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平成28年第1回区議会定例会における区長施政方針

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更新日:2016年2月22日

 平成28年第1回区議会定例会の初日である2月17日、山本区長が28年度の区政運営に対する基本的な考え方を示した施政方針説明を行いました。

はじめに

 平成28年第1回区議会定例会の開会に当たり、私にとって初めての編成となる平成28年度予算の基本的な考え方を申し述べ、区議会並びに区民の皆さんのご理解とご協力をお願いいたします。
 まず、私の区長就任からこれまでの区政を取り巻く主な出来事について、述べさせていただきます。
 区長就任後、直ちに取り組んだ事は、区政の情報発信の強化でした。JCOMすみだの区政情報番組「ウィークリーすみだ」に、私自身が直接定期的に出演し、区政のPRや、本区の魅力を発信しています。また、区公式ホームページを使いやすく、閲覧しやすいデザインにリニューアルし、フェイスブックを開設して、リアルタイムで本区の各種イベントや事業を紹介しています。
 また、昨年5月14日には、平成27年度末に目標としていた、人口26万人を前倒しで達成しました。人口は、暮らしやすさの指標であり、墨田区が住みたいまちとして一定の評価をいただいたものと考えています。
 6月20日・21日には「第10回食育推進全国大会」を開催しました。区内複数の会場で国や東京都をはじめ各種関係団体、そして区民の皆さんが積極的に参加され、すみだの「地域力」の強さを実感しました。
 8月4日に、職場で共に働く職員のワーク・ライフ・バランスを考え、自らも仕事と私生活を楽しむ「イクボス」を23区首長として初めて宣言するとともに、にっぽん子育て応援団の「自治体首長の子育て応援宣言」も行いました。
 そして、平成6年に発生した踏切事故以来、地域の方々のご協力のもとに21年を経て、8月22日に京成押上線の全線高架化が完成しました。踏切解消により区民の皆さんの安全が確保されるとともに、高架化による各種波及効果が期待されるところです。
 一方で、平成28年度を初年度とする、本区の10年後の将来像、区政の羅針盤とも言える新基本計画の策定に着手しました。現在、職員一丸となって策定作業に当たっていますが、学識経験者による有識者懇談会や、区議会の皆さんにも基本計画調査特別委員会を設置していただき、それぞれの視点・立場から、進むべきすみだの方向性を議論していただいています。また、公募による34名の区民の皆さんにも参画いただき、10年先の本区の姿をご提言いただきました。私の発想を超えたユニークかつ貴重なご意見もあり、大変参考になりました。さらに、本年1月17日・31日には、本区としてはじめてのタウンミーティングを開催して、一般区民の方と私が、一対一で対話をする機会を設定させていただきました。直接区民の方から、区政についてのご意見を伺い、改めて区民目線の重要性を感じ取ったところです。
 このように、区長に着任してからの約10か月は、まさに全速力で走りぬいてきた感じですが、様々な場面で区民の皆さんと接し、とても楽しく、充実した毎日を過ごさせていただきました。また、このような区政の前進や成果には、区議会や区民の皆さんの温かいご支援とご協力があってのことであると実感するものです。

景気と国・東京都の動向

 次に、景気の動向と国、東京都の予算についてふれさせていただきます。昨年12月末に発表された平成28年度の政府経済見通しによれば、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を柱とする経済財政政策の推進により雇用・所得環境が向上する中で、原油価格の低下等により、緩やかな回復基調が続いているとして、国内総生産の実質成長率を1.7%と見込んでいます。しかし、先行きのリスクとして、中国を始めとする新興国経済の景気減速の影響等もあり、輸出が弱含み、個人消費及び民間設備投資の回復に遅れがみられたとしています。こうした中で、平成28年度の国の予算は、安倍内閣が掲げる「1億総活躍社会」を実現する中で、経済再生と財政健全化の両立する予算として96兆7000億円の予算案としています。
 また、東京都では平成28年度予算を、「『世界一の都市』の実現に向けた取組を加速化・深化させ、力強く前進させる予算」として編成し、「東京都長期ビジョン」が指し示す、2020年とその先の将来像の実現に向けて、約7兆100億円の予算規模としています。
 以上のような国・東京都の予算案が示されましたが、年が明けて、1月29日に日銀が、我が国の金融史上初めてのマイナス金利導入を決定したにもかかわらず、円高、株安が急速に進み、直近では、GDPが年率に換算すると、実質年1.4%減と報道されるなど、日本経済の先行きは極めて不透明な状況にあります。今後は、さらにアンテナを高く掲げ、国・東京都の動向や、区内中小零細事業者への影響等の把握に努めます。

