このページの先頭です
このページの本文へ移動
本文ここから

第9回

ページID:424238607

更新日:2009年1月13日

会議内容(須田氏による講義の概要)
 私は東京大学の須田です。今日お話しする内容は、自然に関する講演、昆虫の展覧会を墨田区と一緒に行ったことが過去にもありますので、そこでしゃべったことと重複する部分があろうかと思います。
 まず、すみだの過去についてお話します。日本最古のビオトープであると私が考えている向島百花園。生物の多様性を主体として、様々なものが生息できるようにしたものが江戸時代に出来ていたということです。この百花園を作ったお殿様は薬草や食べられる植物を取り入れて作りました。
江戸時代の墨田区周辺の生物を集めて、武蔵石寿という者がガラスで作った岡持のようなものに入れて、昆虫の標本を作り、客に見せていたとの記述がありました。ただし、昆虫以外にも蛙やミミズなども一緒に入っていたようです。これは幕府に認められてはいなかったためその後、東京国立博物館の初代館長になった方が幕府の命により、パリ万博に出展する標本を作りました。
 江東区墨田区周辺は過去に3回、昆虫が絶滅した地域です。第1回目は関東大震災。また、9月1日は夏の昆虫が一番多い時期ですので、焼けていない箇所があったとしても、煙でいぶされてしまいます。第2回目は大空襲により、3月10日の啓蟄の頃の地上に出たばかりのものがやられました。第3回目はアメリカシロヒトリによるものです。アメリカシロヒトリは私が旧制中学のときに、日比谷公園のプラタナスが毛虫に喰われていたのでなんだろうと思い、木に登ってこれを集めたのが初めての出会いでした。300種類以上の植物の葉を食べ、鎌倉などの首都圏に爆発的に増えたため、3種類の駆除が行われました。トラックから街路樹めがけて薬を散布、あるいはヘリコプターから農薬をばら撒き、幼虫が卵の頃は葉に集まる習性を利用し子供達を動員させて卵の回収作業を行いました。ただし、養蚕に影響を与えないために青梅と八王子の2箇所だけは薬剤の散布をしなかったようです。
 生き物の事を考える際に点・線・面、ということが重要だということを申し上げます。アメリカシロヒトリの影響で農薬を撒いたため、一度は都会から消えた虫があります。アオマツムシという夏にジジーっと鳴く虫です。青梅に残ったアオマツムシは、都が建設した新青梅街道を通って都会までやってきました。安いトオカエデが街路樹として植えられそれを伝ってやってきたわけです。点という青梅に残った虫が街路樹という線でやってきて、田無・杉並という畑や公園という面で増えていったという次第です。
 今、学校のプールが夏の授業の始まる前に「ヤゴ救い」をしています。墨田区も学校と学校の距離が近いため、線ができます。6月下旬にヤゴからトンボにかえったものが福島あたりにいき、秋にまたプールに卵を産むわけです。ちなみに新宿や中野のトンボは八ヶ岳のほうへ行きます。墨田区でも点・線・面が出来るわけですね。
 杉並区では経年変化をするために生き物の調査を行っています。約600人の区民の方にも「ミツバチを見ましたか?」といったアンケートに協力してもらい、調査をします。墨田区でもぜひ、指標となる昆虫・鳥を決めて区民の方とご一緒に調査をしていただきたいと思います。プラスの指標となる虫だけではなく、マイナスの評価になるものも踏まえて決めることが肝要です。
 墨田区に新しいタワーができますので、いくつか希望を申し上げました。それはタワーが日時計にならないかということや、展望台の外の部分に屋上緑化ができないか?ということ、東京で最初に雨水が落ちる場所なので、それを水の流れとして表現できないか、ということです。また、タワーが建つ場所は向島百花園、曳舟小学校、安田庭園の線が交わる一番虫の集まるポイントです。展望台の上にプランターを置いて、何か芽が出るか試してみたいところです。300メートルくらいの上空に植物の種が漂っているかどうかがわかると思います。
 隅田公園は関東大震災を契機に、区民が万が一のときに避難ができるようにということで作られた公園だということです。ある夏の日に、大学からこちらの区役所に歩いてきたときに、この公園でミンミンゼミが鳴いていないことに気づきました。虫捕りをしている子どもに聞いてもアブラゼミはいるが、ミンミンゼミはたまにしか見ないということでした。その訳は戦災の際の6000体の遺体を仮埋葬し、それをまた掘り起こしたため土の中にいたセミの幼虫がいなくなってしまったということです。また、空襲の際に地下3メートル位まで高温で焼かれてしまったのではないかと推測されます。他の場所からミンミンゼミが来るのではないか、と思うかもしれませんが、実験したところ隅田川を飛び越える力が無いことがわかりました。向島百花園、曳舟小学校、安田庭園の3箇所は影響がいくらか少なかったことから、ここの土の中にわずかにいたミンミンゼミが隅田公園へ来ていると推測しています。
 私が墨田区に期待することは住民が参加しやすいように住民意識を高めていくこと、第2に自由な発想をする子どもを中心にした環境の学習を考えることです。具体例は、すでに杉並でおこなっていることですが区内のビオトープの存在する地図や学校の天然記念物を決めるといったことが挙げられます。昆虫が住めない環境に人が住むことは出来ません。
~質疑応答~
(委員)トンボは何故、かえる方向がわかるのですか?
(須田氏)東京だけではエサとなる虫が足りないので福島に行くのです。また、虫の能力はたとえば8km離れた雌を見つける能力があるものもいたりしますので、人間よりはるかに優れています。
(委員)カミツキガメや外来種についてはどう考えますか?
(須田氏)大横川親水公園は23区内で単位面積あたりのトンボの種類が豊富なところと言えます。これは日本最初のビオトープである百花園、アブラゼミが多い隅田公園と並んで観光案内に載せるべきです。ところが、そこにある水草は特定外来種ですし、カダヤシというメキシコの外来種です。例えて言うと、10の生物のうち8つは外来種といっても過言ではありません。したがって、すべてを取り去ってしまったら生物がいなくなってしまいます。平成の生態系と申しましょうか、呉越同舟で墨田区・江東区周辺はいくべきだと思います。
(課長)先生のアドバイスなどをいただいて、来年度に墨田区でも緑と生物の調査を行いたいと考えております。
                       (以  上)

お問い合わせ

このページは環境保全課が担当しています。

注目情報

    このページを見ている人はこんなページも見ています