すみだ区報2020年4月11日号

文化・スポーツ

北斎名品コレクション(33)

すみだ北斎美術館に収蔵されている北斎の名品をご紹介します

葛飾北斎「朱描鍾馗図」(肉筆画)

毎年、5月5日の端午の節句の際には、鍾馗(しょうき)や家紋を染めたのぼり、こいのぼりなどが立てられてきました。魔よけの神としての鍾馗の伝説は、唐の玄宗皇帝が病気の際に鍾馗が悪鬼を退治する夢を見ると、その後病気が治ったので、画工にその像を描かせたことが始まりといわれています。本図の朱描きの鍾馗図は、流行病の疱瘡(ほうそう)よけの祈りを込めて北斎が制作したものです。数え年で87歳の時の作品で、朱色だけでなく、目や口、髪などには墨が用いられており、細かな工夫がなされています。本図は、「大江戸歳事記」後期の5月19日(火)~6月14日(日)に展示予定です。ぜひ、ご鑑賞ください。