すみだ区報2020年7月11日号

文化・スポーツ

北斎名品コレクション(37)

すみだ北斎美術館に収蔵されている北斎の名品をご紹介します

葛飾北斎「富嶽百景ふがくひゃっけい二編井戸浚(にへんいどさらい)不二(ふじ)(版本)

「冨嶽三十六景」の刊行後に発表された、富士の絵約100図を掲載した「富嶽百景」の中の1図です。組み合わせた梯子(はしご)や桶を結んだ(ひも)、丸太が重層的な三角形となっており、紐の三角形の中に富士を配置した構図です。当時は夏至の日(現在の6月21日頃)や7月7日に、井戸の水を()み干して(さら)い、井戸の中の掃除をしており、井戸替え、井戸浚などと呼ばれました。共同で使用する長屋の井戸では、みんなで行う作業でした。女性たちは、落とした(くし)(かんざし)を拾ってもらえるので、この日を待ち望む人が多くいました。本図は、企画展「大江戸歳事記」(8月30日まで)でご覧いただけます。