○墨田区協治(ガバナンス)推進条例

平成22年9月30日

条例第29号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 協治(ガバナンス)によるまちづくりの基本理念及び基本原則(第3条・第4条)

第3章 協治(ガバナンス)によるまちづくりを担う主体

第1節 区民等の役割(第5条―第8条)

第2節 区の役割(第9条―第14条)

第4章 協治(ガバナンス)によるまちづくり推進のための区政の仕組み

第1節 情報の共有(第15条―第21条)

第2節 区政への参加(第22条―第27条)

第3節 協働の推進(第28条・第29条)

第5章 実効性の確保等(第30条・第31条)

第6章 委任(第32条)

付則

私たちが暮らすまち「すみだ」は、東京の母なる川、隅田川の悠久の流れに沿って、歴史ある江戸の伝統文化を継承し、これまで発展してきました。そして、人と人とのふれあいを育む下町情緒と心意気が、互いに支え合う地域のつながりに受け継がれる中、やさしさやおもいやりの心を大切にしたまちづくりが今、新たな広がりを見せています。

私たちは、先人が築き、守り、育んできた文化や産業をさらに発展させ、夢や誇りを持つことができる「すみだ」を次世代の子どもたちに引き継ぎます。

そのためには、私たち区民一人ひとりが、ともに考え、ともに行動する実践を通して、協治(ガバナンス)によるまちづくりを進める必要があります。このような考えのもと、地域の課題解決に向けて、協治(ガバナンス)によるまちづくりを担う主体が、それぞれの役割と責任を果たすことにより、だれもが安心して快適に暮らすことができる、魅力や活力あふれる地域社会の実現に努めます。

ここに、墨田区における協治(ガバナンス)によるまちづくりを推進するために、私たちの共通の規範として、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、墨田区における協治(ガバナンス)によるまちづくりの基本理念及び基本原則を明らかにするとともに、区民等及び区のそれぞれの役割並びに協治(ガバナンス)によるまちづくり推進のための区政の仕組み等を定めることにより、もって区民福祉を増進させ、だれもが安心して快適に暮らすことができる、魅力や活力あふれる地域社会を実現することを目的とします。

(用語の定義)

第2条 この条例における用語の意義は、それぞれ次に定めるところによります。

(1) 協治(ガバナンス) 区民等及び区が、それぞれの果たすべき役割と責任を分担し、ともに考え、ともに行動することで、地域の課題を解決していく社会のあり方をいいます。

(2) 区民等 住民(区内に住所を有する者をいいます。)若しくは区内で働き、学ぶ個人又は区内で事業活動その他の活動を行う個人若しくは団体をいいます。

(3) 事業者 区民等のうち区内において事業活動を行う者をいいます。

(4) コミュニティ 区民等のうち区内のそれぞれの地域においてその地域を基盤とする、又は目的を共有する組織又は団体をいいます。

(5) 区 区議会及び区長等をいいます。

(6) 区長等 区長、教育委員会、選挙管理委員会及び監査委員をいいます。

(7) 区政への参加 区の政策等の企画立案、実施及び評価の各過程(以下「政策過程」といいます。)に、区民等が自ら主体的にかかわることをいいます。

(8) 協働 地域の課題解決に向けて、共通の目的を持ち、互いに対等な立場で協力し合うことをいいます。

第2章 協治(ガバナンス)によるまちづくりの基本理念及び基本原則

(基本理念)

第3条 協治(ガバナンス)によるまちづくりは、区民等及び区がともにまちづくりを担う主体であることを基本として、行われるものとします。

(基本原則)

第4条 区民等及び区は、基本理念に基づき、次に掲げる事項を協治(ガバナンス)によるまちづくりの基本原則とします。

(1) 情報の共有の原則 まちづくりに関する情報が、区民等及び区の共有のものであることを認識した上で、まちづくりに関する情報を共有するものとします。

(2) 参加の原則 区民等は、自主的かつ主体的にまちづくりに参加するものとします。

(3) 協働の原則 地域社会にかかわる多様な主体の協働を基本として、まちづくりを行うものとします。

第3章 協治(ガバナンス)によるまちづくりを担う主体

第1節 区民等の役割

(区民等の権利)

