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更新日:2021年3月12日
今回は、すみだ3M運動・工房ショップの1つ「大関鞄工房」をご紹介します。代表取締役社長 大関敏幸さんにお話を伺ってきました。
笑顔が素敵な大関社長
大関鞄工房は、両国駅から徒歩5分、京葉道路に面した緑二丁目にお店を構えています。先代である大関さんのお父様が会社を興し、創業した昭和38年から、同じ場所で革製品を作り続けています。大関さんご自身は、20代後半で会社を継がれました。
さて、お店に入る際、まず目を引くのは、扉に書かれた“Squeeze”の文字です。この文字には、「技術を搾ったらホンモノが生まれた。」という意味が込められているそうです。技術や作り手の感性など、商品に携わる人のすべてを搾り込んで、より良いものを作りたいという想いから、法人化したときからブランド名として使用しているとおっしゃっていました。
扉に書かれた”Squeeze”の文字
工房ショップには、革バッグや革小物が並び、牛、馬、ブタから羊やヤギ、クロコダイル、ヘビ、ゾウなど様々な革を使用して製品を作っているそうです。使用している革は日本のものが全体の約3割、イタリアやバングラデシュなど海外からの革が約7割とおっしゃっていました。
工房ショップの様子
大関鞄工房では、鞄、財布、名刺入れなど、すべての商品にこだわっていますが、中でもイチオシは、トートバッグ。縦長タイプのBaquette(バケット)と横長タイプのBoule(ブール)は、どちらもフランスパンの名前から取った商品名だそうです。特徴は、丈夫で軽い革を使っていること。シンプルで飽きのこないデザインは、日常使いだけでなく、ビジネスなど、様々なシーンで活躍します。大関さんは、工房ショップに足を運んできたお客様と一対一で会話することで、日々お客様のニーズを商品に反映させ、お客様が本当に求めるものを作っています。
また、自社製品だけでなく、オーダーメイドも承っており、ショルダーの幅やファスナーの色、革の柔らかさに至るまで、お客様の要望に沿ったオリジナル商品を作っています。大関鞄工房の革製品は、お客様との対話から生まれてくると感じ取ることができます。
さらに、大関鞄工房では、自社製品の修理はもちろんのこと、他社の革製品の修理も行っています。これは、お金を払い、修理に出してでも、自分のお気に入りの革製品を少しでも長く使いたいというお客様の気持ちを大切にしたいからだとおっしゃっていました。また、他社の革製品の修理を受けることで、他社製品の情報を得ることができ、通常の製造より高い技術力を求められる修理を繰り返すことにより、職人の技術も向上していくそうです。
右:Baquette(バケット)と左:Boule(ブール)
革製品を作る際のこだわりは、「モノに嘘をつかない、自分にも嘘をつかない。つまり、素材にも製造工程にも妥協しない。」ことだと力強くおっしゃっていました。商品を作り、対価を得ることは、商売をする以上は絶対に必要なことで、売らなければ儲からない。でも、モノに嘘をついて、ごまかしてまで売るつもりはないし、結局自分に返ってくる。とにかく妥協しないことを心掛けて、目に見えないところでも絶対に手を抜かない。こうした強い信念で良いものを作り続けています。
材質や作り方など、職人にとって当たり前のことが、お客様にとっては、当たり前のことではない。革製品にはどのような革が使われていて、どのような技術や加工方法で作られているのか、少しでも前に出て、アピールしていきたい、そうおっしゃっていました。
作業場の様子
大関さんは、ものを売るだけではなく、ものを売らないものづくりを目指しているそうです。修理をしてお客様を笑顔にする、ものづくり体験を通じて、子どもたちにものづくりの楽しさや革製品の成り立ちを教える。これも、ものを売らないものづくりです。
昨今、中国や東南アジアで大量生産が進み、価格競争でそれらに対抗することが難しい中で、様々なところからヒントを得て、逆風をチャンスに変える。今日も大関さんは、モノに嘘をつかず、誇りを持って良いものを作り、そして、発信し続けています。
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