○墨田区災害復興基本条例
平成16年6月30日
条例第16号
墨田区は、生命・財産の安全が保たれる災害に強い防災のまちを目指し、昭和54年に墨田区地域防災基本条例を制定し、大震災の発生等による災害の未然防止等に努めてきた。
一方、先の阪神・淡路大震災では、都市部を広域的に襲った大震災として、災害対策全般にわたり数多くの教訓を残した。とりわけ港湾・道路などの基盤施設の復興は着実に進んだものの、生活の再建、商店街や産業及び木造密集市街地を含めたまちとしての総合的な復興の重要性が課題として指摘されている。
また、災害からの復興は、行政の支援と相まった区民等の努力や責任とともに、区民等が相互に助け合うことによって成し遂げられるものであり、地域住民の力を最大限に生かした対策が欠かせない。
このような状況に鑑み、墨田区が大規模な地震等により重大な被害を受けた場合における総合的な復興対策をあらかじめ定めておくことは極めて重要である。
墨田区は、復興に当たり、第一義的に区民の暮らしの安定・向上を図ることを目標として、市街地整備や産業振興等を含めた「暮らしの復興」を進めることとし、区民、事業者及び区が協働して、復興対策を総合的かつ計画的に推進するという決意を表明するとともに、復興対策の指針を示すため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、墨田区が大規模な災害により重大な被害を受けた場合において、被災後における暮らしの復興を実現するため、区民、事業者及び区の協働により復興対策を総合的かつ計画的に推進し、もって区民が安心して住み続けられる地域づくりを進めることを目的とする。
(1) 災害 地震その他の異常な現象により生ずる被害をいう。
(2) 暮らしの復興 災害により大規模な被害を受けた区民の暮らしの安定・向上を図ることを第一義の目的とし、被災前の地域社会をできる限り維持しつつ、生活の再建、再度の災害の防止及び生活・経済環境の向上を目指した復興を総合的に進めることをいう。
(3) 復興対策 被災後の暮らしの復興を図るための各種対策をいう。
(4) 地域協働復興 被災後において、区民が相互に協力し、事業者、ボランティア及び区長その他の行政機関との協働により、自主的に地域社会の復興を進めることをいう。
(5) 復興区民組織 地域協働復興に関する活動を行う組織をいう。
(6) 地域復興協議会 復興区民組織のうち、地域住民等を構成員として組織された団体で、区長が認定したものをいう。
(復興の基本理念)
第3条 区民、事業者及び区が協働して復興対策を推進することにより、墨田区基本構想の具現化を目指すこととする。
2 区長は、暮らしの復興に際して、被災者及び区民との協働のもと、福祉、産業、教育、まちづくり等の復興の課題に対し、総合的かつ計画的に取り組み、歴史や文化を生かした安全で住みやすい快適な環境創造を図るものとする。
(区長の責務)
第4条 区長は、災害により大規模な被害が発生したときは、暮らしの復興を実現するため、速やかに災害復興基本方針及び災害復興計画を定めなければならない。
2 区長は、暮らしの復興を実現するために、区の組織及び機能を挙げて最大の努力を払い、必要な施策を実施しなければならない。
3 区長は、災害復興計画の策定に当たっては、区民及び事業者(以下「区民等」という。)並びに復興区民組織の意見を聴くよう努めるとともに、復興対策の実施に当たっては、区民等及び復興区民組織の適切な合意形成に努めなければならない。
4 区長は、国、東京都及び関係機関との連携を図り、復興対策の推進その他必要な施策を実施しなければならない。
(区民等及び復興区民組織の責務)
第5条 区民等は、自立的に、かつ、相互に協力し、自らの生活及び生業の復興並びに地域協働復興に努めなければならない。
2 区民等及び復興区民組織は、区の定めた災害復興基本方針及び災害復興計画に基づく復興に努めなければならない。
3 復興区民組織は、地域住民、地域内に存する事業者等の合意形成を図り、地域復興のための企画、立案、実行等に取り組み、区とともに地域の復興に努めなければならない。
(区民等の参画と協働による復興の推進)
第6条 区長は、災害からの復興に際しては、区民等の参画と協働を保障し、地域住民の力を最大限に活かした復興を推進するものとする。
第7条 区長は、区民等が被災後においても被災地にとどまり、生活及び生業並びに被災前の地域社会をできる限り維持できるよう、区民等の暫定的な生活及び生業の場の確保に努めるものとする。
第8条 区長は、平常行っている区民等の各種地域活動の推進にあわせ、あらかじめ、地域協働復興に対する区民等の理解を深めるよう努めるものとする。
(地域復興協議会の認定)
第9条 区長は、地域協働復興に関する活動を促進し、地域社会の復興を効果的に推進するため、墨田区規則で定める要件を満たす復興区民組織を、地域復興協議会として認定することができる。
2 区長は、前項の規定による認定をしたときは、その旨を告示しなければならない。
(区民等の参画と協働による復興への取組みに対する支援)
第10条 区長は、区民等の参画と協働による復興を推進するため、復興区民組織に対し、情報の提供、相談体制の充実、資器材の提供等必要な支援を行うよう努めるものとする。
2 区長は、国、東京都及び関係機関との連携を図り、復興区民組織の活動に対して必要な施策の実施に努めるものとする。
3 区長は、復興区民組織の活動を支援するため、専門家、特定非営利活動法人等との協力関係の構築に努めるものとする。
(災害復興本部の設置)
第11条 区長は、災害による大規模な被害が発生し、総合的、計画的な復興対策を迅速かつ円滑に推進する必要があると認めるときは、墨田区災害復興本部(以下「本部」という。)を設置するものとする。
(災害復興本部の組織及び職務)
第12条 本部に、本部長、副本部長及び本部員を置く。
2 本部長は、区長をもって充てる。
3 副本部長及び本部員は、本部長が区の職員のうちから指名する。
4 本部は、墨田区災害対策本部条例(昭和38年墨田区条例第7号)で定める墨田区災害対策本部と連携し、復興対策を推進するものとする。
(本部の廃止)
第13条 区長は、暮らしの復興が進捗し、本部の設置目的が達成されたと認めるときは、本部を廃止するものとする。
(委任)
第14条 この条例に定めるもののほか、地域協働復興の推進に関して必要な事項並びに災害復興本部の設置及び運営に関して必要な事項は、区長が別に定める。
付則
この条例は、公布の日から施行する。