○墨田区工事施行規程の全部改正について(依命通達)

昭和53年4月1日

53墨総総発第286号

/各部(室・館・所)長/収入役/あて

昭和53年4月1日墨田区訓令甲第17号をもって墨田区工事施行規程(昭和39年墨田区訓令甲第4号)の全部が改正され、本年4月1日から適用されることになった。

このたびの改正は、墨田区における工事量の増大及び工事施行方法の変化に伴い、関係規定を整備したものである。

改正の主要点は、墨田区における工事の大部分が請負工事によって処理されていることに応じ、規程の中心を直営工事から請負工事に改めたこと、墨田区における工事の多様化に応じ、すべての部課において工事に関する事項の処理を可能としたこと、各部における実情に応じた工事の施行を図るため、これに必要な基準を各部長において定めることにしたこと、時機を失しないで迅速な工事施行を図るために工事主管課長の判断で必要に応じて随時適切な措置をとることができる範囲を広げたこと、直営工事のうち職員が施行する工事について工事施行の実態にあった規定に改めたこと、設計、測量等の外部委託が増加しつつあるすう勢にかんがみ、これらの委託についての処理手続を新たに定めたことである。

ついては、下記の事項に留意されるとともに、所属職員にこの趣旨の周知徹底を図り、もって工事の施行に遺憾のないよう期せられたい。

この旨、命により通達する。

第1 総則(第1章)

1 この規程の目的(第1条)

この規程の目的は、墨田区において施行する土木工事、建築工事その他一切の工事について基本的な事項を定めることによって、工事の円滑かつ適切な施行を図ることにあること。

2 工事の範囲(第2条)

この規程の適用される工事は、第2条第1号(イ)から(ハ)に掲げる工事、作業及び修繕である。この作業及び修繕については、設計測量等の委託、製造、製作等の作業及び工作物、船舶等の修繕の実施手続の明確化を図るため、改正前の墨田区工事施行規程(以下「旧規程」という。)でとられている準用方式を排し、新たに規程の適用対象に加えたものであること。

また、「その他の工事」とは、冷暖房、換気、給排水、ガス、汚物処理の各設備等土木工事、建築工事、電気設備工事及び機械設備工事の範ちゅうに属しない一切の独立した工事をいうものである。なお、地方自治法(昭和22年法律第67号)第239条第1項に規定する物品については、規程の対象外とされているが、この規程に準じて処理することも差しつかえがないこと。

「付帯する工事」とは、第2条に掲げる請負工事又は直営工事の一部であって、当該工事から分離して処理できるものについては、委託の手続によりそれぞれ処理されることになるが、そのいずれの手続によるかは、工事の円滑な確保を図るという観点から十分検討のうえ決定しなければならないものであること。

3 監督員の指定

監督員の指定については、工事施行に当たっての監督員の責務の重大さを考慮し、これに対処しうるに十分な知識、経験を有する職員を選任すべきであること。

4 工事の計画的施行(第3条)

工事量の増大は、個別工事の計画的施行の必要性を高め、工事施行の手順を定める実施計画の不適切な場合にもたらされる影響は極めて大きなものになっているので、個別工事の施行に当たっては常に工事の実情に応じた合理的な実施計画を作成することにより、工事の円滑な施行を図ることにしたものであること。

5 処理方針(第4条)

(1) 工事主管課長は、工事の施行に当たっては、工事施行の状況を全般的には握し、関係方面との適切な連絡及び調整を行うことにより、工事の円滑な施行に努める責務があるが、その責務を規程のうえで明らかにしたこと。

(2) 処理手続については、この規程に特別の定めがある場合を除き、すべて墨田区事案決定規程(昭和50年墨田区訓令甲第4号)その他の関係規程の定める手続により行わなければならないこと。

6 工事台帳の備付け(第5条)

工事台帳は、各工事主管課長が備え付け、常に整理しておかなければならないものであること。

7 別の方法による処理(第7条)

国、地方公共団体その他の公法人に委任して施行する工事及びこれから受託して施行する工事その他の特別の理由によりこの規程によりがたいと区長が認めた工事については、その工事の種類、内容に応じてこの規程に定める手続によらないで処理できるが、できる限りこの規程の定める手続に準じて処理すべきこと。「その他特別の理由によりこの規程によりがたい工事」とは、国庫補助に係る工事で国が処理方法を定めている工事その他これらに類する事情にある工事をいう。また、「軽微な工事」としてこの規程によらないで処理できる工事は、軽微な営繕工事等の取扱いについて(昭和42年墨総総発第442号)その他の定めのある工事に限られること。

8 他部への施行委任(第8条)

他部への委任工事については、従来、委任部と受任部との連絡調整が十分でないために、工事の円滑な施行に支障をきたした例もみられるので、工事の種類、規模等に応じて十分な時間的余裕のある時期に事業計画及び事前の措置について、委任部と受任部との間で十分協議しておくこと。

第2 請負工事(第2章)

1 設計(第1節)

(1) 設計の指示(第9条)

