すみだ区報2021年1月11日号

特集

友好都市との紙面交換企画
やがて来る すみだと小布施の交流を待ち望んで

おぶせファーマーズ代表 島田智仁さん

小布施町出身で、農業を営みながら、農家集団「おぶせファーマーズ」の代表を務める。かつてJAで営農技術員として働いていた経験を活かし、ぶどう・りんご・桃・プルーン・ネクタリンなど、多品種の作物を手掛けている。

小布施の環境あってこそ

様々な作物を手掛ける島田さんにその理由を尋ねると、「一番は、色々なものを作ってみたかったんです。」と明るい返事が返ってきました。ぶどうとりんごは各10種類以上、桃とプルーンは各7種類と、銘柄も豊富です。これだけの多品種を育てることができるのには、小布施の土地柄も大きく関係しているようで、「小布施は扇状地で水はけがいい。四季がはっきりしていて寒暖差もあるため、柑橘(かんきつ)類以外は何でもできるとまで言われています。

この小布施の環境があるからこそ、様々な果物が作れるんです。」と、小布施が果樹を育てるのにとても恵まれた環境であることを教えてくれました。

また、小布施の好きなところを伺うと、「4km近く続く春の桜並木、秋の雁田山の紅葉と、実りの果樹園。小布施では四季の移り変わりがはっきりとしていて、四季それぞれに素晴(すば)らしい景色があるんです。」と島田さん。作物にとっても小布施町の皆さんにとっても、四季の移り変わりは欠かせないことのようです。

おぶせファーマーズの強み

農家が抱える課題をチームで解決しようと、3年前に町と協働で立ち上げた「おぶせファーマーズ」。栗の専業農家やりんご農家、桃農家など、様々な作物を栽培している約50人の方が参加し、先日も新メンバーが加入するなど、その輪がますます広がっています。「おぶせファーマーズでは、長野県内に加え、県外の直売所にも作物を出荷し販売しています。そのほかには、首都圏のマルシェなどに直接出向いて、お客さんの顔を見て販売しています。このような直売所やマルシェとのやりとりは、農家1人だとなかなか難しく、団体で活動することで実現しています。種類という意味でも量という意味でも、ものを集め、安定して作物を提供できるためです。1人ではできないことも、みんなで協力し合えばできる、これは非常に大きいですね。」と島田さんはおぶせファーマーズの強みを語ります。

「新型コロナウイルス感染症の影響を受け、昨年は直売所などへの出荷はできたものの、マルシェなどへはほとんど参加できませんでした。品物だけ送って販売はできても、直接行って自分たちの顔を見せることや、消費者の方の顔を見て販売することができないのがやっぱりつらいですね。」と、いつもお客さんを第一に心掛ける島田さんは言います。「早く直接、消費者の方に作物を届けたいですね。大変な状況になってしまいましたが、これからもファーマーズのみんなで力を合わせ、墨田区の方をはじめとしたたくさんの方に美味(おい)しいものを届けていきます。」そう語る島田さんの目は明るい未来を見ていました。

たわわに実ったマスカット。「良いものを作るのは当たり前。食べる方に喜んでもらえるものを作りたい。」と、いつもお客さんのことを念頭に置き、栽培しているという島田さん。
熱心さはオンライン取材でも伝わる。もともと実家はりんご農家だが、島田さんが就農してからは栽培する品種を増やし、栽培面積も2倍近くまで増やしたとか。