ページID:961969661
更新日:2022年2月25日
本年度実施した事業をご報告します。
男女共同参画推進のための意見交換会
区長の附属機関である墨田区男女共同参画推進委員会の委員の企画により、様々なテーマで毎年意見交換会を行っています。
今年は、全ての人の人権に関わる性的指向・性自認である「多様な性」について、下記のとおり参加者と推進委員が学び合いました。
実施日時
令和3年11月20日(土曜日) 午後2時から午後4時まで
会場
墨田区役所13階 131会議室
参加者数
32人
テーマ ”多様な性のあり方”について考える
意見交換会の様子
基調講演
講師 フリーアナウンサー 須田 哲夫 氏
講師 レインボーすみだ代表 古野 ひとみ 氏
須田哲夫講師
古野ひとみ講師
須田 哲夫 講師
そもそも人は多様な存在
今回のテーマは、人間としての尺度がテーマで、尺度を決めつけてはいけないというテーマだと思う。日本は島国のため、話し合わないでもわかっているつもりになりがちだと思う。
全員が違うということに、気づいていない人が多いかもしれない。それが、多数派にとっては、居心地の良さにもなってしまっているようにも思う。
「相手も自分と同じでなければならない」という思い込みが、隣人トラブルなどに発展してしまうのではないだろうか。違うことを前提にした方が、豊かになれるのではないかと思っている。
LGBTQのみならず、相手を理解するということは、自分の知らない世界で育ってきていること、知らない癖であったり、知らないキャラクター、知らない性であったりする。それらは、わからないことですが、わからなくてもいいと思います。「相手を理解する」ではなくて、「相手を理解しようとする」ことが大切だと思う。そのように、ずっと、努力し続けないと、なかなか変わっていかないと思う。相当な努力や相当な啓発が必要だと思う。
古野 ひとみ 講師
性的指向・性自認は、すべての人にかかわる人権
多様な性とは、私たち全員が持っている性的指向・性自認・性別表現に関すること。そして、アライ(ally)とは、性的指向・性自認に関する理解を深め、性的少数者に対する偏見をなくすための行動を起こす人のこと。勿論、全てを理解していなくても、理解しようとする気持ちを持っている、偏見を無くしていこうという人もアライだとう思う。
性には、性的指向(恋愛・性愛のあり方)・性自認(自分が認識する自分自身の性)・性別表現(言葉遣いや服装などで表現する性)、そして、からだの性がある。
多様な性を考える時、性的少数者の話だけをされることが多いが、性的多数者にも、性的指向はヘテロセクシュアル(異性愛者)、性自認はシスジェンダー(からだの性と自認する性が一致している)という名前がある。シスジェンダーかつヘテロセクシュアルの方が圧倒的に多いことで、それが当たり前と思われているが、それは当たり前ではなく、正しさでもなく、単に人数が多いということ。
自分にとっての当たり前を、周囲の人達にも押し付けていないだろうか。もしかしたら、自分がそのような言動を発していないかということに、気づいてもらえたらと願っている。
資料1提供:レインボーすみだ
資料2提供:レインボーすみだ
質疑応答
Q 子ども達にどのように理解してもらえばよいのでしょうか
差別用語である「ホモ」「おかま」などといった言葉が使われた時は、聞き流さず、その言葉が、人を傷つける絶対言ってはいけない差別用語であることを、その場その場で伝えていかなくてはいけないと思う。過去には、性的少数者を揶揄してもよいような風潮が社会全体にあったが、そのことが誤りであったという認識を持ってほしい。特に、上司、先輩、先生、親という立場にいる人は、その場の環境に影響を持っているので、特に意識を持ってほしい。(古野講師)
Q シニア世代の理解を深めるためには
ジェンダーだけではないが、差別はまだあるということを意識し続け、教育はじめ、さまざま取り組むべきと思う。自覚しなければいけないシニア層もたくさんいると思う。(須田講師)
Q カミングアウトされたらどうすればいいのでしょう
