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これまでの30年とこれからの30年

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更新日:2021年3月12日

2016年1月27(水曜日)に、「工房文化都市企画委員会」委員メンバーとして25年以上にわたりすみだ3M運動をずっと見守られてきた南和正先生を囲んで、実行委員会による勉強会が片岡屏風店で行われ、後半には3M実行委員会メンバーとのトークセッションを行いました。今回はそのトークセッションの様子をご紹介させていただきます。


トークセッションの様子

これまでの30年とこれからの30年(トークセッション 2016年当時)

郡司産業経済課長:3M運動は30周年を越えて、一つの区切りとなりました。南先生ご自身も考えてらっしゃることがあるでしょうし、次の30年に向けてビジョンを持ってやっていかないといけない。南先生の手書きの企画書、プレゼン資料が実はもっといっぱいあるんですよ。すごい想いを持っていただいている。

ですから、先生からそのような想いとか考えをレクチャーいただいて、みなさんで次の30年を考えていくべきかなと我々も思ったんですね。今後こういった勉強会みたいなことをやるのも必要なのかなと。実行委員のみなさんもこういった部分から刺激を受けてもらえたら我々もうれしいなと。

トークセッション1

片岡さん:今回、我々実行委員会だけで聞くのももったいない、みなさんにも聞いてもらいたいなと思って、長くやってる方も新しく入った方も方向性を共有していきたいなと思います。
今日お集まりいただいた中では、丸山先生が当初から関わってらっしゃるので、まずは勉強会のご感想とご意見があればお願いします。

トークセッション2

丸山さん:こういった先生のお話を伺えるのは、委員の方だけになっちゃうんですね。でも、結局委員の方たちって理解してる人たちばかり。これを全部に広げないとだめじゃないかなとすごく思いました。やっぱりそれが3M全体にまだまだ伝わってないんですね。
3Mの根本はこれというものを、繰り返し共有していかないとだんだんだんだん薄くなっていっちゃってもったいないなと思いました。

トークセッション3

片岡さん:ほんとに3Mは色んな方がたくさんいて、最近入ってきた方はみんなすごくモチベーション高いしやる気があるんですね。でも、自分たちではやらないけど区役所から言われたらやるよって方も結構いて、そういう人たちにもうちょっとこういう話を聞いてもらって、よしうちもやってみようか!ってなってもらえたら活性化もするだろうと思います。
新しい方の代表として、中野さんどうでしょうか?

トークセッション4

中野さん:今日はありがとうございました。僕が思ってることがたくさん凝縮されてまして、すごい同じだったなと。これからのオリンピック含めてなんですけど、個人的には街全体が変わって来たのは、ここ4・5年だったと思うんですね。

僕は確か3Mに入って7年くらいですが、正直最初の3年くらいは意識は薄かったというか、正直なにをやっていいか分からなかったんです。それで少しみんなが動き出して来た時に、乗っかったという言い方へんですけど、イベントとかそういった活動に参加させていただいて、あ、こんな風になってんだって。

それまでは、下請けからの脱却って部分が個人的にすごい強かったんですね。どうしていいか分からない時に、イベント活動と3Mの活動が全部重なって来て、色んなすみだの人たちのやり方、業界以外の人のやり方、お付き合いの仕方と町の歴史、台東区だとか別のグループの刺激だとかを受けて、自分でできることってたくさんあるんだなってことに気づいて、まだまだ学び中ですね。実行できるように頑張りたいなと思っています。

トークセッション5

片岡さん:村松さんのところもすごく積極的にやっているんですが、実は今日来たお客さんも小さな博物館を見てこっちを紹介されましたって方がいました。自分のところだけじゃなくて、あそこ行ったら面白いですよってここがまた「発信基地」みたいになってて、そういった流れもすごく多いんですけど、そのあたりどうですか?