平成28年度区政運営の基本方針

 本区においては、平成28年度は現在策定中の新基本計画で掲げる政策や施策を積極的に推進することはもちろん、私が公約としている「すみだの夢実現構想」を新たな発想とスピード感を持って、ひとづくり・まちづくりの両面から具現化する必要があります。また、将来にわたり区民の皆さんが夢と希望をもてる「すみだ」づくりに取り組むためには、その礎となる強固な財政基盤を中長期的に堅持することが重要と考え、平成28年度予算は「すみだの夢実現構想の達成に向けた、新たな基本計画のキックオフとなる予算」として編成しました。
 それでは、平成28年度の区政運営の基本方針5点についてご説明します。
 第一に、新基本計画の着実な推進です。現基本計画の達成度などの成果・総括を踏まえ、10年先の本区の姿や社会経済状況を見極め、新たな施策体系に基づく、具体的かつ斬新な施策・事業を展開します。特に、4年後に迫っている東京オリンピック・パラリンピック関連事業など、平成28年度から着手する必要がある事業は確実に予算化を図ります。さらに、私は、新基本計画事業に盛り込むものは、特別な事情の無い限り確実に予算化、そして執行し、精度の高い基本計画といたします。
 第二に、女性・子ども・若者など多様な地域人材の活躍推進です。国の「骨太方針2015」でも示されているように、本区においても引き続き女性が輝くまちづくりをめざします。具体的には、行政や各分野における女性の活躍を一層推進することや、区内企業へのワーク・ライフ・バランス等の普及・啓発など、女性が働きやすい環境づくりを推進します。また、少子化対策・子育て応援の観点から、安全かつ安心して妊娠・出産・子育てができる環境整備や、「子ども・子育て支援新制度」を活用して、幼児教育・子育て支援の「量的拡大」及び「質の向上」を図ります。さらには、経済的に厳しい家庭や多子世帯への支援充実、児童虐待防止対策など、子どもの貧困に対しても、総合的な取組を実施します。
 一方で、現在策定中の「教育施策大綱」に基づき、知・徳・体のバランスのとれた夢と希望にあふれる“すみだ”らしい子どもたちの育成に取り組みます。また、若者のチャレンジ支援やニート等の職業的自立支援策、生涯現役社会実現に向けた高齢者就労等の支援や障害者の活躍の場づくりを推進します。