まずはカミングアウトされる人になってほしい。カミングアウトをされることは、信頼されていたり助けを求められていたり何かしらの理由があり、とても大切なこと。カミングアウトされたならば次はこの手順でということではなく、信頼関係の上に、本人に確認しながら、進めてほしい。(古野講師)
私のまわりはかなり多様だった。カミングアウトしている人、何も言わない人、さまざまだった。当事者の方が、堂々と言える世の中になると、誰もが、お互いに、もっと住みやすくなるだろうと思う。(須田講師)
Q パートナーシップ制度について
墨田区もパートナーシップ制度の導入を、検討しているらしく、レインボーすみだにも、ヒアリングの協力依頼があった。
パートナーシップ制度は、法的な効力はないが、「区が、同性パートナーのカップルの方々も住み良いまちにしていきますよ」という発信力がある。特に、子どものために、導入してほしい。何故なら、生きづらさをたった一人で抱え込んでいる子ども達に、とても大きなメッセージとなり、「自分は、自分のままでこのまちで生きていいんだ。」という希望に繋がるからだ。(古野講師)
Q 良きアライになるために何を学ぶべきか
性的少数者がアライだなと思っている方々の多くは、たぶん、ご自身のことを、アライだなんて思っていないと思う。それどころか「アライ」という言葉も知らないと思う。「アライであるために、この知識を知らなければいけない」や、「自分が発する言葉で何か傷つけてしまうのなら自分はしゃべらないようにする」と言われる方もいらっしゃるが、謙遜や恐縮されたりする必要はないと思う。
性的少数者も、知らないうちに何かしらの差別的な発言をしてしまうことがあるかもしれない。1つ1つ確認し、人権意識をアップデートしながら学び続け、日常生活の中で、考えていくことが大切だと思っている。そして、自分も多様な性の一員なんだなと自覚し、目の前にいる人は、どういう性的指向・性自認であってもいいよねと、そういう姿勢を持つことがこれからの第一歩になると思っている。(古野講師)
Q 最後に、古野さん、須田さん、一言ずつお願いします
貴重な機会に感謝している。
アライという言葉やLGBTQという枠組が必要のない時代が早くきてくれることを願いながら、子どもの命を、笑顔を、しっかり守っていきたいと思っている。今後もいろいろなところで、レインボーすみだの活動を通してご協力ができることがあればと思っているし、ご協力いただければと願っている。(古野講師)
お世辞ではなく、憧れの墨田区に来られて嬉しい。墨田区は、まず住みやすいし、居心地がいいと感じている。いろんな条件がそろっていることを、いろいろな方面から聞く。でも、こんなに進んでいるまちなんだということを、古野さんのお話を伺い、そして皆さんのしっかり勉強しようとする姿勢を拝見して痛感した。交通の便がいいだけではなくて、人情だけではなくて、東京のリーダーになるのではないかと感じた。今後ともよろしくお願いします。(須田講師)
参加者からの感想
- LGBTQという言葉しか知らなかったので、意味を深く知ることができよかった。
- まずは自分の子どもに色々伝えていきたいと思った。人はみんな多様でいいんだという思いを改めて感じた。
- 須田氏の人を引きつける話し方、立ち振る舞い等が勉強になった。古野氏からアライとして自分がどう歩んでいくべきかを教わった。
- 新たにシスジェンダー、ヘテロセクシャルを知れたことが良かった。
- 須田さんの話がテーマに対して重くならず楽しめた。
- 多様な性について大変勉強になった。
- 自分の学生時代は学ばなかったことなので、とても勉強になった。
- 全く初めての話題なのでこれから理解をしたい。
- 廻りにいるLGBTQとHCの人に正確な話として伝えたいと思った。
- 是非墨田区に同姓パートナーシップが成立することを応援したい。
- 自身がカミングアウトされるような人になれるように周囲にアンテナを張って生活していこうと思った。
- 子育ての中で男の子だから女の子だからではない接し方が大切
- 子どもを相手にする仕事なので気を付けて言葉を選びたい。
- 経験がないのでわからないが、よきアライになるようにしたい。
男女共同参画推進委員との協働で開催されました
お問い合わせ
このページは人権同和・男女共同参画課が担当しています。