トークセッション6

村松さん:はい、今日改めてお話し伺って、仰られてたことが今まちの中でものづくりの枠を超えて起こっていることが、さきほどのビジョンに重なってる部分がすごいあるなと。

新しいマンションが出来てきて若い世代の家族も多くて、うちは区役所のすぐ近くなので届け出を出されたついでに最近越して来たばかりなんですよって方が多く寄ってくれて、その時にこういうお店がありますよとか博物館もありますよって言うと「あ、知らなかった」って喜んでいただけることが多いんです。

今はお店屋さん同士がすごく仲良かったりして、喫茶店とか雑貨屋さんとか枠を超えたお店さん同士で色々紹介しあったり、マップ作ったりってことをされています。だから、3Mの仲間同士でも同じようにもっとラフに展開できたらいいなと。私もぜんぜん伺えてないところも多くて、お会いしたことがない方もいらっしゃって繋がりがもっとできたらいいなと思います。

片岡さん:村松さんのところは体験を積極的にやられてますが、片野さんのところも体験を通じて色んなお客さんを盛んに受け入れされていますが、これからの3Mにとってご意見があれば。

トークセッション7

片野さん:南先生のお話は、スケールが大きいので、聞きながら当てはまるところはこんなことなのかな?と考えながら聞いてたんですけど、やっぱりすみだらしさとかね。
すみだのいいところってのは、なかなか中に住んで生活してると見えなくなってしまって、ださいとかってことに目が行っちゃったり色んな想いがあるんですけど、やっぱり30年3Mが継続して来たってことはすごく大きな意味があって、尚且つそれをまた次の人たちに活かしていただくためには、やっぱりPR実行委員会もそうなんですけど、それぞれのマイスター様とか店舗、博物館に繋いでいく。

隣の人に話をするというか、そういう土着的なところもすみだには合ってるのかなって気はしますね。だから、今日お話を聞いて具体的なことが頭に浮かんできますよね。そして、ぜひ次の5年後10年後にいけるようにしたいな。今日は南先生のお話を伺えたので、もう一度すみだのいいところを見直そうという意欲的な気持ちになれました。

片岡さん:お隣の田中さんは、大江戸職人展の実行委員長をやってらっしゃいますが、いかがですか?

トークセッション8

田中さん:南先生とこうやってお話しできるってのはほんとにありがたいことだと思います。3M運動は色んなカテゴリーの方がいらっしゃって、実際は繋がってはないかもしれないですが、大きなくくりで繋がってると。

異業種の交流や繋がりっていうのは、同業者と違って足の引っ張り合いとかもないし、自分のお客さんを信頼して紹介するとかしていただくとか、そういった横の繋がりでお客さんをみんなでシェアしようって、そんなことができたらほんといいなといつも思ってるんですね。うちに来たお客さんをあの人に紹介したらいいだろうなーとか思います。

あと、墨田区は文化の町で色んな史跡もありますので、そういったものとモノづくりとの関わり合いが何かしらできるといいかなと。歴史とお店の繋がりみたいなのがなんとなくあると。今インターネットで検索すると安いものがすごくあって、今の若い人たちにはそれが当たり前で桐ダンスが高いってことがピンとこないんじゃないかな。歴史を踏まえて伝えられたらいいなと思うんですけど、日々の仕事に追われてなかなかできないですけど。

トークセッション9

南先生:さっきのお話しなんですけど、要するに温故知新だとかそういう言葉って出てくるんじゃないですか。私も70年経ってやっと理解できるようになったんですね。現役の頃は世界で大きなことを主としてやってたんですけど、今回は小さいものを混ぜて紹介したんですね。
でも、一つだけ言えることはやはりいいものを見る、いいことを知る、世界の展覧会でもなんでも優勝したものは一応目を通すとかね。開発の視点はどうだったのかとか。そうして辿ると、やはりそれぞれ勉強熱心なんですね。色んなものを開発する時は色んないいものを見て、なおかつ自分ができないんだったらインターネットで調べて人を集める。小売ってものはいいものを作れば売れるだろうってことで、大企業もそうして成功してきたんですよ。

ただ、それが先進国相手だったらよかったんです。だんだん中国が出て来て開発途上国に対する商売だと、その人たちの生活を変える値段をちゃんと分かった上でモノを作らないと要するに買っていただけない。これから言えるのは、これからのビジネスはおもてなし、もしくは信頼関係。信頼していただく、要するに日本人に頼んだらいいものを作って、将来壊れないという信頼をビジネスにする。

ただ、一つ気を付けないといけないことは、いいものを作って高くなってるものを買ってくれる人は先進国にいたけど、今の時代いいものをすぐ真似する時代になってきてる。そういう時代性も踏まえて次というもののマインドを切り替えないといけないと感じています。

