○墨田区職員の内部公益通報に関する要綱

令和5年2月27日

4墨総総第1494号

(目的)

第1条 この要綱は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)の趣旨を踏まえ、墨田区の行政運営に関する違法な行為等に関して行われる通報について、必要な事項を定め、区政運営上の適法かつ公正な職務の遂行を確保することにより、区政に対する区民の信頼及び透明性の確保に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職の職員及び同条第3項に規定する特別職(区議会議員、区長、教育長、教育委員会委員、選挙管理委員会委員及び監査委員を除く。)の職員をいう。

(2) 職員等 次に掲げる者をいう。

 職員

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60法律第88号)第2条第2号に規定する派遣労働者であって、区の事務又は事業に従事するもの

 区と請負契約その他の契約を締結している事業者等に従事する労働者

 地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者の役職員又は構成員であって、区の公の施設の管理の業務に従事するもの

 他の団体から区に派遣等をされている職員

 法令違反行為等の発生時前1年以内において、からまでに規定する者であったもの

(3) 法令違反行為等 区及び区の職員が次の各号に掲げる事項のいずれかを行い、又は行っていることをいう。

 法令(条例、規則等を含む。)違反又はこれに至るおそれのある事項

 区民の生命、健康に重大な損害を与えるおそれのある事項

 及びに掲げるもののほか、区民全体の利益等公益に反するおそれのある事項

(4) 公益通報 職員等が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、法令違反行為等に係る通報をすることをいう。

(5) 通報者 公益通報を行った職員等をいう。

(6) 被通報者 法令違反行為等を行い、又は行おうとしている者(過去に法令違反行為等を行った者を含む。)として通報された者をいう。

(公益通報窓口)

第3条 区において、公益通報を受け付けるため、公益通報内部従事者及び公益通報外部従事者を設置する。

2 公益通報内部従事者は、総務課長及び総務課長が指定する職員を充てる。ただし、公益通報の内容が総務課長の所掌する事務に関する事項であった場合については、行政経営担当課長及び行政経営担当課長が指定する職員をもって充てることとする。

3 公益通報外部従事者は、区が委託する弁護士資格を有する者(区と利害関係を有する者を除く。)又は弁護士法人(区と利害関係を有する者を除く。)とする。

(公益通報)

第4条 職員等は、前条に規定する公益通報内部従事者又は公益通報外部従事者(以下「公益通報従事者」という。)に対して、公益通報をすることができる。ただし、公益通報外部従事者に対して公益通報を行うことができない場合に限り、公益通報内部従事者に公益通報をすることができる。

2 職員等は、公益通報を行うときは、法令違反行為等を行っていると認められる職員の氏名及び所属、発生時及び場所、証拠の状況等を明確にして行うものとする。

3 公益通報は、公益通報を行う職員等の氏名を記載した書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。)を郵便、電子メール等による送付、面談その他の方法で行わなければならない。ただし、公益通報に係る事項が確実にあると信ずるに足りる相当な証拠書類がある場合又は氏名を記載しなかったことにつきやむを得ない事情があると公益通報従事者が認めるときは、氏名の提示を要しない。

4 職員等は、次の各号のいずれかに該当するときは、公益通報を行ってはならない。

(1) 公益通報の内容が地方公務員法第46条の規定に基づく措置の要求その他の勤務条件に係る制度により対応すべきものであるとき。

(2) 公益通報の内容が著しく不明確であるとき。

(3) 公益通報の目的が誹謗中傷その他不正な目的であるとき。

(公益通報従事者による受付)

第5条 公益通報従事者は、公益通報を受けたときは、公益通報の事実を把握し、通報者からの相談に応じ、公益通報受付票を作成するものとする。

2 公益通報外部従事者は、前項の公益通報受付票を作成後、速やかに公益通報内部従事者に報告するものとする。

(公益通報の受理)

