○墨田区まちづくり条例

平成16年6月30日

条例第21号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 墨田区まちづくり検討委員会(第7条―第10条)

第3章 地区まちづくり団体等(第11条―第14条)

第4章 地区のまちづくり(第15条―第22条)

第5章 まちづくりの支援(第23条―第26条)

第6章 都市計画の案の作成等(第27条―第30条)

第7章 委任(第31条)

付則

墨田区は、その名の由来でもある隅田川堤等、古くから人々に親しまれた自然があり、江戸時代には、格好の行楽地として親しまれるとともに、庶民文芸の舞台にもなりました。近代に至り、関東大震災、戦災といった度重なる災害を受けましたが、先人たちのたゆみない努力により、今日の墨田区が築かれました。

地方分権・自治の時代を迎えた今日、私たちには、まちづくりの主人公として、愛着のある住みよいまちをつくり、次の世代を担う子供たちの夢や意見を大切にした魅力あるまちづくりをしていく責務があります。

また、墨田区には、長い歴史に培われた文化の息づく「粋」の気風があり、このような歴史及び文化を踏まえつつ、常に新しい文化を吸収し、人々の心意気を大切にする「粋」なまちづくりを、区民が自ら推進していく必要があります。

そこで、私たちは、「自分たちのまちの未来は、自分たちの手で夢を描き、自分たちの手でつくる。」ことを目標に、まちづくりに関する区民、事業者及び区の役割、まちづくりに関する手続等を定めることにより、墨田区のまちづくりを総合的に推進するため、ここに「墨田区まちづくり条例」を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、まちづくり基本理念並びに区民、事業者及び区の役割等を明らかにするとともに、まちづくりに関する手続等の必要な事項を定めることにより、区民の自発的なまちづくりを、区民、事業者及び区が協働して行うことを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) まちづくり 安全で快適かつ魅力ある良好なまちの形成に寄与する活動をいう。

(2) まちづくり基本方針 墨田区基本構想及び墨田区基本計画並びに墨田区都市計画マスタープランに基づくまちづくりに関する目標及び基本的な方針をいう。

(3) 区民等 区内に住所を有する者、区内の土地又は建物の所有権者、地上権者若しくは賃借権者、区内で事業を営む者及び区内の在勤者又は在学者をいう。

(4) 事業者 区内における市街地の整備及び開発に係る事業を行う公共団体、これに準ずる団体、法人及び個人をいう。

(まちづくり基本理念)

第3条 区の歴史、文化、自然及びコミュニティを大切にし、世代をつなぐ活気のある住みよいまちを実現するため、区民等、事業者及び区は、それぞれの役割を担い、協働してまちづくりに取り組むものとする。

(区民等の役割)

第4条 区民等は、まちづくり基本理念に基づき、地域の特色を生かし、個性ある豊かなまちを実現するため、地域の発想を大切にしながら、地域ごとのまちづくりに自主的に参画することができる。

2 区民等は、子供から高齢者まで、すべての世代において、まちづくりに取り組むものとする。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、まちづくり基本理念に基づき、区民等及び区と協働して住みよいまちづくりに貢献するよう努めるものとする。

2 事業者は、まちづくり基本方針及び区民等によるまちづくりに関する計画等を尊重し、事業の実施に当たっては、区民等の理解を得るよう努めるものとする。

(区の役割)

第6条 区は、まちづくり基本理念に基づき、区民等及び事業者との協働によるまちづくりを推進するよう努めるものとする。

2 区は、まちづくり基本方針に基づき、区民等及び事業者の自発的なまちづくりの成果を反映した施策を行うよう努めるものとする。

3 区は、区民等及び事業者に対してまちづくりに関する情報を提供するとともに、まちづくり意識の啓発及びまちづくりに関する知識の普及に努めるものとする。

第2章 墨田区まちづくり検討委員会

(墨田区まちづくり検討委員会)

第7条 区民等、事業者及び区の協働によるまちづくりを推進するため、区長の附属機関として、墨田区まちづくり検討委員会(以下「まちづくり検討委員会」という。)を設置する。

(所掌事務)

第8条 まちづくり検討委員会の所掌事務は、次に掲げる事務とする。

(1) 第12条第2項に規定する地区まちづくり団体の認定等に関すること。

(2) 第15条第2項に規定する地区まちづくり計画及び第17条第2項に規定する地区まちづくり協定の認定等に関すること。

(3) 第19条第1項に規定する地区計画等推進地区の指定に関すること。

(4) 第22条第1項に規定する開発事業者名等の公表に関すること。

(5) 第26条第1項に規定する表彰に関すること。

(6) 第30条第2項に規定する提案の検討に関すること。

(7) 前各号に掲げるもののほか、区長が必要と認める事務に関すること。

(組織)

