○源泉徴収所得税取扱要領

昭和50年5月31日

50墨収発第56号

1 源泉徴収をしなければならない支払金

区が支払の際に、源泉徴収義務者として所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければならない支払金は、次のものである。(所得税法(昭和40年法律第33号。以下「法」という。)第183条、法第199条、法第204条、法第212条)なお、詳細は別表参照のこと。

(1) 給与等(法第28条第1項・給与所得)

給与等とは、俸給、給料、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与であつて、例示すれば次のものである。

ア 職員(議員並びに行政委員会、附属機関、各種委員会等の委員その他の構成員、専門委員及び上記以外の常勤・非常勤職員をいう。以下同じ。)に定期又は勤務日ごとに支払う給料、報酬、手当等

イ 職員が他の機関から調査員等に任命されたことに基づき支払う報酬

ウ 職員に謝礼等の名目で「報償費」から支払う謝礼金(注1)

注1 弁護士及び企業診断士等の本来業務に関する支払金は、法第204条を適用すること。

(2) 退職手当等(法第30条第1項・退職所得)

退職手当等とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与をいう。

(3) 講演、弁護士・企業診断士等の業務、芸能等に係る報酬、料金又は賞金(法第204条)これに該当する支払金は、法第204条第1項第1号から第8号まで、所得税法施行令(昭和40年政令第96号)第320条並びに基本通達及び諸個別通達により詳細に定められているが、区からの支払金の内容はおおむね別表に掲げたものに限定されている。(注2)

注2 法第204条適用上の注意事項

○ 支払を受ける者は個人に限られること。

○ 給与所得又は退職所得に該当するものは含まれないこと。(例 弁護士を非常勤職員としたときの報酬は、給与所得となるので法第204条適用外)

2 所得税額の計算

(1) 給与等

給与所得の源泉徴収税額表の月額表甲欄、乙欄若しくは日額表甲欄、乙欄、丙欄又は賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表による。(注3・4)

注3

(1) 月額表は給与等の支給期が毎月、毎半月、毎旬及び月の整数倍の期間ごとに定められている場合に使用すること。

(2) 日額表は給与等の支給期が毎日と定められている場合に使用すること。

(3) 甲欄は「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した者に適用すること。

(4) 乙欄は「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出がない者又は「従たる給与についての扶養控除等申告書」の提出があつた者に適用すること。

(5) 丙欄はあらかじめ定められた雇用期間が2月以内で、労働した日又は時間によつて算定される給与等(継続して2月を超えて支払を受ける場合におけるその2月を超えて支払を受けるものを除く。)に適用すること。

注4 職員の例月給与を担当する課(当該課が2課以上にわたるときは支給額の多い課)以外の課が、職員に給与所得とすべき支払金を支出しようとするときは、給与担当課の給与取扱者と連絡の上所得税及び復興特別所得税の上積計算を行い、そのつど「給与(報酬)等に加算すべき支払金通知書(第1号様式)」により通知して年末調整及び法定調書に合算させること。

(2) 退職手当等

退職所得の源泉徴収税額の速算表による。

(3) 法第204条関係

ア 同一人に対し一回に支払われる金額が100万円以下のものは10%(ウに該当するものを除く。)

イ 同一人に対し一回に支払われる金額が100万円を超えるものは100万円までの部分の10%と、100万円を超える部分の20%の合計額(ウに該当するものを除く。)

ウ 司法書士、土地家屋調査士等の業務に関するものは、同一人に対し一回に支払われる金額から1万円を控除した残額に対して一律10%

(4) 復興特別所得税

前号の規定の適用に当たっては、平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間、同号に規定する所得税率に東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号)の規定による復興特別所得税率を加えるものとする。

3 所得税及び復興特別所得税の源泉徴収方法(注5・6)

(1) 支出命令書とともに会計管理室へ送付するもの

ア 支給を受ける者の住所、氏名、職業並びに支払金の内容及び税法適用条項、適用税額表欄の区分の記載ある支出(負担行為)決定文書。ただし、例月給与等については省略してもよいが、法第204条関係等異例のものは詳細に記載する。

イ 収入通知書

会計 歳入歳出外現金

款 保管金

項 源泉徴収所得税・復興特別所得税

目 源泉徴収所得税・復興特別所得税

ウ 源泉徴収所得税納付書(源泉徴収所得税計算書)(第2号様式)

注5 事業開催等に伴う報償費・報酬を資金前渡の方法で支出する場合(給与取扱者を資金前渡受者とする場合を除く。)においては、支払予定者の変更等のあることを想定して支払の際に所得税及び復興特別所得税を徴収することとし、所得税及び復興特別所得税納付後イ及びウ(領収書)を資金前渡精算関係書類とともに会計管理室に送付すること。

注6 所得税及び復興特別所得税額が零のときも支払額を把握する必要があるので、源泉徴収所得税計算書のみを送付すること。

(2) 納入済通知書の取扱い

納入済通知書は、税務署への所得税関係提出書類の作成資料とするため会計管理室において整理保管する。

4 国への所得税納付及び法定調書の提出(注7)

