○「墨田区契約における暴力団等排除措置要綱」に関する運用指針

平成23年5月17日

23墨総契第165号

墨田区契約における暴力団等排除措置要綱(平成23年5月16日23墨総契第135号。以下「要綱」という。)の解釈及び運用について要綱第16条の規定により次のように定める。

第1 要綱第2条(定義)関係

第4号に定める「暴力団員等」に「暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者」を含めるのは、「現に暴力団員である者に限定すると偽装離脱等により要綱の実効性が薄れるので、暴力団関係者も排除できるようにする必要がある。」という警視庁の指導による。

第2 要綱第4条(入札参加除外措置)関係

1 措置要件の対象者

(1) 入札参加除外措置要件の対象者は、全ての有資格者である個人又は法人の役員若しくは使用人である。しかし、全ての有資格者について警視庁に照会を行い、措置要件への該当の有無を確認することは、対象件数が膨大であることから困難である。したがって、全ての有資格者について、措置要件への該当の有無の調査は原則行わないものとする。

(2) 「個人」とは、個人事業主、法人資格を有しない個人が経営する入札参加資格業者本人を含む。

(3) 「法人の役員」とは、次のものをいう。

ア 代表取締役、取締役又は監査役である役員(常勤又は非常勤を問わない。)

イ 理事長、代表理事、理事、評議員又は監事(常勤又は非常勤を問わない。)

ウ 会長、社長、副社長、専務又は常務などの肩書を有し、当該法人の経営に関与していると認められる者を含む(役員として登記され又は届け出されていないが実質上経営に関与しているものを含む。)

エ 支店又は営業所を代表する者

オ その他当該有資格者の経営に実質的に関与している者が、暴力団又は暴力団員等の利用(要綱別表2号)、暴力団又は暴力団員等への利益供与(要綱別表3号)、暴力団又は暴力団員等との親交(要綱別表4号)又は暴力団又は暴力団員等との下請負人等契約(要綱別表5号)をしたと認められる場合は、当該法人の役員として行った行為とみなす。

(4) 「使用人」とは、有資格者である個人又は有資格者の役員が、正社員等として雇用契約している者をいう(アルバイトや派遣社員等を除く。以下同じ。)

2 措置要件該当の判断

(1) 要綱に規定する暴力団及び暴力団員等の認定は、警視庁の判断による。

(2) 要綱別表1号の措置要件は、墨田区長が警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第三課長と締結した「墨田区契約における暴力団等排除に関する合意書(平成23年5月16日締結。以下「合意書」という。)」に基づき、前記措置要件に該当すると警視庁からの回答又は通報があった場合を判断の対象とする。

(3) 要綱別表2号から5号までの措置要件は、合意書に基づき照会をした日から過去1年以内又は合意書に基づく警視庁からの通報を受けた日から過去1年以内の行為を判断の対象とする。

(4) 有資格者の役員又は使用人について、要綱別表1号においては調査時、2号から5号までにおいては行為時にその身分を有していれば、その後、辞任等があったとしても、判断の対象とする。

(5) 合意書に基づく警視庁からの回答又は通報が、当該有資格者が要綱別表1号に該当する行為があったという内容であった場合又は当該有資格者が要綱別表2号から5号までの措置要件に該当する行為があり、その行為の相手方が暴力団又は暴力団員等であることを認識していること(以下「知情性」という。)が立証可能であるという内容であった場合は、この回答又は通報をもとに要綱第3条により設置する墨田区契約関係暴力団等排除対策委員会(以下「委員会」という。)の審議を経て、入札参加除外措置を決定する。

要綱別表2号から5号までの措置要件に該当する行為があるものの知情性に関して立証できないという内容であった場合は、当該有資格者からの事情聴取を行い事実関係の確認及び認識の有無が記載された報告書の提出を求め委員会で審議する。

ここにいう知情性とは、措置要件に該当する行為の相手方が暴力団又は暴力団員等であることの認識であり、必ずしも所属する暴力団組織名、役職(組長、若頭等)を詳細に知っている必要はなく、「相手方が暴力団員である」程度の認識があれば「知情性がある」と判断する。

3 要綱別表1号(暴力団員等の経営関与)の措置要件の具体的判断基準

(1) 要綱別表1号にある「経営に実質的に関与しているとき」とは、当該有資格者の役員でない暴力団員等が、当該有資格者の経営を実質的に支配しているとき、共同経営しているとき、又は顧問等として経営に参加しているときなどをいう。

