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令和6年度事業

ページID:480121911

更新日:2024年12月17日

本年度実施した事業をご報告します。

男女共同参画推進のための意見交換会

 区長の附属機関である墨田区男女共同参画推進委員会の委員の企画により、様々なテーマで毎年意見交換会を行っています。
 今年は、野球部監督もなさっている男性家庭科教諭の講師にお話しを伺い、家庭科教育の変遷や固定的性別役割分担意識について、参加者と推進委員が学び合いました。

実施日時

令和6年11月16日(土曜日)午後2時から4時まで

会場

すみだ共生社会推進センター ホール

参加者数

12人

    テーマ

    人生100年時代 シニアライフでも充実した毎日を送るために知っておきたいこと


    意見交換会の様子

    講演

    講師 神奈川県立横浜清陵高等学校 家庭科教諭・野球部監督 野原 慎太郎氏


    野原講師

    講演概要

    1 授業『おんなとおとこの境界線』

    通常授業の導入部分の体験

    ペアを作り皆で学ぶスタイル

    「女性」「男性」のイメージについて

    ジェンダーに関する固定観念を可視化

    (女性100%← どちらともいえない →男性100%)

    性差に関する考察

    生物学的な性差と社会的に構築された性別規範(ジェンダー)の区別

    職業における性別イメージ

    講師自身も紹介のされ方は、おそらく男性家庭科教師

    ジェンダーバイアスの概念と具体例

    男性の参加者の方で男は泣いてはいけないと言われた人は?→ほぼ全員
    なぜ泣いてはいけないか論理的に万人が納得する説明ができるか。
    料理は女性で料理人は男性のイメージ。この矛盾は何だろう。

    2 わたしと家庭科

    • 小学校の自由研究は料理だった。皆さんがイメージしている家庭科には比較的肯定的で好きだったという思い出はある。
    • 高校時代は寮生活で、男だけで坊主が50人くらいいて、弱音を吐いたらばかにされるし強くあるのが正しいと思っていた3年間を過ごした。共修の時代だったが、今考えると家庭科の授業を受けていない。
    大学での家庭科専攻の選択理由

    正解が一つではない学びの面白さ

    日常生活や人生の選択に直結する学習内容

    男性家庭科教師としての経験
    少数派としての立場(当時1000人に1人)
    今は神奈川や東京では増えてきているが、地方はまだ0の都道府県もある。
    生徒の初回の驚き
    教室に入ると、まず開けた瞬間に生徒から「教室間違っています」と言われる。2回目からは順応して楽しく授業ができる。
    家庭科教育の意義

    多様な価値観や生き方を考える機会の提供

    日常生活や将来の選択に関わる実践的な学び

    3 家庭科の歴史と現在

    • 家庭科の歴史的背景について 元々「家事裁縫科」として始まった家庭科は、戦後一時期男女共修となったが、1963年頃から女子のみの必修科目となった。その後、1985年の女子差別撤廃条約への批准を機に、再び男女共修へと移行した。
    • 現在の家庭科カリキュラムは、大きく3つの分野(家族・人生、衣食住、お金・環境)で構成されている。
    • 受験科目ではないという理由から授業時間が減少傾向にある。
    • 今までの教育経験から、家事スキルに関して大きな男女差は見られず、むしろ個人差や経験の差が重要である。

    4 高校生の人生観・家庭観

    • 高校生の意識調査結果について、結婚や子育てに対する考え方が15年前と比較して大きく変化している。具体的には、結婚を望まない生徒の増加、子育てに対するネガティブなイメージの増加、専業主婦を選択する傾向の継続、0歳児からの保育園入園に対する否定的な意見の多さなどが挙げられる。
    • 家庭科は社会の変化に敏感に反応する教科であり、常に時代に即した教育内容を提供することが重要である。

    質疑応答

    Q1 高校生のジェンダーバイアスの原因は何だと思うか?

    A1 メディアの影響が大きいと考えられる。特に子供向けの国民的アニメなどで描かれる家族像が、実際の社会の実態とは乖離していることが多い。例えば、アニメでは専業主婦の母親や三世代同居の家族が多く描かれるが、現実の日本社会ではそうした家族形態はむしろ少数派だ。

    Q2 家族の多様性について、高校生の認識はどうか?

