○墨田区議会基本条例

平成30年12月11日

条例第46号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第4条・第5条)

第3章 議会運営(第6条―第18条)

第4章 区民等及び議会の関係(第19条・第20条)

第5章 議会及び区長等の関係(第21条・第22条)

第6章 議会の機能強化(第23条―第26条)

第7章 政治倫理(第27条)

第8章 災害対応(第28条)

第9章 他の条例等との関係及び見直し手続(第29条・第30条)

付則

墨田区議会は、区民から選挙で選ばれた議員により構成される合議制の議事機関であり、同じく選挙で選ばれた墨田区長とともに地方自治における二元代表制の一翼を担っている。

二元代表制の下では、両者は相互にその権能を発揮し、区民等の福祉の増進を図る責務を負っている。

墨田区議会は、より「開かれた議会」を目指すとともに、一層の「議会活動の活性化」を進めることによって、この責務を果たし、区民の負託に応えようとするものである。

そのため、ここに墨田区議会基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき、墨田区の自主性及び自立性を十分に発揮することを旨として、議会の基本理念その他議会に関する基本的事項を定めることにより、議会がその役割を果たし、もって区民等の福祉の増進を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 区民 区内に住所を有する者をいう。

(2) 区民等 区民、区内で働き、若しくは学ぶ個人又は区内で事業活動その他の活動を行う個人若しくは団体をいう。

(3) 議会 区議会をいう。

(4) 区長等 区長、教育委員会、選挙管理委員会及び監査委員をいう。

(基本理念)

第3条 議会は、次に掲げる基本理念の下に活動しなければならない。

(1) 区民等への情報公開及び積極的な情報提供を行うとともに、区民等の意見を的確に把握することにより、「開かれた議会」を目指すこと。

(2) 議事機関として、議決、監視、政策立案等の機能を強化し、民主的かつ効率的な議会運営を行うことにより、「議会活動の活性化」を進めること。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第4条 議会は、前条に定める基本理念を達成するため、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 区民等に対する公正性及び透明性を確保すること。

(2) 議決に対する責任を深く認識し、議決の内容等について分かりやすい言葉及び表現の方法を用いて説明すること。

(3) 区長等の政策の決定及び事務の執行について、監視及び評価を行うこと。

(4) 区民等の多様な意見を把握し、政策立案及び政策提言を行い、合意形成を目指して、議論を尽くすよう努めること。

(5) 活発な議会活動を通じ、議会のあり方を不断に追求するとともに、議会の改革に継続的に取り組むこと。

(議員の活動原則)

第5条 議員は、区民の負託を受けた公職にある者として、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 誠実かつ公正に職務を遂行し、自らの議員活動について説明するよう努めること。

(2) 区政の課題全般について区民等の意見を把握すること。

(3) 区政に必要な調査研究を行うとともに、政策立案及び政策提言を行うこと。

(4) 言論の府及び合議制の議会を構成する一員として、活発な議論を行うこと。

(5) 議会の監視機能強化等に資するよう、自らの資質向上のため不断の研さんを行うこと。

第3章 議会運営

(議員相互間の討議)

第6条 議員は、議会の権能を発揮するため、議員相互間の討議を行うことができる。

2 前項の討議の方法については、議長が別に定める。

(会期)

第7条 議会は、区政の課題等に的確かつ柔軟に対応し、主導的かつ機能的に活動をすることができるよう、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第102条第2項の規定に基づき、定例会の回数を年1回とし、その会期を通年とする。

(本会議の質問及び答弁方式)

第8条 区長等への一般質問(議事に先立ち、区の一般事務につき議長の許可を得て質問することをいう。)及びその答弁は、発言通告書に記載された件名を分野ごとに分割して当該分野ごとに行う方式又は当該件名を一括して行う方式により行うことができる。

(議長の責務)

第9条 議長は、公正に職務を遂行するとともに、議会の品位を保持し、民主的かつ効率的な議会運営を行わなければならない。

(議長及び副議長の所信表明)

第10条 議長及び副議長は、就任に当たり本会議で所信表明を行うものとする。

(令5条14・一部改正)

(本会議及び委員会の公開)

第11条 議会は、法第115条第1項ただし書に該当する場合又は他の条例に特別の定めがある場合を除き、本会議及び常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)を公開する。

