○墨田区健康増進法第65条第1項違反事件関係事務処理要綱

平成29年12月1日

29墨福衛生第660号

(趣旨)

第1条 この要綱は、健康増進法(平成14年法律第103号)第65条第1項違反事件に係る事務(同法第66条第1項の規定による勧告及び同条第2項の規定による命令並びに同条第3項において準用する同法第61条第1項の規定による立入検査及び収去の実施に係る事務を含む。)について、必要な事項を定めるものとする。

(基本原則)

第2条 事務処理に当たっては、次に掲げる事項に留意する。

(1) 迅速かつ厳正な処理に努めること。

(2) 事業者の主張を十分に聴き、事業者の利益を不当に害することのないよう、適正手続に努めること。

(3) 事件に関して知り得た情報を厳格に管理し、秘密保持の徹底に努めること。

(端緒の区分)

第3条 事件の端緒(以下「端緒」という。)の区分は、次のとおりとする。

(1) 職権探知

保健所の職員(以下「職員」という。)が、健康増進法第65条第1項に違反する疑いのある行為(当該行為が既になくなっている場合の当該行為を含む。以下「健康増進法違反被疑行為」という。)を自ら探知し、把握することをいう。

(2) 情報提供

健康増進法第65条第1項の規定に違反する事実があると考える者が、健康増進法違反被疑行為があると考え、保健所に対し、その事実に関する情報を報告することをいう。

(違反被疑情報等の記録)

第4条 職員は、端緒情報に接したときは、速やかに、必要な情報を健康増進法第65条第1項違反被疑情報等調査記録簿(第1号様式)に記録しなければならない。

(事件の情報整理及び区分の決定)

第5条 職員は、受理した端緒情報を分析した結果、健康増進法違反被疑行為があると考える場合には、次に掲げる区分を決定する。

(1) 調査

 本調査事件

健康増進法第66条第1項に規定する勧告(以下「勧告」という。)の実施を視野に所要の調査を行う必要があるもの(国民の健康の保持増進及び国民の正確な情報伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの)をいう。

 迅速処理調査事件

に該当しないものをいい、事件の区分を決定した日から1か月以内に指導(口頭指導を含む。)による終結を目指すものをいう。

 予備調査事件

及びのいずれに区分するかを判断するために、関係人に接触することなく調査するものをいう(職員である旨を秘して関係人に接触する場合を含む。)

予備調査を行った場合には、職員は健康増進法第31条第1項違反被疑情報等調査記録簿により調査内容を記録し、処理方針を決定するものとする。

(2) 消費者庁への通知

 健康増進法違反被疑行為が2つ以上の都道府県等を区域として行われている場合、関係人の事務所等が2つ以上の都道府県等内に所在している場合など、消費者庁で処理することが健康増進法の効率的な運用に資すると考えられる場合には、必要に応じ、消費者庁と協議の上、消費者庁に対し、関係資料を添えて、当該行為が行われている旨を通知するものとする。

 により通知した健康増進法違反被疑行為については、必要に応じ、消費者庁に対し区への措置結果の報告を求めるものとする。

 及びに規定する場合のほか、健康増進法違反被疑行為の処理について、必要に応じ、消費者庁と協議するものとする。

(3) 他都道府県等への通知

 健康増進法違反被疑行為が、区所管以外の区域において行われている場合など、他都道府県等で処理することが健康増進法の効率的な運用に資すると考えられる場合には、必要に応じ、他都道府県等と協議の上、他都道府県等に対し、関係書類を添えて、当該行為が行われている旨を通知するものとする。

 により通知した健康増進法違反被疑行為については、必要に応じ、他都道府県等に対し区への措置結果の報告を求めるものとする。

 及びに規定する場合のほか、健康増進法違反被疑行為の処理については、必要に応じ、他都道府県等と協議するものとする。

(4) 併合

既に調査を行っている事件について、新たな情報が寄せられた場合又は重複して同じ情報が寄せられた場合には、当該事件に併合するものとする。

(5) 情報

提供された情報が調査に着手するのに十分でないと判断される場合は、参考情報として記録するものとする。

(6) 非該当

健康増進法に係る情報でないものは、非該当とする。

なお、他法令に違反する疑いがあると考えられる場合には、端緒情報の内容を関係機関に通知するものとする。

(事件調査の総則)

