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すみだ区報(墨田区のお知らせ「すみだ」) 2022年1月1日号

 墨田区ゆかりのアスリートである三浦 浩さんと横田 葵子さんをゲストにお迎えし、新春対談を行いました。東京2020オリンピック・パラリンピックやこれまでの選手生活での経験を通して得た気付きなどをお話しいただきました。
[問合せ]広報広聴担当 電話:03-5608-6223

三浦 浩さん(写真左)
パラ・パワーリフティング選手
ロンドンパラリンピック・リオデジャネイロパラリンピック・東京2020パラリンピック日本代表

山本 亨墨田区長(写真中央)
特技の剣道は教士七段で、プライベートでは剣道の指導を行う

横田 葵子さん(写真右)
元 新体操(団体)選手
リオデジャネイロオリンピック日本代表、東京2020オリンピック日本代表選考メンバー

 まずは、お二人に昨年1年を振り返っていただきたいと思います。昨年は、1年間の延期を経て、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されましたが、お二人にとって、どのような1年でしたか。
三浦さん 昨年は3月にマンチェスターでの選考会、6月にドバイでの最終選考があり、そのときに日本人トップとなる記録を出して、世界ランキング9位になることができました。最終的には世界ランキング8位に上がり、3大会連続となる日本代表として東京2020大会に出場しました。パラリンピック後、11月には再び世界大会があるなど、振り返ると昨年は大きい大会が本当に多かったと思います。

横田さん 東京2020大会が1年延期となり、精神的にも様々な面で大変な部分がありました。結局、私はけがで最終メンバーから外れてしまい、もちろんすごく悔しい思いもありましたが、今までできる限りの練習をしてきたので、やり切ったという気持ちが大きかったですね。新体操の日本代表を8年間務めましたが、引退後も後悔なく、現在は新たな気持ちでいろいろなことに挑戦しています。
区長 元々2020年をめざしていたということで、大会が延長になった1年間、コンディションの調整やモチベーションの維持など、本当に大変だったんだろうなと思います。墨田区ゆかりのアスリートということで、区を挙げてお二人を応援してきましたが、お二人には本当によく頑張っていただいたという感謝の気持ちでいっぱいです。

 東京2020大会を通して、お二人の競技に興味を持った方も多いと思います。競技を始めたきっかけや、競技の魅力を教えていただけますか。
三浦さん 競技をする側の魅力としては、常に記録が上がったり下がったりはしますが、記録によって自分の成長が見られることですね。パワーリフティングを始めたのは、400キログラムの物が倒れてきて支えられずに背骨が折れてしまったので、逆に400キログラム持ち上げられる体を作ろうという思いからでした。だから、重たい物を持ち上げるのには、普段は出し切れない力の発散とか、心の叫びというか、言葉にすることが難しいものがにじみ出る楽しさがあると感じています。
 また、見る方は重さは感じられませんが、僕らの競技は意外と照明や映像、音響などで、エンターテインメント性がある試合づくりをしているんです。試合の合間には会場でBGMが流れていますが、選手がベンチ台に寝転んだ瞬間に会場が静寂に包まれる場面や、上げ終わった後、判定が成功か失敗かという場面で、緊張感を選手と一緒になって味わえるところが競技の最大の魅力だと思います。
横田さん 私は小さい頃、フィギュアスケートの浅田 真央さんに憧れて、「オリンピックに出る」という夢を持つようになり、新体操を始めました。新体操は団体競技と個人競技がありますが、私は団体競技をやってきました。魅力は華麗で美しい2分半の演技でしょうか。その2分半のために毎日8時間から10時間、体を酷使しながら練習していて、本当につらくて辞めたいと思うことも実は何回もありました。でも、試合のときに、たくさんの方に「感動した」「元気になれた」と言ってもらえたり、喜んでもらえたりするのが本当に(うれ)しくて、ここまで続けることができました。
区長 私は剣道をやっていて、仕事のことなどは何も考えず、集中して相手と竹刀を交えるひとときが、私の人生には必要だと感じていますが、お二人のようにアスリートとして自分を奮い立たせて、日の丸を背負って勝負に行くというのは本当に尊敬します。お二人とも、素晴らしいなと改めて思いますね。
 三浦さんは東京2020大会で出場された階級では最年長。年齢や障害に関係なく頑張る姿は素晴らしいと思います。
三浦さん 実は、東京2020大会が1年延期になった影響でスケジュールが詰まり、今年も国際大会や国内での大会が目まぐるしくあるんです。少し休みたいなという気持ちもありますが、区内を歩いていると「パラリンピックお疲れ様でした。これからも頑張ってください!」とお声掛けいただくので、応援してくれる方がいると、「まだまだやらなくちゃ!」という気持ちになりますね。
 三浦さんは大会後、母校の第三吾嬬小学校や寺島中学校等で講演を行っていただきましたね。
三浦さん 講演では、パラリンピックの意義や、今後共生社会をつくるために必要なことについてお話ししました。パラ・パワーリフティングの映像とともに、ルールを説明したところ、皆さんかなり“食い付いて”見てくれたので、パラスポーツを知ってもらう良いきっかけになったと思います。
区長 三浦さんのような方から生の言葉が聴けるというのは、子どもたちにとって非常に大きな経験となりますし、パラスポーツや共生社会への理解につながりますね。

