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令和4年度事業

ページID:552997160

更新日:2023年1月11日

本年度実施した事業をご報告します。

男女共同参画推進のための意見交換会

 区長の附属機関である墨田区男女共同参画推進委員会の委員の企画により、様々なテーマで毎年意見交換会を行っています。
 今年は、昨年に引き続き、全ての人の人権に関わる性的指向・性自認である「多様な性」について、下記のとおり参加者と推進委員が学び合いました。

実施日時

令和4年11月19日(土曜日)午前10時から正午まで

会場

墨田区役所12階 121会議室

参加者数

24人

テーマ  すみだの地域性と多様な性”親の願いとともに”


意見交換会の様子

講演

 講師 NPO法人あなたのSOGIE(ソジー)理事長 古野 ひとみ 氏
 ゲストスピーカー 古野 昌子 氏

古野ひとみ講師写真
古野ひとみ講師

多様な性を構成する人はどこかの誰かではなく「私たち全員が当事者」

 全員が、性を持っている。そして、からだの性、性的指向、性自認、性表現(性別表現ともいわれる)の4つの軸をもとに一人の人の性は成り立っている。
 性的指向や性自認とは何かということを自分事として考えていくことが大切である。
 私たち全員が多様な性を構成する当事者という観点を皆で持ちたい。

【からだの性】
 からだの発達の仕方は、一人ひとり全員が違う。「男性はみんな〇〇、女性はみんな〇〇」と括るのではなく、男性のからだも「様々な発達」があり、女性のからだも「様々な発達」があるという知識が大切である。私の場合は、子宮に先天性の奇形がある。多くの人が「女性のからだ=妊娠や出産が当たり前にできる」という固定観念を持っていると思うが、私のからだの発達は、それにはあてはまらない。

性自認
資料1提供:レインボーすみだ

【性自認】
 多くの人がCのシスジェンダーで、当たり前すぎてC(シスジェンダー)に属すると考えられる人は、セクシャリティについて意識すらしない。
 からだの性と自分の認識している性に違和感があるというのが、トランスジェンダーで、LGBTQのTに当たる。
 からだの性に違和感があればT、なければCだけでなく、この間にも揺らぎがあり、X(エックスジェンダー)やQ(クエスチョニング)もある。
 生まれたときに割り当てられた性が女性で性別適合手術を受けて男性として生きていく方もいる。それで、ものすごく幸せに生きている方もいる。そして、少ないながら後悔している方もいる。あるエックスジェンダーは、実際に戸籍上の性別を女性から男性に変え、男性として生き始めた後で、「どうやら違う、男性ではなかった。自分の性自認が女性でないなら男性かと思っていたが違った。」と気付き、もう一度胸の再建手術をして全身脱毛をしてまた女性として生活をしている方もいる。それくらい本当に難しいところ。「自分は少なくても女性ではないけれども、その答え合わせが男性として生きていくこととは限らない」という意味でXジェンダーという言葉はとても大事だと思う。
 「体の性が女性だけれども男性になりたがっている」というような表現をされる方がいるが、そもそもその性的少数者の方は望まない性別で生きることを強いられているという観点が大切だと思う。好き勝手に○○したいというのではなく、そもそも望んでいない性別を強いられている。

「望む性別で生きられない」ではなく「望まない性別で生きることを強いられている」という観点

【性別表現】
 「男子なのに」「女子のくせに」などは、よく、まくら言葉のように使われているが、自然に自分らしくしているだけなのに、周りからそのように言われ、違和感がある方もいると思う。
 中学校で「家庭」と「技術」を性別に関係なく学ぶようになったのは、1993年でやっと30年ほど前から。それまでは、女性らしく、男性らしくというのが、子どもにふさわしい教育として正しいものとして教えられていた。

性的指向
資料2提供:レインボーすみだ

【性的指向】
 恋愛感情が誰に向かっているかという前提ではなく、恋愛感情があるかないか、あるのであれば、放射状のどこを向くか。
 たまたま同性に向けば右側、異性に向けば左側のH(ヘテロセクシャル)で、多くの方がHに属するだけでそれ以外も当然ある。
 真ん中のないというのは、否定のA(ア)、アセクシュアルとかアロマンティックなどという。

