10ページ ミライロハウスTOKYO 新しい価値観を生む場所 みんなが使いやすい製品を扱う 体験型のショールーム 「ミライロハウス TOKYO」(株式会社ミライロ)は、障害のある方と 企業をつなぐ場所です。店内にはユニバーサルデザイン※の商品が 多数並べられています。例えば、車いすの着脱式電動アシスト機や、 音の聞こえづらさを解消するスピーカーなど、実際にここで体験する ことができます。企業がいい製品を作っても必要とする方にまで届き づらい状況にありました。一方、障害のある方にとっては、 情報を得たり体験できる場所がほとんどありませんでした。 丸井錦糸町店の中にあるので、どなたでも気軽に立ち寄ることができます。 ※ユニバーサルデザイン:年齢や障害の有無、体格、性別、国籍などに 関係なく「すべての人のためのデザイン」を意味します。 ふれる、つながる、学ぶ、創る 情報発信と交流の拠点でもあります ここでは交流会や相談会、イベントなども行っています。 2020年の7月1日にオープンしたばかりですが、 多様な視点を見つけられるセミナーが毎月行われています。 「靴下の試着体験会」「点字を学ぶ講座」「各種セミナー」など、 気負うことなく学ぶことができます。 ミライロハウスから 新しいもの を生み出していきたい 「誰にとっても使いやすい製品やサービスを、 ここから送り出したいです。そのために、障害のある方をはじめ、 企業の開発担当者やエンジニアなど、多彩な人が集まり意見交換を する場を作っていきます。ユニバーサルデザインといったらミライロハウス、 といわれることが目標です」と株式会社ミライロの森田啓さん。 一人ひとりのライフスタイルを快適にしていく。そのきっかけは、 いつでもここで開かれています。 「福祉機器をいつでも見に来ていただけます。これは一つの価値だと思います」と森田さん 11ページ いろいろな人と出会える接客が とても楽しいです 「来客された方への商品説明やボッチャ体験、車いす体験のサポートなどをしています」 大学3年生の岩田完治さんは、週に1~2回ミライロハウスでアルバイトをしています。 通勤は電車で1時間ほど。高校生のころから車いすで電車通学をしているので、 特に苦労することはないそうです。 岩田さんは2歳半の検診で先天性脳性麻痺と 診断されました。杖を使った時期もありましたが、将来を見据えて車いすを選択し、 10年以上になります。 「障害に関わらず意見交換のできる場」というサークルの代表をしている岩田さん。 楽しい企画を思案中です。 みんなが対等の社会になってほしい 「障害者と健常者が分けられているように思います。健常者の方が、障害者だから やってあげなきゃいけない。と思うことに対して、障害者も気づくんです。 そこが嫌だなと思っていました。障害者だからやってあげるのではなく、 困っているから助けよう。そういう社会になることが夢です」 社会福祉を 勉強している岩田さんは、友人たちの優しさに驚いたといいます。 階段のある場所でも「完治と一緒に行きたいから」と当たり前のように車いすを 上げてくれます。これが対等の関係ではないかと思っています。 ユニバーサルデザインは 生活が豊かになります 接客をしていて印象的なことが ありました。 「ユニバーサルデザインを扱うこうした場所があるのはいいですね。 と、健常者のお客様から言われたことが、とても新鮮でした。障害者や高齢者が 使いやすいものは、誰にでも使いやすいです。生活を豊かにしてくれる ユニバーサルデザインは、どんどん広がっていると思います」 障害のある当事者の意見は貴重です。岩田さんは接客だけでなく、幅広く活躍しています。 店内には福祉に関する本や機器、ユニバーサルデザインの商品が並んでいます。 点字に触れるきっかけがあったり、芝生や坂道などでも車いすを快適に動かせる パワーアシストを試すことができます。