第6条 公益通報外部従事者は、公益通報を受付後、受理、不受理等に関する意見を付して公益通報内部従事者に通知する。

2 公益通報内部従事者は、公益通報を受付後又は前項の通知を受けたときは、公益通報に対応する必要性について検討し、公益通報の受理又は不受理の決定をしなければならない。

3 公益通報内部従事者は、公益通報の受理又は不受理の決定後、決定結果を通報者に対し通知しなければならない。ただし、連絡先が明らかでない通報者又は通知を希望しない通報者に対しては、この限りでない。

(公益通報の調査)

第7条 公益通報従事者は、受理を決定した公益通報において、正当な理由がある場合を除いて、直ちに調査を開始しなければならない。この場合において、調査は、公益通報に関する秘密を保持するとともに、個人情報を保護するため、通報者が被通報者及びその関係者に特定されないよう十分に留意しつつ、必要かつ相当と認められる方法で行うものとする。

2 前項の調査を公益通報外部従事者が行う場合は、職員等はこれに協力しなければならない。この場合において、調査に協力した職員等は、調査に協力した事実及び調査により知り得た事実を漏らしてはならない。

3 公益通報外部従事者が調査を行う場合はその旨及び着手の時期を、調査を行わない場合はその旨及びその理由を、公益通報内部従事者に対し通知するものとする。

4 公益通報内部従事者が調査を行う場合はその旨及び着手の時期を、調査を行わない場合はその旨及びその理由を、通報者に対し通知するものとする。ただし、連絡先が明らかでない通報者又は通知を希望しない通報者に対しては、この限りでない。

5 公益通報内部従事者は、第3項の規定により通知を受けたときは、その内容を通報者に通知するものとする。ただし、連絡先が明らかでない通報者又は通知を希望しない通報者に対しては、この限りでない。

6 公益通報外部従事者は、調査を実施した場合は、その結果を文書により公益通報内部従事者に報告するものとする。この場合において、法令違反行為等が存在すると認めた場合は、その内容を証する資料を添付するとともに、報告に是正措置等についての意見を付さなければならない。

(委員会の開催要請)

第8条 公益通報内部従事者は、次の各号に掲げる事由に該当した場合は、次条第1項に規定する通報処理委員会に諮問するものとする。

(1) 調査を終了したとき又は調査を行わないと決定したとき。

(2) 公益通報外部従事者が調査を行わないとして前条第3項に規定する通知を送付し、当該通知を受けたとき。

(3) 公益通報外部従事者から前条第6項に規定する報告を受けたとき。

(通報処理委員会の設置)

第9条 職員等からの公益通報を処理するため、通報処理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

2 委員会は、委員長、副委員長及び委員をもって構成する。

3 委員長は副区長をとする。ただし、公益通報の内容が副区長に関係するおそれがある事案については、副委員長を委員長とする。

4 前項ただし書の規定により、副委員長が委員長となった場合にあっては、委員長となった副委員長が、副委員長を選任することができる。

5 副委員長は総務部長とする。ただし、公益通報の内容が総務部長の所掌する事務に関するものであった場合については、企画経営室長を副委員長とする。

6 委員会の委員は、委員長がその都度指定する職員をもって構成する。

7 委員会は、委員長が招集し、主宰する。

8 委員長に事故があるときは、副委員長がその職務を代理する。

9 委員会の会議及び議事録は、非公開とする。

(委員会の職務)

第10条 委員会は、第8条の規定により諮問された公益通報の内容を調査し、当該公益通報に係る事実の中止その他是正のための必要な措置の対応方針を決定する。

2 委員会は、前項の規定による調査を、公益通報従事者に行わせるものとする。

3 委員会は、公益通報外部従事者に対し、委員会に出席し、意見を求めることができる。

4 委員会は、審議内容及び対応方針を区長に報告するものとする。ただし、公益通報の内容が区長に関係するおそれがある事案については、この限りでない。

5 委員会の庶務は、総務部総務課において行う。ただし、総務部長又は総務課長の所掌する事務に関する事項については、企画経営室行政経営担当において行うこととする。

(是正措置等)