第9条 まちづくり検討委員会は、区民等、学識経験を有する者及び関係行政機関の職員の中から区長が委嘱する委員をもって組織する。

2 委員は6人以内とする。

3 委員の任期は2年とする。ただし、委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員は、再任されることができる。

(まちづくり検討委員会の組織及び運営)

第10条 まちづくり検討委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、区長が別に定める。

第3章 地区まちづくり団体等

(地区まちづくり団体の育成)

第11条 区民等は、自主的に地域のまちづくりを行うため、地区まちづくり団体を結成することができる。この場合において、地区まちづくり団体は、当該団体の結成を、区長に対して通知することができる。

2 区長は、地区まちづくり団体に対して、必要な情報提供等の支援を行い、育成に努めなければならない。

3 区長は、第1項の規定により通知を受けた地区まちづくり団体を公表することができる。

4 区長は、区民等、地区まちづくり団体等の間で情報交換、連携等が図られるよう努めるものとする。

(地区まちづくり団体の認定)

第12条 地区まちづくり団体は、その活動に対する支援等を受けようとするときは、区長に対して、墨田区規則(以下「規則」という。)の定めるところにより、地区まちづくり団体の認定を申請することができる。

2 区長は、前項の申請があった場合は、規則の定めるところにより、まちづくり検討委員会の意見を聴き、当該地区まちづくり団体を認定することができる。

3 区長は、認定した地区まちづくり団体(以下「地区まちづくり認定団体」という。)を公表するものとする。

4 区長は、区民等、地区まちづくり認定団体等の間で情報交換、連携等が図られるよう努めるものとする。

(報告義務)

第13条 地区まちづくり認定団体は、区長に対して、活動内容の報告をしなければならない。

(認定の取消し)

第14条 区長は、規則の定めるところにより、まちづくり検討委員会の意見を聴き、地区まちづくり認定団体の認定を取り消すことができる。

第4章 地区のまちづくり

(地区まちづくり計画)

第15条 地区まちづくり認定団体は、区長に対して、規則の定めるところにより、一定の区域におけるまちづくりに関する計画(以下「地区まちづくり計画」という。)の認定を申請することができる。

2 区長は、前項の申請があった場合は、規則の定めるところにより、まちづくり検討委員会の意見を聴き、当該地区まちづくり計画を認定することができる。

3 区長は、地区まちづくり計画を認定したときは、その旨を公表するものとする。

4 地区まちづくり認定団体は、区民等及び事業者に対し、認定された地区まちづくり計画の内容を周知し、理解を得るよう努めるものとする。

5 区民等及び事業者は、認定された地区まちづくり計画に協力するよう努めるものとする。

(地区まちづくり計画の変更等)

第16条 地区まちづくり認定団体が認定された地区まちづくり計画を変更し、又は廃止しようとする場合の手続は、前条の規定を準用する。

(地区まちづくり協定)

第17条 地区まちづくり認定団体は、区長に対して、規則の定めるところにより、認定された地区まちづくり計画を実現するための協定(以下「地区まちづくり協定」という。)の認定を申請することができる。

2 区長は、前項の申請があった場合は、規則の定めるところにより、まちづくり検討委員会の意見を聴き、当該地区まちづくり協定を認定することができる。

3 区長は、地区まちづくり協定を認定したときは、その旨を公表するものとする。

4 区長は、認定した地区まちづくり協定を尊重し、その内容を実現するために、必要と認められるまちづくり関連事業の推進に努めなければならない。

5 地区まちづくり認定団体は、区民等及び事業者に対し、認定された地区まちづくり協定の内容を周知し、理解を得るよう努めるものとする。

6 区民等及び事業者は、認定された地区まちづくり協定を遵守するよう努めるものとする。

(地区まちづくり協定の変更等)

第18条 地区まちづくり認定団体が認定された地区まちづくり協定を変更し、又は廃止しようとする場合の手続は、前条の規定を準用する。

(地区計画等推進地区の指定)

第19条 区長は、一定の地区が、次の各号のいずれかに該当する場合は、あらかじめ、まちづくり検討委員会の意見を聴き、当該地区を地区計画等推進地区に指定することができる。

(1) 地区計画等の作成について、地区まちづくり認定団体又は区民等から要請のある地区

(2) 区長が、まちづくり基本方針に基づき、地区計画等によるまちづくりを推進する必要があると認める地区

2 区長は、地区計画等推進地区を指定した場合は、その旨を公表するものとする。

3 区長は、地区計画等推進地区を指定した場合は、当該地区まちづくり認定団体又は区民等に対し、当該推進地区に係る都市計画法(昭和43年法律第100号。以下「法」という。)第16条第3項に規定する地区計画等(法第12条の4第1項第5号に規定する集落地区計画を除く。以下同じ。)の案の内容となるべき事項(以下「地区計画等の素案」という。)の作成に係る支援等を行うものとする。