・2017年に三重県男女共同参画センターが実施した約1万人の全日制の高校二年生対象の調査で、自分は性的少数者であると約10%が回答した。私どものNPOで、今までで7,565人の中学生高校生を対象に独自調査を実施しており、自分の性について悩んでいる生徒のうち、約40%が性的少数者であった。問題は、その悩んでいる生徒に相談先を尋ねたところ、1位が 「誰もいない」で、7割近い人数だった。2位に「友人」、3位は「その他」、「その他」というのは電話相談やSNS、4位に「先生」、5位が「家族や親戚」であった。悩みを持っていてもほとんどの生徒が1人だけで抱えているという状態。ただ、2位の友人は、この調査を取り始めてまだ7年くらいで、7年前は友人が6%くらいしかなかったのだが、今は20%近くに上がってきている。それくらい子どもたちの中ではLGBTQという言葉が浸透しているし、理解も進んでいる。

・昌子氏(ま)へひとみ氏(ひ)から質問
ひ)カミングアウトという言葉は、知っていたか?いつ知ったか?
ま)最近まで知らなかった。娘のパートナーからカミングアウトされるまでは、他人事だった。
ひ)アライを自分なりの言葉で表現すると?
ま)LGBTQの応援団
ひ)福岡に伝統的なお祭りがあるが。
ま)博多の梅雨明けの男の祭り。
  男の人が祭りに行くのを、女性だけでなく家族は全部応援する。
ひ)割り当てられた性別が女性で性自認が男性で、男性として生活をしている人が、お祭りで神輿を担ぎたいって言ったらどう思う?
ま)どう答えていいかわからない。難しい。
ひ)墨田区の私の近所でもこの間お祭りがあって、男女で役割がはっきりしているところが結構あった。
 そこは福岡の祭りとそっくりだと思った。これから多様な性のあり方を墨田区でも広めていくと思うが、男性として生活をしている方が男性として出たいというときに、体は女性だろうということで、そこがネックになってくると思う。からだの性がイコールその人の性として決められるところがものすごく多いので、男性女性で役割が大きく分かれると、その人の性別を周りが決めてしまうところが出てきてしまう。そのときに、前例がないから難しいとなってくると思う。これは今この場で答えを出すことは、難しいが、これからの課題として、1つ1つまずは、話を聞いて、確認をして、そこから答えを育んでいくという姿勢がとても大事だと思っている。

前例がないからではなく、「今から、ここから」という観点

ひ)地域のあり方として親としての願いについて
ま)こういうセミナーを開いて、1人でも多くの人に知ってもらうのが一番良い。
  相手がわかるかわからないかに関係なく広めていく。

家庭や地域での孤立をなくす、そして生まないために、まずは知ることから

ひ)年齢に関係なく、気付いたその時に変わっていく、人権というのは一生かけて学び続けていくものだと日々痛感している。

質疑応答

Q 性的少数者は勇気を出して積極的にカミングアウトすべきだと考えるか?
  例えば、親しい友人が性自認でゆらぎに気付いたときに、その点をストレートに尋ねるということはタブーか?
 積極的にカミングアウトする必要はまったくなく、むしろ、カミングアウトしなくても安心できる環境が大切。
 身近な人でも、例えば年収とか体重とかあまり聞かないように、それと同じような理由と考えていただいて、何か必要な時に相手が言えるような環境をつくる。
 唐突に聞くのではなく、話の流れで、もしかしたらであれば聞きたいのだけどなど一言断りを入れて空気を読んだ上で、例えば、多様な性のあり方ってあるけれども聞きづらいことってあるよね、その聞きづらさを解消したいから、もしあなたの知っていることがあったら教えてとか、ダイレクトに聞かないということが大事かなと思う。

