表示等の情報の充実。実施主体、公共交通事業者。職員対応等の接遇向上によるソフト施策の充実。優先席、ベビーカーや車いすスペース、エレベーター等の利用しやすさの向上。施設内のバリアフリー情報の内容の充実、コミュニケーションツールの導入。実施主体、区、公共交通事業者、施設管理者。歩行者、自転車等の利用者に向けた交通ルールの周知啓発。実施主体、道路管理者、交通管理者。 コラム、障害者差別解消法における「不当な差別的取扱いの禁止」及び「合理的配慮の提供」について。 不当な差別的取扱いの禁止。障害のある人に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否したり、サービスなどの提供に当たって場所や時間帯を制限したりするなど、障害のないと人と異なる取扱いをして障害のある人を不利に扱うことは禁止されています。また、正当な理由がある場合は、障害のある人にその理由を説明して理解を得るよう努める必要があります。 合理的配慮の提供。障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除いてほしいとの意思が示されたときに、負担が重すぎない範囲で、その障害者本人にあった対応をすることです。合理的配慮の提供では、障害のある人と事業者等が対話を重ね、お互いに理解しあいながら、ともに対応案を検討する建設的対話が重要です。また、双方が持っている情報を伝えあい、建設的対話に努めることで、目的に応じた適切な手段を見つけていくことができます。 合理的配慮の提供における留意点(対話の際に避けるべき考え方)。 「前例がありません」。合理的配慮の提供は個別の状況に応じて柔軟に検討する必要があります。前例がないことは断る理由になりません。 「特別扱いできません」。合理的配慮は障害のある人もない人も同じようにできる状況を整えることが目的であり、「特別扱い」ではありません。 「○○障害のある人は」。同じ障害でも程度などによって適切な配慮が異なるため、ひとくくりにせず個別に検討する必要があります。 22ページ。 方針③、ハード面のバリアフリーの推進。移動や施設利用時のバリアを取り除くため、公共交通事業者や施設管理者等と連携し、ハード面のバリアフリー化を進めていきます。また、バリアフリー化を優先的に進める必要のある地区や面的・一体的なバリアフリー整備を進める地区を選定しながら、効果的なバリアフリー整備を進めていきます。さらに、視覚障害者誘導用ブロックの敷設や段差解消など、施設管理者間で調整・協議を行いながら、連続性のあるバリアフリー事業に取り組んでいきます。 具体的な取組事例。関係機関等(公共交通事業者、道路管理者、公共施設等の管理者)の連携によるバリアフリールートの確保。段差の解消、階段や廊下等への手すりの設置、エレベーターの整備、バリアフリートイレ(オストメイト対応、ユニバーサルシート、ベビーチェア、オムツ交換台)の整備、ベンチの整備、視覚障害者向けの音声誘導設備の導入。実施主体、区、公共交通事業者、道路管理者、施設管理者。公共交通機関や公共施設のバリアフリー化。実施主体、公共交通事業者、施設管理者。歩道の拡幅、段差の解消、視覚障害者誘導用ブロックの敷設、音響式信号機、エスコートゾーンの整備等。実施主体、道路管理者、交通管理者、施設管理者。道路整備事業や無電柱化事業等に合せた歩道の整備や拡幅、自転車走行空間の確保。道路や各施設における定期的な点検や補修の実施。実施主体、道路管理者、施設管理者。 横断歩道上のエスコートゾーン、自転車ナビマーク、バリアフリートイレの写真を掲載しています。 23ページ。 当事者参画の視点。マスタープラン及び基本構想の策定にあたっては高齢者や障害者、子育て世帯、子ども等の意見を収集し、内容や事業等への反映に努めました。今後の各事業の実施や見直しにあたっても、計画から整備に至るまで当事者の意見を尊重しながら進めることとします。また、施設管理者等は所管する施設の新設・改修・見直し等にあたっては、原則として当事者参画の場を設け、意見を取り入れながら検討を進めることが必要です。