東海道最大の難所といわれた大井川。西岸には金谷宿、東岸には、画面奥に描かれている島田宿が置かれていました。戦略的な理由から橋も渡し舟も設置されず、唯一、川越え人(にん)足(そく)たちに担がれることによって、川を渡ることが許されていました。駕(か)籠(ご)に乗る、台に乗るなど、料金によっていろいろな渡河の方法がありましたが、庶民は一番安い肩車で渡河していました。しかし、雨で川が増水すると通行できなくなり、何日も宿に逗(とう)留(りゅう)しなければなりませんでした。北斎は、荒波の中を多くの旅人が渡河する様子を描いています。この作品は、5月22日から始まる「変幻自在!北斎のウォーターワールド」展の後期に展示します。ぜひご覧ください。