○墨田区介護保険サービス事業者等に対する指導及び監査実施要綱

平成18年6月30日

18墨福高介第658号

(趣旨)

第1条 この要綱は、介護保険法(平成9年法第123号。以下「法」という。)第23条、第42条、第42条の3、第45条、第47条、第49条、第54条、第54条の3、第57条、第59条、第76条、第78条の7、第83条、第90条、第100条、第114条の2、第115条の7、第115条の17、第115条の27及び第115条の33の規定に基づき、介護保険に係るサービス提供事業者及び介護保険施設等(以下「サービス事業者等」という。)に対して、区が行う指導及び監査について、基本的事項を定めることとする。

(目的)

第2条 指導及び監査は、サービス事業者等に対して行う介護給付及び予防給付(以下「介護給付等」という。)に係る指定居宅サービス及び指定施設サービス等(以下「介護給付等対象サービス」という。)の内容並びに介護給付等に係る費用(以下「介護報酬」という。)の請求、業務管理体制に関し、法令、通達及び福祉保健部長が別に定める指導に係る基準(以下「指導基準」という。)に対する適合状況等について、個別に明らかにし、必要な助言及び指導又は是正の措置を講ずることにより、介護給付等対象サービスの質の確保及び利用者保護並びに保険給付の適正化、業務管理体制の適正な整備・運用を図ることを目的とする。

(指導及び監査の対象)

第3条 この要綱に基づく指導及び監査の対象は、次の各号に掲げるサービス事業者等とする。

(1) 指定居宅サービス事業者

(2) 指定地域密着型サービス事業者

(3) 指定地域密着型介護予防サービス事業者

(4) 指定居宅介護支援事業者

(5) 指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、指定介護医療院

(6) 指定介護予防サービス事業者

(7) 居宅介護及び介護予防のための住宅改修を行う者等

(8) 指定介護予防支援事業者

(9) 第1号から第6号まで及び第8号に規定する事業者で、法の特例によりサービスを行う者

(指導方針)

第4条 指導は、介護給付等対象サービスの取扱い及び介護報酬の請求等に関する事項について周知徹底させるとともに、指導基準等に照らし改善の必要があると認められる事項については、適切な助言及び指導を行うことを主眼として実施する。

(指導形態)

第5条 指導形態は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 集団指導

指導の対象となるサービス事業者等を、必要な指導内容に応じ、一定の場所に集めて講習等の方法により行う。

(2) 運営指導

指導の対象となるサービス事業者等の事業所において実地に行う。

 一般指導

区が単独で運営指導を行うもの

 合同指導

区が厚生労働省又は東京都と合同で運営指導を行うもの

(指導対象の選定基準)

第6条 指導対象は、全てのサービス事業者等(区に指定権限があるサービス事業者等を優先する。)を対象とし、指導対象の選定基準は別表1のとおりとする。この場合において、選定に当たっては、サービス事業者等の指定有効期間に最低でも1回以上実施するものとする。

2 東京都が運営指導等を行った結果、特に問題が認められなかったサービス事業者等については、当該指定有効期間における運営指導は省略して差し支えないものとする。

(指導の実施方針)

第7条 指導を効率的・効果的に実施するため、指導の重点事項等を掲げる実施方針(以下「実施方針」という。)を、毎年度、別に定めるものとする。

(指導の実施方法等)

第8条 指導の実施方法等は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 集団指導

 指導通知

指導対象となるサービス事業者等を決定したときは、あらかじめ集団指導の実施日、場所、出席者、指導内容等を当該サービス事業者等におおむね30日前に通知する。

 指導方法

指導は、介護給付等対象サービスの取扱い、介護報酬の請求内容、制度改正内容及び過去の指導事例等について、講習等の方法で行う。ただし、オンライン等(オンライン会議システム、ホームページ等。以下同じ。)の活用による動画の配信等による実施も可能とする。

(2) 運営指導

 指導通知

指導対象となるサービス事業者等を決定したときは、おおむね30日前に運営指導の根拠規定及び目的、実施日、場所、指導担当者、出席者、準備すべき書類等を文書により当該サービス事業者等に通知する。この場合、あらかじめサービス事業者等に指導に必要となる書類の提出を求めることができる。ただし、緊急に指導を実施する必要があると判断した場合には、指導の開始時に通知を行うことができるものとする。

 指導方法

運営指導は、事業種別ごとの指導基準等に基づき、関係書類等を閲覧し、関係者からの面談方式で行う。ただし、施設若しくは設備の状態又は利用者のサービス利用状況以外の実地でなくとも確認することができる内容の場合については、情報セキュリティの確保を前提としてオンライン等を活用することができる。

