すみだ区報2018年11月11日号

文化・スポーツ

北斎名品コレクション⑳

(あん)(こう)図(絹本着色) 一幅

鮟鱇は、古くから江戸の庶民に愛され、19世紀初頭には「(さん)(ちょう)()(ぎょ)」と呼ばれた五大珍味の一つに挙げられるほど人気がありました。唇以外はどの部位も()()しく食べられ、その様子が「鮟鱇は 唇ばかりが 残るなり」と当時の川柳に残されています。

北斎は、文化中期(1807年~1813年頃)にこの鮟鱇図を描きました。描かれている鮟鱇は、ざるの中で仰向けに横たわっています。北斎にとっては、真っ黒な背中を描くよりも、真っ白く(ふと)った腹を描く方が面白かったのでしょうか。

この作品は11月20日から始まる、すみだ北斎美術館の企画展「大江戸グルメと北斎」の前期に展示されます。