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すみだ区報(墨田区のお知らせ「すみだ」) 2019年10月11日号

 三代・80年にわたって江戸切子の技術を伝承する山田硝子。伝統を大切にしながらも革新を求め、古くから守られてきた紋様をベースに、オリジナルの紋様を開発するなど、新たな挑戦にも積極的に取り組まれています。

江戸切子職人3代目 山田 真照さん

江戸切子の魅力
 「江戸切子の魅力は何といってもその“きらめき”と“輝き”。実用性に加えて美的にも価値があるところも魅力だ。」と、山田さんが教えてくださいました。お祝いや記念品等おめでたい時に購入する方が多いそうです。また、海外に行く方が現地の方へのお土産として購入することもあるそうです。

グラスを削る山田さん。そのまなざしは真剣です。

デザインの変化
 時代の流れに伴い、手掛けるデザインや人気のあるデザインも変化してきているそうです。以前は赤や瑠璃色が伝統色として定番でしたが、最近では、グリーンや()(はく)色なども多くなったとのこと。より細かい紋様のほうが人気が高く、桜や波の紋様も人気だそうです。山田さんご自身が日常で思いついた紋様をデザインすることもあるそうです。

人気のグリーンと琥珀色を用いたグラス。色がなく透明に見えるところは、全て削っているところだそうです。高い技術力を感じますね。

新たな挑戦
 区内の指物職人とのコラボレーションにより、グラスやコースター、アクセサリー等を作製するなど、「ガラスと木」という異色の素材を組み合わせた新たな試みも行われています。また、江戸切子と言えばグラスですが、今後はテーブルウェア以外のものにも挑戦していきたいとおっしゃっていました。

人気の高い桜の紋様。最近は、このような淡い色も人気だそうです。

グラス作りを体験しました!

下書きに沿って、グラスの底や側面を削っていきます。

線を太く出したいときは、少し強く押し当てます。

完成品。直線を均一に描くのが難しかったです。貴重な体験をさせていただきました!

グラスの底には伝統的な菊花文!

 半導体製造装置などの金属部品をはじめとする、私たちの生活に溶け込んだ様々な金属製品を製作されています。

2代目社長 浜野 慶一さん

新しい挑戦!

 平成26年、先進的なものづくりへの挑戦として「Garage Sumida」をオープンしました。それ以降、浜野製作所の豊富なものづくり経験を()かし、ベンチャー企業をはじめ、研究機関など多種多様な方々と一緒にものづくりをし、サポートしてきました。
 また、区が実施した「ものづくりコラボレーション」では、デザイナーと協力して「FACTORY ROBO」という自分で手作りできるロボット型のオブジェを製作されました。ステンレスの部品を自分で組み立てるこの製品には「ものづくりの楽しさを伝えたい」という浜野製作所の(おも)いが詰まっています。

FACTORY ROBO(左)、FACTORY ROBO DOG(右)

身近な取組

 Garage Sumidaにおける支援事業の一つとして、株式会社 ポケットチェンジが開発する、海外旅行で余った外国の貨幣を電子マネー等に交換してくれる機械の量産支援をされています。区内はもちろん、日本全国の空港などに設置されています。
 また、近年広まっているセルフレジの製造にも携わっているそうです。
 このように、私たちの生活の便利さには気付かないところで、浜野製作所の技術が活きているのだと感じました。

ポケットチェンジ

 (きょう)(たい)(機器を収める外箱)の設計、加工、組立を行っているそうです。

産学官連携

 浜野製作所では、産学官連携事業にも積極的に取り組まれています。東京スカイツリー®の開業に合わせて、区や早稲田大学、区内の中小企業と協働で、1人乗り電気自動車「HOKUSAI」を開発されました。
 また、区内の中小企業や研究機関等と連携して、深海探査機「江戸っ子1号」の開発を進め、水深8,000メートルの深海まで潜れる探査機を完成させました。その後、房総半島沖の深海で生物の撮影に成功し、地球の深海調査に大きく貢献されました。

今回は貴重な製造現場である工場も見学させていただきました。

心掛け
 浜野さんはものづくりをする上で、「ものを作ることが目的ではなくて、ものを作ることによって人を笑顔にしたり、誰かの不便を便利にしたいんだ。」と、その熱い想いを聞かせてくださいました。常に相手の立場に立ち、ものづくりをすることはどの会社にも負けないとおっしゃっていました。

 中学生に向けて
 浜野さんがメッセージをくださいました。「夢を諦めずに小さな頑張りを毎日続けると、必ずいつかその夢につながってくる。小さな頑張りを少しずつ積み重ねてほしい。そのような人生を送ってほしいと思います。」

最後は浜野製作所お決まりの「ストロングポーズ」でパシャリ!

