すみだ区報2018年5月11日号

特集

小布施とすみだのつながり その原点を探る

鴻山の功績

北斎は小布施のどんなところが好きだったのでしょうか。「小布施の気候や風土はもちろん好きだったと思います。けれど、それだけではありません。北斎さんは、"小布施びと"に囲まれてとにかくゆったりすることができました。鴻山さんの面倒見の良さはもちろんですが、彼の懐の深さや穏やかな性格に、北斎さんは大きな信頼を置いていたのでしょう。鴻山さんがいなかったら、小布施にこんなたくさんの素晴らしい作品は残らなかったかもしれないですね。」

鴻山は自らも漢詩や画を書き続けました。画稿として記念館に残されている鴻山の桜や蝶、鯉などのスケッチは、塗り絵としても小布施の皆さんに親しまれています。記念館内には、幼稚園児たちが鮮やかに彩色した鴻山のスケッチが展示されています。

金田さんは、「調べるほど、どんどん鴻山さんのことが好きになり、鴻山ラブになりました。」と(ほほ)()みます。研究員として活動しながら自らが広告塔となり、「鴻山さんのことをたくさん知ってほしい」と積極的に発信するその姿には、鴻山への愛や情熱があふれています。

友好都市である「小布施町」と「墨田区」は、農村体験や伝統工芸体験等を通して交流を深めてきました。髙井鴻山と葛飾北斎という偉大な人物の出会いから150年余り。2人が残したものは私たちに脈々と受け継がれています。