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すみだ区報(墨田区のお知らせ「すみだ」) 2024年10月11日号

東武タワースカイツリー 株式会社
東京スカイツリータウン広報事務局
大野 なのはさん

 東京スカイツリーは、高さ634メートルの世界一高い自立式電波塔です。スカイツリーといえば展望施設を思い浮かべるかもしれませんが、一番の役割は、電波塔として地上デジタル放送の電波を送信することです。では、なぜこれほどの高さが必要になったのでしょうか。それは、東京などの大都市で地上デジタル放送が始まった平成15年まで遡ります。

 地上デジタル放送を送信する際、都市部に並び立つ高さ200メートル級の超高層ビルの影響を受ける可能性があったため、東京のテレビ局6社が高さ600メートル級の新タワーの建設を必要としたのです。こうして平成15年12月に発足した「在京6社新タワー推進プロジェクト」に首都圏各地が誘致の名乗りを上げる中、墨田区も平成16年11月に誘致を表明し、東武鉄道 株式会社に協力を要請しました。そして区と地域で一丸となって誘致を行った結果、ついに平成18年3月、業平橋・押上地域に新タワーの建設が決まりました。
 その理由としては、浅草などの観光地に近いこと、鉄道が多く通っていて交通の利便性があること、建設地が元は貨物列車の貨物ヤードだった場所でとても広く、タワーや周辺施設の建設が実現しやすかったこと、そして、地域の方からの後押しが大きかったことなどが考えられるそうです。

©TOKYO-SKYTREE

建設前はこんな場所でした。

 こうして建設地が決まったスカイツリーは、電波塔としての役割だけでなく、にぎわいのある新しい場所を作り出すという目的から、商業施設「東京ソラマチ®」や水族館などのエンターテインメント施設を伴った複合施設「東京スカイツリータウン®」として、平成24年5月にオープンしました。

©TOKYO-SKYTREETOWN

 スカイツリーができたことで、押上地域にはたくさんの人が集まるようになりました。さらに、墨田区では押上地域から錦糸町や浅草などにアクセスしやすくなるように周辺の道路等を広く整備したほか、スカイツリーとしては地域と連携した盆踊り大会の開催や新成人の招待を行うなど、スカイツリーの建設が押上地域だけでなく墨田区全体の活性化にも大きな影響を与えました。

 電波塔としての役割を第一にしながら、すみだの発展にも一役買ってきたスカイツリー。今年でオープンから12年になりますが、これからもずっと、たくさんの人に愛されるシンボルでいてほしいですね。

 華やかな姿がすっかり東京の新しいシンボルとなったスカイツリー。そのスマートな見た目とは反対に、構造は非常に丈夫で安全性の高いものになっています。

 スカイツリーの塔体の鉄骨は、三角形がいくつも組み合わさった「トラス構造」になっていて、地震などの揺れに対して強い耐久性を発揮します。この鉄骨の一番太い部分はなんと直径2.3メートルもあり、タワー全体をしっかりと支えています。
 さらに、地上では三角形だった塔体の断面が上に向かって円形に変化していくことで、鉄骨が日本建築によく見られる「そり」と「むくり」という緩やかな曲線を描いています。また、塔体の色も、日本の伝統色「(あい)(じろ)」をベースにした「スカイツリーホワイト」という色で、これらが合わさって、日本の美意識に基づいた繊細な雰囲気を生み出しています。

真下から見上げると、トラス構造や「そり」「むくり」がよく分かります。

 スカイツリーの中心を貫くのは、鉄筋コンクリート製の巨大な円筒、「心柱」です。高さは375メートルもあり、直径は8メートルにも及びます。この心柱の最大の特徴は、地上125メートルまでは塔体とつながっていますが、それより上の部分は塔体とはつながっていないことです。これにより、タワーが揺れた際には、心柱と塔体の揺れの周期の違いによってお互いの揺れを打ち消し合い、地震のときでは最大で50パーセント揺れを抑えることができます。

内部から見上げた心柱

 また、心柱の最下部は6基の大型積層ゴムで支えられていて、心柱が地面と接する部分にかかる負荷を軽減しています。



 さらに、この心柱の内部には、なんとスカイツリーの避難階段が設置されています。地上450メートルにある天望回廊から1階までの段数は2,552段もあり、降りるにはおよそ1時間くらいかかるそうですよ。

このように、スカイツリーの構造には様々な工夫や技術が込められているため、地震等への強さと印象的な見た目を兼ね備えています。まさに安全性と美しさの“二刀流”の超高層建築物なのです。今度スカイツリーをご覧になるときは、ぜひこういった構造の部分にも注目してみてください!

