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すみだ区報(墨田区のお知らせ「すみだ」) 2021年8月11日号

 持続可能な社会の実現に向けた、区内事業者の活動をご紹介します。地球への“気遣い”を忘れない企業の活動を知ることや、こうした企業の製品を購入したり、サービスを利用したりして応援することも、私たちにできるSDGsの達成に向けた取組のひとつです。この先の未来も安心して住み続けていくために、できることからひとつずつ、実践していきましょう。
[問合せ]産業振興課産業振興担当 電話:03-5608-6186

人類がこの地球で暮らし続けていくために、2030年(令和12年)までに達成しなければならない世界共通の目標です。

 SDGsは、「Sustainable Development Goals( サステナブル デベロップメント ゴールズ)」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳され、全ての国際連合加盟国が一致して採択した17の目標(ゴール)を、カラフルなアイコンでわかりやすく示しています。
 17の目標に縁のない人は、地球上に誰ひとりいません。問題を「自分ごと」として考え、行動を変えていくことが必要です。国際連合広報センターのホームページでは、日常生活の中でSDGsに貢献できる行動を「“持続可能な社会のために”ナマケモノにもできるアクション・ガイド」として紹介しています(下のコードを読み取ることでも接続可)。できることから少しずつ、始めてみませんか。

コード



 目標14「海の豊かさを守ろう」について、私たちの生活排水を例に考えてみましょう。生活排水により河川や海が汚染されると、以下のような影響が考えられます。

 これらの影響に対し、例えば、各家庭で「使用した食器の汚れを拭いてから洗う」というアクションを始めると、河川や海への汚水の流入量を減らすことができます。そして、企業が新たな汚水処理技術・設備を開発すると、汚染防止と経済発展が両立できるかもしれません。1人では難しくても個人・家族・学校・企業・自治体等のあらゆる立場の方が同じ目標に向かって主体的に行動することで、目標の達成に近づくことができるのです。

*画像はストックホルム・レジリエンス・センターのJohan Rockstrom and Pavan Sukhdevが2016年6月に公表したものを加筆修正

 上の図は、17の目標を大きく「経済」「社会」「環境」の3側面に分類し、「経済」は「社会」に、「社会」は「環境」に支えられて成り立つ様子を表現したものです。SDGsの達成のためには、「経済」「社会」「環境」の3側面のバランスの取れた行動をすることが求められています。

 皆さんは、前述の生活排水の例を見て、真っ先に「環境」への影響を想像したのではないでしょうか。しかし、実際は、環境だけでなく「社会」や「経済」にも影響を及ぼす可能性があります。環境破壊等により土台部分が揺らぐと、その上に立つ社会は不安定となり、経済成長どころではなくなるためです。

町工場発のものづくりによる社会課題の解決をめざして
 浜野製作所(八広四丁目39番7号)は、ものづくりにより社会課題の解決をめざす人たちを支援することで、持続可能な社会づくりに貢献しています。
 同社は、金属加工技術を基盤に、最先端のロボットや装置の設計・開発も幅広く手掛ける町工場です。平成26年からは、新しいものづくりの開発拠点としてオープンした「Garage Sumida(ガレージ スミダ)」を中心に、社会課題の解決をめざす起業家や研究機関などの支援に取り組んでいます。例えば、株式会社 オリィ研究所の遠隔操作によるコミュニケーションロボット「OriHime(オリヒメ)」は、同社の協力で開発され、人々の暮らしを快適にするため、様々な場所で実験的に使われています。このように、社会をより良くするためのアイディアをかたちにしていくことで、ものづくりに新しい価値を提供し続けています。
 今後、区はものづくりの支援実績を持つ同社と共同し、東墨田会館(東墨田二丁目12番9号)に社会課題解決型の製品を開発・製造し、実証実験もできる拠点を整備していきます。