Q カミングアウトしたときにどういう風な反応をしてもらったらいいか?これはしないでほしいなどがあれば。
 あえて言うとしたら、カミングアウトを受けたときに、その人の了承を得ずに、良かれと思って、例えば、Aさんからカミングアウトを受けて、そのことを知らない人にAさん同性愛の方だから配慮をお願いねとかいうことはしないでほしい。

Q 墨田区は閉鎖的だと思うときはあるか?
 私の身の周りでは全くない。ただ、墨田区に限らず、家庭や地域という閉鎖的になりやすい環境は、LGBTQ当事者の子どもを取り巻く環境として、まだ、改善されていないというのが現状だと思う。例えば、小学校の先生から、子どもに多様な性を伝えようとすると、親御さんの世代からストップがかかるという相談を複数受けたことがある。

Q 小学生、中学生、高校生で分けると、一番手を差し伸べるべき世代は、中学生が一番適当と思っているか?小学生はちょっと早いとか。どういう風に思っているか?
 早すぎることはないと思っている。ある程度性教育についての知識が伴っているからということで、中学校・高校から講師として呼ばれることがある。相談を受けるのは、幼稚園、保育所、小学校の先生からがとても多い。未就学の時からしっかりと、できれば家庭の中や地域の中で、多様な性のあり方を、色々なところで、子どもに知ってもらうというか、それは当たり前だよということを発達段階に応じた伝え方で発信していかないといけないと現場を見ていて痛感する。

Q アセクシャル・アロマンティックをテーマにした講座・講演会が増えてきていると思うし、調査結果としても多いということがわかったが、当事者の人はどのような悩みを抱えているのか、活動されている中で、そういった話を聞いたことがあったら、教えていただきたい。
 さきほどの性的指向のところに入ってくると思う。私の友人にもいる。アセクシャルは性的な欲求を誰にも感じない状態。アロマンティックは恋愛キュンキュンのようなそれを全く感じない状態。キュンというのを感じたことがないので、話に全くついていけない。逆にどうしてわからないのか聞かれたりする。
 それだけ性愛や恋愛の感情を抱くことが当たり前のこととして認識されているのだと思う。恋愛感情は、皆同じような温度ではないということが大事かと思う。

Q 最後に一言
ま)今日は本当にたくさん来ていただいてありがとうございます。
 こういうセミナーが色々なところで行われ、1人でも多くの方が参加してくださることを望みます。

参加者からの感想

  • 性別に捉われないことが大切。
  • 私自身の偏見をなくし、子供たちにも正しい情報を伝えて差別しない様にさせたい。
  • 差別をしない。
  • 大きなことではなく、日々の物事の感じ方の中で変わっていければ、それが少しずつ社会に浸透していければよいと思う。
  • 自分事として考えていくことの動機付けができた。
  • 身近な人から相談してもらえるような存在になっていきたいし、応援していきたい。
  • 今回のセミナーで学べた事は今後の人との関わりに生かしていきたいと思う。
  • 地域社会全体で意識を共有していくためには、更に情報発信や学びの機会を増やすことが必要だと感じた。
  • 知ることの大切さ、学ぶことの大切さ、気づくことの大切さを学んだ。
  • 講義内容が解りやすかった。
  • 興味のある区民の方が多いことに驚いた。
  • 解っているつもりでも、新しいワード、新しい考え方がある事が少し理解できたつもりだ。
  • 多様性に対してのPRを沢山すべきだ。
  • いろいろ講座が少ないので有意義だった。
  • 「男性が男性を、女性が女性を好きになってもいいじゃない・・」そう言えたのは他人事だから。家族のこととなると違う。という自然な言葉が印象に残った。
  • 生命、生きやすさ、という視点で考えるということが学べた。
  • 性について4つに分かれている説明が、わかりやすく興味深かった。
  • SOGIEについて理解を深めることが出来た。
  • それぞれの話や思いを聞くことができ、理解が深まった。みんながみんな同じではないし、それぞれの感覚や思いは尊重されるべきものだということがシンプルにわかった。
  • Xジェンダーという概念が理解できた。

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このページは人権同和・男女共同参画課が担当しています。

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