 第三に、総合戦略等の推進による区内産業・観光の活性化と芸術・文化の振興です。国がめざす地方創生の方向性は、東京一極集中を是正し、地方への新しい流れをつくることですが、本区の総合戦略素案では、これまで以上にすみだのポテンシャルを引き出し、どこよりも素敵で魅力的なまちの実現をめざすこととしています。そこで、ものづくりを中心とした産業の分野では、引き続き本区の地域資源・技術を活用した商品・サービスのブランド化を発展させ、国内外への販路拡大を推進します。また、経営革新や創業支援の充実と、地域全体で事業を承継させる取組を行います。観光の分野では、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、インバウンド観光を視野に入れた取組、すみだ北斎美術館開館を一つの契機として、江戸以来の伝統文化を活かし、舟運や循環バスなどのツールを十分に活用した、まち歩きを中心とした施策の推進、そして観光客受入のためのマネジメントを強化します。さらに、区内の芸術・文化団体、NPOなどの地域力を活かしながら、開館予定のすみだ北斎美術館、音楽都市の象徴であるすみだトリフォニーホールなどを通して、本区ならではの芸術・文化振興を推進します。
 第四に、安全・安心を実感できるまちづくりの推進です。現基本計画に係る区民アンケート調査によると、区の最重要課題の一つである防災・防犯関係施策の満足度が最も低く、重要度が最も高い結果となり、改めて都市型災害への対応が求められていることがわかりました。そこで、首都直下地震、都市型水害等の自然災害への対策や木造密集市街地の改善などに対し積極的な展開を図ります。
 また、空き家対策や防犯対策を中心に、安全・安心を実感できるまちづくりを進めます。
 第五に、更なる行財政改革の推進です。平成28年度を初年度とする新たな行財政改革実施計画の骨子では、新基本計画を効果的・効率的に実現するため、「選択と集中」「スピード感・コスト意識」を重視した行政運営をめざすとしています。そこで、「施策・事業のゼロベースでの見直し」と新たな事業展開を進めるに当たっては、積極的に民間の発想を導入し、より効果的な成果が得られるように努めていきます。

平成28年度予算の主要な事業

 以上申し上げました区政運営の基本方針のもとに、平成28年度予算を編成したところですが、その中で、私が重点的に予算配分した主要事業について、新基本計画で掲げる予定の、「“夢”実現プロジェクト」に沿ってご説明します。
 まず、プロジェクト1の、「暮らし続けたいまち」の実現です。
その1点目は、子育て支援を充実させ、笑顔があふれるまちづくりです。私の公約でも重要な位置付けにある子育て支援ですが、まず、施設整備では、私立の認可保育所1か所、小規模保育所1か所を始め、さらに公募により3か所の保育所整備を支援するほか、亀沢保育園の改築に着手いたします。また、京成押上線高架下・京成曳舟駅近接に、キッズクライミングウォールなどの遊具を備えた(仮称)子ども未来館の設計に着手するとともに、学童クラブの待機児童の解消を図るため、錦糸地区に学童クラブ室を増設、さらに2つの学童クラブ室で定員を拡大します。ソフト面では、参加希望者が増えて抽選の状況となっている「パパのための出産準備クラス」事業について、休日を中心に大幅に回数を増やします。また、子どもショートステイ事業は現在の施設型方式に加えて協力家庭制度を導入し利用者ニーズに応えるほか、社会問題となっている児童虐待について実態調査を行い、新たな虐待リスクの分析をします。さらに、多子世帯の子育て応援のため、保育料負担軽減の実施をはじめ、第3子以降の小学校入学商品券の支給を開始します。そして、子どもの貧困の連鎖を断ち切るため、新たに専門のソーシャルワーカーの配置や、学習環境整備として通塾の経費を小学校4年生までに拡大、日本財団の子どもの未来応援パイロット事業を活用して、食事の提供も含めた子どもの居場所づくりに取り組みます。
 次に、知・徳・体の充実を図る教育施策ですが、吾嬬第二中学校の改築をはじめ、吾嬬立花中学校では実施設計や移築先校舎の解体を行います。また、学校施設非構造部材の耐震化やトイレの改修も計画的に進めていきます。学校ICT化の推進では、小学校全普通教室への電子黒板の設置や、横浜国立大学などの大学機関や民間企業との連携により相乗効果を高め、成果をあげていきます。さらには、旧鐘ヶ淵中学校跡地に(仮称)総合運動場等を整備するための基本・実施設計に着手します。学力向上「新すみだプラン」では、東京未来大学と「学習意欲の向上」について実践的研究を行います。また、国際社会で活躍する人材を育成することを目的とした中学生海外派遣を平成29年度から実施するため、事前調査を行います。その他、引き続き児童・生徒のいじめ防止対策を行うほか、特別支援教育については全校に特別支援教室を計画的に設置して、巡回指導を実施します。
 また、緑豊かな公園など子育てしやすい住環境づくりでは、ファミリー世帯の定住対策も含めた新住宅マスタープランの策定や、堤通公園の再整備、竪川遊歩道整備、業平小学校の壁面に「みどりのウォール」プロジェクトを実施します。