心柱の最下部まで取材しました!

一般財団法人 電力中央研究所
工藤 亜美さん

 スカイツリーは電波塔や展望施設以外に、様々な研究機関の研究拠点としての役割もあるのを知っていましたか?今回はその中の1つ、電力中央研究所が設置している「雷観測拠点」を取材しました。

 雷は、突然落ちたかと思うとすぐに消えてしまうため、観測するのがとても難しいものです。そんな雷をなんとか直接観測したいと考えていた電力中央研究所が、継続してたくさんの雷を観測できる場所を探していたときに、墨田区にスカイツリーの建設が決まりました。スカイツリーは非常に高い建物なので、雷がたくさん落ちるのではと考え、スカイツリーの協力を得て、スカイツリーの建設と合わせて観測装置を設置し、データの収集を始めました。

 観測装置は、スカイツリーの高さ497メートル地点と地上の西(かなえ)・東鼎(西側と東側の足元)部分の3か所に設置されています。

497メートル地点ではゲイン塔(アンテナ設置用の塔)を、西鼎・東鼎部分では鉄骨の1本を囲うように設置されています。

 ここにある「ロゴスキーコイル」という装置で、スカイツリーに落ちた雷の電流の大きさなどを計測し、高さ300メートル付近にある観測室にデータを送っています。雷はいつ落ちるか分からないため、24時間毎日観測装置を動かし続け、常にデータを集めているそうです。
 ほかにも、スカイツリー周辺では高速度カメラを使って、スカイツリーに落ちた雷を映像でも観測しています。どちらも雷が落ちる場所にピンポイントで設置しないとデータが取れないので、雷が落ちやすいスカイツリーは絶好の観測場所と言えるでしょう。

©TOKYO-SKYTREE

 スカイツリーの頂上には避雷針があるため、近くに落ちる雷を引き寄せる力がありますが、まれにスカイツリーの側面に落ちる雷もあると聞き、驚きました。思ったとおりに落ちてこないのが、雷観測の難しくて面白いところなんだそうです。ちなみに、もしスカイツリーに雷が落ちても、中にいる人は安全で、これまで被害が起きたこともないそうなので、安心してください!

 収集したデータは今後、送電線などの大きな電力設備や家庭の電化製品といった、様々な電気にまつわる物への雷の被害や影響を測ったり、停電を起こさないようにしたり、屋外にいる人への被害を防いだりと、私たちの暮らしの安心に広く役立てられることが期待されています。雷観測拠点としてのスカイツリーの役割、ぜひ知っておいてください!

墨田区防災課
工藤 かん奈さん

 スカイツリーは、その高さと墨田区の真ん中に位置しているという特徴から、墨田区全体の防災力を高めるための拠点としての機能も2つ備えています。

 1つは、スカイツリータウン内にある「タワー危機管理ベース」です。ここには、防災行政無線室と区の備蓄倉庫があります。
 防災行政無線室は、災害時に区役所内の防災センターが使えなくなってしまった場合に、代わりに区の災害対策本部を設置するための施設で、非常時には大きな役割を果たします。

防災行政無線室

 また、備蓄倉庫には約3,000人分の食料や飲料水が備えられていて、これらは災害時に観光客や電車を利用する人が帰宅困難者となってしまった場合、一時的にスカイツリータウン内に滞在するときに配られます。

備蓄倉庫

 もう1つは、スカイツリーの高さ260メートル地点に設置された「高所防災カメラ」です。

 このカメラは、災害時に区内の被害状況を把握するために設置されています。タワーの東側と西側に1台ずつ配置されていて、100倍くらいまでズームできるため、区全域を見渡せるようになっています。また、区役所内の防災センターから操作できるようにもなっていて、撮影した映像は消防やほかの自治体にも提供しています。このため、もし災害が起きたときには、区役所からこのカメラを操作して区の全域を確認し、集めた情報を消防やほかの自治体と共有することで、迅速に区内の状況を把握して災害に対応できるようになっています。

 墨田区は、スカイツリーと協力した取組を通じて、災害に強いまちづくりをめざしているそうです。地域の防災拠点としても重要な役割をもつスカイツリーの顔を知ると、さらにスカイツリーが身近に感じられるのではないでしょうか。

高所防災カメラを見学しました!

[所在地]押上一丁目1番2号
[営業時間]

  • 月曜日から土曜日まで=午前10時から午後10時まで
  • 日曜日・祝休日=午前9時から午後10時まで

*いずれも最終入場は午後9時まで
*時期により変更となる場合あり
*入場料等の詳細は東京スカイツリーHPを参照

このページは広報広聴担当が担当しています。