すみだ区報2021年2月11日号

文化・スポーツ

北斎名品コレクション(44)

すみだ北斎美術館に収蔵されている北斎の名品をご紹介します。

(らい)(えん)()(がん)()(吉野石膏コレクション すみだ北斎美術館寄託)

北斎の享和年間(1801年~1804年)を代表する1点として知られる優品で、急降下する雁と、ふっくら丸みを帯びた(つばめ)が描かれています。左上には国学者・加藤千蔭による、毎年春秋来ては帰る鳥に恋の固い約束を重ねた賛「はる秋の契た()()()とり()りに来るも帰るもこ()ろ有けり」が記されています。また、作品を収納する箱には、春に渡来し秋に帰る夏鳥の燕と、逆の渡りをする冬鳥の雁を示す「来燕帰雁」が由来の「来燕帰雁之図」という題が記されています。本作品は新たに寄託されたもので、当館では初公開となります。こちらの「筆魂 線の引力・色の魔力〝又兵衛から北斎・国芳まで〞」展の前期(3月7日まで)でご覧いただけます。