すみだ北斎美術館に収蔵されている北斎の名品をご紹介します。
葛飾北斎「絵本和漢誉」大江山の鬼賊酒顚童子を退治す 源の頼光朝臣(版本)
「絵本和漢誉」は、「和漢絵本魁」「絵本武蔵鐙」とともに北斎の代表的な三大武者絵本のひとつに挙げられます。その中でも本図は、見開き1ページを縦に用いた特色ある図で、平安中期の武将源頼光と、京都府の北部にある大江山を根城とした鬼の頭領の酒呑童子を、上下に対峙させて描いています。頼光と家来の四天王にまつわる鬼退治伝説は数々ありますが、中でも酒呑童子との対決は有名です。頼光によって切断された酒呑童子の首が、不敵な笑みを浮かべて中空に舞う様子が、黒い闇の背景とともに表され、底知れない不気味さを漂わせている点は見どころです。本図は、「北斎 百鬼見参」展(6月21日~8月28日)で会期中展示されます。