(平21条9・一部改正)

(開発事業者の情報提供)

第20条 認定された地区まちづくり計画及び地区まちづくり協定の区域内で開発事業(延べ面積が5,000平方メートルを超える建築物の建築に限る。以下同じ。)を行う事業者(以下「開発事業者」という。)は、区長及び当該地区まちづくり認定団体に対し、開発事業に関する情報の提供を行わなければならない。

(開発事業者への指導)

第21条 区長は、開発事業者が認定された地区まちづくり協定を遵守しない場合は、当該開発事業者に対して必要な指導をすることができる。

(開発事業者名等の公表)

第22条 区長は、開発事業者が前条に規定する指導に従わない場合は、当該開発事業者名等を公表することができる。

2 区長は、前項の規定により公表しようとする場合は、あらかじめ、当該開発事業者にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えるとともに、まちづくり検討委員会の意見を聴かなければならない。

第5章 まちづくりの支援

(地区まちづくり認定団体等へのまちづくり支援)

第23条 区長は、地区まちづくり認定団体又は区民等のまちづくりに対し、必要な支援を行うものとする。

(子供たちへのまちづくり支援)

第24条 子供たちは、地域のまちづくりを知るための支援を受けることができる。

2 区長は、子供たちの夢や意見を広く反映するため、地区まちづくり認定団体、子供会、小学校等の交流活動を促進するよう努めるものとする。

(研究・教育機関等との交流の促進)

第25条 区長は、大学等の研究・教育機関その他外部専門機関との交流を図り、これらの機関の協力を得ながら、まちづくりを支援するものとする。

(表彰)

第26条 区長は、地区まちづくり計画の提案、地区まちづくり協定の提案等、まちづくりに寄与したと認められる区民等、事業者、団体等を表彰することができる。

2 区長は、表彰に当たっては、あらかじめ、まちづくり検討委員会の意見を聴くものとする。

第6章 都市計画の案の作成等

(都市計画の案の作成手続)

第27条 法第16条第1項に規定する都市計画の案を作成する場合の同項に規定する公聴会の開催等住民の意見を反映させるための必要な事項は、規則で定める。

(地区計画等の原案の作成手続)

第28条 区長は、法第16条第2項に規定する地区計画等の案を作成しようとする場合に当たっては、あらかじめ、次に掲げる事項を公告し、同項に規定する地区計画等の案の内容となるべき事項(以下「地区計画等の原案」という。)を当該公告の日の翌日から起算して2週間公衆の縦覧に供しなければならない。

(1) 地区計画等の原案の内容のうち、種類、名称、位置及び区域

(2) 縦覧場所

2 前項に定めるもののほか、区長は、地区計画等の原案の提示について必要があると認めるときは、説明会の開催その他必要な措置を講ずるものとする。

3 法第16条第2項に規定する者は、第1項の規定により縦覧に供された地区計画等の原案について意見を提出しようとする場合においては、当該公告の日の翌日から起算して3週間を経過する日までに、区長に対し、文書によりこれを行うものとする。

(都市計画の素案の提案)

第29条 地区まちづくり認定団体は、法第21条の2第2項の規定に基づき、区長に対して同条第1項に規定する都市計画の素案(以下「都市計画の素案」という。)を提案することができる。

2 法第21条の2第1項及び第2項に規定する都市計画の決定又は変更の提案をすることができる者(以下「提案者」という。)は、都市計画の素案の提案を行う場合に当たっては、都市計画の種類、名称、位置、区域及び内容を記載した書類その他の規則で定める書類を区長に提出しなければならない。

3 区長は、第1項の規定による提案があった場合は、墨田区都市計画審議会条例(昭和54年墨田区条例第11号)に定める墨田区都市計画審議会の意見を聴くとともに、必要な措置を講ずるものとする。

(地区計画等の素案の基礎となる計画等の提案)

第30条 提案者は、区長に対して、地区計画等の素案の基礎となる計画及び都市計画の素案の基礎となる計画を提案することができる。

2 区長は、前項の提案があった場合は、まちづくり検討委員会の意見を聴き、検討しなければならない。

3 区長は、第1項の規定により提案された計画の内容等及び前項の規定による検討結果を、公表するものとする。

第7章 委任

(委任)

第31条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成16年10月1日から施行する。

(墨田区地区計画等の案の作成手続に関する条例の廃止)

2 墨田区地区計画等の案の作成手続に関する条例(昭和60年墨田区条例第10号)は、廃止する。

(平成21年3月30日条例第9号)

この条例は、公布の日から施行する。

墨田区まちづくり条例

平成16年6月30日 条例第21号

(平成21年3月30日施行)

体系情報
例規集/第10類 設/第4章
沿革情報
平成16年6月30日 条例第21号
平成21年3月30日 条例第9号