株式会社 オリィ研究所代表取締役CEO 吉藤 健太朗氏(左)と株式会社 浜野製作所 代表取締役CEO 浜野 慶一氏(右)
【撮影】香川 賢志氏

Garage Sumida
【画像提供】株式会社 浜野製作所

持続可能な宇宙開発の実現をめざして
 今、世界から注目されている先進企業・株式会社アストロスケールホールディングス(錦糸一丁目16番4号)をご存じですか。
 同社は墨田区に本社を置き、スペースデブリ(宇宙ごみ)の除去を含む軌道上サービスを通じて、持続可能な宇宙開発をめざしています。スペースデブリは、使用済みや故障により使用不可になった人工衛星の破片など様々で、1ミリメートル以上のものは1億個以上あるとされています。これらは地球の周りを高速で移動しているため、数ミリメートル程度の微小なものであったとしても人工衛星などに衝突すれば大事故につながるおそれがあります。
 同社は、この課題解決に尽力し、今年3月には、スペースデブリ除去技術実証衛星「ELSA-d(エルサディー)」の打ち上げに民間として世界で初めて成功しています。
 今後同社は、現在の場所から、錦糸土木事務所跡地(錦糸四丁目17番)に建設する「すみだ・コ・ラボ・ツリー(仮称)」に活動拠点を移す予定です。区も連携を一層強め、同社の高い知名度や強力な誘引力を()かし、錦糸町から世界に向けた発信を推進していきます。

ELSA-dとスペースデブリのイメージ図
【画像提供】いずれも株式会社 アストロスケールホールディングス

使ったら、捨てる。このあたりまえを変えたい。
 「リサイクリエーション」は、“リサイクル”と"クリエーション"を組み合わせた造語で、循環型社会の実現に向けた新しいシステム・ライフスタイルを提案しています。具体的には、詰め替え用の洗剤やシャンプーなどの使用済フィルム容器のリサイクルを推進しており、令和2年9月からは、花王 株式会社(中央区日本橋茅場町1の14の10)とライオン株式会社(本所一丁目3番7号)の2社が協働して展開しています。回収したフィルム容器は、主に「おかえりブロック」へ生まれ変わり、回収した地域で教育・啓発ツールとして地域の方々の暮らしに役立てられています。
 両社の拠点がある墨田区では、同年10月から、イトーヨーカドー曳舟店(京島一丁目2番1号)でフィルム容器の店頭回収を行っているほか、回収物を活用した活動の啓発や活用方法について、ゴムやプラスチックの加工を手掛ける区内・近隣の事業者との議論を始めています。



自転車を使い捨てる社会から、自転車に愛着を持つ社会にシフトする。
 千輪(東向島一丁目23番13号)では、自転車を販売せず、修理と自転車雑貨の販売をしています。環境に優しいと言われる自転車ですが、日本ではまだまだ乗れる自転車を捨て、買い替える人が多い実態があります。かつて自転車メーカーに勤めていた店主の長谷川さんは、この実態を知り、自転車を本当にエコな乗り物にしたいという思いを実現するため開業しました。お店では、自転車に愛着が持てるように修理だけでなくカスタマイズも可能。お気に入りのベルやサドルカバーを取り付けるだけでも、愛着が持てます。
 長谷川さんは、過去に大阪府から千葉県まで変速無しのお買い物自転車で走った経験があるそうです。自転車は想像以上に長距離・長期間利用できる乗り物。簡単に買い替えずに、乗り続けることが大切です。



着る人も、作る人も、豊かに。
 株式会社 10YC(両国四丁目8番1号)では、着心地や耐久性などの品質に徹底的にこだわり、「10年着続けたいと思える服」を販売しています。もしも服の汚れが目立つようになったり色に飽きたりしても、色の染め替えができる等、長く着続けるためのサービスを用意しています。また、消費者と生産者との間に距離があることをアパレル業界の課題として捉え、実際に生産工場を訪ねて取材した内容を自社のホームぺージで公開し、消費者と生産者の距離を縮める手助けをしています。さらに工程ごとに製造工場や原価を積極的に公開することで、服づくりに携わる人にスポットを当て、生産者の誇りや働きがいを与えています。
 「消費者へ高品質の服を届けることはもちろん、生産者に利益を還元し生産工場の人材育成につなげ、製品に関わる全ての人が笑顔になってほしい。」今も変わらない同社の願いです。

このページは広報広聴担当が担当しています。