(1) 例月事務

徴収した所得税及び復興特別所得税は当月分をとりまとめ、会計管理室において源泉徴収所得税計算書に基づき所得税納付書及び徴収高計算書を作成のうえ翌月10日までに税務署へ納付する。

(2) 法定調書提出事務

1月31日までに税務署に提出しなければならない法定調書は、関係各課が当該調書を1月20日までに会計管理室に送付し、会計管理室で合計表を作成して税務署に一括提出することとする。

注7 法定調書の種類

(1) 給与所得の源泉徴収票

(2) 退職所得の源泉徴収票

(3) 不動産の使用料等の支払調書

(4) 不動産等の譲受けの対価の支払調書

(5) 不動産等の売買又は貸付のあつせん手数料の支払調書

(6) 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 ただし、法204条に該当するこの支払調書については、同一受給者が各課から支給されることを想定して、会計管理室で作成する。

5 消費税の課税対象となる報酬・料金等の取扱い

法第204条に規定する報酬・料金等に消費税及び地方消費税が含まれている場合には、原則として、消費税及び地方消費税の額を含めた金額を源泉徴収の対象とする。ただし、契約書又は支払を受ける者からの請求書等により、報酬・料金等の額と消費税及び地方消費税の額とが明確に区分されている場合には、消費税及び地方消費税の額を除いた金額を源泉徴収の対象として差し支えない。(注8)

注8 この場合における源泉徴収所得税計算書の記載方法は、支給額欄に消費税及び地方消費税の額を除いた報酬・料金等の額を記載し、支給内容欄等に消費税及び地方消費税の額を付記すること。

6 所得税関係の質疑及び指導について

所得税関係については、法律、政令及び基本(個別)通達に基づいても、なお、個々の事例に関しては条文の適用解釈に疑問を生ずることが多いと思われるが、会計管理室で指導をするので照会すること。

また、税務官署への質疑照会は、会計管理室から行うこととするので、個別に照会等することのないよう注意すること。

7 様式

この要領の施行に必要な様式は、別記のとおりとする。

1 この要領は、平成5年11月15日から施行する。

2 この要領により付属様式として改められる旧帳票のうち、現に用紙の存するものは、当該用紙の存する間、なお、使用することができる。

1 この要領は、平成15年4月1日から適用する。

2 この要領による改正前の要領第2号様式による用紙で、現に残存するものは、当分の間、なお使用することができる。

この要領は、令和2年10月1日から適用する。

別表

所得税法上関連のある支払金一覧表

所得区分

支給対象者

支出根拠

支出科目

税額(率)適用

所得税関係法令・通達

給与等

給与所得法28条


1 区議会議員

区議会議員の報酬及び費用弁償等に関する条例

報酬

月額表甲、乙

法第28条第1項

給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう。

法第183条第1項

居住者に対し国内において第28条第1項に規定する給与等の支払いをする者は、その支払いの際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。

法第185条第1項

次条に規定する賞与以外の給与等について第183条第1項の規定により徴収すべき所得税の額は、次の各号に掲げる給与等の区分に応じ当該各号に定める税額とする。

一 給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者に対し、その提出の際に経由した給与等の支払者が支払う給与等次に掲げる場合の区分に応じ、その給与等の金額、当該申告書に記載された控除対象配偶者及び扶養親族の有無及びその数に応ずる次に定める税額

イ 給与等の支給期が毎月と定められている場合別表第2の甲欄に掲げる税額

ホ 給与等の支給期が毎日と定められている場合別表第3の甲欄に掲げる税額

二 前号及び次号に掲げる給与等以外の給与等 次に掲げる場合の区分に応じ、その給与等の金額、従たる給与についての扶養控除等申告書の提出の有無並びに当該申告書に記載された第195条第1項第3号に規定する控除対象配偶者及び扶養親族の数に応ずる次に定める税額

イ 給与等の支給期が毎月と定められている場合別表第2の乙欄に掲げる税額

ホ 給与等の支給期が毎日と定められている場合別表第3の乙欄に掲げる税額

2 教育委員会委員

3 選挙管理委員会委員

4 監査委員

行政委員会の委員及び非常勤の監査委員の報酬及び費用弁償に関する条例

5 法令、条例による附属機関の構成員

附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例

報酬

月額表甲、乙又は日額表甲、乙、丙

6 選挙長等

選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例

7 専門委員

非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例

8 上記に該当しない非常勤職員

非常勤職員設置要綱により正式発令された職員

非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例/非常勤職員の任用、報酬その他勤務条件等に関する要綱/個別要綱

9 会計年度任用職員

会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例

給料

月額表甲、乙

10 上記に該当しない常勤職員

区長等の給料等に関する条例/教育長の給料等及び勤務に関する条例/職員の給与に関する条例/墨田区常勤の監査委員の給料等に関する条例/幼稚園教育職員の給与に関する条例



