○墨田区文化財保護条例

昭和57年3月31日

条例第21号

目次

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 文化財の登録及び指定(第5条―第8条)

第3章 文化財の保存及び活用(第9条―第20条)

第4章 文化財保護審議会(第21条―第28条)

第5章 雑則(第29条)

付則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定に基づき、墨田区(以下「区」という。)の区域内に存する文化財について、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって区民の文化的向上に資するとともに、郷土文化の発展に貢献することを目的とする。

(平17条19・一部改正)

(定義)

第2条 この条例において「文化財」とは、次に掲げるものをいう。

(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値のあるもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)及び考古資料その他の学術上価値のある歴史資料(以下「有形文化財」という。)

(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値のあるもの(以下「無形文化財」という。)

(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習又は民俗芸能で生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「無形民俗文化財」という。)及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「有形民俗文化財」という。)

(4) 塚、旧宅その他の遺跡で歴史上又は学術上価値のあるもの(以下「史跡」という。)

(5) 庭園、橋りょうその他の名勝地で芸術上又は観賞上価値のあるもの(以下「名勝」という。)

(6) 動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)及び植物(自生地を含む。)で学芸上価値のあるもの(以下「天然記念物」という。)

(区の責務)

第3条 区は、文化財が歴史及び文化の正しい理解のため欠くことのできないものであり、かつ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存と活用が適切に行われるよう努めなければならない。

2 墨田区教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、区の区域内に存する文化財を調査し、その所在及び保存状況を明らかにするとともに、文化財の保護に関する区民の自主的活動の育成、情報の提供その他の措置を執り、区民の文化財保護に関する意識の高揚に努めなければならない。

3 教育委員会は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない。

(区民等の責務)

第4条 区民は、文化財の保護に努めるとともに、区がこの条例の目的を達成するために行う施策に協力しなければならない。

2 文化財の所有者及び保持者又は保持団体その他保存に当っている者又は団体は、これを公共のため大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。

3 文化財の所有者以外の者で、文化財の保存に影響がある行為をしようとするもの(以下「事業者」という。)は、区が文化財の保存に関し行う指導及び助言に従うものとする。

第2章 文化財の登録及び指定

(登録)

第5条 教育委員会は、区の区域内に存する文化財のうち特に保存する必要があると認めるものを、次の各号に掲げる墨田区登録文化財(以下「区登録文化財」という。)として登録することができる。

(1) 墨田区登録有形文化財(以下「区登録有形文化財」という。)

(2) 墨田区登録無形文化財(以下「区登録無形文化財」という。)

(3) 墨田区登録有形民俗文化財(以下「区登録有形民俗文化財」という。)

(4) 墨田区登録無形民俗文化財(以下「区登録無形民俗文化財」という。)

(5) 墨田区登録史跡、墨田区登録名勝又は墨田区登録天然記念物(以下「区登録記念物」と総称する。)

2 教育委員会は、区登録有形文化財、区登録有形民俗文化財又は区登録記念物(以下「区登録有形文化財等」という。)の登録に当たっては、あらかじめ所有者の同意を得なければならない。ただし、所有者が明らかでないときは、この限りでない。

3 教育委員会は、区登録無形文化財の登録に当たっては、当該区登録無形文化財の保持者又は保持団体(当該区登録無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)(以下「保持者等」という。)を認定しなければならない。

4 教育委員会は、区登録無形文化財の登録をした後においても、当該区登録無形文化財の保持者等として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者等として追加認定することができる。

5 教育委員会は、前4項の規定により登録、認定又は追加認定をしたときは、その旨を告示するとともに、当該所有者又は保持者等に通知する。

(登録等の解除)

第6条 教育委員会は、区登録文化財が区登録文化財としての価値を失ったときその他特別の理由があるときは、前条第1項の規定による登録を解除することができる。

2 教育委員会は、区登録無形文化財の保持者が心身の故障により保持者として適当でなくなったと認められるとき又はその保持団体が構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められるときその他特別の理由があるときは、当該保持者等の認定を解除することができる。