 指導結果の通知

指導の結果、改善を要すると認められた事項については、実施日からおおむね30日以内に文書により指導結果を通知する。

 改善報告書の提出

サービス事業者等に対して、文書により改善を指摘した場合は、指導結果通知後30日以内に、改善報告書の提出を求める。

 指導体制

指導は、2名以上の指導班を編成して実施する。

(運営指導後の措置)

第9条 前条第2号エに規定する改善報告書により、運営指導で指摘した事項について改善が十分に図られたと認められたときは、当該サービス事業者等の当該指定有効期間内の運営指導は省略して差し支えないものとする。ただし、運営指導で指摘した事項について改善が不十分なサービス事業者等については、必要に応じて、再度、運営指導を行う。

2 運営指導の結果、介護給付等対象サービスの内容又は介護報酬の請求等に関し、不当な事実を確認したときは、当該サービス事業者等に対し自主返還を行うよう指導する。

3 運営指導の結果、第12条に規定する監査の選定基準に該当すると判断した場合は、速やかに監査を行う。

(運営指導の拒否への対応)

第10条 正当な理由がなく運営指導を拒否した場合は、監査を行う。

(監査方針)

第11条 監査は、介護給付等対象サービスの取扱い、介護報酬の請求、業務管理体制の整備等に関する事項について不正又は著しい不当が疑われる場合等において、事実関係を的確に把握し、公正かつ適切な措置を行うことを方針とする。

(監査の選定基準)

第12条 監査は、サービス事業者等が別表2のいずれかに該当する場合に行う。この場合において、運営指導中に明らかに不正又は著しい不当が疑われる場合は、運営指導を中止し、直ちに監査を行うことができる。

(監査方法)

第13条 監査は、次の各号に掲げる方法により行う。

(1) 事前調査

監査担当者は、原則として監査を実施する前に、介護給付費請求等による書面監査を行うとともに、必要と認められる場合には、介護給付等を受けた要介護者又は要支援者等(以下「要介護者等」という。)に対する実地調査を行う。

(2) 実施通知

監査対象となるサービス事業者等を決定したときは、あらかじめ監査の根拠規定、実施日、場所、監査担当者、出席者、準備すべき書類等を文書により、当該サービス事業者等に通知する。ただし、運営指導中に監査に移行した場合は、口頭により監査を実施する旨通告する。

(3) 出席者

監査に当たっては、監査対象となるサービス事業者等の開設者(又はこれに代わる者)及び管理者の出席を求めるほか、必要に応じて介護給付等対象サービスの担当者、介護報酬請求担当者又は関係者の出席を求めることができる。

(4) 報告等

区長は、不正又は著しい不当が疑われる場合等においては、介護サービス事業者等に対して、報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは当該介護サービス事業者の事業所、事務所その他介護サービスの事業に関係のある場所に立ち入り、その設備若しくは帳簿書類その他の物件の検査を行うものとする。

業務管理体制の整備・運用状況の確認等にあたっては、「介護サービス事業者に係る業務管理体制の監督について」(平成21年3月30日老発第0330077号厚生労働省老健局長通知)を踏まえ実施することとする。

(5) 監査調書の作成

監査担当者は、監査後、監査調書を作成する。

(6) 監査体制等

 監査の実施に当たっては、原則として、運営指導の指導班を中心に班を編成する。

 その他、問題の性質等の状況に応じて、特別班を編成することができる。この場合、課長級の職にあるものを長とする。

(監査後の措置)

第14条 監査後の措置は、次の各号に掲げるとおり行う。

(1) 行政上の措置

 法第78条の10、第84条、第115条の19及び第115条の29の規定に基づく指定の全部若しくは一部の効力の停止及び指定の取消し(以下「指定取消等処分」という。)並びに法第78条の9、第83条の2、第115条の18及び第115条の28の規定に基づく勧告、措置命令等を行う。この場合において、指定基準に従った適正な運営がされておらず、直ちに指定取消等処分ができる事由は、別表3のとおりである。

 監査の結果、当該サービス事業者等が指定取消等処分に該当すると認められる場合は、監査後、取消処分等の予定者に対して、行政手続法(平成5年法律第88号)の規定に基づき聴聞又は弁明の機会の付与を行わなければならない。

 指定の取消し等を行うにいたらないと認められる場合には、第9条に規定する指導後の措置に準じて指導する。

(2) 経済上の措置

 監査の結果、介護給付等対象サービスの内容又は介護報酬の請求等に関し不正又は不当の事実が認められ、これに関わる返還金が生じた場合には、法第22条第3項の規定に基づき不正利得の徴収等を行う。また、東京都国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)に連絡し、当該サービス事業者等に支払うべき介護報酬からこれを控除させるよう措置を行う。

