○墨田区女性と男性及び多様な性の共同参画基本条例

平成17年12月9日

条例第52号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 性別等に起因する差別等の禁止(第10条)

第3章 基本的施策(第11条―第14条)

第4章 苦情調整機関(第15条―第21条)

第5章 墨田区男女共同参画推進委員会(第22条―第27条)

第6章 雑則(第28条)

付則

日本国憲法にうたわれている個人の尊重と法の下の平等は、全ての人に保障されている権利であり、その権利の実現は、私たち墨田区民の共通の願いである。

墨田区では、地域の特性を踏まえつつ、これまで男女共同参画社会の形成に向けてさまざまな施策を着実に推進し、性別による差別の解消に努めてきた。

しかしながら、家庭、職場、学校、地域社会等において性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会制度や慣行が、今なお存在するなど、多くの課題が残されており、その解決が求められている。さらに、互いの違いを理解し認め合うことの重要性が高まる中、性の多様性を尊重し、性的指向や性自認等を理由とする差別や偏見の解消が求められている。

また、本格的な少子高齢化の進展、家族形態及び雇用形態の多様化等に適切に対応し、一人一人が輝くまちすみだとして発展していくためには、性別を問わずその個性と能力を十分発揮できる機会が確保されることが重要である。

私たちは、今ある女性と男性の格差解消を目指すとともに、多様な性を尊重し、性別等により差別されることなく、地域の中で、お互いの人権を尊重し、誰もが共に責任を分かち合う男女共同参画社会を実現することを決意し、ここに、この条例を制定する。

(令4条34・一部改正)

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、区、区民、事業者、地域団体及び教育関係者等の責務を明らかにするとともに、区の施策の基本的事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(以下「男女共同参画施策」という。)を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。

(令4条34・一部改正)

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画社会 性別等にかかわらず、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって全ての人が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会をいう。

(2) 性別等 生物学的な性別、性的指向(どの性別を恋愛感情又は性的な関心若しくは興味の主な対象とするかしないかを表すものをいう。以下同じ。)及び性自認(自己の性別についての認識をいう。以下同じ。)をいう。

(3) 区民 日本国籍を有するか否かにかかわらず、区内に在住し、在勤し、又は在学する個人をいう。

(4) 事業者 区内において事業活動を行う法人その他の団体及び個人をいう。

(5) 地域団体 区内において活動拠点を有し、地域活動を行う団体をいう。

(6) 教育関係者等 区内において保育、幼児教育、学校教育、生涯学習その他のあらゆる学習の場に携わる個人及び法人その他の団体をいう。

(7) 性別表現 外面に表れる性別についての自己表現をいう。

(8) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動(性的指向又は性自認に関する言動を含む。)が、本人の意図に関係なく、相手又は周囲の者の尊厳を傷つけ、不利益又は脅威を与えることをいう。

(9) ハラスメント 前号に掲げるもののほか、他者に対する言動が、本人の意図に関係なく、相手又は周囲の者の尊厳を傷つけ、不利益又は脅威を与えることをいう。

(10) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、交際相手等の親密な関係にある者又はあった者に対し、身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為をいう。

(令4条34・一部改正)

(基本理念)

第3条 男女共同参画社会を形成するため、次の各号に掲げる事項を基本理念として定める。

(1) 全ての人が性別等に起因する差別的な取扱いを受けず、その人権が尊重されること。

(2) 全ての人の性的指向又は性自認が尊重され、誰からも干渉又は侵害を受けないこと。

(3) 全ての人が性別等による役割の固定化をもたらす社会制度及び慣行を解消するように努めるとともに、一人一人がその個性と能力を十分発揮し、自己の意思により社会における多様な活動を選択できること。

(4) 性別等にかかわらず、全ての人が社会の対等な構成員として、あらゆる分野における活動の方針の立案及び決定過程に参画する機会が確保されること。

(5) 結婚、妊娠、出産、育児その他の経験の有無を問わず、個人の自己決定が尊重され、全ての人の生き方を尊重し合うこと。

(6) 家庭において、全ての人が対等な構成員として、その人権を尊重し、かつ、協力し合うこと。

(7) 性別等にかかわらず、全ての人が相互の協力及び社会の支援のもとに、家庭生活及び社会生活、地域活動等を両立できること。

(8) 保育、幼児教育、学校教育、生涯学習その他のあらゆる学習の場において男女共同参画社会の形成に向けた取組がなされること。

(令4条34・一部改正)

(区の責務)

第4条 区は、基本理念に基づき、男女共同参画施策を策定し、合理的配慮の範囲内において、総合的かつ計画的に推進しなければならない。

2 区は、男女共同参画施策を推進するため、必要な体制を整備するとともに、財政上の措置を講じなければならない。

3 区は、男女共同参画施策を推進するに当たり、国及び他の地方公共団体と連携し、協力しなければならない。

(令4条34・一部改正)