2 議会は、前項の規定による公開に当たっては、多様な広報手段を活用するものとする。

(傍聴)

第12条 議会は、本会議及び委員会を開くときは、審議、審査及び調査の内容について、傍聴者の理解に資するため、議案及び会議資料の提供、供覧その他の必要な措置を講じなければならない。

2 前項に定めるもののほか、議会は、区民等が本会議及び委員会を適切に傍聴することができるよう、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(令5条14・一部改正)

(委員会の活動)

第13条 委員会の委員(以下「委員」という。)は、委員会における審査及び調査に当たっては、委員相互間の議論を十分に尽くし、これを尊重するよう努めるものとする。

2 委員は、区民等に対し、分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。

3 委員会の委員長(以下「委員長」という。)は、討議を通じて合意形成を目指し、論点、争点等を明確にして委員会運営を行わなければならない。

4 委員長は、必要があると認めるときは、議事堂以外の場所において委員会を開会することができる。

5 委員会は、所管する区政の課題等に対処することを目的に、区民等との意見交換会等を開催することができる。

(委員会による政策立案及び政策提言)

第14条 委員は、委員相互間の討議を通じて合意形成を目指し、政策立案及び政策提言を積極的に行うものとする。

2 委員会は、条例案(区長が提出した条例案に対する修正案を含む。次項において同じ。)の提出その他の政策立案及び政策提言を積極的に行うことにより、区の政策水準の向上を図るものとする。

3 委員会は、予算を伴う条例案を提出するに当たっては、必要に応じてあらかじめ区長等と協議することができる。

(特別委員会の設置方針等)

第15条 議会は、特別委員会の設置については、特定事件の調査研究をするという設置目的に鑑み、議会が果たすべき機能を十分に発揮し、区政の課題の変化及び社会経済情勢の変化に的確に対応し得るものとなるようにしなければならない。

2 議会は、毎年、特別委員会の設置について、必要な見直しを行わなければならない。

3 特別委員会は、毎年、その運営に関する方針を定め、これを公表しなければならない。

(政策会議)

第16条 議会は、政策立案及び政策提言を推進するため、毎年1回以上、政策会議を開催するものとする。

2 政策会議は、政策立案及び政策提言に関する事項を議長に提案することができる。

3 政策会議に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(会派等)

第17条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、基本的政策を共有し、かつ、議会における活動を共にしようとする2人以上の議員をもって構成するものとする。

3 会派は、代表者を選任するものとする。

4 前項の代表者は、会派の運営に関して、会派に所属する議員の管理及び監督の責務を負うものとする。

5 各会派及び会派に所属しない各議員は、政策立案及び政策提言等を行うに当たっては、相互に合意形成に努めるものとする。

(政務活動費)

第18条 政務活動費の交付を受けた会派及び議員は、区政の課題把握、政策立案及び政策提言並びに区民等の福祉の増進に資するよう、有効に活用しなければならない。

2 政務活動費の交付を受けた会派及び議員は、その適正な執行について、透明性を確保し、説明責任を果たさなければならない。

第4章 区民等及び議会の関係

(情報の公開及び説明責任)

第19条 議会は、多様な広報手段を活用することにより、議会活動に関する情報の積極的な公開及び発信に努め、説明責任を十分に果たすものとする。

2 議会は、広報の内容及びあり方について不断に検証するものとする。

3 議会は、議案、請願等に対する議員の賛否状況を公開する。

(区民参加の推進)

第20条 議会は、区民等との連携を推進し、区政の課題に対処するため、必要に応じて、議会活動に区民等が参加することができる機会及び区民等の意見を反映させる機会を確保するものとする。

2 議会は、本会議及び委員会の運営に当たり、必要に応じて、法第115条の2第1項に規定する公聴会制度及び同条第2項に規定する参考人制度その他多様な意見聴取の方法を用いて、区民等、利害関係を有する者又は学識経験を有する者の意見を議論に反映させるものとする。

3 議会は、請願及び陳情の審議及び審査に当たっては、その趣旨を十分に理解するために、請願及び陳情の提出者の意見を聴取する場を設ける。

第5章 議会及び区長等の関係

(区長等との関係)