 暮らし続けたいまちの実現の2点目は、地域力日本一の住んでいて良かったまちづくりです。まず災害に強い安全・安心なまちづくりです。ハード面では、引き続き、燃えない・壊れないまちづくりをめざし、不燃化・耐震化の促進、木密地域不燃化10年プロジェクトの推進、京島地区・鐘ヶ淵周辺地区での優先整備路線を中心とした整備を進めます。また、平成28年度から5年間にわたり計画的に防災行政無線のデジタル化に着手します。ソフト面では、東京都や葛飾区との合同防災訓練や、障害者のための災害対応力の強化に取り組みます。一方で、危険な状態にある「老朽家屋」に対し除却費等の助成制度を開始するほか、空き家の実態を調査し、今後の対応策につなげます。
 次に安心して暮らし続けられるまちづくりです。京成押上線立体化事業は、側道整備をもって完了し、さらに京成曳舟駅前広場の設計、曳舟たから通りの整備を進めます。東京スカイツリー駅付近の立体化は、高架化の詳細設計と駅周辺のまちづくりを検討していきます。また、南辻橋の架け替えのための実施設計や、放置自転車対策として錦糸町駅南口に機械式地下自転車駐車場を整備するための調査、そして区役所通りにおいて自転車レーンの設置と歩道のバリアフリー化をするための測量や設計を行います。
 さらに、地域力を高めるコミュニティ形成とひとづくりです。本区の地域力を活かし、新しく住民となられた皆さんにも地域活動に積極的に参加していただく仕組みづくりとして、地域力育成の支援を行います。そして、ポイント制度構築を視野に入れながら、区民の皆さんにあいさつやマナーの習慣を広げ、健康とマナーのよいまちすみだを発信するヘルス&マナーコミュニティの推進を図ります。健康施策では、健康寿命延伸の取組として野菜摂取の促進やウォーキングの推奨を展開するとともに、がん検診等の専用コールセンターを設置し受診勧奨を強化します。

 次にプロジェクト2「働き続けたいまち」の実現です。まず、中小零細事業所の経営支援として、都立産業技術研究センターでの依頼試験等の利用助成を開始する一方、チャレンジ支援資金の融資あっせんやマル経融資への利子補助、そして地域内事業承継の支援についても引き続き実施します。新分野に区内企業が参入するための、販路開拓や人材育成の支援を開始するほか、行政と大学・産業支援機関、そして金融機関等が連携を強化し、区内事業者の事業の高付加価値化や資金面等を多面的に支援するための「(仮称)墨田区産学官金推進会議」を創設します。また、区内生産品等の海外販路拡大支援では、対象を企業単体でも可能とします。商業施策では、地域力を活かした新たな商業空間づくりの振興プランの策定や、観光客へのおもてなしを含めた商業インバウンド対策を推進します。
 女性が輝く施策の推進では、ワーク・ライフ・バランスに関して区内事業者を対象とした実態調査を実施し、今後の施策展開に活かすほか、就職前女性向け能力開発講座や再就職支援セミナーなど女性の活躍推進を強化します。若者や高齢者・障害者などの活躍推進策ですが、若者の雇用対策としては、引き続き若者人材育成発掘・就労サポートを推進し、また、生活困窮者に対しては就労準備支援など各種の自立支援を行います。高齢者施策では、平成28年度が初年度となる介護予防・日常生活支援総合事業を実施するほか、高齢者支援総合センターの機能強化として介護予防ケアマネジメント対応職員を配置するとともに、認知症対策として地域支援推進員も配置します。そして、障害者施策としては、障害者差別解消法の普及・啓発に全庁一丸となって取り組みます。

