すみだ区報2020年10月1日号

特集

つながる すみだ(びと)

概要

すみだを愛し、すみだで活躍する人をリレー形式で紹介する「つながる すみだ人」。お話を伺った方に次の方を紹介していただき、すみだを愛する人をつないでいきます。第27回は、25年に渡って視覚障害のある方のための音訳活動をされている牧野 さえ子さんです。

牧野 さえ子さん(向島在住)

Q. すみだでどのような活動をしていますか?

すみだ録音グループ「声」に所属し、視覚障害のある方に向けて、区報や区議会だより等の音訳と朗読を行う活動をしています。「声」は45年以上続くボランティアグループで、後継者を育てることを大切にしており、会長は10年程度で交代する伝統があるんです。私も会長を9年間勤め、次の方に引き継ぎました。私たちの活動はボランティアとはいえ、仕事として責任を持って取り組んでいます。区報は、発行日に利用者の方に遅延なくお届けすることを大切にしており、図表をはじめ、掲載写真についてもできる限り説明を入れています。

音訳は朗読と違い、聞いている人がその紙面に書かれている内容を正確に理解し、想像できるような読み方を心掛けることが重要です。これが本当に難しくて、20年以上この活動をしていても、(いま)だに満足できたことはないんです。

Q. 現在の活動を始めたきっかけは何ですか?

平成3年に、言問小学校のPTA会長を務めた際、人の心を大きく動かす「言葉の力」を実感する機会が何度かありました。読書が好きなこともあり、「言葉」に関わる活動がしたいと、ボランティアセンターの音訳講習会に参加したのがきっかけです。先生が厳しく、たくさん叱られながら学んだことが刺激的で面白かったですね。活動を始めてからは、先輩方が内容や読み方などを細かくチェックし、よりよい音訳となるよう、一生懸命取り組む姿を間近で見てきました。私も言問小学校での本の読み聞かせを13年間続け、子どもたちが聞いてもわかるような話し方、表現方法など音訳にも生かせることを学びました。この読み聞かせは、後にほかの方に引き継いでいます。

音訳以外にも町会で、10年以上、月に1回の高齢者のふれあいランチ会を開催しています。こちらも徐々に協力者が増え、長く続く活動になっています。どんな活動においても、その活動を次の世代に(つな)いでもらえるよう、後継者を育てることがとても大切だと感じています。

すみだ福祉保健センター内の録音室で、区報の音訳版の録音をしています。「声」のメンバーが周りでチェックし合うため、録音室は毎回緊張感があふれています。
向島五丁目東町会で開催される「ふれあいランチ会」の様子(残念ながら現在は感染症拡大防止のため開催が見送られています)。

Q.牧野さんは、すみだのどんなところが好きですか?

みんなノリがよくて、協力的なところです。PTAや「声」、町会など、いずれも何か新しいことをしようとすると、いつも周りの方々が協力や、サポートをしてくれます。さらに「こんなこともできるよ!」と、提案もしてくれるんです。私は生まれも育ちも向島で、今思い返すと、周りの方にたくさん優しくしていただき、幸せに過ごしてきました。3人の子どもの子育てでは、地域の皆さんが抱っこしてくれたり、子どもたちにご飯を食べさせてくれたり、とてもお世話になりました。これまで優しくしてもらった分、お返ししたいという思いが、様々な活動への原動力になっています。

次回登場してくださるのは・・・

両国を拠点に全国で、子育てに悩む親御さんたちへの勉強会や、カウンセリング等、子育て支援の活動をされている、高柳静江さんです。

問合せ広報広聴担当 TEL:03-5608-6223