すみだ区報2021年10月11日号

特集

区報ジュニアレポーター 企画1 チーム食いしん坊
食文化の昔とこれから〝職人さんの(おも)い〞

お客さんを喜ばせるお菓子づくり 菓子遍路 一哲(東向島4丁目)

和菓子づくりで大事なこと

和菓子を作るうえで大事なことは、まず基本をマスターしてから、自分なりの表現を加えることだと言います。材料が少ないほど、良いものを作ることが難しいそうです。また、和菓子は手の熱で乾いてしまうため、職人には「スピード」も求められます。そして、季節の和菓子を作るには、色を()かすことが大切です。主に赤・黄・緑の3色を使用し、自然な色や味を出すために、くちなし・抹茶などの天然色素を利用することも。最近は、和菓子だけでなく、台湾カステラ風の和洋菓子も販売しています。ふわふわしていて卵の風味がよく伝わり、とてもおいしいです。

店主の酒井哲治さん 高知県出身で、近くに自然を感じられる場所に店を開きたいという想いから、隅田川に近いこの場所にお店を開いたそうです。

苦労も失敗も多い職業

見た目がきれいで味もおいしい素敵(すてき)な和菓子を作る店主の酒井さんですが、和菓子作りで一番苦労したことは「全部」と話すほど、和菓子職人は苦労が多い職業だと言います。

「菓子遍路 一哲」の店名は、お客さんが求める味にたどり着きたいという「遍路」と、一から始める哲治(店主の名前)の「一哲」が由来。店名の由来のとおり、「お客さんを喜ばせるお菓子づくり」を追求されています。気持ちが詰まったおいしい和菓子をもっとたくさんの人に食べてほしいと思いました。また、アイディアが商品にならず、失敗することも多いそうです。そんな失敗があるからこそ、それを活かしてどんどんおいしい和菓子ができていくのですね。

季節感を表す色とりどりの和菓子

誕生餅の販売は要望!?

開店して約1年後、お客さんから依頼があり、誕生餅の販売を始めました。お餅に名前を入れる取組もしています。今では1週間に1個のペースで売れています。お店の中には誕生餅を背負う赤ちゃんの写真がたくさん飾られていて、地域とのつながりが感じられます。

箱詰めのお菓子と壁一面の誕生餅の写真

魅力を伝えるための和菓子教室

酒井さんは、和菓子教室をたくさん開かれています。それは、和菓子を作ることで季節感を感じてもらいたい、和菓子の歴史や和菓子職人独特の技を伝えたい、という想いからです。和菓子をもっと知ってもらいたいという酒井さんの想いが、とてもよく伝わりました。

店内に並ぶ、色とりどりのお菓子