第21条 議会は、二元代表制の下、区長等と独立かつ対等で緊張のある関係を保持し、区長等の政策の決定及び事務の執行に対する監視及び評価並びに政策立案及び政策提言を行うことにより、区民等の福祉の増進及び区政の発展に取り組まなければならない。

2 議会における審議、審査及び調査をより充実させるため、本会議及び委員会において、区長等は、議長及び委員長の許可を得て、議員の質疑又は質問に対して、答弁に必要な範囲内で、その趣旨又は内容に関して反問又は反論をすることができる。

3 議会は、採択した請願及び陳情のうち、議会が区長等において措置することが適当と認めるものについて、その趣旨の実現を区長等に求めるとともに、その処理の経過及び結果について、区長等に対し報告を求めるものとする。

4 議会は、本会議において可決された決議に関する事後の状況、対応等について、区長等に対し報告を求めるものとする。

(議会への説明等)

第22条 区長は、予算を議会に提出し、又は決算を議会の認定に付するときは、議会にその内容を説明するものとする。

2 区長等は、重要な計画、政策、施策若しくは事業を立案し、又は変更するときは、議会にその内容を説明するものとする。

3 前項に規定するもののほか、区長等は、議会又は議員から区長等が執行する事務に関する資料の提出又は説明の要求があったときは、適切に対応するものとする。

第6章 議会の機能強化

(研修の実施)

第23条 議員は、自らの政策立案及び政策提言能力を高めるとともに、自らの見識を深めるため、不断の研さんを行わなければならない。

2 議会は、前項に規定する目的に資するため、研修会等を行わなければならない。

(議会事務局)

第24条 議会は、円滑かつ効率的な議会運営及び議会活動の充実を図るため、議会事務局の機能強化及び十分な組織体制の構築を行うものとする。

2 議会事務局は、前項に規定する目的を達成するため、議会に対し提案を行うことができる。

(財政上の措置)

第25条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を充実するため、必要な財政上の措置を区長に求めるものとする。

(議会図書室)

第26条 議会は、議会図書室(法第100条第19項に規定する図書室をいう。以下同じ。)に同項に定めるもののほか、議員の政策立案及び政策提言に資する図書、記録その他必要な資料(電磁的記録を含む。)を収集し、及び保管するものとする。

2 議会図書室の管理及び運営については、議長が別に定める。

第7章 政治倫理

(議員の政治倫理)

第27条 議員は、区民の負託を受けた公職にある者として、高い倫理観が求められていることを深く認識し、良心及び責任感を持って、議員の品位を保持し、見識を深めるよう努めなければならない。

2 議員の政治倫理に関し必要な事項は、別に定める。

第8章 災害対応

(災害時の対応)

第28条 議会は、大規模災害等が発生したときは、区民等の生命、身体及び財産を保護し、区民等の安全を確保するために区長等と連携するものとする。

2 前項の規定による議会の具体的な対応については、議長が別に定める。

第9章 他の条例等との関係及び見直し手続

(他の条例等との関係)

第29条 議会は、議会に関係する他の条例、規則等を制定し、又は改廃する場合は、この条例の趣旨を尊重するとともに、この条例に定める事項との整合性の確保を図るものとする。

(見直し手続)

第30条 議会は、この条例の目的の達成状況について、一般選挙を経た議員の任期が開始した日から終了する日までの間において1回以上検証する。

2 議会は、前項の検証の結果、議会に関する条例、規則等を制定し、又は改廃することが必要であると認められる場合は、適切な措置を講ずるものとする。

3 議会は、第1項の検証の結果及び前項の措置を公表するものとする。

(施行期日)

1 この条例は、平成31年5月1日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

(準備行為)

2 この条例を施行するために必要な準備行為は、この条例の施行前においても行うことができる。

(墨田区議会定例会の回数に関する条例の廃止)

3 墨田区議会定例会の回数に関する条例(昭和31年墨田区条例第6号)は、廃止する。

(令和5年3月24日条例第14号)

この条例は、公布の日から施行する。

墨田区議会基本条例

平成30年12月11日 条例第46号

(令和5年3月24日施行)

体系情報
例規集/第2類 会/第1章
沿革情報
平成30年12月11日 条例第46号
令和5年3月24日 条例第14号