3 区登録無形文化財の保持者が死亡したとき又はその保持団体が解散(消滅を含む。以下同じ。)したときは、当該保持者等の認定は解除されたものとし、区登録無形文化財の保持者のすべてが死亡したとき又はその保持団体のすべてが解散したときは、当該区登録無形文化財の登録は解除されたものとする。

4 教育委員会は、前3項の規定による登録又は認定の解除があったときは、その旨を告示するとともに、前項の規定による解除の場合を除き、当該所有者又は保持者等に通知する。

(指定)

第7条 教育委員会は、区登録文化財(法又は東京都文化財保護条例(昭和51年東京都条例第25号。以下「都条例」という。)の規定による指定を受けた区登録文化財を除く。)のうち区にとって重要なものを、次の各号に掲げる墨田区指定文化財(以下「区指定文化財」という。)に指定することができる。

(1) 墨田区指定有形文化財(以下「区指定有形文化財」という。)

(2) 墨田区指定無形文化財(以下「区指定無形文化財」という。)

(3) 墨田区指定有形民俗文化財(以下「区指定有形民俗文化財」という。)

(4) 墨田区指定無形民俗文化財(以下「区指定無形民俗文化財」という。)

(5) 墨田区指定史跡、墨田区指定名勝又は墨田区指定天然記念物(以下「区指定記念物」と総称する。)

2 教育委員会は、区指定有形文化財、区指定有形民俗文化財又は区指定記念物(以下「区指定有形文化財等」という。)の指定に当たっては、あらかじめ所有者の同意を得なければならない。ただし、所有者が明らかでないときは、この限りでない。

3 区指定無形文化財の指定については、第5条第3項及び第4項の規定を準用する。

4 教育委員会は、前3項の規定により指定、認定又は追加認定をしたときは、その旨を告示するとともに、当該所有者又は保持者等に通知する。

(指定等の解除)

第8条 教育委員会は、区指定文化財が区指定文化財としての価値を失ったときその他特別の理由があるときは、前条第1項の規定による指定を解除することができる。

2 区指定文化財が、法又は都条例による指定を受けたときは、前条第1項の規定による指定は、解除されたものとする。

3 区指定無形文化財の保持者等の認定の解除については第6条第2項及び第3項前段の規定を、区指定無形文化財の指定の解除については同項後段の規定を準用する。

4 前3項の規定による指定又は認定の解除があったときは、その旨を告示するとともに、前項において準用する第6条第3項の規定による解除の場合を除き、当該所有者又は保持者等に通知する。

第3章 文化財の保存及び活用

(所有者等の管理義務)

第9条 区登録文化財又は区指定文化財(以下「区登録・指定文化財」という。)の所有者、保持者等その他保存に当たっている者は、この条例並びにこの条例に基づき定める墨田区教育委員会規則(以下「教育委員会規則」という。)及びこの条例に基づき行う教育委員会の指示に従い、当該区登録・指定文化財を適切に管理し、及びその保護に努めなければならない。

(管理責任者の選任)

第10条 区登録有形文化財等又は区指定有形文化財等の所有者は、特別の理由があるときは、専ら自己に代わり当該区登録有形文化財等又は区指定有形文化財等の管理の責に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。

2 前項の規定により管理責任者を選任したときは、所有者は速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任したときも、また同様とする。

3 管理責任者には、前条の規定を準用する。

(保存の措置)

第11条 教育委員会は、区登録無形文化財及び区指定無形文化財並びに区登録無形民俗文化財及び区指定無形民俗文化財の保存のため必要があると認めるときは、自らその記録を作成し、伝承者を養成し、及びその他保存のため適切な措置を執ることができる。

(管理等に関する措置)

第12条 教育委員会は、区指定有形文化財等の管理が適切でないため当該区指定有形文化財等が滅失、き損又は盗難のおそれがあると認めるときは、所有者に対し管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を求めることができる。

2 教育委員会は、区指定有形文化財等がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、所有者に対し修理(復旧を含む。以下同じ。)を求めることができる。

(現状変更等の事前協議等)

第13条 所有者及び事業者は、区指定有形文化財等に関しその現状の変更又はその保存に影響を及ぼす行為(以下「現状変更等」という。)をしようとするときは、あらかじめ教育委員会と協議しなければならない。

