2期目の所信表明

更新日:2019年6月14日

 令和元年6月議会定例会の初日である6月13日、山本区長が2期目の所信を表明しました。

1 はじめに

 令和元年度定例会6月議会の開会にあたり、私にとりまして区長2期目のスタートとなる区議会ですので、この機会に区政運営に対する私の基本的な考え方について述べ、区議会ならびに区民の皆さんのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 初めに、先般の選挙を通じて私の感じたことについてです。
 選挙期間中は限られた日数ではありましたが、区内全域を回り、多くの区民の皆さんと直に接し、区政に対する大きな期待や様々な御意見、思いを伺うことができました。中でも、お子さん連れで街を歩く子育て世帯や、シルバーカーを押す高齢者の皆さんに出会い、子育てや教育、高齢者施策の重要性を強く感じたところです。また、外国人観光客や主要な駅周辺の来街者数も増加しており、多様化するまちや区民の姿に、すみだならではの「共生」のあり方を考える必要を強く感じました。
 そうした中で、今回の選挙では、区民の皆さんに、私の区政1期目の実績と、今後4年間の区政に取り組む姿勢をお伝えし、有効投票数の7割の得票を得ることができました。これは、私が掲げた「すみだの“夢”」の実現により、どこよりも素敵で魅力的なまちづくりに邁進していきたいという思いを、多くの皆さんに受け止めていただいたことによるものと、大変うれしく、また光栄に思っています。一方で、投票率は43.76%と前回を下回ったことから、このことを真摯に受け止め、とくに若い世代の区政への関心を高める工夫をさらに検討する必要性を感じました。こうしたことに留意し、今後の区政運営に当たっていきたいと考えています。
 東京2020オリンピック・パラリンピックの開催までいよいよ1年余りとなりました。結論が持ち越されていたボクシング競技については、その実現に向け、区議会や区民の皆さんに署名活動などのご協力をいただいた結果が実を結び、先月22日に開催されたIOC理事会において、競技実施の方針が決定されました。まずはこの決定に安堵するとともに、本区としても、改めて「オールすみだ」で、大会の成功に向け取り組んでいきます。
 元号が平成から令和に替わった5月1日、令和の幕開けとともに幸せな新婚生活をスタートする方々の新たな門出をお祝いする特設コーナーを庁舎に設けたところ、311組ものカップルが訪れ、婚姻届を提出されました。私もその場で一緒にお祝いをさせていただきましたが、希望にあふれる新時代の幕開けになったと考えます。
 新元号「令和」には、一人ひとりの日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができるように、との願いが込められています。私は、誰もが明日への希望を抱きながら、その能力を発揮し、夢を叶えることができるまち、区民が誇れるまち“すみだ”の実現をめざして、引き続き真摯に区政運営に取り組んでいきます。

2  区政運営に関する基本姿勢

 次に、向こう4年間にわたる区政運営全般に関する私の基本姿勢について申し述べます。
 これまで私は、「民間感覚と区民目線による、更なる可能性を追求した区政の展開」、そして、「スピード感のある、区民に開かれた区政の推進」の二つを基本姿勢として掲げ、区政運営に取り組んできました。
 社会情勢が大きく変化するなかで、これまで以上に区民目線に立つことで、刻々と変わる区民ニーズを的確に捉えながら、コンプライアンスを重視し、行政運営を着実に進めていきたいと考えています。
 区長就任以来、職員に対し、行政を担うプロとして、フットワーク、ヘッドワーク、チームワーク、ネットワークの4つのワークを念頭に仕事に臨むよう徹底してきました。職員自らが現場に足を運び、耳を傾け、問題をしっかり把握すること。現場の課題に対し解決策・対応策を徹底的に考えること。それを他の職員や区民・関係者の皆さんと共有し、そこで築いた信頼と絆を区政のさらなる発展に結び付けていくよう求めてきました。
 これからも、私自身が職員の先頭に立ち、この二つの基本姿勢を堅持しつつ、大胆な発想と決断で、区政をリードしていきます。

