すみだを愛し、すみだで活躍する人をリレー形式で紹介する「つながる すみだ人」。お話を伺った方に次の方を紹介していただき、すみだを愛する人をつないでいきます。第45回は、すみだで生まれ育ち、印章彫刻を手掛ける傍ら、その技術や知識を
増澤 かんなさん(墨田在住)
手彫りによる、ゴム印や実印、記念スタンプなどの制作に携わって30年以上になります。祖父が印章店を開き、現在は父と二人で営んでいます。
自分が書いた文字や絵はもちろんですが、お客様の下絵をもとに彫ることもあります。印の材料には木や角、ゴムなどがありますが、実は柔らかいゴムを彫るのは刃物の扱いが難しいんですよ。
また、コロナ禍で機会が減っていますが、印章彫刻技能士が集まる東京都印章技能士会に所属し、小学校での出前授業や彫刻体験イベントを行っています。彫るだけではなく、漢字の成り立ちから話すと、とても興味をもってくれますね。ここ数年は、より身近な地域に関わりたいと、毎年区内で開催される、ものづくりイベント「すみだファクトリーめぐり“スミファ”」にも参加しています。今年も11月に開催されますので、ぜひ、様々なものづくりに触れてみてください。
自宅兼店舗のため、はんこを彫る祖父や父の姿を見て育ちました。丁寧で細かな作業や夜遅くまで打ち込む姿勢に憧れましたね。自然と「私もやりたい!」と思い、同業者組合が開催する印章彫刻の講習会に19歳から約10年通いました。現在は、その講師の一人として、育ててくれた組合に恩返しができればと、後進の指導に当たっています。一方で、「何年経っても、自分はまだまだだな」とも思います。経験を重ねることで生まれる“味”もありますしね。
漢字や書体は非常に奥深く面白いです。成り立ちや意味を知ると、彫る文字一つひとつにも気持ちがこもります。印章は押された途端に本人を証明し、権利や責任などに関わる大切なものです。お客様一人ひとりと向き合い、その方を
また、印章彫刻という仕事は一人で行う仕事なので、同業の方の仕事や、異業種の仕事などを見たり学んだり、外からの刺激を受けることも大切だと思います。技能士会やスミファでの活動は、様々な方と交流ができ、視野が広がるので、貴重な経験となっていますね。
私の住む地域は、昔から住んでいる方も多く、皆さん顔なじみです。夕飯のおかずのお裾分けもしょっちゅうです。一人ではない安心感があるところが好きですね。高齢化が進んでいますから、「今日は電気が消えたままだけれど、どうしたのかな」というように、自然とお互いを気に掛けて生活しています。
そんな昔から変わらない穏やかな地域に支えてもらいながら、仕事では新しいことを取り入れて、これからも挑戦していきたいと思っています。
「作業中の父です。父や亡き祖父の背中を追いかけて技術を磨きます。」
厚生労働大臣賞を受賞した作品。「競技会に出品すること自体が勉強になるので、今後も様々な経験を積んでいきたいですね。」
岩田屋商店を営み、長年、商店街活動や町会活動に関わってきた岩田 雄次郎さんです。
[問合せ]広報広聴担当 電話:03-5608-6223
今月の1枚
「スカイツリーから見下ろすすみだ」
【撮影】松島 えりかさん
本コーナーへの写真を随時募集しています。詳細はこちらをご覧ください。
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