すみだ区報2022年10月11日号

特集

チームクラフト 製品とともに届けたい、この(おも)

人を想う気持ちで製品を作る

松山油脂株式会社(東墨田二丁目)

杉﨑広信マネージャー
宮下重和さん

誇りを胸に

松山油脂 は1908年に創業。当時は下請けで他社製品を製造していました。自社製品を手掛け始めたのは、現在の社長になってから。自社製品が世の中に広まることで、社員の方が仕事に対して、より誇りをもてるようにとの想いからだそうです。

すみだの利点を()かして

松山油脂をはじめ、昔は区内に石けんの製造会社がたくさんありました。なぜなら、すみだでは革製品づくりが盛んで、その材料の皮からは、石けんの原料となる油が採れたためです。また、すみだは河川による物資の運搬もしやすかったため、多くの会社が集まりました。

工場の敷地には各地に運ばれる製品が。木の裏には、原料の油が入った大きなタンクがあります。
70年以上続く釜焚(かまだ)き製法。根岸産業さんと同様に、暑さとの戦いです。

安全で、より良い製品を

松山油脂で大切にしているのは、「肌に安全なこと」「環境にやさしいこと」「使うたびに心地良いこと」の3つのバランスを保った製品。また、近年では、SDGsに対しても取り組んでいます。

工場内には、SDGsに向けた取組が掲示されています。

工場の知られざる工夫

工場では「ラインの切り替え」という数時間に1度の大きな作業があります。1つの部屋で別の製品を作るために、機械の部品を入れ替えることをそう呼びます。これにより、松山油脂では、少量多品種のものづくりを実現しています。同じものを使っていても、肌に合う人と合わない人がいます。それぞれの肌に合うような製品を提供する方法の1つが少量多品種のものづくりです。

もちろん製造工程にも、たくさんの工夫が詰まっています。例えば、ラベリングが終わった製品を箱に詰める最後の工程では、ベルトコンベアに段差を作り、そこで製品をわざと倒して転がし、作業が速く進むように工夫しています(写真中央下)。

また、各チームごとに行った改善を、改善レポートとして工場内に貼り出し、情報共有しながら、業務全体の向上を図っています。

奥ではラベリング、手前では箱に詰める作業を行っています。

ものづくりは人づくり

「〝ものづくりは人づくり〞という言葉があるように、人に喜ばれる製品は誠実な人によって作られます。」という話が印象的でした。松山油脂では入社時に、「挨拶」「整理整頓」「人の話を聞く態度」という〝3つの大切なこと〞を教わるそうです。私たちが工場内を見学した際も、皆さんとても忙しそうでしたが、笑顔で挨拶をしてくださり、とても嬉しかったです。心のこもった製品に、私たち消費者も幸せな気分になりますね。

できたての石けん。まだ柔らかかったです。

スミファ

11月に区内で開催される、ものづくりイベント「スミファ」では、事前申込制で松山油脂さんの工場見学ができるそうです。詳細は、スミファのホームページを見てください!