第6条 事件調査は、事業者等の任意の協力を得て行うほか、必要に応じ、健康増進法第61条の規定を準用する同法第66条第3項に規定する権限(以下、「健康増進法第66条第3項に規定する権限」という。)を行使して行うものとする。

2 事件調査手続においては、日本語を用いることとし、日本語が通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない。

3 事件調査手続において供述調書(第2号様式)を作成する場合には、文字を改変してはならない。文字を加え、削り、又は欄外に記載したときは、これに担当者が認印しなければならない。この場合において、削った部分は、これを読むことができるように字体を残さなければならない。

4 期間の計算については、次のとおり行う。

(1) 民法(明治29年法律第89号)の期間に関する規定に従う。

(2) 期間の末日が行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)第1条第1項各号に掲げる日に当たるときは、期間はその翌日に満了する。

5 事件調査に当たり、相手方から代理人を通じるよう申立てがあった場合は、代理人の代理権限の確認を行うものとする。

(事件調査の方法)

第7条 健康増進法第66条第3項に規定する権限による調査は、次のとおり行うものとする。

(1) 立入検査は、次のとおり行うものとする。

 立入検査を行う職員は、あらかじめ、事件名、関係人、関係法条、違反被疑事実の概要、立入検査をする場所、収集資料等を記載した立入検査計画書(第3号様式)を作成するものとする。

 立入検査を行う職員は、立入検査に際し、事件名、検査対象者、検査場所、検査日、検査を行う職員、関係法条及び検査に応じない場合の法律上の制裁を記載した立入検査実施通知書(第4号様式)を作成し、検査先の代表者、立入検査の対象事業所又は立入検査の対象部門の責任者であって、立入検査に立ち会う者(以下「立会人」という。)に交付し、説明を行わなければならない。

 立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書(食品衛生法に基づく都道府県等食品衛生監視指導計画等に関する命令(平成21年内閣府・厚生労働省令第7号)第3条の規定による別記様式第2号の身分証明書をいう。)を携帯し、関係人の事務所又は事業所に立ち入るときは、立会人に提示しなければならない。

 立入検査を行った職員は、事件名、検査の目的、日時及び場所、立会人の職業及び氏名並びに検査の結果を記載した検査調書(第5号様式)を作成しなければならない。検査調書の作成に当たって、検査調書を作成する職員は、当該検査調書に立入検査を実施した年月日及び所属部署を記載した上で署名押印しなければならない。

(2) 収去については、消費者庁の定める「健康増進法第65条第1項違反被疑事件調査及び収去等マニュアル」(平成28年8月8日付け表示対策課長決定第14号)を参照し、適正に実施するものとする(消費者庁から区への必要な読替えを行うものとする。以下同じ。)

2 関係人等の任意の協力を得て行う調査は、次のとおり行うものとする。

(1) 報告依頼を行う場合には、相手方に報告を依頼する事項を記載した報告書の様式を添えて口頭で行うものとする。ただし、相手方が特に求めるときは、事件名、相手方の氏名又は名称及び相手方に報告を依頼する事項を記載した報告依頼書(第6号様式)を作成し、相手方に交付するものとする。相手方に報告依頼書を交付する場合には、生活衛生課長等の決裁を受けて、これを行わなければならない。

(2) 相手方から任意に提出された物件については、次のとおり取り扱う。

 当該物件とともに、提出された物件の所有者及び差出人の住所又は就業場所、職業及び氏名、提出された物件の品目並びに提出年月日が記載された任意提出書(第7号様式)を相手方から受領しなければならない。

この場合には、当該品目を記載した目録を任意提出書に添付させることにより、任意提出書における当該品目の記載に代えることができる。相手方から任意提出書を受領した場合には、当該目録の写しを相手方に交付するものとする。

 受領した物件について調査の必要がなくなった場合には、相手方に当該受領した物件を還付し、相手方から還付請書(第8号様式)を受領しなければならない。この場合において、相手方が当該受領した物件の所有権を放棄したときは、相手方から所有権放棄書(第9号様式)を受領しなければならない。