3  区政運営の基本的な取組方針

 次に、区政運営の基本的な取組方針についてご説明します。

 第一には、1期目の成果を踏まえた区政の更なる発展「ステージアップ」についてです。
 私は、平成28年6月に、10年後のすみだの将来像を示し、区政運営の羅針盤となる「墨田区基本計画」を策定しました。その中で、計画全体をけん引する「すみだの“夢”実現プロジェクト」を掲げ、「暮らし続けたい、働き続けたい、訪れたいまち」の実現と、夢と希望を育む、どこよりも素敵で魅力的なまちづくりに取り組んできました。
 この間、若年世代の方々の転入などにより、計画策定時、約26万人だった本区の人口は、現在、約27万4,000人へと増加し、公園などでは、家族連れや若者の姿も多くみられるようになりました。区民の皆さんに、これからもすみだに住み続けたいと思っていただけるようなまちづくりを進め、基本計画を着実に推進していきます。
 まず、「暮らし続けたいまち」の実現では、子ども・子育て支援について最優先に取り組み、待機児童の解消については、平成28年度から平成30年度末まで、当初の計画を大きく上回る1,636人の保育定員を拡大し、学童クラブの定員も299人拡大するとともに、子育てひろば事業の充実などに力を入れてきました。さらに、区内在住の親世帯と同居又は近居する子育て世帯向けに住宅取得支援制度を創設するなど、ファミリー世帯の定住促進にも取り組んできました。引き続き、待機児童の解消をはじめ多様なニーズに対応した質の高い保育サービスを展開するなど、安心して子どもを生み育てることができる環境づくりを推進し、子育てしやすい「暮らし続けたいまち すみだ」につなげていきます。
 「働き続けたいまち」の実現では、すみだビジネスサポートセンターの開設や、新ものづくり創出拠点整備事業など、新たな産業施策を展開してきました。地域産業を牽引する中小企業も増加してきており、今後開学する大学との連携や、創業支援の強化などにより、新分野への新規参入・異分野との連携・融合を促進し、次代のものづくりを担う人材を育成・支援していきます。こうした取組みを通じて、区内の産業の活性化を図り様々な人が区内で活躍し、働き続けられる環境づくりを進めていきます。
 「訪れたいまち」の実現では、平成28年11月に、すみだ北斎美術館が開館し、これまで国内外から65万人を超える来館者を迎え入れています。また、刀剣博物館の開館など区内の文化施設の集積も進み、さらに多くの観光客が本区を訪れるようになってきました。今後は、浅草から北十間川・隅田公園、押上・スカイツリーまでの観光回遊路の動線強化とエリアの賑わいを創出し、回遊できる環境を整備していきます。
 シティプロモーションについては、区長就任後、「人つながる墨田区」をテーマに、ロゴマークの普及や啓発、SNS等を活用した情報発信の強化に積極的に取り組んできましたが、区民や事業者の皆さんがさらにつながるまちを作るため、戦略的な取り組みを進めていきます。
 いよいよ来年4月には、(仮称)i専門職大学が、再来年4月には、千葉大学「デザイン・建築スクール」が開学します。両大学との包括連携協定に基づき、大学の知見を活用した教育、産業振興、人材育成など、地域の活性化も含め、大学のあるまちづくりを進めていきます。
 なお、基本計画については令和2年度で前期が終了しますので、これまでの成果を検証しつつ、社会経済状況の変化を踏まえて、区議会の皆さんとの議論や区民参画を図りながら、中間改定を行います。

 第二には、東京2020オリンピック・パラリンピックを通じて生み出されるレガシーを発展させて、誰もが安心して暮らせるまちづくりの推進です。
  この大会が、将来を担う子どもたちを始め、多くの区民の記憶に残り、墨田区の活性化につながるような取り組みとするため、国連が設定する「持続可能な開発のための目標」(SDGs)の理念や視点を取り入れ、本区の成長や発展に向けた取り組みを推進していきます。
 また、大会ビジョンである全員参加・自己ベストのもと、お互いを理解し合う心を育み、成熟社会においても心豊かな、誰もが健康で暮らしやすいまちづくりを進めます。障害の有無に関わらず互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することができる、地域で支え合う「すみだ型共生社会」の実現をめざしていきます。

  第三には、持続可能な行財政運営です。
 本区においては、待機児童対策などの子育て支援をはじめ、様々な行政需要が増加する一方、地方法人課税の一部国税化等の不合理な税制改正などによる減収が発生しており、今後の財政運営への影響を注視する必要があります。
 すみだの“夢”実現に向けて、基本計画に掲げた施策を推進していくためには、「行財政改革実施計画」に基づく様々な取組みを着実に進めるとともに、「第2次公共施設マネジメント実行計画」による公共施設の再編・整理、跡地の有効活用など、これまで以上に不断の行財政改革を推進していく必要があります。そのためには、今年度作成する「財政白書」により区財政の可視化を図るとともに、行政として担うべき業務の選択と集中を進め、持続可能な財政基盤の確立と効率的な行政システムの構築を進めます。
 また、業務改善推進プロジェクトにより、具体的な事業の見直しや業務改善、AI・RPAなどの導入や全庁共通業務の簡素・効率化に取り組んでいきます。

4  具体的な施策大綱(すみだの「夢」実現 ~ステージアップ構想~)