 プロジェクト3「訪れたいまち」の実現です。4月に竣工し、いよいよ11月22日にオープンする「すみだ北斎美術館」に関連する施策です。まず、本体整備とあわせて周辺整備についても遅滞なく着実に進めていきます。さらに、美術館開館を区全体で盛り上げるため、区民・事業者の皆さんと連携して、区内各所で様々なイベントを実施します。具体的には、「(仮称)北斎芸術祭」を開催し、多様な分野の芸術家と連携してアート活動を展開するとともに、北斎にゆかりのある名所を中心にまち歩きイベントを実施します。特に開館1か月前からはシティドレッシングを行いながら、「花と緑で『すみだ北斎美術館』」と題して巨大なフラワーアートを作成し、開館日までカウントダウン表示をするなど開館に向けての機運を盛り上げていきます。12月の障害者週間では、北斎をイメージした障害者によるアート作品を全国から公募し、「障害者未来アートプロジェクトinすみだ」を開催します。
 次に、観光とものづくりの融合施策では、地域ブランド戦略を引き続き推進し、大変人気となっている「すみだファクトリーめぐり」や、3M運動のPRを強化していきます。また、本区の魅力をさらに高めるため、地域特性を活かした積極的な水辺空間の活用について、これまで以上に取り組んでいきます。吾妻橋エリアでは、にぎわい創出をめざし(仮称)隅田川マルシェの開催やリバーサイドカフェの整備を行うとともに、両国エリアでは東京都が検討を進めている両国リバーセンター整備計画へ参画します。さらに北十間川・隅田公園観光回遊路の整備では、計画段階から設計へと進めていきます。
 4年後に近づいた東京オリンピック・パラリンピック大会に向けた施策については、機運醸成はもちろん区立学校におけるオリンピック・パラリンピック教育や、障害者の方も安心して本区の観光を楽しんでいただくための、ユニバーサルツーリズムも推進します。

 そして、これらの3つのプロジェクトを押し上げるシティプロモーション戦略を展開していきます。まず、墨田区への愛着、誇りを醸成するまちづくりですが、旧曳舟中学校・西吾嬬小学校跡地における大学誘致の推進については、校舎の解体に着手し、引き続き全力で誘致実現に努めます。また、新保健センターは、区中央部にある都有地に整備ができるよう、東京都に対し譲渡の交渉を進め、あわせて保健センターと複合する施設や整備の方針を検討します。そのほか、原動機付自転車のオリジナルナンバープレートの導入や、各種証明書のコンビニ交付を開始します。私が、これまで力を入れてきました戦略的情報発信をさらに充実し、区民の皆さんや中・高校生とのコラボレーションによる区報の制作や、本区の一押し事業をコンテスト形式でPRするなど、積極的に本区の魅力発信に力を注ぎます。

行政運営

 次に、行政運営について申し上げます。
 私は、これからの時代は、区政の各分野で、公民連携による「スピードと挑戦」が求められていると考えており、就任直後から職員に対し、スピード感と民間感覚を繰り返し求めてきました。
 先程も述べましたが、平成28年度は、新基本計画の初年度となるとともに、私自身が編成した初の予算となります。今後、新基本計画の素案や平成28年度予算については議会の皆さんにご審議いただくわけですが、私は、新基本計画の策定や、新年度予算を編成したことに職員が安堵し、漫然と予算を執行するだけでは十分な成果をあげることはできないと考えています。したがって、各所管、担当職員が、新基本計画については施策目標の達成や着実な事業年次の順守に努めるとともに、予算については速やかに準備行為に入り、4月から事業着手して、年度の後半には予算の成果が見えるようにしていきます。これは、私が職員に常々話しているスピード感の表れのひとつとなりますので、こうした行政運営の考え方を庁内で共有して、しっかりと取り組んでいきます。
 また、事業実施に当たっては、積極的に民間感覚を取り入れるようにします。この間、国家戦略特区や地方創生においても民の発想や知恵を入れて、規制を打破している事例が数多く見られます。行政の経験則だけではなく、積極的に民間の提案・意見に耳を傾け、事業実施や財政面においても、大きな効果が表れるよう進めていきます。
 次に、行財政改革についてです。
 これまで申し上げてきた区政の重要課題への取組には、これを裏打ちする区財政の基盤強化が必要不可欠です。今後とも真に必要な公共施設サービスを提供するために、「墨田区公共施設等総合管理計画」に基づき、第2次公共施設マネジメント実行計画案を3月までに策定し、推進していきます。そのうえで、平成28年度の予算編成に当たっては、27年度を最終年度とする行財政改革実施計画に基づき、15人の職員定数の削減をはじめ、東駒形及び梅若橋コミュニティ会館への指定管理者制度の導入、伊豆高原荘など5施設の廃止、さらには事務事業評価を踏まえた各種事務事業の見直しを反映させたものとしています。平成28年度は、次期行財政改革実施計画に基づき、スピード感や柔軟性といった民間感覚の視点から、業務改善推進プロジェクト等による事務事業の見直しや公会計制度の活用等を進め、内部努力の徹底と効果的・効率的な行政運営の一層の推進を図ります。

