○墨田区公契約条例
令和5年9月29日
条例第31号
(目的)
第1条 この条例は、公契約について基本理念を定め、区及び受注者の責務を明らかにするとともに、優れた人材を確保することができる環境の整備を図り、公契約に係る施策の基本方針を定めることにより、これに基づく公契約に関する施策を推進し、もって区民福祉の向上及び地域社会の持続的な活性化に寄与することを目的とする。
(1) 公契約 区が締結する工事、製造その他の請負契約及び業務委託契約並びに地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定により区の指定を受けた者と締結する公の施設の管理に関する協定(以下「指定管理協定」という。)をいう。
(2) 受注者 区と公契約を締結する者をいう。
(3) 受注関係者 次に掲げる者をいう。
ア 区以外の者から公契約に係る業務の一部を請け負い、又は受託する者(次号イに掲げる者を除く。)
(4) 労働者等 次に掲げる者をいう。
ア 受注者又は受注関係者に雇用され、公契約に係る業務に従事する最低賃金法(昭和34年法律第137号)第2条第1号に掲げる労働者
イ 受注者又は受注関係者との契約により公契約に係る業務の一部を請け負い、又は受託する者で、当該業務を他の者を使用しないで行うもの
(5) 労働報酬 公契約に係る業務についての労働の報酬で次に掲げるものをいう。
ア 前号アに掲げる労働者がその雇用する受注者又は受注関係者から得る賃金
(基本理念)
第3条 公契約に係る入札及び契約の手続は、透明性及び競争性を確保しながら公平かつ公正に行わなければならない。
2 談合その他の不正行為は、徹底して排除されなければならない。
3 公契約は、契約の締結から履行に至るまで環境及び経済に配慮した持続可能なものとし、地球温暖化対策の一層の推進に配慮したものでなければならない。
4 公契約は、区内企業の受注機会(資材等の調達を含む。以下同じ。)の確保及び地域社会の活性化に配慮したものでなければならない。
5 公契約は、その履行により提供されるサービス等の品質及び価格が適正なものであり、かつ、労働者等の適正な労働条件等及び労働環境が整備されるものでなければならない。
6 公契約は、契約の締結から履行に至るまで、国籍、信条、性別、障害の有無等で差別されることなく、多様性に配慮がなされたものでなければならない。
(区の責務)
第4条 区は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、公契約に係る施策を総合的に実施しなければならない。
2 区は、環境及び経済に配慮した公契約を推進しなければならない。
3 区は、区内企業の受注機会の確保及び地域社会の活性化のため、受注可能な分野を確保し増大するよう、努めなければならない。
4 区は、公契約の履行、品質及び価格の適正性を確保しなければならない。
5 区は、公契約に係る労働者等の適正な労働条件等の確保及び労働環境の整備が図られるよう努めなければならない。
(受注者の責務)
第5条 受注者は、公契約を受託する者として社会的責任を自覚し、法令等を遵守するとともに、基本理念にのっとり、区が実施する公契約に係る施策に協力するよう努めなければならない。
(施策の基本方針)
第6条 区は、第4条に規定する責務を果たすため、公契約に係る次に掲げる施策を推進するものとする。
(1) 入札及び契約の手続に係る情報の公開に関すること。
(2) 談合その他の不正行為を排除するための措置に関すること。
(3) 環境及び経済に配慮した契約の推進を図るための措置に関すること。
(4) 区内企業の受注機会を確保するための措置に関すること。
(5) 契約の履行、品質及び価格の適正性を確保するための措置に関すること。
(6) 適正な労働条件等の確保及び労働環境の整備を図るための措置に関すること。
(7) 前各号に掲げるもののほか、基本理念を実現するために必要なこと。
(1) 工事又は製造の請負契約で、その予定価格が1億円以上のもの
(2) 工事又は製造以外の請負契約及び業務委託契約のうち、その予定価格が2,000万円以上のもので、墨田区規則(以下「規則」という。)で定めるもの
(3) 指定管理協定
2 前項の規定は、公契約の受注者が国、地方公共団体その他区長が定める者である場合については、適用しない。
2 労働報酬下限額は、時間によって定めるものとする。
3 労働報酬が時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合における当該労働報酬の額を時間についての金額に換算する方法は、規則で定める。
(1) 第7条第1項第1号に掲げる公契約に係る労働者等 農林水産省及び国土交通省が定める公共工事の工事費の積算に用いるための労務の単価
(2) 第7条第1項第2号及び第3号に掲げる公契約に係る労働者等 区の区域に係る最低賃金法第9条第1項に規定する地域別最低賃金及び会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例(令和元年墨田区条例第13号)第18条第1項に規定する報酬の額に、同条例第21条第1項に規定する地域手当に相当する報酬を加えて得た額
2 区長は、労働報酬下限額を定めようとするときは、あらかじめ、第14条第1項に規定する墨田区公契約審議会の意見を聴かなければならない。
3 区長は、労働報酬下限額を定めたときは、速やかにこれを告示するものとする。
2 前項の規定による検査又は質問(以下「検査等」という。)を行う区職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(1) 受注者又は受注関係者の氏名及び住所(その者が法人その他の団体であるときは、名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(2) 違反の内容
