14ページ 特集2 新型コロナで、わかったこと。 新型コロナウイルスの影響で、通常の運営・営業ができなかった施設や 企業の方にアンケートをお願いしました。 次につなげるための課題や ヒントが見えてきます。 新しい可能性へのチャンス 有限会社さいとう工房 代表取締役  斎藤 省さん 歩いて出勤できる社員以外は休業にしました。また、新入社員2名が 最初から休業となりました。電動車いすの部品が届かず製作が止まったり、 海外に贈った中古車いすがインドで2か月輸送が止まり、費用がさらに かかるなど、コロナ禍でさまざまな計画が大幅に変更になりました。 車いすの調整や納品などで病院や学校、施設に行くことが制限され、 不自由だった方もいたのではないかと思います。社内でもテレワークや 時差出勤などの対応で、コミュニケーションが取りにくくなりましたが、 こうした新型コロナの試練も、新しい可能性を引き出したり、 次へのステップに行くためのチャンスだと思い、取り組んでいきたいと思います。 営業してくれて、ありがとう 御谷湯 店主 伊藤 林さん 銭湯のほかに、介護が必要な方と家族が入れる福祉型家族風呂があります。 緊急事態宣言のときはどちらも営業時間を変更し、イベント(ニコニコ入浴・ 湯処語らい亭)やマッサージを中止。浴場組合の感染対策ガイドラインを 遵守しています。お客さまにも変化がありました。 外国人や遠方の高齢者の激減と、福祉型家族風呂の利用者も減り、若い方が 微増でした。印象に残っているのは「営業してくれてありがとう」 「無理しないで頑張ってください」と言われたこと。一方、安心・安全の 考え方の違いも感じました。今後も状況に応じた安全・安心を確保する 営業ガイドラインを作り、実施していきたいと思います。 15ページ 会うことの大切さに気付いた 就労継続支援事業所 カラコネオフィス 代表 ボーン・クロイドさん 「早く通所したい。普段と同じ生活がしたい」と利用者からの声が多く 上がったのが印象的でした。障害者施設としては、不安なときこそ利用者と リアルに顔を合わせて話を聞く大切さに、あらためて気づかされました。 普段からインフルエンザ対策として『いちにちひとふき除菌』活動を 行っていました。 『正しく恐れ』『過剰に恐れない』対応方法をみんなで 共有しました。感染症以外にも大きな災害の発生も考えられるので、 油断することなく準備をし、非常事態が発生してもできるだけ早期に 事業所の日常を取り戻す努力をしていきます。 緊張の続く職員のケアも重要 放課後等 デイサービス キッズサポート りま 施設長 佐々木 義勝さん この施設に通う児童のほとんどは基礎疾患を有していることもあり、 利用児童の家族からは「自分たちや子どもが感染源になりたくない」 という声が少なからずありました。新型コロナウイルス自体への不安より、 休校といった具体的措置へのインパクトが利用者側に大きいと感じています。 医療的ケアの必要な子どもたちが通所しているため、以前から衛生管理には 力点を置いていましたが、在庫確保の重要性を実感。また連日の緊張で、 職員の疲労、ストレスを今年ほど強く感じたことはありません。職員の 心理的ケアの方法を考えていきたいです。 日ごろから複数の連絡手段を確認 墨田区手話通訳等派遣事務所 主任 江澤 千恵子さん 緊急事態宣言中も窓口開設は継続していました。手話を第一言語とする 聴覚障害者にとって、手話と同時に口の形や表情を読むことは大事な情報です。 手話通訳者もマスクをしなくてはならない状況に戸惑いましたが、 徐々に慣れてきました。高齢の聴覚障害者の中には情報を正しく 理解できない方もいて、複数の連絡手段を平常時から用意し、 確認や練習をしておく必要があると感じています。つながりのない方たちに どのように働きかけができるか考えていきたいです。