第5条 区民等は、協治(ガバナンス)によるまちづくりを担う主体として、次に掲げる権利を持ちます。

(1) 区政に関する情報(以下「区政情報」といいます。)を知る権利

(2) 区の政策過程に参加し、意見を表明し、及び提案する権利

(3) 自ら主体的にまちづくりを行う権利

(区民等の役割)

第6条 区民等は、協治(ガバナンス)によるまちづくりを担う主体として、互いのコミュニケーションを大切にし、まちづくりに関する情報を共有する役割を持ちます。

2 区民等は、第1条の目的を達成するため、自主的かつ主体的に参加するまちづくりにおいて、互いに協力する役割を持ちます。

3 区民等は、まちづくりへの参加に当たっては、自らの発言と行動に責任を持ち、他人の意見と行動を尊重する役割を持ちます。

(事業者の役割)

第7条 事業者は、協治(ガバナンス)によるまちづくりを担う主体として、まちづくりに参加する上で、他の区民等及び区と互いに連携し、及び協力し、地域社会との調和、環境への配慮その他の社会的責任を果たすよう努めるものとします。

(コミュニティの役割・尊重)

第8条 コミュニティは、区民等の自主的な参加を通じて、互いに協力して、地域の課題解決に努めるものとします。

2 区民等及び区は、コミュニティによる自主的かつ自立的なまちづくりを尊重し、守り育てるものとします。

第2節 区の役割

(区の役割)

第9条 区は、協治(ガバナンス)によるまちづくりを担う主体として、第1条の目的を達成するため、自主的かつ自立した区政運営を行うとともに、区民等と協力しながら、積極的に協治(ガバナンス)によるまちづくりを推進します。

(区議会の権限と責務)

第10条 区議会は、区政の重要事項に関する意思決定、政策立案、執行機関の監視等の権限を持ちます。

2 区議会は、前項の権限を行使するに当たって、区民等の意見、提案等(以下「意見等」といいます。)を適切に反映し十分に議論を行うとともに、区民等と議会活動に関する情報の共有を図り、開かれた議会運営を行います。

(区議会議員の責務)

第11条 区議会議員は、区民等の意見等又は地域の課題を的確に把握するとともに、自らの活動に関する情報の発信を積極的に行うものとします。

(区長等の責務)

第12条 区長等は、自らの判断と責任において、公正かつ誠実に区政を運営し、及び事務を執行します。

(区長の責務)

第13条 区長は、協治(ガバナンス)によるまちづくり推進のための区政の仕組みの構築を積極的に行うとともに、区組織の横断的な連携及び区職員の育成を促進すること等により、その環境整備に努めるものとします。

(区職員の責務)

第14条 区職員は、誠実、公正かつ創意を持って職務を遂行し、区民等の信頼を得るよう努めるものとします。

2 区職員は、区民等との連携促進等に関する必要な知識の習得及び能力の向上に取り組むとともに、区民等の意見等を十分に把握し、説明責任を果たすものとします。

第4章 協治(ガバナンス)によるまちづくり推進のための区政の仕組み

第1節 情報の共有

(情報の共有)

第15条 区は、区民等の知る権利を保障し、区政情報について適切な公開及び提供を行うことにより、情報の共有を推進します。

2 区は、区民同士が地域の課題解決に向けてまちづくりに関する情報を互いに共有することができるよう努めるものとします。

(説明責任)

第16条 区は、政策過程において、その必要性、妥当性、内容、効果、手続等を区民等に分かりやすく説明する責任を有します。

(応答責任)

第17条 区は、区民等から寄せられた区政に関する意見等について、十分に検討し、公正かつ適切に応えるとともに、区政に活用する責任を有します。

(情報提供の総合的な推進)

第18条 区は、広報広聴の充実を図ることにより、区民等の必要とする情報の把握に努めるとともに、墨田区情報公開条例(平成13年墨田区条例第3号)の定めるところにより、区政情報の提供の総合的な推進を図るものとします。

2 区は、情報の提供に当たっては、文書、インターネット等複数の手段を活用し、区民等が入手しやすく、かつ、分かりやすい方法で行うものとします。

(審議会等の公開)