従来、設計担当者が設計を行うに当たって、工事についての基本的事項及び特に注意を要する事項が必ずしも十分には握されていないために設計の修正がみられたが、このようなむだを可及的に防止するために、部長が明示した工事についての基本的事項及び特に注意を要する事項が、関係課長を通じて設計担当者に十分伝達されるよう留意すること。

(2) 設計書の構成(第10条)

「その他部長が必要と認める書類」とは、数量計算書等部長が工事の種類に応じて必要と認めた書類をいうものであること。

(3) 設計基準(第11条)

設計者が、設計書(工事仕様書を除く。)を統一的かつ能率的に作成するためには、設計に際しての基準が明確になっていなければならないので、部長が各部における工事の種類、規模に応じて設計基準を定めることにしたこと。設計基準には、工事内容に応じて実地調査を行い、その施行に疑義の生じないよう明確なものとすること等設計に当たって留意すべき事項、単価、歩掛、損料等積算に関する基準、構造物及びその設備等の設計に関する技術的基準及びその他部長において必要と認める事項を定めるべきものであること。

(4) 工事仕様書(第12条)

工事仕様書は、ただし書に該当する場合を除き、別途区長が定める標準仕様書によらなければならない。工事標準仕様書に定めのない事項又はこれによりがたい事項がある場合は、特記仕様書を作成するものとする。

2 起工(第2節)

(1) 起工(第13条)

設計と起工が同一部署で行われる場合は設計が完了したとき、異った部署で行われる場合は設計書が送付されたときに工事主管課長は、起工起案書、工事設計書及び工事の内容、従来の経過、関係法規等を説明する必要書類をもって構成する起工書によって、第13条第1項各号に定める事項に十分留意のうえ起工手続をとらなければならない。

(2) 工期(第15条)

ア 工期は、日数をもって定めるものとする。ただし、あらかじめ完了期日が定められているものについては、この限りでないこと。

また、工期の設定にあたっては、必要な工期が十分確保されるよう発注時期等を配慮しなければならないこと。

イ 工事の性格、現地の委託等によって、第15条各号に掲げる日(以下「祝日等」という。)を工期に算入して工事を施行する場合は、特記仕様書にその旨明記するものとすること。

ウ 工事主管課長は、交通事情、工事の緊急施行その他現場の状況変化等により、祝日等に工事を施行する必要がある場合は、請負人に対し祝日等の工事施行について指示又は承認を与えるものとする。なお、この場合には、あらかじめ関係機関と連絡調整を図るとともに、工事の監督方法等職員の勤務体制についても配慮しなければならないこと。

(3) 緊急起工の処理(第17条)

緊急に工事を施行しなければならない切迫した事態が生じ、起工書により決定を受ける時間的余裕のない場合は、口答その他の方法により部長の指揮を受けて、第2章第1節及び第2節に定める手続によらないで工事を施行することができるものであること。この場合、事後直ちに起工書を作成して決定権を有する上司の決定を受けなければならないこと。

3 工事の施行(第3節)

(1) 工事実施前の措置(第18条)

旧規程においては、工事の起工が決定した場合には、軽微な工事を除き、工事担当者をおくことが義務づけられており、この工事担当者と契約事務規則(昭和39年墨田区規則第11号)に基づき命ぜられる監督員との職務上の関係が明確ではなかった。本規程においては、請負工事の施行の監督については、もっぱら監督員があたるべきとの前提のもとに、工事主管課長との関係を明確にしたものであること。また、工事主管課長は、工事実施前に措置しておかなければならない事項について必要な措置をとることにより、工事の円滑な施行を図らなければならないこと。

(2) 請負人提出書類処理基準(第20条)

ア 請負人が提出する必要書類は、従来その様式及び処理方式等について明確な基準が定められていないために工事の円滑な施行が妨げられた例もみられるので、各部における工事の種類、規模、執行体制等に応じて、請負人提出書類の処理基準を定めることにしたものであること。

イ 部長は、請負人提出書類基準を作成するに際しては、工事の種類、規模、執行体制等に応じて請負人提出書類の様式及び処理方法を明確にしなければならないものであること。

なお、従来監督員が、監督に当たっての付随的な事務に追われ、本来の技術的業務に専念できない例もみられたので、基準を定めるに際しては、監督員が書類整理等の付随的な事務のため過重負担となり、本来の技術的業務に専念できなくなることのないよう留意すること。

(3) 工事の中止及び中止解除(第22条)

ア 工事主管課長は、工事施行中やむを得ない事情により工事の施行を中止する必要があるとき又は中止を解除する必要があるときは、第22条第2項に該当する場合を除き、自らの判断で臨機応変に工事の中止又は中止解除の措置をとるべきこととしたものであること。

なお、工事の中止とは、再開を予定した一時的中断であって、設計の内容の変更を伴わないものをいうものであること。

イ 「工事の中止が契約内容その他に重大な影響を及ぼすもの」とは、予算の繰越のおそれのあるもの、公衆に著しく迷惑を及ぼすおそれのあるもの、供用開始日が決定している場合等で完成期限が遅延するおそれのあるものその他これらに類するものであること。

