○墨田区子ども読書活動推進条例
平成30年12月11日
条例第45号
子どもにとって本との出会いは、読む力、書く力などの基礎学力に加え、創造力や表現力など豊かな人生を送る上で必要な力を得るために欠くことのできないものです。
国においては、平成13年に子どもの読書活動の推進に関する法律が制定され、子どもの読書活動が活発に進められてきました。このような背景のもと、墨田区においても、この法律に基づき、平成17年に墨田区子ども読書活動推進計画を策定し、読書活動を推進した結果、学校図書館において児童及び生徒1人当たりの貸出冊数が増加するなどの成果を上げてきました。
一方、読書習慣の形成が十分でないなどの課題があるほか、情報通信手段の普及、多様化など、子どもの読書活動を取り巻く環境の変化も見られます。
こうした点を踏まえ、読書の意義と効用を再認識し、子どもが積極的に読書活動を行っていけるよう環境づくりをしていくことが求められます。そこで、墨田区は、家庭、地域、学校などを通じ、子どもの読書環境を整えることによって、子どもが楽しく活発に読書に親しむことができるように、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、区における子どもの読書活動の推進に関し、基本理念を定め、区の責務、区民の役割及び家庭、地域、学校等の取組を明らかにするとともに、子どもの読書活動の推進に関する必要な事項を定めることにより、子どもの読書活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって子どもの生きる力を育み、かつ、子どもの健やかな成長に資することを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において、次の用語の定義は、それぞれ次に定めるところによります。
(1) 子ども おおむね18歳以下の者をいいます。
(2) 子どもの読書活動 子どもが主体的に読書に関わりを持つ活動をいいます。
(3) 学校 墨田区立学校設置条例(昭和39年墨田区条例第24号)に規定する小学校及び中学校をいいます。
(4) 学校司書 学校図書館法(昭和28年法律第185号)に規定する学校司書をいいます。
(基本理念)
第3条 子どもの読書活動は、子どもにとって言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付ける上で欠くことのできないものであるとともに、基礎学力を高め、想像力を育み、やさしさ及び思いやりの心を養う上でも重要であることに鑑み、区において、全ての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所で自主的に楽しく読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備が推進されなければなりません。
(区の責務)
第4条 区は、前条の基本理念にのっとり、子どもの読書活動の推進に関する施策を策定し、実施する責務があります。
(区民の役割)
第5条 区民は、日常の生活の中で読書に親しみ、子どもの読書活動への理解及び協力を通じて、子どもの読書活動の充実及び習慣化につながるよう努めるものとします。
(家庭での取組)
第6条 子どもの保護者は、家庭において自らが読書に親しむとともに、子どもへの読み聞かせ、本の感想の話合いなど多様な取組を通じて、子どもが読書活動をより身近に感じることができるよう努めるものとします。
(地域での取組)
第7条 地域においては、家庭、学校、幼稚園(墨田区立幼稚園設置条例(昭和43年墨田区条例第25条)に規定する幼稚園をいいます。)、保育所等保育所(墨田区保育所条例(昭和36年墨田区条例第4号)に規定する保育所及び墨田区認定こども園条例(平成28年墨田区条例第59号)に規定する認定こども園をいいます。)、児童館等(墨田区児童館条例(昭和46年墨田区条例第20号)に規定する児童館及び墨田区コミュニティ会館条例(平成6年墨田区条例第33号)に規定するコミュニティ会館をいいます。)、ボランティア団体、特定非営利活動法人等が互いに協力して、子どもが区立図書館(墨田区立図書館条例(平成27年墨田区条例第48号)に規定する図書館をいいます。以下同じ。)及びコミュニティ会館の図書室を積極的に活用するよう促進するとともに、子どもの読書活動の推進に努めるものとします。
(令6条35・一部改正)
(学校の取組)
第8条 学校は、それぞれの学校の特色並びに児童及び生徒の発達段階に応じ年間指導計画を策定し、学校図書館(学校に設けられた学校図書館法に規定する学校図書館をいいます。以下同じ。)を活用して、児童及び生徒の読書活動の推進に努めるものとします。
2 学校は、教育上特別な支援を必要とする児童及び生徒の読書活動について、障害の程度に応じて十分な配慮を行うものとします。
(墨田区子ども読書活動推進計画の策定)
第9条 区は、子どもの読書活動の推進に関する法律(平成13年法律第154号)に基づき、区における子どもの読書活動の推進の状況等を踏まえ、「墨田区子ども読書活動推進計画」(以下「推進計画」といいます。)を策定するものとします。
2 推進計画は、次に掲げる事項について定めます。
(1) これまでの取組の成果及び課題を踏まえた基本方針及び基本目標
(2) 施策及び目標値
(3) 家庭、地域及び学校等での取組を支援するための施策
(4) 前3号に掲げるもののほか、子どもの読書活動の推進に関し必要な事項
(意見聴取等)
第10条 区は、推進計画を策定しようとするとき、又は推進計画の重要な変更を行おうとするときは、有識者及び区民からの意見を聴取するものとします。
2 区は、推進計画を策定したとき、又は推進計画の変更を行ったときは、これを公表しなければなりません。
3 前項に定めるもののほか、区は、推進計画に定める施策の実施状況等を公表しなければなりません。
(学校図書館の整備)
第11条 墨田区教育委員会(以下「教育委員会」といいます。)は、学校図書館の機能及び蔵書の充実に努めるものとします。
2 教育委員会は、学校司書の配置及び能力向上に努めるものとします。
(区立図書館の取組)
第12条 区立図書館は、子どもの読書活動の推進に資するため、図書その他必要な資料を確保するとともに、図書館奉仕の充実に努めるものとします。
2 区立図書館は、子どもの読書活動についての相談体制を整備するとともに、家庭、地域及び学校との連携並びにボランティア活動に取り組む団体の支援及び育成に努めるものとします。
3 区立図書館は、幼児期の子どもの読書への興味を呼び起こし、及び豊かな感性、表現力等を養うことを目的として、読み聞かせその他の事業を実施するものとします。
4 区立図書館は、特別な支援を必要とする子どもへの読書啓発及び利用援助を行うものとします。
(条例の見直し)
第13条 区は、この条例の施行の日から5年を超えない期間ごとに、社会状況の変化やこの条例の推進状況を検証し、見直しの必要があると認めるときは、必要な措置を講ずるものとします。
(委任)
第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は教育委員会が定めます。
付則
この条例は、公布の日から施行します。
付則(令和6年9月30日条例第35号)抄
(施行期日)
1 この条例は、令和7年4月1日から施行する。