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すみだ区報(墨田区のお知らせ「すみだ」) 2024年1月11日号

[問合せ]広報広聴担当 電話:03-5608-6223

 旧正月に当たる毎年1月14日・15日、小布施町の中心部にある皇大神社(小布施町小布施1136)周辺では、長野県の3大市の1つとも言われる伝統行事「安市」が開催され、近隣から多くの人が訪れます。神社の境内には、だるまなどの縁起物を売る露店が並び、新年に合わせて縁起物を買う人々であふれます。また、だるまのお()き上げや猿田彦の綱切り、宝船の巡行、稚児行列といった神事も併せて行われ、中でも15日に行われる「火渡り」は、行者がその年の無病息災や五穀(ほう)(じょう)を願って熱い(おき)(まき)の燃え残り)の上を素足で渡る荒行で、一目見ようとする大勢の見物客で会場が埋め尽くされます。

 安市の由来を、小布施町商工会の奥原剛さんに伺いました。「小布施では江戸時代の初期から、毎月3と8の付く日の月6回、“六斎市”という市が開かれ、北信地域の物流の中継地点として栄えていました。また、六斎市の発展とともに、伊勢神宮の分社である皇大神社にも参拝者が増え、“三年参れば伊勢神宮に参拝したのと同じ”とまで言われるほどに信仰を集めるようになりました。六斎市が時代に合わせ形を変えて安市になり、その後大正時代頃から火渡りなどの神事も安市と一緒に行われるようになったそうです。小布施の人にとっては、“安市までがお正月”というくらい深く根付いた行事なんですよ。」
 江戸時代からの流れをくむこの伝統行事で、小布施のお正月を過ごしてみてください。きっと良い年始めになるでしょう。

[今年の開催日]1月14日(日曜日)・15日(月曜日)
*詳細は小布施町商工会のホームページを参照

安市一番の見物ともいえる火渡り。行者がお経を唱えながら熾を渡る様は、激しくも厳粛な心持ちになります。行者等が渡り終わった後には、一般の参列者も渡ることができます。

皇大神社の境内は、縁起物を売る威勢のいい掛け声が飛び交い、人出もあいまって新年にふさわしいにぎやかさです。

猿田彦の綱切り。道開きの神である猿田彦が、(つじ)に張られた綱を刀で断ち切ることで、新年を開くという意味を込めているそうです。

小布施の人には、安市で旧年のだるまを焚き上げ、また新年のだるまを買うことが年始めの恒例行事となっています。

 小布施町は人口1万人ほどの町ですが、町内には4軒もの日本酒の酒蔵があり、冬になるとそれぞれの味を町内外に届けるため、仕込みを始めます。「昔は小さな地域ごとに酒蔵があって、その地域の人たちのためにお酒を造っていたそうです。今は小布施町の中にある4つの酒蔵が、それぞれ特色のあるお酒を造っています。」こう話してくれたのは、小布施町で明治35年から日本酒を造り続ける酒蔵「高沢酒造(小布施町飯田776)」の(とう)()、高沢 賀代子さん。

 「私の蔵では現在、戦後の頃から造り続けている“米川”と、私が杜氏に就任した平成17年に新しく造り上げた“(とよ)()〞の、主に2つの銘柄を造っています。“米川”は、地元の皆さんに日常酒として飲んでいただいているお酒で、小布施町内でしか販売していません。“豐賀”は、“お母ちゃんみたいなお酒”をイメージして造り上げたお酒で、ちょっと特別なときに飲んでいただけたらと思っています。どちらも地元の水と米で造った地酒で、町内の人にはもちろん、すみだの人にも飲んでいただいて、小布施の味を知ってもらえたら(うれ)しいですね。」
 高沢酒造のほかにも、小布施町には手軽に巡れる距離に酒蔵が複数あり、それぞれの酒蔵が独自の店構えで、訪れた人をもてなしてくれます。小布施町の水と米、恵まれた気候の下で熟成された日本酒たち。ぜひ、味わってみてはいかがですか。

高沢さんが杜氏に就任したときに造り上げた「豐賀」。“豐賀”という名前は、病を治し人を幸せにする酒を造ったと言われる天女“豐宇賀能売命(トヨウカノメノミコト)”から付けたそうです。

細部まで気を配りながら、丁寧に仕込みを行う高沢さん。小布施の人は米川や豐賀を飲むと、高沢さんの優しいお顔が浮かんでくるそう。

小布施町には、お話を伺った高沢酒造以外にも、「北信流」「本吉乃川」等を造る松葉屋本店(小布施町小布施778)や、「スクウェア・ワン」「白金」等を造る桝一市村酒造場(小布施町小布施807)などの酒蔵があります。ぜひ、お気に入りの味を見つけてみてください。