ウ 工事の中止又は中止解除の措置をとるときは、工事施行が請負契約に基づくものであるから請負人と連絡調整のもとに行うべきものであること。

(4) 事故報告(第23条)

工事の施行中、地震、暴風雨、豪雪、こう水、火災その他の災害又は不測の事故により施設の損壊その他工事に事故があったときは、工事主管課長は、直ちに実情を調査し、所要の措置を講ずるとともに、工事事故報告書を作成して上司に報告し、その指示を受けなければならないこと。この場合において、調査の結果、緊急に応急工事を行わなければならないときは、第17条の規定の適用があること及び事故の発生により工事の中止又は工期の延長の必要が生じたときは、第22条又は第24条の規定の適用があることはいうまでもないこと。

なお、「工事の施行中」とは、当該工事の完了又は打切りのときから当該工事に係る施設をその管理者に引き継ぐまでの間を含むものであること。

(5) 工事変更(第24条)

起工の決定後生じた原因により、工事の起工の内容を変更する必要が生じたときは、速やかに工事変更起案書により所定の手続をとらなければならないこと。旧規程においては、工事変更の場合は、すべてその都度所定の手続をとる必要があったが、第24条第3項に定める場合を除いては、工事変更手続は、工期末までに一括して行うことができることになったので、工事主管課長において工事変更に伴う工事の施行の遅延を可能な限り防止するように努めること。

なお、第24条第3項第3号は、変更1回ごとの限度額及び当該工事についての合計変更額の限度額を示すものであること。

(6) 工事の一部清算等(第25条)

「工事の打切り」とは、工事の施行途中における工事のとりやめであり、工事の再開を予定した工事の中止ではない。従って工事の打切りを行うには、第24条の手続によらなければならないこと。

4 工事の完了(第4節)

(1) 工事の完了(第26条)

「完了後の図面」とは、工事が完了したときの図面とし、「工事記録写真」とは、工事仕様書に基づき請負人が提出する写真とすること。

(2) 施設等の引継(第27条)

工事が完了した施設については、施設管理者に引き継ぐまでは工事主管課長において管理し、施設管理者が使用し得る状態で引き継がなければならないので、費用の負担等管理に当たっての必要事項については、工事主管課長と施設管理者との間で十分協議し、円滑に施設の引継を行うべきこと。

第3 直営工事(第3章)

1 職員が施行する工事(第1節)

(1) 職員が施行する工事(第28条)

旧規程においては、職員が施行する工事について特別の定めがなく、一般工事と同じ取扱がされてきたが、資器材、労力、工事の性質等他の工事とは異質のものであるため、設計、起工等の事務手続上不合理な点が多々みられ、円滑な工事施行の妨げとなってきた。今回の改正では、これらの矛盾を解消し、円滑な工事施行を確保するため、職員が施行する工事として一般の直営工事とは別の取扱をすることにしたものであること。

(2) 工事施行計画書(第29条)

工事施行計画書は、工種別工事量、施行時期、人員の編成その他工事施行の概要が明確には握できるものとすること。また、計画の期間は、工事の性格、各課の実情に応じ作成可能な期間とし、必ずしも年間計画とは限らないこと。

(3) 工事日報(第31条)

工事日報には、工事箇所、工種出来高、従事職員、使用資器材その他工事施行状況を記録し、工事主管課長に報告すべきこと。また、工事日報の様式は、工事の実態に応じ各主管課において決定すべきこと。

(4) 工事実績報告書(第32条)

工事実績の報告は、各会計年度終了後1回としたが、年度途中においても必要に応じて随時報告できるよう常に整理し、記録しておかなければならないこと。また、報告書の様式については、工事の実態に応じ各主管課において決定すべきこと。

(5) 準用(第33条)

旧規程においては、直営工事を主な対象として規定していたが、本規程においては、請負工事を主な対象として規定したので、直営工事については、最小限度必要な規定を置くにとどめ、他は請負工事に関する規定を準用することにしたこと。なお、職員が施行する工事は、陳情処理等の緊急性を要するものが多いため、工事施行に必要な最小限の規定を準用するにとどめ、迅速な工事施行を確保することにしたものであること。

2 一般直営工事(第34条)

一般直営工事とは、直営工事のうち、前節の職員が施行する工事以外のものをいう。区においては、現在これらの工事は施行されていないが、将来施行される可能性もあるため、これらの工事の施行手続を定めたものであること。

第4 設計等の委託(第4章)

1 委託基準(第39条)

従来、設計、測量、地質調査、監理等の委託は、工事の一部であるにもかかわらず、旧規程には、委託についての定めがなく、工事とは別の取扱がなされてきた。しかし区における工事量の増大に伴い、これらの委託が工事施行体制のなかで重要な位置を占めている現状にかんがみ、部長が委託基準を定め、その統一的かつ効果的な運営を図ることにしたものであること。

墨田区工事施行規程の全部改正について(依命通達)

昭和53年4月1日 墨総総発第286号

(昭和53年4月1日施行)

体系情報
例規集/第3類 行政総則/第5章
沿革情報
昭和53年4月1日 墨総総発第286号