2 所有者及び事業者は、区登録有形文化財等に関し現状変更等をしようとするときは、あらかじめ教育委員会に届け出なければならない。

3 前2項の規定にかかわらず、現状の変更にあっては教育委員会規則で定める維持で定める維持の措置又は非常の災害のため必要な応急措置をとる場合、保存に影響を及ぼす行為にあっては影響が軽微である場合は、第1項の協議又は前項の届出は要しない。

4 教育委員会は、第1項の協議が整わない間に、所有者又は事業者が現状変更等をしようとするときは、その中止を求めることができる。

5 教育委員会は、第1項の協議又は第2項の届出があった場合において、保存のため必要があると認めるときは、所有者又は事業者に対し技術的な指導及び助言をすることができる。

(所有者の変更等の届出)

第14条 区登録有形文化財等及び区指定有形文化財等について、次の各号の一に該当するときは、当該各号に定める者は、速やかに教育委員会に届け出なければならない。

(1) 所有者の変更(所有者の死亡による変更を含む。)があったとき。 新所有者

(2) 所有者の氏名若しくは名称又は住所の変更があったとき。 所有者

(3) 管理責任者の氏名又は住所の変更があったとき。 管理責任者

(4) その全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又は亡失し、若しくは盗難にあったとき。 所有者(管理責任者がある場合は、その者)

(5) その所在の場所を変更しようとするとき又は区域内の土地につき、その所在、地番、地目若しくは地積に異動があったとき。 所有者又は管理責任者

(6) その他教育委員会が特に必要と認めるとき。 教育委員会が定める者

2 区登録無形文化財及び区指定無形文化財について、次の各号の一に該当するときは、当該各号に定める者は、速やかに教育委員会に届け出なければならない。

(1) 保持者の氏名又は住所の変更があったとき。 保持者

(2) 保持団体の名称若しくは事務所の所在地の変更があったとき又は構成員の著しい異動があったとき。 保持団体の代表者

(3) 保持団体の代表者の変更があったとき。 保持団体の新代表者

(4) 保持者が死亡したとき。 保持者の相続人

(5) 保持団体が解散したとき。 保持団体の代表者であった者

(6) その他教育委員会が特に必要と認めるとき。 教育委員会が定める者

(公開)

第15条 教育委員会は、区登録有形文化財及び区指定有形文化財並びに区登録有形民俗文化財及び区指定有形民俗文化財の所有者に対し、教育委員会の行う公開の用に供するためこれらの出品を求めることができる。この場合の公開の用に供する期間は、6箇月以内とする。

2 教育委員会は、区登録・指定文化財の所有者又は保持者等その他保存に当たっている者又は団体に対し、当該区登録・指定文化財の公開又はその記録の公開を求めることができる。

3 前2項の規定による出品及び公開に要する経費については、区がその全部又は一部を負担することができる。

(奨励金の交付)

第16条 区は、区登録・指定文化財の保護の奨励のため、その所有者、保持者等及びその他保存に当たっている者又は団体で教育委員会が適当と認めるものに対し、予算の範囲内で奨励金を交付することができる。

(補助金の交付)

第17条 区は、区指定有形文化財等の修理又は管理に関し必要な措置(以下「修理等」という。)につき多額の経費が必要と認められる場合には、その所有者に対し、当該経費の一部として予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 区は、区指定無形文化財の保持者等及びその他その保存に欠くことのできない者で教育委員会が適当と認めるもの並びに区指定無形民俗文化財の保存に当たっている者又は団体で教育委員会が適当と認めるものに対し、その保存に要する経費の一部として予算の範囲内で補助金を交付することができる。

3 教育委員会は、前2項の規定により補助金を交付する場合には、補助金の交付の目的を達成するため必要な範囲内において条件を付すとともに、特に必要があると認めるときは、当該修理等又は保存について指導及び助言をすることができる。

(補助金の返還等)

第18条 前条の規定による補助金の交付を受ける者が、次の各号の一に該当するときは、区は、当該補助金の全部若しくは一部を交付せず、又はその者に対して既に交付した補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。