 以上、申し上げました区政運営の基本的な取組方針を基に、具体的な施策の大綱について、その概要を申し上げます。私は、このたびの区長選挙におけるマニフェスト、いわゆる「すみだの「夢」実現 ~ステージアップ構想~」の中で、七つのプログラムを区民の皆さんにお示ししました。

 その第一点は、子育てと教育の環境をしっかり整え、生まれ育った地域に自信と誇りが持てるまちの創造です。
 将来の年齢構成を考慮しつつ健全に人口規模を維持していくためには、次代を担う子供の育ちを社会全体で応援するため、子育てにかかる負担の軽減や、安心して子供を産み育てることができる環境づくりを推進していく必要があります。待機児童対策を始めとする子育て支援施策に引き続き力を入れるとともに、子育てひろばの整備などの在宅子育て支援をより一層充実させ、多様な子育てのニーズに対応していきます。また、公園や児童遊園の整備により、子どもたちの笑顔があふれるまちづくりを進めていきます。
 さらに、新たに産後ケア事業や周産期母子サポート体制を推進することで妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行っていきます。児童虐待への取組みについては、対応の強化を図り、虐待の早期発見、未然防止等に努めていきます。
 教育環境については、「学力向上新3か年計画」を着実に推進するため、現計画に基づいた3年間の取組みの成果を評価するとともに、今年度に第2次計画を策定し、子どもたちの更なる学力の向上と定着をめざします。また、グローバル化を視野に入れた英語教育の更なる充実や子どもの未来応援、知・徳・体のバランスのとれた教育等を教育委員会と連携し推進していきます。加えて児童・生徒の猛暑による熱中症対策及び災害発生時の避難所施設の機能向上を図るため、学校屋内運動場へ空調設備を整備します。

  二点目は、人がつながり、支えあうことができる仕組みづくりを通じて、誰もが安心して暮らせるまちの創造です。
 現在、本区の人口は増加傾向にあるものの、2040年問題に象徴されるような超高齢社会の到来や人口減少、自然災害の発生等を見据え、福祉や防災、子育て支援など様々な課題の解決に向けて、地域におけるつながりや支えあう仕組みを構築することが重要となります。そのためには、協治(ガバナンス)の観点から、人づくり・場づくり・仕組みづくりを進めていく必要があり、これらを具現化するため、地域力を様々な視点から捉えつつ、地域力向上プラットフォーム事業など新たな施策を加え、地域力の向上を図っていきます。
  また、「災害に強い安全・安心なまちづくり」については、様々な主体の連携により地域の災害対応力を高めていくとともに、建築物の不燃化や耐震化等を促進し、ソフト・ハード両面からの安全・安心なまちづくりを進めます。さらに特殊詐欺対策や防犯カメラの設置など、地域防犯力の向上にも努めていきます。

 三点目は、高齢者や障害者が健康でいきいきと暮らし、地域力の強化に貢献していただけるまちの創造です。
 区では、この間、施設整備をはじめ、さまざまな高齢者福祉事業や在宅医療・介護サービスの連携強化等に取り組んできました。今後、高齢者人口が急速に増加していくなかで、住み慣れたまちでいきいきと暮らし続けるためには、健康長寿に向けた取組みや、医療と介護の連携など、地域包括ケアの充実が課題です。こうした課題を受け、福祉総合型高齢者支援総合センターなどにおいて、地域のつながりの中で介護予防を行う取組みを展開するとともに、すみだならではの地域包括ケアシステムを構築していきます。また、区民の健康を守り、健康寿命の延伸を図る取組みとして、総合的ながん対策の充実を図ります。加えて、生涯健康都市づくりの拠点として、令和4年度中の竣工を目指している新保健施設等複合施設の整備を着実に進めていきます。
 本年4月に施行した「墨田区手話言語及び障害者の意思疎通に関する条例」を契機とし、手話を言語として認識するとともに、障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する地域社会の実現を目指します。
 また、本年12月に開場予定の総合運動場では、スポーツ活動の輪を広げ、子どもから高齢者、障害のある人もない人も、健康づくりの場として、活用できるように運営していきます。

 四点目は、地域産業の次世代を担う若者が、伝統を生かしながら新たな視点で活躍できるまちの創造です。
 本区は、わが国における近代産業発祥の地であり、ものづくりのまちとして発展してきましたが、近年は産業構造の変化などにより、事業所数及び従業者数が減少傾向となっているなど、区内企業を取り巻く環境は厳しさを増しています。区ではこれまで、区内産業の活性化に向けて、技術開発や販路開拓、経営基盤の強化など既存事業者の支援や、ベンチャー企業など、新たな産業を区内に取り込むための創業支援等を行ってきました。今後も、国内外の変化に的確に対応し、地域産業の持続的発展につなげていくことが求められています。そのためには、すみだブランドを中心に、産業振興施策を再構築し、次世代を担う若者が“働く場”としての魅力を本区に見出せるようにすることが重要です。
 すみだのものづくりの伝統や技術等に関する情報を効果的に発信することで次世代のものづくり人材を区内に引き寄せ、区内企業と結び付けるとともに、ものづくりの現場を学びの場とし、次世代の人材育成につながる施策展開を図っていきます。

