町内でも数少ない栗の専業農家。東京都出身で、以前は金融機関に勤めていたが、祖父が営んでいた農家を継ぐため、10年前に小布施町へ。栗の品質が認められ、
特集
友好都市との紙面交換企画
やがて来る すみだと小布施の交流を待ち望んで
栗農家 小林茂久さん
栗って面白い
「栗と北斎と花のまち」と、小布施町のキャッチフレーズにもなっている栗。栗農家を継ごうと思ったきっかけを尋ねると、「栗は、ほかの作物と比べて手がかからないと聞いていて、正直少し甘く見ていたんです。でも、実際はそんなことはなくて。」と当時の本音を教えてくれた小林さん。「私が小布施に来たとき、祖父はすでに高齢で畑に出られなかったため、技術的な部分は教わることができず、ゼロからのスタート。勉強会に参加したり、町内の栗農家さんに教わったり、県外の栗園にも赴いたりして少しずつ技術を蓄積してきました。栗はほかの作物に比べて、日光を欲しがるため、いかに実のなる枝を日光の当たる場所に置いてあげるかというのが1つのポイント。そのため、
これまでを振り返り、「もちろん初めは苦労もたくさんありましたが、学んでいくのはとても楽しかったです。栗って面白い作物だなあ、と。例えば、りんごなどのほかの作物は生で食べることが多いですが、栗はそうではなく、食べ方も含めて学ぶ余地があるんです。前職で全く違う畑にいた経験や視点を
台風被害を乗り越えて
一昨年10月に日本列島を襲った台風第19号。小布施町でも、増水した千曲川の水が堤防を越え、住宅や田畑が浸水しました。小林さんご自身は、家族とともに避難して無事でしたが、ご自宅と栗畑が浸水被害を受けました。「家の母屋が床上1m以上の浸水で、大規模半壊の認定を受けました。農器具や栗を保管していた大型冷蔵庫は全て駄目になり、畑の大半も水に
小布施から栗を元気に
小林さんによると、栗はかつてより消費量が落ち、〝栗離れ〞が進んでいると言います。そんな現状を冷静に見つめつつ、「皆さんにとって、栗がもっと身近なものになるよう、焼き栗や蒸し栗など提供方法を工夫して、小布施から、栗の消費量を伸ばしていければ。」と語ります。また、東京から来た小林さんを受け入れてくれた小布施町への感謝の気持ちとともに「小布施という土地で、一体となって栗を盛り上げ、それによって町もさらに元気になれば。」と今後の展望を話します。
昨年は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、様々な物産展が軒並み中止に。「墨田区の皆さんをはじめとした消費者の方々に、直接、栗をお届けできる日が来るのを切に願っています。」と小林さんは想いを伝えてくれました。