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更新日:2016年12月2日
平成25年度は、以下の特集展示等を開催しました。
特集展示「国策紙芝居とすみだ」
展示概要
大正時代の終わり頃、日本で誕生したといわれる紙芝居は、当初、街頭で演じられ、子どもたちに絶大な人気を博しました。一方で昭和初期には、キリスト教宣教や幼児・児童教育の分野で教育的な印刷紙芝居が登場します。印刷紙芝居は、当時の政策をわかりやすく伝えるために、成人向けにも制作され、隣組の常会や職場、学校などで演じられました。
近年、区内で、昭和16年から19年に制作された約20点の紙芝居と、上演記録の一部とみられる資料が見つかりました。これらの紙芝居は、太平洋戦争末期、墨田区域の工場や商店で、地元の交番に勤務していた警察官により演じられていたものと思われます。
本展示では、発見された紙芝居を初公開し、日本独自のメディアである紙芝居が地域に与えた影響について考えました。
開催期間
平成25年5月3日(金曜日)から8月25日(日曜日)まで
特集展示「梅若伝説と木母寺」
展示概要
墨田区堤通に所在する木母寺は、公家の子・梅若丸とその母・花御前にまつわる悲劇をテーマにした梅若伝説の舞台として知られています。梅若伝説は、地域の伝説にとどまらず、室町時代の謡曲「隅田川」に始まり、江戸時代には浄瑠璃や歌舞伎の題材に採り上げられて「隅田川物」と呼ばれる芸能の一ジャンルにまで発展し、日本全国に広く知られるようになりました。その影響で木母寺には都の公家・将軍家から庶民に至るまで幅広い参詣者が訪れるようになり、隅田川流域に賑わいをもたらす大きなきっかけとなりました。
本展示では、「隅田川物」に関わる当館収蔵の浮世絵のほか、木母寺が所蔵する絵巻「梅若権現御縁起」(墨田区指定有形文化財)、「近衛信尹墨跡」(二幅・墨田区登録有形文化財)などを展示し、隅田川流域の文化的な成熟をもたらす大きな契機となった、木母寺と梅若伝説の歴史的役割について紹介しました。
開催期間
平成25年9月14日(土曜日)から12月1日(日曜日)まで
特別公開「隅田川御殿之図」
展示概要
江戸時代、木母寺境内に存在した徳川将軍家の御殿を描いた絵図、「隅田川御殿之図」、「隅田川御殿御指図」が新たに発見され、特集展示「梅若伝説と木母寺」のなかで、特別公開しました。
「隅田川御殿之図」は、明治期以降に透写された複製資料が知られており、江戸時代の隅田川と将軍家との関わりや墨堤の桜の植樹の歴史を探る貴重な資料として従来から注目されていました。今回、隅田村の名主・坂田家が作成したと伝えられる原図の存在が確認されました。この原図には、複製資料にはなかった、御殿内への将軍の入口「御籠臺(おかごだい)」や随行者の詰め所など、詳細な記載があります。
一方、「隅田川御殿御指図」は、5代将軍綱吉が木母寺に来訪する際に同寺に併設された「隅田川御殿」の詳細な設計図です。将軍の部屋には「鏡天井」、お供の部屋には「杉板天井」といった仕様まで詳細な指示が記載されています。また、将軍を乗せた舟が到着する「御上り場」、「御籠臺」、室内に着座する「御上段」などが記載されており、絵図の配置から、将軍の細かな動線までもが推測できます。
これら2枚の原図が見つかったことで、「隅田川御殿之図」に描かれた御殿と木母寺の絵図は、「隅田川御殿御指図」をもとに描かれたことが判明し、「隅田川御殿之図」の作成過程や「隅田川御殿」の詳細が、ほぼ解明されました。
開催期間
平成25年10月23日(水曜日)から12月1日(日曜日)まで
伝統工芸展「すみだ粋の世界」
展示概要
墨田区には近世以前からの工芸技術を継承する職人さんたちが多く活躍しています。それは、近世期に江戸を代表する繁華街の一つであり、経済活動の拠点でもあった浅草に近接していることや、隅田川をはじめ北十間川や大横川などが流れ、物流に有利であったこと、さらに水が豊富に使用できたことなど、すみだの地域特有の事情と無関係ではありません。
本展示では、区内で活動を続けてきた職人の方々の作品と技術を紹介しました。
開催期間
平成25年11月30日(土曜日)から平成26年1月19日(日曜日)まで
特集展示「忠臣蔵」
展示概要
元禄15年(1702)12月14日、本所松坂町にある吉良上野介義央邸に大石内蔵助良雄が率いる赤穂浪士47士が討ち入りました。前年9月、吉良邸が江戸城近くの呉服橋内から本所松坂町に移されていたことから、本所がこの歴史的事件の舞台になりました。
47士の亡き主君浅野内匠頭長矩への忠義は世間の同情を集め、江戸時代を通じて著名な『仮名手本忠臣蔵』などの文芸作品として繰り返し人口に膾炙し、忠臣蔵のストーリーを知らない人は江戸時代にはほとんどいなかったでしょう。当初は幕府の政道批判となることを恐れて、大星由良之助といった架空の人物と時代設定で流布していましたが、幕末になると「義士」と銘打って実名や実際の情報を載せた浮世絵が板行されています。元治元年(1864)、三代豊国最晩年の作品である『誠忠義士伝』は、その系統の作品で、そこには47士すべてが網羅されています。
本展示では、実際の義士や『忠臣蔵』を扱った浮世絵を中心に、展示を行いました。
開催期間
平成25年12月14日(土曜日)から平成26年3月2日(日曜日)まで
特集展示「資料館で雛まつり」
展示概要
当館には、区民の方や墨田区にゆかりの方からご寄贈・ご寄託いただいた雛人形が所蔵されています。どの雛人形も、女の子の誕生を祝い、成長を願って、各家で大切に飾られ、代々伝えられてきました。
墨田区は関東大震災、東京空襲、度重なる水害等で戦前の資料の多くが散逸してしまいましたので、特に大正時代以前の雛人形たちは各時代に墨田区域でどのような文化が育まれていたかを断片的に示す貴重な資料でもあります。毎年、ひな祭りの時期に合わせ墨田区にとって、歴史的にも美術的にも価値の高いこれらの雛人形を紹介しています。
開催期間
平成26年2月1日(土曜日)から4月13日(日曜日)まで
特集展示「すみだの名所 水辺の風景」
展示概要
本展示では、当館が所蔵する江戸から明治時代にかけての浮世絵や絵巻を通じ、多くの人々を魅了してきた水辺の風景を紹介しました。
開催期間
平成26年3月15日(土曜日)から5月11日(日曜日)まで
常設展示
常設展示「隅田川レガッタ」
かつての大学対抗戦等で使用されたオールや、艇庫の模型など、隅田川レガッタに関する資料を展示しました。
- 開催期間:平成25年4月13日(土曜日)から7月28日(日曜日)まで
常設展示「東京空襲体験画」
当館が収集した、東京空襲の体験者が自らの体験を描いた絵画を展示しました。
- 開催期間:平成25年8月3日(土曜日)から平成26年4月6日(日曜日)まで
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このページはすみだ郷土文化資料館が担当しています。