第11条 区長は、前条第4項の規定により区長への報告が行われた事実が法令違反行為等に該当すると認めた場合には、被通報者の所管部長又は是正権限を有する所管部長に対し、是正措置及び再発防止策をとるよう指示するものとする。

2 前項の規定による指示を受けた所管部長は、速やかに当該指示に係る是正措置及び再発防止策をとるものとする。

3 第1項の規定による指示を受けた所管部長は、前項の是正措置及び再発防止策をとった場合は、その内容を速やかに区長及び公益通報内部従事者に報告するものとする。

4 公益通報内部従事者は、前項の規定による報告を受けた場合には、その内容を区における適正な業務遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、通報者に対し、遅滞なく通知するものとする。ただし、連絡先が明らかでない通報者又は通知を希望しない通報者に対しては、この限りでない。

5 区長は、所管部長が第2項の是正措置又は再発防止策をとった後、法令違反行為等が再発していないこと及び当該是正措置又は再発防止策が十分に機能していることを確認するとともに、必要に応じ、新たな是正措置又は再発防止策を指示するものとする。

(通報者の保護及び秘密保持の徹底)

第12条 区長は、通報者に対し、公益通報に該当する事案の報告若しくは相談(以下「通報等」という。)をしたこと又は公益通報に関する調査に対する協力(以下「調査協力」という。)をしたことを理由として、いかなる不利益な取扱いも行ってはならない。

2 職員を管理する地位にある者は、通報者が公益通報をしたことにより職場の環境が悪化することのないよう所属職員の行動について適切に指導監督しなければならない。

3 通報等をしたこと、又は調査協力をしたことを理由として不利益な取扱いを受けた通報者は、その旨を公益通報従事者に申し出ることができる。この場合において、当該通報者が当該通報等を行った後、又は調査協力をした後に受けた不利益な取扱いは、特段の理由がない限り、当該通報等又は調査協力をしたことを理由としてなされたものと推定する。

4 第6条から第8条までの規定は、公益通報従事者が前項に規定する申出を受けた場合における、当該申出の受理、当該申出に係る調査及び委員会への諮問について準用する。

5 第10条の規定は、委員会が前項に規定する申出を諮問受けた場合について準用する。

6 区長は、職員等(職員を除く。)が公益通報をしたことを理由として、その労務提供先等の事業者から不利益な取扱いを受けたと認められるときは、当該不利益な取扱いについて是正を求めることができる。

7 公益通報への対応に関与した公益通報従事者(公益通報への対応に付随する職務等を通じて、公益通報に関する秘密を知り得た者を含む。)は、次に掲げる行為をしてはならず、その職を退いた後も同様とする。

(1) 公益通報に関する秘密を漏らすこと。

(2) 当該対応に係る手続において知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用すること。

(公益通報の関連文書の管理等)

第13条 公益通報への対応に係る記録及び関係資料については、墨田区文書管理規程(平成16年墨田区訓令第11号)その他文書管理に関する法令等に従い、適切な方法で管理しなければならない。

2 公益通報に係る情報は、墨田区情報公開条例(平成13年墨田区条例第3号)に規定する非公開情報として取り扱うものとする。

(公益通報状況の公表)

第14条 区長は、区における通報対応の仕組みの運用状況について透明性を高めるとともに、客観的な評価を行うことを可能とするため、公益通報の件数、主な内容等について、毎年度公表するものとする。

(職員の周知)

第15条 区長は、職員に対する研修の実施その他適切な方法により、公益通報の処理の制度について周知を図るものとする。

(委任)

第16条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項については、別に定める。

この要綱は、令和5年4月1日から適用する。

墨田区職員の内部公益通報に関する要綱

令和5年2月27日 墨総総第1494号

(令和5年4月1日施行)