第19条 区は、審議会、協議会等(以下「審議会等」といいます。)の会議について、別に定めるところにより公開することが適切でない場合を除き、原則として公開します。

(請求に基づく情報公開)

第20条 区は、区政情報について公開の請求を受けたときは、墨田区情報公開条例の定めるところにより、適切かつ迅速に公開します。

(個人情報の保護)

第21条 区は、個人の権利及び利益が侵害されることのないよう、個人情報の収集、利用、提供、管理等について、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の定めるところにより、必要な措置を講じます。

(令5条17・一部改正)

第2節 区政への参加

(区政への参加)

第22条 区は、区民等が区政に参加する機会を積極的に保障します。

2 区は、区政への参加について多様な制度を整備し、区民等が容易に区政に参加することができるよう十分配慮するものとします。

(参加の対象)

第23条 区は、次に掲げる区政運営の重要な事案(以下「重要事案」といいます。)については、区政への参加の機会を区民等に保障するものとします。

(1) 墨田区基本構想及び墨田区基本計画をはじめとする区政の各分野における施策の基本的な方針その他基本的な計画等の策定及び変更

(2) 区民等の生活に関連の深い計画等の策定及び変更並びに事業の推進

(3) 区民等に義務を課し、又は権利を制限する内容の条例の制定又は改廃

(4) 広く区民等の理解又は協力を必要とする施策又は事業の推進

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げるものは、区政への参加の対象外とすることができます。

(1) 法令の定めによるもの

(2) 地方税の賦課徴収及び分担金、使用料、手数料等の徴収に関するものに係る案の策定に関するもの

(3) 緊急を要するもの

(4) 内容の軽微なもの

(参加の方法)

第24条 区は、区政への参加の機会を区民等に保障するため、その目的に応じ、パブリック・コメント手続、審議会等その他適切な方法を用いるものとします。

2 区は、幅広い区民等からの意見等が求められ、また、区民等による主体的な取組が求められる対象については、区民同士が地域の課題解決に向けて合意形成を図ることができるような参加の方法を選択し、及び工夫するよう努めるものとします。

(パブリック・コメント手続)

第25条 区は、重要事案については、意思決定を行う前に、あらかじめその案を提示し、区民等からの意見等を広く求め、その意見等を反映する機会を確保するため、別に定めるところにより、パブリック・コメント手続を実施します。

(審議会等の委員の公募)

第26条 区は、審議会等には、その機関の設置の目的に応じて、年齢、性別等の構成に配慮した公募の委員を加えるよう努めるものとします。

(意見等の取扱い)

第27条 区は、区民等の参加により示された意見等を踏まえ、区政に適切に反映するよう努めるものとします。

2 区は、区民等から示された意見等及び意見等に対する区の考え方を適切な方法により適切な時期に公表します。

第3節 協働の推進

(協働の推進)

第28条 区は、区民等と協働を進めるに当たっては、互いの役割分担について十分な協議を行うものとします。

(協働の環境整備)

第29条 区は、区民等が協働の意義及び目的を共有し、ともに活動することができるよう支援するための総合的な施策を行うものとします。

2 区は、人材の育成、情報の収集及び提供、活動の機会又は場所の提供、区民等やコミュニティ相互の連携促進、活動に必要な資金助成その他の施策により、必要に応じて、区民等及びコミュニティによるまちづくりを支援します。

第5章 実効性の確保等

(条例の普及及び啓発)

第30条 区は、区民等が協治(ガバナンス)によるまちづくりを積極的に行うことができるよう、この条例の普及及び啓発に努めます。

(条例の見直し)

第31条 区は、この条例の施行状況を検証し、その改善に努めるとともに、必要に応じて見直しを行います。

第6章 委任

(委任)

第32条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定めます。

この条例は、平成23年4月1日から施行します。

(令和5年3月24日条例第17号)

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

墨田区協治(ガバナンス)推進条例

平成22年9月30日 条例第29号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
例規集/第8類 民/第7章
沿革情報
平成22年9月30日 条例第29号
令和5年3月24日 条例第17号