さらに、実施後は企画・運営内容や意見収集方法の振り返りを行うとともに、墨田区バリアフリー推進協議会等の場を活用して関係者で実施結果を共有することで、効果的な当事者参画の実施に向けた知見を蓄積します。 具体的な取組事例。施設の計画、設計、施工段階における当事者参画の実施。維持管理や運営時における当事者参画による点検等の実施や窓口対応の確認、改善点の確認。当事者参画の実施結果の共有及び蓄積。実施主体、区、道路管理者、施設管理者、公共交通事業者、交通管理者。 コラム、当事者参画の考え方。施設や設備等の整備後により利用しやすくなるように改善を図ることは、物理的な制約やコスト等により、対応が難しい場合があります。また、各ガイドライン通りに整備をしても、実際には多様な利用者にとって利用しづらいケースもあります。そのため、施設管理者が施設等の新設・改修・見直し等を行う際、高齢者や障害者等の利用者に計画・立案の段階から参画を求め、幅広く意見収集や意見交換を行い、現状や課題の抽出、必要な整備等を把握したうえで整備を進めることが重要です。また、多様な当事者の参画により、整備後の評価を行い、以後の計画や事業に反映していくことが重要です。 コラム、当事者参画の効果。 ①多様なニーズの理解。当事者参画を実施することで、様々な当事者の施設利用時の困りごとや今まで気付かなかったニーズを把握する機会となります。また、当事者が、法令の基準や技術的にできること、できないことを学ぶ機会、他の当事者のニーズに気付く機会にもなります。 ②当事者を含むすべての人にとって、より使いやすい施設に近づく。施設の状況により、様々な条件や制約が異なるため、基準やマニュアル通りに整備するとしても、計画・設計等で具体的な仕様や配置をどのように行えばよいか、判断に迷う場合があります。また、スペースに限りがあり、何を優先すべきか選択が必要な場合もあります。当事者参画を実施することで様々な視点が加わり、ニーズに適った対応が困難な場合の代替案やより有効な整備に結び付き、すべての人にとって、使いやすい施設づくりにつながります。 24ページ。 当事者参画の実施方法。 1、対象とする当事者と実施段階の例。 対象とする当事者の例。高齢者、車いす使用者、肢体不自由者、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、認知症の人、外国人、乳幼児連れの保護者、小・中学生等、心や体のはたらきに障害(難病等に起因する障害も含む)のある人。 実施段階の例。基本構想・基本計画、基本設計、実施設計、施工、維持管理。運営。 2、当事者参画を実施する際の留意事項。 ①障害特性の十分な理解。当事者目線での施設整備を行うためには障害特性を十分に理解することが必要です。障害の特性によって移動上の困難さや情報伝達の方法が様々であり、個別のニーズを理解することが重要です。設備によっては当事者間で相反するニーズや意見が生じることもあるため、建設的対話を通じて相互理解が得られるよう進めることも重要です。 ②実施時の情報保障等。関係団体等へのヒアリング、まち歩き点検、説明会では、情報保障として当事者に必要な配慮をあらかじめ確認した上で、音声の読み上げや手話通訳、触れる図面や素材のサンプル等を準備する必要があります。まち歩き点検では、実施に適した季節や安全なルートの選定、肢体不自由者や視覚障害者、乳幼児連れの保護者への移動支援、各施設のバリアフリー設備の事前確認が必要です。また、まち歩き点検実施中とは異なる荒天時や別の時間帯の状況についても意見を聞くことで、より多くの視点で情報収集することができます。さらに、意見の取りこぼしがないように、移動中の発言等を記録する体制を整えるほか、意見を言い忘れてしまうケースや意見がまとまらず発言に至らなかったケースについて、後日フォローを行う等の工夫も必要です。これらの準備を行う際にも、随時、継続的に必要とされる当事者から意見を聞きながら進めることが重要です。また、下記の④で得られる企画・運営の振り返りや課題についてのノウハウの蓄積も、ここで活用することが効果的です。 ③多様な当事者の参画と意見の取扱い。