 任意提出を求める場合において、相手方が特に求めるときは、事件名、相手方の氏名又は名称及び相手方に提出を依頼する物件の品目を記載した提出依頼書(第10号様式)を作成し、相手方に交付しなければならない。この場合には、当該品目を記載した目録を提出依頼書に添付することにより、提出依頼書における当該品目の記載に代えることができる。提出依頼書を交付した場合には、の規定中「任意提出書」とあるのは「提出書」(第11号様式)と読み替えるものとする。

提出依頼書を交付する場合には、生活衛生課長等の決定を受けて、これを行わなければならない。

(3) 相手方が任意に供述した場合において、必要があると認めるときは、これを録取した供述調書、確認書(第12号様式)、供述聴取報告書(第13号様式)又はヒアリングメモを作成するものとする。

(4) ウェブサイト等における表示を記録し、保存する必要があると認めるときは、当該表示を書面に印刷し、又は撮影した上で、その年月日、方法等を記載した報告書(第14号様式)を作成し、当該表示を印刷した書面又は撮影した写真を添付するものとする。

(調査報告書の作成)

第8条 職員は、調査が終了した場合には、遅滞なく、調査報告書を作成するものとする。ただし、当該調査に係る事件について、勧告又は指導の措置を採らないときは、調査報告書の作成に代えて、健康増進法第65条第1項違反被疑情報等調査記録簿に事件の概要を記載して決裁を受けることができる。

(弁明の機会の付与)

第9条 調査の結果、勧告が相当であると考えられる場合には、当該勧告の名宛人となるべき者に対し、弁明その他意見陳述のための手続を行うことができる(弁明その他意見陳述の手続を経ずに勧告した場合は、墨田区行政手続条例(平成7年墨田区条例第26号)第35条第1項の規定による行政指導の中止等の求めの対象となることに留意する。)当該勧告の名宛人が、正当な理由がなく勧告に係る措置をとらなかったことにより、健康増進法第66条第2項の規定による命令(以下「命令」という。)を行う場合には、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第1項第2号に規定する弁明の機会の付与を行うものとする。

2 前項の弁明その他意見陳述のための手続又は弁明の機会の付与を行うときは、勧告又は命令の名宛人となるべき者に対して、次の各号に掲げる事項を記載した文書をもって、その旨を通知するものとする。

(1) 予定される勧告又は命令の内容(勧告又は命令の根拠となる事実及び法令の適用を含む。)

(2) 弁明その他意見陳述又は弁明を記載した書面(以下「弁明書等」という。)及び証拠を提出することができる旨

(3) 弁明書等及び証拠の提出先並びに提出期限

3 前項の文書は、勧告又は命令の名宛人となるべき者若しくはその代表者又は代理人(本事務の委託を受けた者に限る。以下同じ。)に対して手交し、又は当該名宛人となるべき者に対して到達したことが証明できる郵便によって送付するものとする。当該文書を勧告又は命令の名宛人となるべき者若しくはその代表者又は代理人に手交した場合には、当該者が受領した旨を示す受領書を当該者から受領するものとする。

4 弁明書等及び証拠の提出期限は、原則として、弁明その他意見陳述又は弁明の機会を付与した日から2週間後に設定するものとする。

5 天災その他正当な事由があると認めた場合には、前項の提出期限を延長することができる。

6 弁明その他意見陳述の手続又は弁明の機会の付与を行った後においても、勧告又は命令の名宛人となるべき者の弁明その他意見陳述又は弁明の内容を踏まえた追加調査を行うことができる。

(事件についての措置等の区分)

第10条 事件についての措置等の区分は次のとおりとする。

(1) 勧告

 保健所内で協議した結果、必要があると認める場合には、勧告を行うものとする。

 勧告書は、当該勧告の名宛人若しくはその代表者又は代理人に対して手交し、又は当該名宛人に対して到達したことが証明できる郵便によって送付するものとする。措置命令書を当該措置命令の名宛人若しくはその代表者又は代理人に手交した場合には、当該者が受領した旨を示す受領書を当該者から受領するものとする。