(2) 「経営を実質的に支配しているとき」とは、経営上の「人、物、金」に関する意思決定権を有している場合をいい、具体的には次の事項を総合的に勘案して判断する。

ア 過半数以上の株式を取得している又は筆頭株主である。

イ 会社の設立に参加していた。

ウ 社員及びアルバイトの雇用又は解雇、昇格・降格若しくは配置換え等の人事に関する決定権を有している。

エ 会社印、代表者印、銀行印等を占有している。

オ 入札額の決定、各種契約締結等の会社運営に関する決定権を有している。

カ 会社の預金通帳、小切手帳、手形帳等を占有するなどし、経費の支出や社員の給与額査定等の資金運用に関する決定権を有している。

キ 会社に対して運営資金等として、金銭の貸付けをしている。

(3) 「共同経営をしているとき」とは、主たる経営者と共同して経営に参画している場合で、具体的には、次の事項を総合的に勘案して判断する。

ア 株式を取得している(筆頭株主である必要はない。)

イ 会社の設立に参加していた。

ウ 社員及びアルバイトの雇用又は解雇、昇格・降格若しくは配置換え等の人事に関する影響力を有している。

エ 入札額の決定、各種契約締結等の会社運営に関する影響力を有している。

オ 経費の支出、社員の給与額査定等の運用に関する影響力を有している。

カ 会社に対して運営資金等として、金銭の貸付けをしている。

(4) 「顧問等として経営に参加しているとき」とは、顧問、相談役又はコンサルタント等として、実際に会社に対して経営指南等のアドバイスを行う等の実績を有している場合である。

顧問等としての実績もなく、給与、報酬等として金銭の対価を得ているものは、要綱別表3号に該当する。

4 要綱別表2号(暴力団又は暴力団員等の利用)の措置要件の具体的判断基準

要綱別表2号にある「暴力団又は暴力団員等を利用」とは、暴力団又は暴力団員等と知りながら利用する一切の行為をいい、具体的には次のような事例に該当する場合をいう。

① 契約の締結等に当たって、自社を契約の相手方とするように又は他の業者を契約の相手方としないように、暴力団又は暴力団員等を利用して働きかけをしたとき。

② 自社の債権等の請求に際し、暴力団又は暴力団員等を利用してその支払等の催促をさせたとき。

③ 自社の債務等の支払に関し、支払代金の値引き又は支払を猶予するよう暴力団又は暴力団員等を利用して要求させたとき。

5 要綱別表3号(暴力団又は暴力団員等への利益供与)の措置要件の具体的判断基準

(1) 要綱別表3号にある「金銭、物品その他の財産上の利益」とは、現金、有価証券及び自動車等経済的価値のある物又は住居・事務所等の建物の無償提供などをいう。

(2) 同表同号の「利益を与え」とは、理由のいかんを問わず、金品等の財産上の利益を与えることをいい、具体的には次のような事例に該当する場合をいう。

① 業務(工事等)の遂行上で暴力団員等と知りながら用心棒代、みかじめ料、ショバ代、騒音等の迷惑料、地域対策費等いかなる名目を問わず、正当な理由のない金品を与えたとき。

② 実際は、何ら業務に関与しないのに顧問、相談役や経営コンサルタント等の肩書を与えるなどして、給与又は報酬等の名目で正当な理由のない金品を与えたとき。

③ 暴力団員等と知りつつ、会社から給与等の報酬を与えている又は健康保険被保険者資格等を与えているなど会社の関与が認められるとき。

④ 暴力団員等と知りながら、事務所、住居等の建物又は自動車等の物品を提供し、又は貸与したとき。

⑤ 暴力団員等が礼儀的に行う放免祝い、誕生会、事務所開き、組葬等のいわゆる義理掛けに祝い金等を供与したとき。

⑥ 暴力団員等との密接な関係を維持するために、ゴルフ、飲食、旅行等の代金を支払ったとき。

6 要綱別表4号(暴力団又は暴力団員等との親交)の措置要件の具体的判断基準

要綱別表4号にある「社会的に非難される関係」とは、暴力団との密接な関係を維持する目的で交友関係等を有することなどをいい、具体的には次の事項に該当する行為が、年に1回以上あるときをいう。

① 暴力団員等とゴルフ、麻雀、飲食、旅行等の交友関係を有するとき、病院への見舞い、刑務所・拘置所への面会や差し入れ等の礼儀的行為を行ったとき、又は暴力団員等が主催する各種パーティーへの出席及び自己が主催するパーティーに暴力団員等を招いたとき。