    A2 最近は多様な家族形態があることを理解する生徒が増えている。授業で様々な家族の形を学ぶことで、自分の家族構成を隠さずに話せるようになる生徒もいる。ただし、多様な家族が最近増えたのではなく、昔から多様だったという認識が重要だ。

    Q3 野球部の女子マネージャーについて、どのような考えをお持ちか?

    A3 従来の「女子マネージャー」の役割には疑問を感じている。選手の身の回りの世話をするのではなく、本来のマネジメント業務を担当すべきだと考えている。野球部では、野球が好きで、ルールを理解し、リーダーシップを発揮できる生徒をマネージャーとして採用している。

    Q4 ジェンダーに関する授業を通じて、生徒にどのような変化が見られるか?

    A4 授業をきっかけに家庭科教員や福祉関係の仕事を目指す生徒が出てくるなど、進路選択に影響を与えることがある。一方で、授業では理解を示しても、日常生活では無意識にジェンダーバイアスを持つ場面もあり、授業だけでは完全に意識を変えることは難しいと感じている。

    Q5 学校でのLGBTQへの対応はどうなっているか?

    A5 まだ十分な対応ができているとは言えない。トランスジェンダーの生徒への対応など、その場その場で考えている状況だ。今後、こうした生徒がいることを前提とした対応が必要になると考えている。

    参加者からの感想

    • ジェンダーレス社会において今後の社会はどのような事を教えていけばよいか参考になりました。
    • 家庭科教育の変化を知ることができた。
    • 高校生の考えかたがすこしわかったような。
    • もっと長く聴いて、学びたいと思いました。
    • 親への家庭科授業、すべての高校・中学・小学でもしてほしいです。
    • 現代のあたらしい男女観、家庭観を学べました。
    • 今の高校生の家族観や性に関する意識をリアルに知ることができて、大変興味深かった。
    • あたりまえのことがあたりまえでないとあたらめて感じました。
    • “今の生徒”の生の声を知ることができました。
    • 家庭科教育の変遷を知ることによって、男女の役割観が、実は固定した民族の思想ではなく、単に国の指導の方針によるものだということを学べました。
    • 自分自身の固定観念やジェンダーバイアスに気づかされることが多かった。
    • 生徒へのアプローチを通して気付きのプロセスを教えていただきました。
    • 課題を深く掘り下げることができました。
    • 今迄以上に用語や言葉遣いを意識して気をつけようと思いました。
    • 介護の意識の変化になると思いました。
    • 子どもも大人も自分らしく生きられるということを、現役の先生が生徒に伝える取り組みを地域で見習いたいです。
    • とても多くの学びがありました。もっと多くの“大人”に聴いてもらってアップデートしてほしいです。大学受験には出なくてもシニアライフに必須な“大切なこと”だと思います。

    終了後に野原講師からコメントをいただきましたので、掲載いたします。

    私も最近年相応に高校生に対して感じますが、人が歳を重ねていくごとに「最近の時代の変化についていけない」といった思いを持つのは当たり前のことであり、何もおかしなことではないと思います。

    それぞれの世代が、自分の時代に「正しい」とされて受けてきた教育があるからです。その事実を家庭科教育の揺れ動く歴史から実感していただけたならば、今回の会に少しは意味があったのかなと思っています。

    これは何もジェンダーに限ったことではありません。私のもう一つのフィールド、運動部活動の世界も同じです。健康科学や人権の観点から、「水を飲むな」から「水を飲みなさい」、「体罰が当たり前」から「体罰は厳禁」、現在は暴言への指摘が厳しくなっています。そんな中、自分の当たり前を変えられなかった教員が現場から退場させられていった悲しい現実を目の当たりにしたのも、一人や二人ではありません。

    学校という現場にいて、時代の変化ということに関して、「こう考えてしまったらおしまい」と確信を持っていえることがあります。それは、上の世代の人が「最近の若い世代は理解できない」と遮断してしまうこと。下の世代の人が「上の世代は古い」と一蹴することです。互いが思考を停止してしまえば、世代は分断されてしまい同じ職場や同じコミュニティをつくることは難しくなってくるでしょう。

    大切なことは、上の世代は下の世代のことを、下の世代は上の世代のことを、理解しようとすることだと思います。理解し合うことは不可能ですが、しようとすることが大切だと考えます。

    日曜日にわざわざこのような会に参加される方々は、きっとそういう資質をお持ちのみなさまなのだと尊敬いたします。この度は拙い話で申し訳ありませんでした。また機会がありましたら、今後ともよろしくお願いいたします。

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