(区民の責務)

第5条 区民は、基本理念に基づき、男女共同参画社会についての理解を深め、社会のあらゆる分野における活動において、男女共同参画社会の形成を、合理的配慮の範囲内において積極的に推進するよう努めなければならない。

2 区民は、区が実施する男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。

(令4条34・一部改正)

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念に基づき、男女共同参画社会についての理解を深め、その事業活動に関し、男女共同参画社会の形成を、合理的配慮の範囲内において積極的に推進するよう努めなければならない。

2 事業者は、区が実施する男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。

(令4条34・一部改正)

(地域団体の責務)

第7条 地域団体は、基本理念に基づき、男女共同参画社会についての理解を深め、その団体活動に関し、男女共同参画社会の形成を、合理的配慮の範囲内において積極的に推進するよう努めなければならない。

2 地域団体は、区が実施する男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。

(令4条34・一部改正)

(教育関係者等の責務)

第8条 教育関係者等は、基本理念に基づき、男女共同参画社会についての理解を深め、その教育活動に関し、男女共同参画社会の形成を、合理的配慮の範囲内において積極的に推進するよう努めなければならない。

2 教育関係者等は、区が実施する男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。

(令4条34・追加)

(区、区民、事業者、地域団体及び教育関係者等の協働)

第9条 区、区民、事業者、地域団体及び教育関係者等は、協働して男女共同参画社会の形成に努めなければならない。

(令4条34・旧第8条繰下・一部改正)

第2章 性別等に起因する差別等の禁止

(令4条34・改称)

(性別等に起因する差別等の禁止)

第10条 何人も、家庭、職場、学校、地域社会等あらゆる場において、性別等に起因する差別的な取扱い及びその他の人権侵害をしてはならない。

2 何人も、あらゆる場において、セクシュアル・ハラスメント若しくは婚姻、妊娠、出産、育児、介護等に起因するハラスメント(第13条第6号において「セクシュアル・ハラスメント等」という。)又はドメスティック・バイオレンスその他の暴力行為をしてはならない。

3 何人も、他人の性的指向、性自認等の公表に関して、いかなる場合も、強制し、若しくは禁止し、又は本人の意に反して公にしてはならない。

4 何人も、正当な理由がない限り、他人の性別表現を妨げてはならない。

(令4条34・旧第9条繰下・一部改正)

第3章 基本的施策

(行動計画の策定)

第11条 区長は、男女共同参画施策を総合的かつ計画的に推進するための行動計画(以下「行動計画」という。)を策定しなければならない。

2 区長は、行動計画を策定し、又は変更したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

3 区長は、行動計画を策定し、又は変更するときは、区民、事業者、地域団体、教育関係者等その他の個人又は団体の意見を反映できるよう適切な措置を講ずるとともに、第22条に規定する墨田区男女共同参画推進委員会の意見を聴かなければならない。

(令4条34・旧第10条繰下・一部改正)

(年次報告)

第12条 区長は、行動計画に基づく施策の実施状況について、年次報告書を作成し、区民に公表しなければならない。

(令4条34・旧第11条繰下)

(推進施策)

第13条 区は、男女共同参画社会の形成を積極的に推進するため、次の各号に掲げる施策を行うものとする。

(1) 男女共同参画社会の形成に必要な事項の調査研究、普及及び広報に関する施策

(2) 家庭、職場、学校、地域社会等において性別等による役割の固定化又は差別的な取扱いを受けることにより、社会活動における選択の自由が制約されることのないよう必要な措置を講ずる施策

(3) 性別等にかかわらず、全ての人が、人生を共にしたい人と家族として暮らすことを尊重する施策

(4) 性別等にかかわらず、全ての人が、共に協力し合うことにより、家庭生活及び社会生活、地域活動等を両立することができるよう必要な支援に関する施策

(5) 保育、幼児教育、学校教育、生涯学習その他のあらゆる学習の場における男女共同参画社会の形成への取組に対する必要な支援に関する施策

(6) セクシュアル・ハラスメント等及びドメスティック・バイオレンスの防止及びこれらの被害者に対する支援に関する施策

(7) 事業者に対する雇用の分野における情報の提供その他の必要な支援に関する施策

(8) 前各号に掲げるもののほか、男女共同参画社会の形成を促進するために必要な施策

(令4条34・旧第12条繰下・一部改正)

(拠点施設)

第14条 区は、男女共同参画社会の形成に関し、区民、事業者、地域団体、教育関係者等その他の個人又は団体による活動の支援、相談、情報収集その他の男女共同参画施策の推進を積極的に行う拠点施設を設置するものとする。