当事者参画の実施にあたっては、できるだけ多様な当事者が参画できるようにすることが望ましく、事業者等の都合により、参画を求める団体と求めない団体を区別することのないようにします。併せて、参画の機会がないその他の当事者からも意見が表明できる機会を付与することで、検討内容が深まることが期待されます。なお、当事者間、当事者と事業者等との間で意見が一致しないことも考えられますが、物理的制約や予算上の制約、ニーズのトレードオフを関係者が認識した上で、実現性の高い解決策を検討することが重要です。また、収集した意見については、どのような意見が出てきているのか、当該意見に対する実施の可否や対応できない場合はその理由を明らかにすることが望ましいです。 ④実施後の記録・振り返り。当事者参画で得られた意見は、施設や分野等に整理し、記録をとりまとめるとともに、施設設置管理者等へ適切に共有し、計画への反映や改善につなげることが重要です。また、企画・運営の振り返りや課題についてもノウハウを蓄積し、関係者に共有することで、より効果的な当事者参画の実施につながることが期待されます。 25ページ。 3、当事者参画の方法。 当事者参画はアンケート調査、関係団体等へのヒアリング、まち歩き点検、説明会、パブリックコメント等の様々な方法があります。各方法を組み合わせながら実施することで、より幅広く意見を収集することができ、当事者参画の効果が高まります。 ①アンケート調査。書面やWebにより広範囲に調査を行うことで、意見を効率的に収集することができます。不特定多数を対象に実施する場合は、クロス集計により、高齢者、障害者、子育て世帯等ごとに回答内容の違いを分析することができます。なお、回答者の個人的な意見が中心となることや設問数に限りがあることから、関係団体等へのヒアリングを併せて実施することで、個別のニーズの確認や深堀りをすることができます。段階、計画・企画、基本設計、管理運営。 ②関係団体等へのヒアリング。当事者団体等を通じて、当事者の意見や要望を収集する方法です。・当事者からの意見等について、その場で深堀りすることや、代替案、普段利用する施設の好事例等の情報を収集することもできます。段階、計画・企画、基本設計、実施設計、管理運営。 ③まち歩き点検。エリアとルートを設定し、現地で設備等の状況を確認する方法です。当事者は体験や実感をもとに具体的な提案ができ、施設管理者等は同行することで意見の趣旨を確認することができるため、誤解の少ない正確な意見を収集できます。公共交通、道路、公園、建築物など、複数分野にわたり点検を行うため、面的なバリアフリーの状況を確認することもできます。段階、実施設計、施工、管理運営。 ④ワークショップ・意見交換会。地図や図面、模型等を用いて机上で意見交換する方法です。他の参加者の意見を視覚化することで、アイデアの創発や議論の発展、合意形成が期待できます。管理者のほか、設計者等も参加することで、具体的で詳細な意見交換をすることができます。時間に限りがあることや、他の参加者の前で意見が言いにくい場合も考えられるため、意見書やアンケートを併用することで、より多くの意見を収集することができます。段階、計画・企画、基本設計、実施設計、管理運営。 ⑤説明会。計画段階の概要資料と図面等を用いて説明し、参加者から意見や質問を受け付ける方法です。当事者を含めた地域住民が参加し、その場で意見を収集することができます。時間に限りがあることや、他の参加者の前で意見が言いにくい場合も考えられるため、意見書やアンケートを併用することで、より多くの意見を収集することができます。段階、計画・企画、基本設計、管理運営。 ⑥パブリックコメント。計画・整備内容等に対する意見を募集し、回答を行う方法です。ホームページや広報紙による周知のほか、SNSでの発信、当事者が利用する施設へのチラシの掲示等により、幅広く意見を収集する工夫が必要です。段階、計画・企画、基本設計、管理運営。 26ページ。 コラム、認知症基本法と区の取組等について。 共生社会の実現を推進するための認知症基本法(令和6年1月1日施行)。