すみだ区報2021年10月11日号

特集

区報ジュニアレポーター 企画1 チーム食いしん坊
食文化の昔とこれから〝職人さんの(おも)い〞

生産者の想い、こだわりを届け続ける 玄米耕房 かめた(江東橋5丁目)

生産者やお客さんをつなぐお米博士のいるお店

区内で古くから、お米一筋で営業し続けてきた「玄米耕房 かめた(亀太商店)」。創業は、江戸時代の天明2年(1782年)で当時栄えていた江戸本所で開業し、今も変わらず区内で営業しています。この場所にお店があって良かったことは、すみだの心意気を発信できること。店名にも、店主の市野澤さんのこだわりが詰まっています。よく見ると、店名の「こうぼう」の漢字は「耕房」になっています。「工房」の「工」の字にしなかったのは、周りと同じが好きではない市野澤さんが、お米は「工業」ではなく「農業」だという考えから、店名を「耕房」にしました。この店名は、とても評判がいいそうです。

最初は6種類から始まり、今は50種類以上のお米を販売しています。お客さんの中には、毎回種類を変え、少量を買っていく常連さんもいるそうです。お米は品種によって収穫時期や味が違います。例えば、「ゆめぴりか」はお餅のようなもちもちとした〝しっかり食感〞を味わえます。新米の「七夕こしひかり」は、市野澤さんに教わったとおりに、お米を軽く洗って冷たい水につけて炊き、試食したところ、ねばり気がありやわらかい食感を味わえました。白米と玄米は消費期限と賞味期限はないので、白米は精米年月日、玄米は調製年月日が書いてあります。また、ブレンド米の販売はしていないそうで、「生産者が一生懸命育てたお米への想いを、買ってくれる人に伝えたいから」と言っていました。

店主の市野澤 利明さん とても明るく、面白い方で、初対面でも優しく、面白く接してくれました。
店内には全国各地のお米が並び、自分好みのお米を選べます。

お客さんの「おいしかった」が一番(うれ)しい

市野澤さんは、五ツ星お米マイスター・ごはんソムリエ・おこめアドバイザーの3つの資格を持っています。五ツ星お米マイスターは、玄米を見て品種を当てる鑑定試験や炊飯技術の試験、面接もあり、取得がとても難しい資格です。「修行に終わりはない」と話す市野澤さんが印象的でした。

元は「米屋なんて継ぎたくない」と、会社員をしていた市野澤さん。お正月やお盆に帰省し、改めてお父さんのお店を客観的に見たとき、お客さんに「おいしかったです」と、言ってもらえることがいいなと思ったそうです。それをきっかけにお店を継ぐことを決めました。今では「家業がお米屋さんでよかった」と、特にお客さんに「あのお米おいしかった」と言われたときに思うそうです。

お米マイスターはお米の博士号とも言われる資格です。