(令4条34・旧第13条繰下・一部改正)

第4章 苦情調整機関

(設置)

第15条 区長は、次条第1項に掲げる事項について、区民、事業者、地域団体及び教育関係者等(以下「区民等」という。)からの申出を適切かつ迅速に処理するため、区長の附属機関として墨田区男女共同参画苦情調整委員会(以下「苦情調整委員会」という。)を設置するものとする。

(令4条34・旧第14条繰下・一部改正)

(申出の範囲)

第16条 区民等が、区長に申し出ることができる事項の範囲は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 性別等に起因する差別等、男女共同参画社会の形成を阻害する要因によって人権が侵害されたと認められる事項又は侵害されるおそれがあると認められる事項に関すること。

(2) 区が実施する男女共同参画施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策に関すること。

2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事項については、区民等は申出をすることができない。

(1) 裁判において係争中の事項又は判決等のあった事項

(2) 法令の規定により、不服申立てを行っている事項又は不服申立てに対する裁決等のあった事項

(3) 区議会等に請願、陳情等を行っている事項

(令4条34・旧第15条繰下・一部改正)

(所掌事務等)

第17条 区長は、前条第1項に掲げる事項に関する区民等からの申出について、必要があると認めるときは、苦情調整委員会に、当該申出について諮問をすることができる。

2 前項の規定により区長から諮問を受けた苦情調整委員会は、申出に関する調査を行い、調査の結果に関する答申を決定し、区長に送付するものとする。この場合において、苦情調整委員会は、必要があると認めるときは答申において助言、指導、是正の要請等必要な措置を講ずるよう区長に意見を述べることができる。

3 前項の規定による答申の決定は、苦情調整委員会の委員(以下「苦情調整委員」という。)の合議によるものとする。

4 区長は第2項に規定する答申を受けたときは、当該答申を尊重して、必要な措置を講ずるよう努めるとともに、調査結果及び講じた措置の内容(以下「調査結果等」という。)を申出人に通知しなければならない。この場合において、申出が前条第1項第2号に掲げる事項である場合には、区長は当該調査結果等を公表しなければならない。

(令4条34・全部改正)

(定数等)

第18条 苦情調整委員の定数は3人以内とし、男女共同参画社会の形成に関し優れた人格識見を有する者のうちから、区長が委嘱する。

(令4条34・一部改正)

(兼職の禁止)

第19条 苦情調整委員は、衆議院議員若しくは参議院議員、地方公共団体の長若しくは議会の議員、政党その他の政治団体の役員又は苦情調整委員会の公正な職務の遂行に支障が生ずるおそれがあると区長が認める職を兼ねることはできない。

(委員の任期)

第20条 苦情調整委員の任期は2年とする。ただし、苦情調整委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 苦情調整委員は、再任されることができる。

(令4条34・一部改正)

(守秘義務)

第21条 苦情調整委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

第5章 墨田区男女共同参画推進委員会

(設置)

第22条 男女共同参画施策を推進するため、区長の附属機関として、墨田区男女共同参画推進委員会(以下「推進委員会」という。)を設置する。

(所掌事務)

第23条 推進委員会は、次の各号に掲げる事務を行うものとする。

(1) 行動計画の策定又は変更及び男女共同参画社会の形成に関する重要事項について区長の諮問に応じ、調査し、及び審議し、答申すること。

(2) 男女共同参画施策の実施状況について調査し、及び審議し、区長に意見を述べること。

(組織)

第24条 推進委員会の委員(以下「推進委員」という。)は、17人以内とし、男女共同参画社会の形成について学識経験を有する者、区民、事業者(法人その他の団体にあっては、その代表者)、地域団体の代表者、教育関係者等その他の個人又は団体の代表者の中から、区長が委嘱する。

2 推進委員は、女性及び男性のいずれの性も委員の総数の4割を超えるように努めなければならない。

(令4条34・一部改正)

(委員の任期)

第25条 推進委員の任期は2年とする。ただし、推進委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 推進委員は、再任されることができる。

(関係機関等への協力要請)

第26条 推進委員会は、必要に応じて、区民等その他委員以外の者に対し、推進委員会の会議への出席、意見、説明又は資料の提出その他の必要な協力を求めることができる。

(部会の設置)

第27条 推進委員会に部会を置くことができる。

第6章 雑則

(委任)

第28条 この条例の施行に関し必要な事項は、墨田区規則で定める。

この条例は、平成18年4月1日から施行する。ただし、第4章の規定は、平成18年10月1日から施行する。

(令和4年9月30日条例第34号)

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

墨田区女性と男性及び多様な性の共同参画基本条例

平成17年12月9日 条例第52号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
例規集/第8類 民/第7章
沿革情報
平成17年12月9日 条例第52号
令和4年9月30日 条例第34号