認知症の人を含めた国民一人ひとりがその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支えあいながら共生する活力ある社会である共生社会の実現の推進を目的としています。基本的施策には、「認知症の人の生活におけるバリアフリー化の推進」、「認知症の人の社会参加の機会の確保等」が掲げられていることから、区の認知症普及啓発事業や認知症サポーター養成講座等の取組に加えて、バリアフリー事業実施の際は認知症に関する視点も考慮していくことが必要です。 オレンジカフェすみだ(認知症カフェ)。認知症の人とその家族、地域住民のほか認知症サポーターや、医療・介護・福祉の専門家などすべての人が気軽に集い、共に時間を過ごすことのできる場所です。情報交換や気分転換、相談の場としてご利用いただいています。 希望をかなえるヘルプカード。自分が望んでいること(やりたいことや続けたいことなど)を安心してスムーズにできるために使うカードです。周りの人に自分が望むことやちょっとわかってほしいこと、お願いしたいことを書いておき、必要な時にだけ見せて使います。 認知症サポーター養成講座。認知症サポーターとは、地域の認知症の人や家族を見守る応援者です。認知症サポーター養成講座は、区内8か所の高齢者みまもり相談室で開催しており、認知症のことやご本人のお気持ちについて、テキストやDVDを使って学び、認知症の人への接し方や認知症とともに生きることについて考えます。 27ページ。 コラム、様々なバリアフリー設備やシンボルマークについて。 ①ユニバーサルシート。介助の必要な方のおむつ交換や医療的ケアなどで利用される設備です。ユニバーサルシートの設置は、設置スペースや管理上の課題等がありますが、障害者や高齢者等の社会参加を支援するうえで重要であることから、施設の新設や改修時などに設置を検討していく必要があります。 ②オストメイト用設備、オストメイト。オストメイトとは、がんなどで人工肛門・人工膀胱を造設している排泄機能に障害のある障害者のことをいいます。このマークは、オストメイトのための設備があること及びオストメイトであることを表しています。 ③カームダウン・クールダウンスペース。周囲の音や光など外部からの刺激が苦手な障害者等にとって、人混みや照明などが社会的バリアとなります。これらが原因で感情やストレスが高まった時に、外部から光や音などの情報を遮ることで、気分を落ち着かせる空間が、カームダウン・クールダウンスペースです。国内では、空港、スポーツ施設、美術館、区役所、学校、図書館等で導入が進んでおり、独立した部屋のタイプやパーテーション等を活用した簡易的に設置するタイプがあります。 28ページ。 ④バリアフリーに関係するシンボルマーク。 障害者のための国際シンボルマーク。障害者が利用できる建物、施設であることを明確に表すための世界共通のマークです。すべての障害者を対象としたマークで、車いすを利用する障害者を限定するものではありません。 盲人のための国際シンボルマーク。視覚障害者の安全やバリアフリーに考慮された建物、設備などに付けられます。信号機や国際点字郵便物・書籍などに付けられています。 白杖SOSシグナル普及啓発シンボルマーク。白杖を頭上50cm程度に掲げてSOSのシグナルを示している視覚障害者を見かけたら、進んで声をかけて支援しようというマークです。このシグナルを出していなくても、本人が困っている様子や周辺を往復している様子等があった場合は声をかけることが大切です。 支援する際は次のことに留意してください。まず、正面から「どうかなさいましたか。」などと声をかけてください。お困りごとの内容により、ご自身の肩やひじなどに手をかけてもらい、ゆっくり誘導するなどの支援をしてください。白杖を持つ手にふれないようにしてください。 白杖SOSシグナルについて。白杖とは、視覚障害者(全盲や弱視)が、歩行の際に路面や周囲の情報を得て、障害物などから安全を確保するために使用する白い杖で、安心して生活をおくる上で大変重要なものです。「白杖SOSシグナル」は、岐阜市が平成27年3月に制定したシンボルマークです。 白杖SOSシグナルのポスターとその内容を画像で示しています。 