② 暴力団員等又はその親族の結婚式、葬式等の冠婚葬祭に出席したとき。ただし、入札参加資格者である個人又は法人の役員若しくは使用人と親族関係にある暴力団員等の冠婚葬祭に出席する場合や入札参加資格者である個人又は法人の役員若しくは使用人が居住する地域の自治体、子供会、学校関係等の付き合いなどにより出席する場合など、社会通念上やむを得ないと認められる場合を除くものとする。

7 要綱別表5号(暴力団又は暴力団員等との下請負人等契約)の措置要件の具体的判断基準

(1) 要綱別表5号にある「契約」とは、有資格者自らが締結する契約で、「工事の一部を第三者に委任し、又は請け負わせる契約及び業務委託の全部又は主要な部分を一括して、若しくはその一部を第三者に委任し、又は請け負わせる契約」(以下「下請契約等」という。)をいい、次のような契約を含むものとする。

ア 建設工事等の施行に関する工事資材や原材料などの購入契約

イ 建設工事における工事現場の整備委託契約や自動販売機の設置契約、建設機械や足場等のリース契約等

(2) 要綱別表5号にある「前各号(1号から4号まで)のいずれかに該当する者であることを知りながら」の意義は、下請契約等の名の下に暴力団組織に資金を提供する入札参加資格者を排除するため、契約の相手方が次のいずれかに該当する者であることを知りながら契約を締締したときは、有資格者に対して入札参加除外措置を行うものである。

ア 暴力団員等が経営する者又は暴力団員等が経営に事実上参加する者(1号)

イ 財産上の利益を得るためなどに暴力団又は暴力団員等を利用した者(2号)

ウ 暴力団又は暴力団員等に財産上の利益を与えた者(3号)

エ 暴力団又は暴力団員等と社会的に非難される関係を有している者(4号)

(3) 要綱別表第5号の運用は以下のとおりとする。

画像

ア BC間の直接的な下請契約

① Bが、Cは暴力団又は暴力団員等であると知って契約締結した場合、Bに入札参加除外措置

② Bが、Cは暴力団又は暴力団員等であると知らずに契約を締結した場合はBに勧告措置

イ BD間の間接的な下請契約

① B及びCが、Dは暴力団又は暴力団員等であると知った上で、BがCに指示してDと契約を締結した場合はB及びCに入札参加除外措置

② B及びCが、Dは暴力団又は暴力団員等であると知らずに、Bが指示してCがDと契約を締結した場合は、B及びCに勧告措置

ウ BE間の間接的な下請契約

① B及びDがEは暴力団又は暴力団員等であると知った上で、Bが、Dに指示してEと契約を締結した場合は、B及びDに入札参加除外措置(CについてはEが暴力団又は暴力団員等であること、及びBの指示内容を知っていれば入札参加除外措置となり、当該指示の内容を知らなければ勧告措置となる。)

② B、C及びDが、Eは暴力団関係事業者であると知らずにDがEと契約を締結した場合はB、C及びDに勧告措置

8 措置に関する説明について

入札参加除外措置又は勧告措置に対して入札参加除外者等から説明を求められた場合は、警視庁からの情報に基づき措置したことを口頭により説明する。

9 てん末書の提出

入札参加除外措置又は勧告措置を受けた有資格者に対しては、必要に応じて、てん末書の提出を求める。てん末書に記載する内容は、措置要件に該当する行為の経過及び当該業者が確認した事実、見解、改善策等とする。なお、てん末書の様式については、特に定めない。

10 措置日

入札参加除外措置については、「入札参加除外措置決定通知書(第1号様式)」に基づき通知を行い、措置期間は、当該措置を決定した日から起算する。勧告措置については「暴力団等排除措置に関する勧告書(第4号様式)に基づく通知を行った日を勧告措置日とする。

現に入札参加除外措置期間中である有資格者が新たに措置要件のいずれかに該当することとなった場合、新たな措置要件に基づく入札参加除外措置期間は、当該措置要件に該当する事実を確認した日から起算する。

11 措置期間の加算及び減算

入札参加除外措置期間は、情状による措置期間の加算は行わない。また、無用な圧力を排除するため、措置期間を減ずることも行わない。ただし、入札参加除外措置期間が経過した後、再度、又は新たに措置要件に該当する行為を行ったときは、改めて入札参加除外措置を行う。

第3 第5条(入札参加除外措置の解除)

