すみだ区報2018年2月11日号

文化・スポーツ

北斎名品コレクション⑬

枕草子を読む娘((すり)(もの)

葛飾北斎は、鳥居清長などの美人画に影響されながらも独自の画風を追い求め、勝川春章の下を離れてからは、俵屋宗理と名乗り、宗理美人と呼ばれる長身でうりざね顔、()()(びたい)の美人像を作り出しました。やがて装身具や髪型等をも細かく描き出し、当時の江戸女性の風俗を今日まで伝えています。

この「枕草子を読む娘」は振袖新造と呼ばれる若い遊女で、きらびやかな着物と帯、さらには緑色に輝く「(ささ)(べに)」が特に目を引きます。笹紅は、唇に墨を置き、その上から紅を重ねることで墨の艶が紅を引き立てるという化粧法です。文化・文政の頃(1804年~1830年)、高価な紅をふんだんに使えない庶民の、特に若い娘たちの間で爆発的に大流行しました。