 大正3年、両国に木戸商店として創業した革小物製品の専門店です。昭和23年から現在の名称である「東屋」となりました。幸いにも戦火を逃れた創業の地で、現在でも自社で企画から製作までを行っています。

6代目社長 木戸 麻貴さん

100年を超える歴史
 長い歴史を持つ東屋ですが、戦後の復興期には、すみだの地場産業である豚革の製品をアメリカへ輸出していました。平成16年には創業90年を記念し、袋物博物館を開設。この博物館には、江戸時代の紙入れや、たばこ入れが多く展示されています。平成25年には創業100年を記念して、オリジナルブランド「AZUMAYA made in Ryogoku」を立ち上げました。現在は木戸麻貴さんが6代目として、職人の技を未来へ継承すべく奮闘しています。

袋物博物館では革小物の作製に使う昔ながらの道具も展示。

新しいデザイン

 あるとき、創業当時近所に配られた手拭いが見つかりました。それをきっかけに、創業100年を記念して再び手拭いを作り、現在の東屋のトレードマーク「まるあ柄」が生まれました。
 今年に入ってからは、キャッシュレス化の影響で長財布の需要が減ってしまいました。しかし、革小物の良さを現代に伝えるべく、キャッシュレス世代でも使いやすい小さめの財布に力を入れ、また、近年では人気のまるあ柄を用いて、革製品はもちろん、傘やスマートフォンケース等新しい製品の開発にも積極的に取り組まれています。

創業100年記念「まるあ柄」の手拭い

創業当時の手拭い
 中央には木戸家の家紋、その左右には「福」とかけて「(ふく)ろものおろし」と書かれています。

すみだに根ざしたものづくり

 東屋ならではの「がまぐち」は取っ手がない珍しいデザイン。内側には「両国から世界へ」という想いが込められた「made in Ryogoku」のマーク、外側はまるあ柄。
「“まるあ柄”には、きらきらとした光、雨のしずくなど“すみだ”の川面(かわも)に映る表情をイメージした水玉と、日本製だと一目でわかる“あ”を取り入れています。」と、そばを流れる川を眺めながら木戸さんは言います。
 また、墨田区にゆかりのある浮世絵師 葛飾 北斎の作品を用いた「粋HOKUSAI長財布」も東屋ならではの製品です。財布の内側にまでこだわっていて、熟練した職人さんの丁寧なものづくりが感じられます。

通常がまぐちを開ける際に持つ丸い取っ手がないがまぐち
内側には「made in Ryogoku」のマークがあります。

粋HOKUSAI長財布
 北斎の両国橋が財布の内側に施されています。

内側にも革が折り込まれ、隠れたところも丁寧に柄合わせが施されています。

 昭和21年、向島で創業した、東京で唯一の屏風専門店です。屏風の作業工程を学んだり、からくり屏風づくり体験ができたりする屏風博物館を併設しています。

屏風職人 3代目 片岡 孝斗さん

屏風の用途と魅力
 屏風はかつて、部屋の間仕切りや絵の保存に使われていましたが、これは大名など比較的お金持ちの人の使い方だそうです。しかし、「屏風」という漢字に表れているように「風を防ぐ」ために庶民も使っていたのだと言います。屏風はお金持ちや位の高い人だけではなく、一般の人にも使われていて、「私たち日本人が屏風と共に歩んできたからこそ、今の日本の文化があるのではないか。」と、片岡さんは屏風の魅力を話してくださいました。

新しい屏風
 定番の金屏風のほかにも、葛飾北斎の冨嶽三十六景を用いた屏風や、世界にひとつだけのオーダー屏風も手掛けているそうです。これは思い出の着物や帯を屏風として仕立てるもので、使用しない際には閉じることができる屏風の特性を活かし、着物や帯を空気や日差し等による劣化から守ることができます。
 また、写真家の方が展示会の際に額装の代わりに屏風を用いたりと、表現媒体としても活用できることから、芸術活動のお手伝いもされているそうです。

着物の帯を表装したオーダー屏風

からくり屏風
 屏風の特徴でもある「紙」の(ちょう)(つがい)を使った「からくり屏風」。開くたびに違う絵柄が出てくる不思議な屏風です。4種類の北斎の浮世絵が代わる代わる出てくるものも。からくり屏風作り体験もできるそうです。

縦と横の両方に開くことができる、からくり屏風。絵柄は変化しますが、どちらの面にも同じ月が現れます。

屏風ができるまで
 屏風店での主な仕事は「貼る」仕事、「表装」。紙や季節によって水分量などの調整が必要で、技術的に非常に難しいとおっしゃっていました。

木枠作り・蝶番

木枠には国内産の杉を使用。紙の蝶番を取り付けます。

骨縛り

基礎となる紙を貼っていきます。

みの貼り

空気の層を作るため、薄手の和紙をずらして貼ります。

みのおさえ

さらに薄手の和紙を重ね、空気の層を閉じ込めます。

さらに、数段階の工程を経て…

完成!

備考1:掲載している工程は一部です。

このページは広報広聴担当が担当しています。