平成28年度の財政運営

 続きまして、平成28年度の財政運営について申し上げます。
 まず、歳入面ですが、納税義務者数の増や所得の伸びにより、特別区税は約4億円、前年度比1.7%の増を見込んでいます。また、本区の歳入の中で最も高い構成比を示す特別区交付金につきましては、東京都が示したフレームと同様、前年度比0.1%増と見込みました。
 次に、歳出面ですが、人件費については退職手当の減等から約4億円、2.2%の減、また扶助費については生活保護費が減少したものの、私立保育園の定員拡大による保育委託費の増等によって約1億円、0.2%の増、公債費は約2億円、5.4%の減となり、義務的経費全体では前年度比約6億円、1.0%の減となっています。
 また、投資的経費については、京成曳舟駅前東第三地区再開発事業やタワービュー通り景観整備事業の終了等により前年度比約2億円、1.5%の減となっています。
 このように、平成28年度につきましても、新基本計画事業の着実な推進等を図ることから、後年度の財政運営も考慮しつつ、基金の取り崩しは前年度比約2億円減の10億円、区債につきましては対前年度同額の約33億円を活用したところです。
 以上、取りまとめました平成28年度予算の各会計の予算規模ですが、一般会計が1,103億8,700万円で前年度と対比して0.6%の増、国民健康保険特別会計が337億1,700万円で0.9%の減、介護保険特別会計が191億8,000万円で5.8%の増、後期高齢者医療特別会計が50億6,700万円で0.9%の増となっています。これらをあわせた予算総額は、1,683億5,100万円で、対前年度比14億6,200万円、率にして0.9%の増となっています。

むすびに

 以上、申し述べてまいりましたが、平成28年度予算の編成を通じて、私は、急激に変化する社会環境の中にあって、区民の皆さんが求めている行政ニーズが極めて多様化・高度化していることを実感しました。したがって、この予算をしっかりと執行し、区民の皆さんに行政が信頼され、区政に満足していただけるよう、私自身が先頭に立って、全庁一丸、チームワークよく全力で取り組み、この墨田区が夢と希望にあふれ、どこよりも素敵で魅力的な、地域力日本一のまちとなることをめざします。
 そのためには、夢実現プロジェクトの根底に流れる「ひとづくり」をキーワードにした戦略的な庁内体制の構築と対外的な情報発信をシティプロモーションとして展開します。地域を担う「ひと」が互いに尊重してつながり、変化をおそれず行動し、挑戦し続けることで、地域のポテンシャルが高まり、多くの区民が地域に愛着を持てるよう、推進していきます。
 結びに、区議会の皆さんにおかれましては、今回ご提案申し上げています各議案につきまして、それぞれ適切なるご決定を賜るようお願い申し上げまして、私の平成28年度予算編成の基本的な考え方の説明とさせていただきます。
  ご清聴、誠にありがとうございました。


(注)本文は、口述筆記ではありません。表現等について、若干の変更のある部分があり得ますので、ご了承願います。

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