すみだ区報2022年11月1日号

特集

つながる すみだ(びと)

概要

すみだを愛し、すみだで活躍する人をリレー形式で紹介する「つながる すみだ人」。お話を伺った方に次の方を紹介していただき、すみだを愛する人をつないでいきます。第48回は、「東向島スタジオ和」(東向島4-9-6)でアルゼンチンタンゴダンスを教え、本場のタンゴの魅力を広める桑原和美さんです。

桑原和美さん(墨田在住)

Q. すみだでどのような活動をしていますか?

東向島でアルゼンチンタンゴダンスの教室を運営し、プロダンサー、ダンス講師として活動しています。私自身がその本場であるブエノスアイレスで学んできたことをもとに、小学生からご年配の方まで幅広くタンゴの魅力を伝えており、現在まで30年にわたり年2回、アルゼンチンから著名アーティストを招いて交流を続けています。本場のダンスの技術を学びつつ、サロンタンゴという庶民的なタンゴを通して、日本にいながら本場のタンゴに触れることができます。

昨年の11月にオープンした「東向島スタジオ和」は、祖父の代からの精密部品工場を改装したもので、開店時は、ご近所の皆さんが祝ってくれて、とても(うれ)しかったです。優しくて、気取らないタンゴダンスは、すみだの風土に合っていると感じています。これからも、このスタジオで知り合った方々に、タンゴとすみだの魅力を広めていきたいと思います。

Q. 現在の活動を始めたきっかけは何ですか?

高校生の時に見たテレビCMでアルゼンチンタンゴを知り、日本で何度もタンゴショーを鑑賞しました。そのタンゴショーは、人間味で(あふ)れ、品があって、特に年配のダンサーが印象的でした。1992年に単身でブエノスアイレスに渡り、日本で()たタンゴショーに出演していたダンサーのレッスンを受け、ミロンガと呼ばれるタンゴを踊るダンスサロンに通いながら、現地の人たちと交流を深めました。現地で見た光景や経験したことが、私のタンゴスタイルの基本になっています。タンゴというと、男女が情熱的かつセクシーに踊るイメージがあるかもしれませんが、実際は人々が気軽に集まって自然に踊りを楽しむことが大切にされている庶民的なものです。

帰国後すぐに、地元の集会所を活用してミロンガを開きました。今では世界中でミロンガが開かれるようになりましたが、日本初のミロンガは、「お祭り騒ぎ」という意味で「GARUFA(ガルーファ)」と名付けました。私が大好きなお祭りのように、子どもから高齢の方まで一緒に楽しみながら、大人の魅力を感じられる社交場を提供したかったからです。ミロンガの開始当初は、人が集まらず苦労しましたが、家族や友人の協力もあり、だんだん人が集まるようになりました。その後、私自身が映画「TANGO」に出演したことをきっかけに、ミロンガを竹芝や銀座、渋谷のクラブイベントへと広げていき、さらには日本のタンゴの礎となるほど、大きく成長させることができました。

私が主催するタンゴスクールの校長を務めるグランマエストロのカルロス・リバローラ氏とタンゴショーに出演。
「東向島スタジオ和」でのレッスンの様子。

Q. 桑原さんは、すみだのどんなところが好きですか?

私の踊りのルーツは小学校の盆踊りと言えるくらい、小さい頃からお祭りが大好きです。生まれ育った街に、世界に誇れるものがあり、とても幸せです。すみだの人は、包容力、タンゴの世界観で言うと「抱擁」がありますから、相手を抱擁して踊るタンゴは、きっと皆さん素敵に踊れると思いますよ!

次回登場してくださるのは・・・

千年以上の歴史がある「白鬚神社」で、明治時代初期から神社の祭祀(さいし)を司る宮司の5代目、今井 達さんです。

問合せ広報広聴担当 TEL:03-5608-6223