(1) 不正の手段により補助金の交付を受け、又は受けようとしたとき。

(2) 補助の条件に従わなかったとき。

(3) 補助金を目的外に使用したとき。

(4) 修理等に関し法令等に違反したとき。

(5) その他教育委員会が特に必要と認めるとき。

(有償譲渡の場合の納付金)

第19条 第17条第1項の規定により補助金を交付した区指定有形文化財等のその当時における所有者又はその相続人、受遺者若しくは受贈者は、補助に係る修理等が行われた後、当該区指定有形文化財等を有償で譲り渡した場合においては、別表で定める算式により計算して得た金額(この金額に1,000円未満の端数がある場合は、これを切り捨てた金額)を区に納付しなければならない。

2 補助に係る修理等が行われた後、当該区指定有形文化財等を区に譲り渡した場合その他特別の事情がある場合には、区は、前項の規定により納付すべき金額の全部又は一部の納付を免除することができる。

(所有者の変更に伴う権利義務の承継)

第20条 区登録有形文化財等又は区指定有形文化財等の所有者が変更したときは、新所有者は、当該区登録有形文化財等又は区指定有形文化財等に関する旧所有者の権利義務を承継する。

第4章 文化財保護審議会

(設置)

第21条 文化財保護行政の円滑な運営を図るため、教育委員会に墨田区文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事項)

第22条 審議会は、教育委員会の諮問に応じ文化財の保存及び活用に関する事項を調査審議し、並びにこれらの事項について教育委員会に意見を述べる。

(審議会への諮問)

第23条 教育委員会は、次に掲げる事項については、あらかじめ審議会に諮問しなければならない。

(1) 区登録文化財の登録及びその解除

(2) 区指定文化財の指定及びその解除

(3) 区登録無形文化財又は区指定無形文化財の保持者等の認定及びその解除

(4) その他教育委員会が必要と認める事項

(組織)

第24条 審議会は、委員8人以内で組織する。

2 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。

3 専門的事項を調査研究するため必要があるときは、審議会に専門部会を置くことができる。

(委員の選任)

第25条 委員及び臨時委員は、文化財に関し広くかつ高い識見を有する者のうちから、教育委員会が委嘱する。

(委員の任期)

第26条 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 臨時委員は、当該特別の事項の調査審議が終了したとき退任するものとする。

(会長及び副会長)

第27条 審議会に会長及び副会長1人を置き、委員の互選によりこれを定める。

2 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。

(会議)

第28条 審議会は、会長が招集する。

2 審議会は、委員及び議案に関係のある臨時委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席した委員及び議案に関係のある臨時委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

第5章 雑則

(委任)

第29条 この条例の施行について必要な事項は、教育委員会規則で定める。

この条例は、昭和57年4月1日から施行する。

(平成17年3月30日条例第19号)

この条例は、平成17年4月1日から施行する。

別表

〔算式1〕 納付基準額=(区指定有形文化財等の修理等につき区が交付した補助金の額/耐用年数)×(耐用年数-当該補助に係る修理等を行った時から、当該区指定有形文化財等を譲渡した時までの年数)

〔算式2〕 区に納付する金額=納付基準額-(区指定有形文化財等について区の補助に係る修理等を行った後、当該区指定有形文化財等の修理等につき自己の費やした金額)

備考

1 区が補助金を交付した回数が2回以上あるときは、その各々について〔算式1〕により得られた金額の合計額を納付基準額とする。

2 1年に満たない端数は切り捨てる。

3 耐用年数とは、補助に係る修理等によって延びた耐用年数をいい、その年数は、次のとおりとする。

(1) 木造の文化財 10年

(2) 石造り、コンクリート造り又は金属製の文化財 30年

(3) (1)及び(2)に掲げる文化財以外の文化財 20年

墨田区文化財保護条例

昭和57年3月31日 条例第21号

(平成17年4月1日施行)

体系情報
例規集/第11類 育/第6章 文化財
沿革情報
昭和57年3月31日 条例第21号
平成17年3月30日 条例第19号