 指定の取消し等を行った場合には、当該サービス事業者等に対し、原則として、法第22条第3項の規定により返還額に100分の40を乗じて得た額を徴収することに応じるよう指導するものとする。

 返還の対象となった介護報酬に係る要介護者等が支払った自己負担額に過払いが生じている場合には、監査対象となったサービス事業者等に対して、当該自己負担額を要介護者等に返還するよう指導する。

(3) 行政上の措置の公表等

監査の結果、指定取消等処分を行ったときは、法の規定に基づき速やかにその旨を公示する。また、法第78条の11及び第115条の20に該当する場合は、その旨を東京都知事に届け出る。

(東京都への通知)

第15条 指導又は監査を行った結果、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その旨を東京都知事に通知する。

(1) 法第74条第1項、第88条第1項、第97条第2項、第111条第2項及び第115条の4第1項の東京都の条例で定める員数を満たしていない場合

(2) 法第74条第2項、第88条第2項、第97条第3項、第111条第1項及び第115条の4第2項に規定する基準に従った適切な運営がなされていない場合

(3) 法第77条第1項、第92条第1項、第104条第1項、第114条の6第1項及び第115条の9第1項の各号のいずれかに該当する場合

(4) 法第100条第3項に該当する場合

(厚生労働省及び東京都並びに関係機関との連携)

第16条 指導の効果を高めるため、東京都及び他の保険者並びに連合会との連携を図る。

2 指導等の実施状況等については、必要に応じて厚生労働省及び東京都に報告する。

(他の保険者への通知)

第17条 指導の結果の通知、勧告及び命令を行った場合は、その内容についてサービス事業者等の事業活動区域に該当する他の区市町村(保険者)への情報提供を行うとともに、できる限り利用者保護の観点から開示を行う。

(委任)

第18条 この要綱に定めるもののほか、指導及び監査に関し必要な事項は、福祉保健部長が別に定める。

1 この要綱は、平成18年7月1日から適用する。

2 墨田区介護老人保健施設指導及び監査実施要綱(平成13年4月1日適用)は、廃止する。

この要綱は、令和4年6月1日から適用する。

この要綱は、令和5年4月1日から適用する。

別表1

指導対象の基準選定

指導形態

選定基準

集団指導

(1) 前年度の運営指導の実績状況、制度改正の内容、周知徹底すべき事項等を勘案し、集団指導を行うことが適当と認められるサービス事業者等

運営指導

一般指導

(1) 指定有効期間内に1度も運営指導を受けていないサービス事業者等(区に指定権限があるサービス事業者等を優先する。)

(2) 内部告発、利用者及びその家族、東京都及び連合会並びに高齢者支援総合センター等から情報提供を受けて、指導が必要と認められるサービス事業者等

(3) その他特に一般指導が必要と認められるサービス事業者等

合同指導

(1) 複数の区市町村で指定を受けているサービス事業者等

(2) その他特に合同指導が必要と認められるサービス事業者等

別表2

監査の選定基準

1 介護給付等対象サービスの内容に不正又は著しく不当な事項があったことを疑うに足りる理由があるとき。

2 介護報酬の請求に不正又は著しい不当があったことを疑うに足りる理由があるとき。

3 業務管理体制の不適正な整備・運用状況があったことを疑うに足りる理由があるとき。

4 法第74条、第78条の4、第81条、第88条、第97条、第111条、第115条の4、第115条の14及び第115条の24に規定する基準に重大な違反があると疑うに足りる理由があるとき。

5 度重なる一般指導、合同指導を行っても、介護給付等対象サービスの内容又は介護報酬の請求に改善がみられないとき。

6 正当な理由がなく一般指導、合同指導を拒否したとき。

7 不正の手段により指定等を受けていることを疑うに足りる理由があるとき。

別表3

直ちに指定取消等処分ができる事由

1 事業者が自己の利益を図るために、次の各号に掲げる指定基準に違反した行為を行ったとき。

(1) 地域密着型サービス及び地域密着型介護予防サービスの提供に際し、利用者が負担すべき額の支払いを適正に受けなかったとき。

(2) 利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、居宅介護支援事業者若しくは居宅介護予防支援事業者又はその従業者に対し、金品その他の財産上の利益を供与したとき。

2 利用者の生命又は身体の安全に危害を及ぼす恐れがあるとき。

3 その他1及び2に準ずる重大かつ明白な指定基準違反があったとき。

墨田区介護保険サービス事業者等に対する指導及び監査実施要綱

平成18年6月30日 墨福高介第658号

(令和5年8月17日施行)