1 入札参加除外措置の解除は、措置期間経過後に入札参加除外者から措置の解除の申請を受けた場合に、入札参加除外者に提出させたてん末書等を添付して警視庁への照会を行いその回答に基づいて可否を判断の上行うものであり、申請がない場合に、措置期間経過後に措置要件が解消されているかを区が積極的に調査するものではない。

2 委員会の審議を経て入札参加除外措置を解除する日は、委員会において解除の決定がなされた日とする。

第4 要綱第6条(勧告措置)関係

警視庁からの回答又は通報が、有資格者が要綱別表2号から5号までの措置要件に該当する行為について知情性に関して立証できないという内容であった場合は、当該有資格者からの事情聴取を行い委員会で審議する。その結果、知情性を有していた蓋然性が高いと認められるときは入札参加除外措置を行うが、知情性等を有していた蓋然性が低いと認められるときは、再発を防止するため勧告措置を行う。

第5 要綱第7条(入札参加除外措置等の公表)関係

入札参加除外措置を行った場合は、区の公式ホームページ(以下「公式ホームページ」という。)で当該措置が解除されるまでの間、公表する。掲載内容は、入札参加除外業者の名称又は商号、所在地、入札参加除外措置の期間、措置の理由その他必要な事項とする。ただし、個人情報保護の趣旨に照らして公表することが適当でない内容は公表しない。

また、入札参加除外措置を解除した場合、公式ホームページに措置を解除した旨を公表する。この場合の措置解除の公表期間は2週間程度とする。

第6 要綱第8条(一般競争入札からの排除)関係

一般競争入札を行う場合は、公告に参加資格者の要件として「入札参加除外措置を受けていないこと。」を掲げるとともに、同公告に「契約締結までの間に入札参加除外措置を受けた場合は、入札参加資格を取り消し、その者の入札を無効とする。」旨を明記する。

第7 要綱第11条(下請負禁止等)関係

入札参加除外者は、区が締結する契約の下請負人等となることができない。これは、二次以降の下請負等を含むものとする。

第8 要綱第14条(不当介入に対する措置)関係

1 要綱第14条第1項及び第2項については、契約条項に定め、契約の相手方がこれに同意の上契約締結を行うものとする。

2 契約担当者その他の関係者は、不当介入に関する報告を契約の相手方から受けたときは、警察への通報が行われていることを確認するとともに、速やかに所管課長及び契約課長に報告する。

3 不当介入に関する報告又は届出を怠った場合の罰則等については要綱に定めはないが、墨田区競争入札参加有資格者指名停止等取扱要綱(平成18年9月20日18墨総契第387号)別表7「その他不正な行為」に該当するものとして指名停止措置を行うことができる旨を契約条項又は特約条項に明記する。

4 要綱第14条第3項について、不当介入を受けたことにより当該契約の履行が遅延するおそれがある場合で、契約の相手方が不当介入を受けた場合の報告又は届出あるいは下請負業者に対する指導等を適切に行っていたときは、当該契約の主管課長は、関係各課長(監督業務を行う課長、契約課長等)と協議の上、工程調整、履行期限の延長等の措置を講ずる。

第9 要綱第15条(関係機関との連携)関係

1 区は、合意書に基づき措置要件に該当するか否かの照会、回答又は通報をはじめとして警視庁と密接な連携を行う。

2 合意書に基づいて照会、回答等を行う担当窓口は、区にあっては総務部契約課、警察にあっては警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第三課とする。

3 合意書に基づいて区と警視庁との間で行われる情報交換については、あらかじめ入札参加資格申請時に申請者から了承を得ている。加えて、契約条項又は特約条項に同様の規定を定め、契約の相手方はこれに合意の上契約の締結を行う。

4 区は、合意に基づいて区が警視庁に照会を行う場合は、合意書に定めた様式1により行う。この場合において、同時に複数の対象者について照会を行うときは、別記様式第1に照会対象者等を列記した別紙を添付して行うことができる。

5 区は、合意に基づいて警視庁から有資格者が措置要件に該当するとの回答又は通報を受けた場合は、合意書に定める別記様式第5にその措置結果を記載し、入札参加除外措置を行わなかった場合は、その理由を付して警視庁に通知する。

第10 その他

この運用指針は、他の自治体の情勢等を踏まえ必要に応じてその都度修正するものとする。

この運用指針は、平成23年5月20日から適用する。

「墨田区契約における暴力団等排除措置要綱」に関する運用指針

平成23年5月17日 墨総契第165号

(平成23年5月20日施行)

体系情報
要綱集/ 総務部/ 契約課
沿革情報
平成23年5月17日 墨総契第165号