*詳細は各酒蔵のホームページ(高沢酒造松葉屋本店桝一市村酒造場)を参照

高沢酒造

松葉屋本店

桝一市村酒造場

 小布施町で400年以上の歴史を持つお寺、玄照寺(小布施町大島90)。普段は静かなこの古刹が、春になると一変、彩り豊かなアートフェス「境内アート小布施×苗市」の舞台になります。「このイベントは、毎年4月下旬に玄照寺の敷地全体を会場にして行います。内容は、アートの展示やクラフト作品の出店をメインに、パフォーマンスやフードコート、古本市、イベント名にもある苗市など、様々なものがごちゃ混ぜになった、まさに“お祭り”ですね。」と楽しそうに話すのは、実行委員長のヒロシマンさん(写真右)と同委員の日高 健さん(写真左)。

 「もともと玄照寺で開催されていた苗市を盛り上げるために、平成16年からアートイベントを一緒に開催したのが始まりです。その後さらにクラフト市も一緒にやるようになり、今年で19回目を迎えます。出店者は150店舗くらいで、全国各地から小布施に出店しに来てくれていますね。このイベントを年度の仕事始めだと言って楽しみにしてくれている出店者も多いんですよ。(ヒロシマンさん)」「“なんでもいいが、一番いい。”をコンセプトに、お客さんも出店者もみんながのびのびと参加してくれています。時期が合えば境内に桜も咲いていて、まさに春の訪れを感じることができますよ。(日高さん)」
 お寺という厳かな空間で行われる、“なんでもいい”な、にぎやかなイベント。ぜひ、体感してみてください。

[今年の開催日]4月28日(日曜日)
*詳細は境内アート小布施×苗市のホームページで後日公開予定

参道では古本や苗などが販売され、お寺にやってくるお客さんを出迎えます。

境内ではアート作品の制作・展示が行われます。アートと荘厳な本堂との対比に、より感性が刺激されそうです。

お寺に隣接する広大な森「小布施千年の森」では、クラフト作品等の出店が100店舗近く集まるほか、飲食店も30店舗以上出店し、ここがお寺の敷地だということを忘れてしまうほど。

敷地内の各所にはインスタレーションアート(展示空間を使った作品)が設置され、見る人を楽しませてくれます。

音楽や書道のパフォーマンスなども行われ、その様は圧巻の一言。

 毎年4月下旬から5月の大型連休にかけて、小布施町の西に位置する千曲川の堤防が美しいピンク色に染まります。この堤防上には、およそ600本もの八重桜が全長4キロメートルにわたって植えられており、「桜堤」と呼ばれて親しまれています。遠くまで長く続く桜並木の中を歩くと、まるで自分が桜のトンネルの中にいると錯覚してしまうほど。開花の時期にはこの景色を見るために、県内外から多くの人が訪れます。
 この桜堤に咲く桜の木々は、実はオーナーを募集して植林されたものです。平成7年に千曲川沿いの高速道路が整備された際、高速道路と堤防の間にできたスペースに、千曲川への感謝の意や地域住民のふれあいの場になってほしいという願いを込めて、桜の木を植えてはどうかと町民から町に提案がありました。そこで実際に広く募集したところ、町内のみならず、北は福島県から南は岡山県まで、370人もの方から申込みがありました。申し込んだ方は、結婚や出産の記念など、桜の成長にそれぞれの(おも)いを込めて募集に応じたそうです。そのしるしとして、植えられた桜の木々にはオーナーの名前が書かれたプレートが設置され、オーナーは桜の成長とともに、それぞれが込めた想いを育んでいます。

 シンプルに桜を見て楽しむも良し、その桜1本1本に込められたオーナーの想いに心を()せるも良し。いろいろな見方で、この桜堤を楽しんでみませんか。

満開の桜が4キロメートルにわたって延々と続く様は、まさに絶景です。

桜堤に咲いている八重桜は全て、「一葉」という品種のもの。

桜堤に隣接する千曲川リバーサイドパークには、「黄金島」と呼ばれている菜の花畑があり、こちらも4月下旬頃に美しい花を咲かせます。お花見の時期にはここでマルシェも開催されます。

今号で紹介した内容以外にも、小布施町には見所が盛りだくさん。より詳しい情報は、小布施文化観光協会のホームページをご覧ください。

このページは広報広聴担当が担当しています。