(2) 命令

命令を行う場合は、前号の手続を準用する。

(3) 指導

 調査の結果、次の場合には、指導を行うものとする。

(ア) 健康増進法第65条第1項に違反する事実が認められたが、同法第66条第1項に規定する国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがある事実が認められない場合

(イ) 健康増進法第65条第1項に違反する事実は認められないが、違反のおそれがある事実が認められた場合

 指導の相手方から、書面の交付を求められた場合には、墨田区行政手続条例第33条第3項の規定により速やかに書面を交付しなければならない。

 指導を行った後、必要に応じ、指導の結果について相手方から報告を受けた上で事件を終結させるものとする。

(4) 違反事実なし

調査の結果、違反事実が認められない場合には、職員は、生活衛生課長等の決定を受けることにより、相手方にその旨を伝えて事件を終結させるものとする。

(5) 調査打切り

調査の結果、調査の続行が適当でないと認められる場合には、職員は、生活衛生課長等の決定を受けることにより、調査を打ち切り、相手方にその旨を伝えて事件を終結させるものとする。

(公表)

第11条 消費者利益の保護の観点から、違反の事実を早急に公表する必要性が高い場合であって、違反事実が確認されており、かつ、公表目的の正当性及び公表方法の相当性等を十分に検討した結果、これらが認められると判断することができる場合に限り、次の各号に掲げる事項を公表する。ただし、墨田区情報公開条例(平成13年墨田区条例第3号)等に照らして非公開と判断される事実があれば、当該事実については公表しない。

(1) 違反した事業者の氏名又は名称及び住所

(2) 違反事実

(3) 勧告又は命令した場合は、その内容

2 公表の方法は、報道機関への情報提供、区ホームページへの掲載等をもって行うものとする。

3 公表は、勧告並びに命令の対象となる指導を行った後、法の趣旨にのっとり、時期を逸することなく速やかに行うものとし、違反状態が改善されたことを確認した日の翌日から起算して7日を下回らない期間とする。

(一般消費者への周知の徹底)

第12条 勧告において、区長の承認する方法によって一般消費者へ周知徹底すべき旨を求めている場合には、次に掲げる事項を明らかにした周知徹底の方法の承認願を提出させるものとする。

(1) 用いようとする周知媒体の種類

(2) 新聞周知による場合には、周知文案、新聞名、地域、掲載紙面、掲載面積、掲載時期等

(3) ウェブサイト(携帯電話のサイトを含む。)による場合には、周知文案、掲載場所、掲載時期等

(4) 新聞折り込みチラシによる場合には、周知文案、新聞名、配布枚数、配布地域、配布時期等

(5) 店頭掲示による場合には、周知文案、形態、掲示方法、掲示店舗名、掲示期間等

(6) テレビ又はラジオ広告による場合には、周知文案、放送局名、放送地域、放送時期、放送時間等

2 前項の承認願が提出された場合において、職員は、違反行為の内容、違反行為において用いられた広告手段、その違反行為による国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報伝達に重大な影響の程度等を勘案して、その周知徹底の方法が適当であると認められる場合には、生活衛生課長等の決定を受けることにより、承認するものとする。

3 前項の規定による承認後、勧告の名宛人若しくはその代表者又は代理人に対し、承認した旨を記載した書面を交付し、当該者が当該書面を受領した旨を示す受領書を当該者から受領するものとする。

(措置の完了)

第13条 勧告に係る措置については、措置した日から1か月経過した日を期限として、区長あてに措置完了報告書を提出させるものとする。措置完了報告書には、勧告の名宛人に記名押印させるものとする。職員は、措置完了報告書の内容を確認し、勧告に係る措置が完了したと認められる場合には、生活衛生課長等の決定を受けることにより、事件を終結させるものとする。

2 命令に係る措置については、前項を準用する。

(事件調査の方針及び勧告等の判断基準)

第14条 事件調査の方針及び勧告、命令、指導の判断基準等は、「健康増進法第65条第1項違反被疑事件調査及び収去等マニュアル」による。

この要綱は、平成29年12月1日から適用する。

この要綱は、令和2年4月1日から適用する。

様式 省略

墨田区健康増進法第65条第1項違反事件関係事務処理要綱

平成29年12月1日 墨福衛生第660号

(令和2年4月1日施行)