落とし物などをして困っている視覚障害者を見かけたら、正面から声をかけて何に困っているのか、何を探したらよいのかを聞いて、サポートしましょう。駅のホームと車両の隙間に落ちたりしないように、自分のひじなどに手をかけてもらい誘導しましょう。また、駅のホームから転落しそうな白杖を携えた視覚障害者を見かけたら、サポートしましょう。 29ページ。 ヘルプマーク。外出時にバッグ等につけて、配慮が必要であることを周囲の方に知らせるためのマークです。 ヘルプカード。障害のある方が災害時や緊急時に周囲の方に示して、手助けしてほしいことを伝えるために使うカードです。 ヘルプシール。障害のある方が、周囲に理解をしてほしいことや、配慮をお願いしたいことをスムーズに伝えるため、身に着けるものに貼って使用します。ヘルプマーク、ヘルプカード、ヘルプシールは区役所等で配布しています。 耳マーク。聞こえが不自由なことを表すと同時に、聞こえない人・聞こえにくい人への配慮を表すマークです。窓口等に掲示されている場合は、聴覚障害者へ配慮した対応ができることを表しています。 筆談マーク・手話マーク。区役所、公共施設、交通機関の窓口及び店舗等で筆談や手話言語による対応ができるところが提示しています。また、イベント時のネームプレートや災害時に支援者が身に着けるビブス等に提示することもできます。 マタニティマーク。妊産婦が交通機関等を利用する際に身につけ、周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするものです。 授乳室・搾乳マーク。授乳のためのスペースを示すマークです。出産した女性には、赤ちゃんが入院している、出産後に復職した等、様々な理由から搾乳を必要とする場合があります。授乳室に搾乳マークを併せて掲示し、社会全体で搾乳に対する知識・理解を深めるとともに安心して搾乳できるような環境を整えていくことが重要です。 30ページ。 2、移動等円滑化促進地区の考え方。 移動等円滑化促進地区の要件は、バリアフリー法第2条第23号で以下のとおり定められています。生活関連施設の所在地を含み、かつ、生活関連施設相互間の移動が通常徒歩で行われる地区であること。生活関連施設及び生活関連経路を構成する一般交通用施設について移動等円滑化を促進することが特に必要であると認められる地区であること。当該地区において移動等円滑化を促進することが総合的な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切であると認められる地区であること。 墨田区は、都心部に位置し、鉄道が8路線13駅位置しているほか、路線バス、コミュニティバスの公共交通網も充実しており、区内の概ね全域が公共交通利用圏域に位置しています。また、幹線道路等、広域道路ネットワークも整備されています。こうした状況を踏まえるとともに、移動等円滑化促進地区の要件に鑑み、区内全体の移動等円滑化を面的・一体的に進める必要があることから、区全域を移動等円滑化促進地区に設定します。また、バリアフリー法及び「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン」に示す生活関連施設の分類に基づき、以下の施設を生活関連施設とします。なお、生活関連経路は道路バリアフリー整備の状況やまちづくりの動き等を踏まえて今後検討していきます。 旅客施設。乗降客数3,000人/日以上の鉄道駅。官公庁等。区役所、出張所、拠点郵便局、警察署、裁判所、公証役場、コミュニティ会館、集会施設等、都税事務所、税務署。教育・文化施設等。区立図書館、区立文化施設及び資料館、区立小・中学校、都立高等学校、大学。保健・医療・福祉・子育て施設。区立保健・福祉・子育て施設、墨田区地域防災計画に示す災害拠点病院、災害拠点連携病院等。商業施設。店舗面積が1,000㎡以上の大規模小売店舗。公園。500㎡以上の都市公園。スポーツ施設等。区立体育館、スポーツ施設等。 31ページ。 移動等円滑化促進地区を地図で示しています。 32ページ。 このページは白紙です。