 横田さんは競技を続ける()(けつ)や工夫はありましたか。
横田さん 私は小学校4年生から新体操を始めて、始めるのが遅い方でした。でも、本当に負けず嫌いなので、競技経験が短いことを不利な点にしたくなくて、毎日必死に練習していましたね。その結果、オリンピックに出場するなどいろいろな経験ができました。だから、あることに夢中になるというのは、すごく大切だと思います。
 横田さんは今後、次の世代に新体操の良さを伝える活動にも挑戦したいとおっしゃっていましたね。
横田さん 社会に出たいという気持ちがあったので引退する前から会社員として働いていますが、嬉しいことに、引退後も次世代の育成に力を貸してほしいなど、様々なオファーをいただいています。私が経験したことは、新体操をやっている方のうち、本当に一握りの方しか経験できない貴重なことなので、今後は仕事との両立を考えながら、可能な範囲で自分の経験を伝えていきたいと思っています。
区長 昨年解説を務められた世界選手権は、横田さんご自身が2019年に金メダル・銀メダルを獲得されています。横田さんが浅田 真央さんに憧れて始めたように、横田さんに憧れて新体操を始める子どもたちもいると思うので、ぜひ、貴重な体験を子どもたちに伝えていってほしいですね。

 お二人にとって墨田区はどんなところですか。
三浦さん 私は生まれも育ちも墨田区で、やっぱり親しみがあってここから離れられないなと思います。
横田さん 新体操を始めて少ししてからは海外に滞在することが多く、あまり帰ってくる機会がなかったんですが、皆さんがポスターや垂れ幕などを作ってくださったおかげで、帰ってくるたびに元気や勇気をいただき、それが自分の頑張る源になっていました。
 お二人のことを、多くの区民の皆さんが応援しています。ぜひ、区民の皆さんへメッセージをお願いします。
三浦さん 私は年齢とともに戦っているので、ぜひ、皆さんに引き続き応援していただきたいです。それから、皆さんにも年齢に負けずに、健康を維持していただきたいなと思います。
横田さん 私は現役生活に一度区切りをつけ、社会人として生活していますが、たくさんの方々のおかげでここまで頑張ることができました。また、コロナの影響で本当に大変な状況の中、開催できた東京2020大会も、皆さんのおかげだと思っています。この感謝の気持ちを、違うかたちでどんどん恩返ししていきたいです。

区長 お二人のことを、区民の皆さんとひとつになって応援してきましたが、このような感謝の気持ちを表していただけると、本当に嬉しく感じますね。コロナの影響で大変でしたが、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催できてよかったと改めて思います。お二人を皆で応援する中で、絆やつながりができたことも大変嬉しく思います。
 2022年の抱負を聴かせてください。
三浦さん 引き続き、区内の小学校・中学校等でパラリンピックの経験を伝えていきたいと思います。小学生・中学生たちと触れ合うと、自分ももっと頑張らなくちゃと思えるんですよ。その子たちが応援してくれるようになったら、さらに力になりますね。また、皆さんには、東京2020パラリンピックが終わった後も、次のパリ大会まで同じ気持ちと熱量を維持していただきたいです。そのためには自分も頑張って努力しなくてはいけませんし、競技者としても出場をめざしていきたいと思います。
横田さん 私はリオデジャネイロ大会後、一度母校の両国中学校で講演させていただきましたが、その後はなかなか日本にいることがなくて、区内ではオリンピック選手としての活動があまりできていませんでした。今後は、新体操やオリンピック・パラリンピックを応援してくださる方が少しでも増えるよう、活動していけたらいいなと思っています。
区長 お二人のすみだへの(おも)いがひしひしと伝わってきました。区民として、お二人のことを誇りに思います。三浦さん、横田さん、今後もお二人のご活躍を期待しています。
 そして、私も区長として、障害のある方もない方も誰もがスポーツに親しみ、楽しむことで生涯にわたって健康でいきいきと過ごせるまちをめざしていきたいと思います。本日はありがとうございました。

このページは広報広聴担当が担当しています。