 五点目は、地域資源のさらなる掘り起こしと磨き上げを通じて、すみだの魅力を内外に発信できるまちの創造です。
 私は、訪れたいまちとは他にはない魅力的な観光コンテンツがあり、訪れた人を受け入れる環境が整っているまちであると考えています。すみだには、歴史的に培われた魅力的な地域資源があり、訪れる観光客にとって、地域の商店街とのふれ合いや銭湯での体験など、日々の生活、いわゆる日常のなかに新たな発見や“住まうように旅する”といった楽しみがあります。今後はこうした日常を掘り起こし、すみだならではの観光資源として活用していくことで、地域特性をさらに生かした観光推進につなげていきます。
 また、区内に集積する美術館・博物館や文化芸術プロジェクトの実施等を通じて来街者を呼び込み、持続的に賑わいを創出していくとともに、本区の特色である豊かな水辺環境を活かした魅力ある空間や舟運を取り入れた回遊ルートの構築などを進めます。こうした様々なすみだの魅力を効果的・戦略的な情報発信によって国内外に広め、区外の人々のすみだに対する共感を生み、憧れを高める取組みを推進していきます。

 六点目は、産業・観光・教育の融合から、新たな価値観を生み、将来の展望が開けるまちの創造です。
 産業分野では、AIなどによる技術革新が著しく進むなど、社会経済環境が変化するなかで、事業承継や商店街の抱える課題が顕在化しています。観光の分野においても、日本に訪れる外国人観光客が、地域の文化を深掘するような観光スタイルに変わっていることから、今後は、インバウンドに対応した個店の取組みや、商店街の受け皿づくりなど、従来の枠組みにとらわれない対応を進めていきます。また、大学とベンチャーとの連携で次世代の人材育成を進めつつ、これらの変化と実績を踏まえ、令和4年度までを計画期間とする、産業振興マスタープランを前倒しで改定し、観光振興プランと統合することで、産業と観光相互の視点で、重層的な事業展開を図っていきます。

 七点目は、区内各エリアの特性を活かし、それぞれの地域がますます光り、魅力あふれるまちの創造です。
 主な地域ごとの特性を活かしたまちづくりを進めるため、エリアマネジメントの視点を取り入れた、北十間川・隅田公園観光回遊路の整備を進めます。また、文花地区の大学のあるまちづくり、東武伊勢崎線(とうきょうスカイツリー駅付近)立体化事業に伴うまちづくり、そして両国リバーセンタープロジェクトの推進など、それぞれの地域特性を活かし、人と人、地域と人のつながりを大きな力とするとともに、官民協働の相乗効果による、にぎわいや特色のある魅力的なまちづくりを推進していきます。

5  むすびに

 以上、今任期中における私の区政に対する心構えや基本的な考え方について、縷々述べてきました。一方、昨今の社会経済情勢をみると、景気の先行きについては不透明感が高まっています。中小・零細企業が多く集積する本区においては、景気悪化の影響を受けやすいことから、その状況を注視していく必要があります。このため、これまで以上に最小の経費で最大の効果を上げるため、民間感覚も取り入れて、コスト意識を持ったより効果的・効率的な行政運営を行っていきます。
 本年10月には消費税率の引き上げが予定されており、それに伴う対応として、幼児教育の無償化やプレミアム付商品券の発行事務など、実施に向けて着実に準備を進めていきます。また、いよいよ1年後に迫った東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、競技会場周辺のインフラ整備や気運醸成、さらには大会後のレガシーにつながる取組みを推進します。
 「令和」には、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味も込められており、私は、新時代の本区においても、人と人とが温かい心でつながり、支え合う「人つながる墨田区」をさらに推進していきます。
 そして「すみだの“夢”実現 ステージアップ」に向けて、引き続きリーダーシップを発揮して、全力で区政運営に取り組んでいきますので、区議会の皆様をはじめ区民の方々の格別のご理解とご協力を賜りますようお願いを申し上げまして、私の所信表明といたします。
 ご清聴、誠にありがとうございました。

※本文は、口述筆記ではありません。表現等について、若干の変更のある部分があり得ますので、御了承願います。

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