注 職員を主たる職務以外に従事させた場合にその者が受ける対価は、主たる職務に係る給与に上積計算をすること。

退職手当等

退職所得法30条

退職者

区長等の退職手当に関する条例

職員の退職手当に関する条例

職員手当等(退職手当)

退職所得の源泉徴収税額の速算表

(法第201条第1項)

(法第89条第1項)

退職所得の受給に関する申告書の提出のない者は20%

(法第201条第3項)

法第30条第1項

退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与に係る所得をいう。

法第199条

居住者に対し国内において第30条第1項に規定する退職手当等の支払いをする者は、その支払いの際、その退職手当等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。

所得区分

源泉徴収の対象となる支払金

支出根拠

支出科目

税額(率)適用

所得税関係法令・通達

個人が支払を受ける報酬・料金等

法204条

1項1号

講演料、原稿料、技芸・スポーツ・知識等の教授・指導料・挿絵の料金、写真の報酬、作曲料、デザイン料、脚本料、脚色料、書籍の装丁料

謝礼金等決定文書又は契約書

報償費又は委託料

同一人に対し一回支払われる金額が

(1) 100万円まで 10%

(2) 100万円を超えるもの

①100万円までの部分 10%

②100万円を超える部分 20%

(法第205条第1号)

法第204条第1項

居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日間までに、これを国に納付しなければならない。(略)

(条文中の「次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金については、左記の「源泉徴収の対象となる支払金」欄参照)左の技芸・スポーツ・知識等の教授・指導料に含まれるもの

(1) 生け花、茶の湯、舞踊、囲碁、将棋等の遊芸師匠に対し実技指導の対価として支払う謝金

(2) 編み物、ペン習字、着付、ダンス、カラオケ、民謡、語学、短歌、俳句等の教授・指導に係る謝金

(3) 各種資格取得講座に係る講師謝金

ほん訳料、通訳料、校正料、テープ等の吹き込み、速記料等

報償費又は役務費

著作権使用料、工業所有権使用料

支出決定文書

使用料及び賃借料

1項2号

弁護士、公認会計士、税理士、測量士、建築士、技術士、企業診断員(企業経営の改善及び向上のための指導を行う者を含む。)等の業務に関する報酬、料金

謝礼金等決定文書又は契約書

報償費又は委託料

 

不動産鑑定士の業務に関する報酬、料金

報償費又は役務費

司法書士、土地家屋調査士等の業務に関する報酬、料金

報償費又は委託料

同一人に対し一回に支払われる金額から1万円を控除した残額に対して一律10%(法第205条第2号)

(令第322条)

1項5号

映画、演劇、芸能の出演の報酬、料金

映画、演劇、芸能の演出(指揮、監督、映画若しくは演劇の制作、振付け、舞台装置、照明、撮影、演奏、録音を含む。)又は企画の報酬、料金

謝礼金等決定文書又は契約書

報償費又は委託料

同一人に対し一回に支払われる金額が

(1) 100万円まで 10%

(2) 100万円を超えるもの

①100万円までの部分 10%

②100万円を超える部分 20%

(法第205条第1項)

左記の芸能に該当するもの

音楽、音曲、舞踊、講談、落語、浪曲漫談、漫才、腹話術、歌唱、奇術、曲芸又は物まね

(令第320条第4項)

芸能人の役務の提供を内容とする事業に関する報酬、料金

契約書

委託料

左記の芸能人に当該する者

映画若しくは演劇の俳優、映画監督若しくは舞台監督(プロデューサーを含む。)、演出家、放送演技者、音楽指揮者、楽士、舞踏家、講談師、落語家、浪曲師、漫談家、漫才家、腹話術師、歌手、奇術師、曲芸師又は物まね師(令第320条第5項、令第298条第9項)

※注 源泉徴収を要しない旨の税務署長の証明書を提示した者に支払う場合は、源泉徴収不要(法第206条)

(1) 上記の報酬、料金には、給与所得又は退職所得に該当するものは含まれない。

(2) 職員に謝礼等の目的で「報償費」から支出するものは、給与所得となるので、上積計算をすること。

(3) 法第204条に規定する報酬・料金等に消費税が含まれているときは、源泉徴収税額の算出にあたり注意をすること。

注(1) 個々の事例について疑問があるときは会計管理室に照会すること。

注(2) 表の所得税関係法令・通達欄における源泉徴収義務に関する条文は、要所を抜き出したものなので、適宜条文本文に当たること。

注(3) 表の所得税関係法令・通達欄における源泉徴収義務に関する条文(法第183条第1項、第199条及び第204条第1項)中、「その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。」として規定された徴収後の国への納付事務については、会計管理室が行う。

別記様式 省略

源泉徴収所得税取扱要領

昭和50年5月31日 墨収発第56号

(令和2年10月1日施行)

体系情報
要綱集/ 会計管理室
沿革情報
昭和50年5月31日 墨収発第56号
平成5年11月4日 墨収第94号
平成15年5月19日 墨収第39号
平成20年3月31日 墨会第318号
平成28年3月31日 墨会第618号
平成31年4月15日 墨会第15号
令和2年9月28日 墨会第268号