すみだ区報2021年12月1日号

特集

つながる すみだ(びと)

概要

すみだを愛し、すみだで活躍する人をリレー形式で紹介する「つながる すみだ人」。お話を伺った方に次の方を紹介していただき、すみだを愛する人をつないでいきます。第39回は、地域で廃食油を回収し、車を走らせる燃料や電気を作る事業「TOKYO油田プロジェクト」などを行う染谷ゆみさんです。

染谷ゆみさん(八広在住在勤)

Q. すみだでどのような活動をしていますか?

区内外の飲食店や家庭で出た廃食油を回収し、燃料や電気を作る事業を行っています。その名も「TOKYO油田プロジェクト」。都内には多くの飲食店があり、人口も多いので、その分、食用油を多く消費し廃棄します。その一つひとつを「油田」と考えると、東京は世界有数の油田を保有していることになります。そんな考えから油田プロジェクトを始めました。家業でもあり、SDGsにつながる環境ビジネスです。

コロナ禍で、家で料理をする方が増えたためか、家庭から出る油の量は増加傾向にあります。墨田区では、原則第1・3土曜日に家庭用油の回収を行っています(こちらに掲載)。通常、廃食油を捨てるには、薬品で油を固める必要がありますが、回収所に持って行けば、その必要はありません。また、油を水道に流してしまってはいませんか。それは環境汚染につながってしまいます。区の取組をぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

Q. 現在の活動を始めたきっかけは何ですか?

高校卒業後、アジア各国へ一人旅をした際、危険な土砂災害に巻き込まれたんです。そのときに現地の方が言った言葉に衝撃を受け、現在に至ります。衝撃の言葉、それは「これは天災じゃない、人災だ」。木の過剰な伐採により、それまでは災害にはならなかった雨量で、土砂災害が起きたと言うのです。

環境というと慈善事業の意味合いが強かった時代に、「これからは環境ビジネスだ」と確信するきっかけになりました。そして、実家の染谷商店が行う廃食油から石けんを作る商売は、まさに環境ビジネスだと気付いたんですね。

旅行会社を経て、染谷商店に入社したのはバブル経済のさなか。大手企業に就職するのが当たり前だった当時、私は非常に珍しがられました。先代の社長である父でさえ驚きましたね。でも、私はここだからこそ、自分のやりたいことが実現できると思ったんです。現在はそこからグループ会社である「ユーズ」と「TOKYO 油電力」を設立し、活動を行っています。

Q. 染谷さんは、すみだのどんなところが好きですか?

皆さん、とにかく優しいですよね。そんな人に囲まれて安心した生活が送れるところが好きです。仮に口が多少悪かったとしても、「腹の中」はきれいですね。

そんなすみだを愛し、すみだで長く生活する私自身としては、色々な人・モノ・コトをウェルカムな心で迎えたいと思っています。どんなことでも「こうあるべき」を求めすぎると、排除されてしまうものが生まれてしまいます。そうならないように心掛けつつ、世界に目を向け、未来を見据えながら地域で活動していきたいと考えています。

街中を走る廃食油回収用のラッピングトラック
廃食油を使った燃料で発電した電気が大きな音楽イベントで使われることも

次回登場してくださるのは・・・

焼き菓子やパン、ケーキが並ぶ「カフェ・パザパ」を営みながら、店内で若手アーティストの個展支援も行う入江 薫さんです。

問合せ広報広聴担当 TEL:03-5608-6223