(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定める事項
2 区長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係る受注者又は受注関係者に対し、当該公表に係る理由を通知し、当該受注者又は受注関係者が意見を述べ、証拠を提示する機会を与えるものとする。
(墨田区公契約審議会の設置)
第14条 公契約に関する施策の適正な実施を確保するため、区長の附属機関として、墨田区公契約審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、区長の諮問に応じ、労働報酬下限額その他公契約に関し必要な事項について調査審議し、答申する。
3 審議会は、次に掲げる者のうちから、区長が委嘱する委員7人以内をもって組織する。
(1) 事業者団体関係者 2人以内
(2) 労働者団体関係者 2人以内
(3) 学識経験を有する者 3人以内
4 審議会の委員(以下「委員」という。)の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
5 委員が欠けたときは、補欠の委員を置くことができる。この場合において、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(委任)
第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付則
2 この条例の施行の日前において締結されている公契約(指定管理協定においては同日前に公募(公募によらない場合は申請に必要な事項を通知)し、締結した指定管理協定)については、この条例の規定は、適用しない。
別表
番号 | 約定事項 | 内容 |
1 | 労働関係法令の遵守 | 受注者は、第2条第4号アに掲げる労働者に係る労働条件に関して、関係法令の規定を遵守しなければならないこと。 |
2 | 受注者の負う契約条件 | 受注者は、第2条第4号イに掲げる者と請負契約又は業務委託契約を締結しようとするときは、その条件を1の項の関係法令の趣旨を尊重したものとしなければならないこと。 |
3 | 社会保険への加入 | 受注者は、労働者等を雇用形態に応じ社会保険に加入させなければならないこと。 |
4 | 労働者等の継続雇用 | 受注者は、継続性のある業務に関する公契約を締結するときは、当該業務に従事する労働者等の雇用の安定並びに当該業務の質の維持及び継続性の確保に配慮し、当該公契約の締結前から当該業務に従事していた労働者等のうち希望する者を雇用するよう努めること。 |
5 | 労働報酬に係る受注者の連帯責任 | 受注者は、受注関係者が労働者等に対して支払うべき労働報酬を支払わないとき、又は受注関係者が支払った労働報酬の額が労働報酬下限額を下回るときは、当該受注関係者と連帯して、当該労働者等に対し、当該労働報酬に相当する金額又は労働報酬下限額と当該支払った労働報酬の額との差額に相当する金額が支払われるよう、必要な措置を講じなければならないこと。 |
6 | 労働条件等の区への報告 | 受注者は、規則で定めるところにより、労働者等に係る労働条件等に関する事項を区に報告しなければならないこと。 |
7 | 労働者等に対する周知 | 受注者は、労働報酬下限額その他の規則で定める事項を作業所等の労働者等が見やすい場所に掲示し、又は労働者等に対し当該事項を記載した書面を交付しなければならないこと。 |
8 | 不利益な取扱いの禁止 | 受注者は、第11条に規定する申出を受けたときは、誠実に対応するとともに、当該申出をした労働者等について、当該申出をしたことを理由として解雇、請負契約又は業務委託契約の解除その他の不利益な取扱いをしてはならないこと。 |
9 | 報告の求め及び検査等への対応 | 受注者は、第12条第1項に規定する報告の求め及び検査等に応じ、協力しなければならないこと。 |
10 | 約定事項の違反の是正の求め | 区は、受注者が約定事項に違反していると認めるときは、当該受注者に対し速やかに当該違反を是正するために必要な措置を講ずるよう求めることができること。 |
11 | 約定事項の違反の是正等及び報告 | 受注者は、10の項に規定する求めを受けたときは、速やかに当該違反を是正する措置その他必要な措置を講じ、その結果について区に報告しなければならないこと。 |
12 | 公契約の解除等 | 区は、受注者又は受注関係者が次のいずれかの事由に該当するときは公契約の解除等をすることができ、当該解除等により受注者又は受注関係者に生じた損害を賠償する責任を負わないこと。 (1) 第12条第1項に規定する報告の求めに応じず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査等を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは当該検査等における質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。 (2) 10の項に規定する求めに応じないとき。 (3) 11の項に規定する報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。 |
13 | 損害賠償責任 | 受注者は、区が12の項に規定する事由による公契約の解除等をした場合において、当該公契約の解除等により区に損害が生じたときは、当該損害を賠償しなければならないこと。 |
14 | 公契約の解除等に係る違約金 | 区は、12の項に規定する事由による公契約の解除等をしたときは、受注者に対し違約金の支払を求めることができること。 |
15 | 受注者と受注関係者との契約 | 受注者は、受注関係者と契約を締結するときは、当該受注者が遵守すべき約定事項について、受注関係者が当該受注者に準じて当該約定事項を遵守することとなるよう、約定しなければならないこと。 |