トークセッション10

今回、すごくいい機会をいただいたなと思っていて、ずっと長く3Mをやっていて、積極的に3Mを良くしていこうというよりも、とにかく継続してきたことがすごく良かった。今この時代になって来てることと、ものを作る時の行政と我々3Mのメンバーでのキャッチボールって言うんですかね、それがすごく大事になってくる。何でもかんでも行政という時代ではない。もう少し自分たちで繋ぐ、連絡を取る、もしくは紹介する。オープンイノベーションってのはそれを言ってるんですね。
なるべく外に対しては、専門家、デザイナー、色んな人のネットワークを持つ。で、インターネットはこれからすごく重要なツールになってくる。それでうまく相手にPRできれば高くてもいいものを買ってくれるかもしれなくて、そういう風にトライアルするってことも可能なんですよ。

安いものを作るよりもやっぱりいいもの本物、だから日本人は信用できるっていう信用をビジネスには必要。これからの日本は製品だけじゃなくて日本には信用できる、だから彼らもいいものを買うと。今、日本に来てる中国人がメイドインジャパンを買うというのは、典型的な例だと思うんですね。やっぱりいいものって日本には作れると思います。ものを見た時の展開、そういうものを間違えなければ。発注のバッグ(中野さんの作品)なんかはすごく好き。こういったものを墨田区から作って欲しいんですよ。3Mで一つくらいヒット商品作りたいんですよ。

これからは収入もそんなに増えないかもしれない、でもお互いが繋がって気配りをして、ともに生きるというのがこれからのバリューというか、支え合う時代それが日本の未来。やっぱり成熟社会の中ではいい日本の姿っていうのは、ぎすぎすしないでそれなりに豊かな街づくりが一つの魅力だと思うんですね。

トークセッション11

郡司産業経済課長:大企業と中小企業の格差が広がっていて、1次下請け、2次下請けはどうなのかと、3次下請けになると…。どんどん値段を見直されていて、同じものが半値以下になっちゃうんですね。
そういう世界で親会社だけが過去最高益を更新って構造でいいのかという話がある。ただここにいらっしゃる皆さんはそういうことをやってないですよね。つまり大量生産品だとか大ロット品、あるいは価格競争に巻き込まれるものって作ってないじゃないですか。そういった意味では個々に差別化したものを作ってらっしゃると思います。

トークセッション12

南先生:私、3Mはその方向性でいいんだと思うんです。工房文化都市を目指した時にイタリアみたく生きてる世界がいいって話になっただけですよね。それって価格競争に巻き込まれませんよね。高付加価値、高価格で売るというのが、芸術文化なんですね。カバンでもなんでも素材も含めていいもの作ってるんですね。一生懸命作っているのが墨田区の生きざまだと思うんですね。
大企業の下請け、ますますその格差は広がっていくと思うんですよ。大企業の下請けでいじめられて四苦八苦するか、たぶんそれは10年くらい20年ですか、前まではよかったんですよ。でも、これから先は色んな意味で大企業が1%で、99%が苦労するような世の中にどうしてもなってくるんですね。そうすると、やっぱり自分で考えて自分で高く売れることを色んな人に聞いたり発表したり、だから一年に一回個展をしなきゃいけないんですね。97%は食うために作るけど、一つくらいは自分はこういうものを作りたいんだ、世襲はいないんだけどこういうものを作って俺はできるんだってことを、展覧会というか主張の場ですよね。そこで腕を磨く。でないとやっぱ人間が機械になっちゃいけないですよね。

郡司産業経済課長:産業経済課の事業で実は30年続いているものってないんですよ。まさに30年やってるのは奇跡だったと思うし、すみだモダンだって3Mがなかったらないわけですよ。

南先生:いいことをやってるところはいっぱいあるんですけど、だけど要するに3Mという思想を持って運動としてやってるってことは派手さはないけど、そこがいいところかなと思いますね。やっぱりこういうことをみんなに知ってもらいたい。毎月というのは難しいとは思いますが、四季折々くらいで僕はいいものはみなさんに伝えたいんですね。それがいい製品開発に繋がると思います。

南 和正 氏
元株式会社GK設計 代表取締役社長
建築・都市デザイン・街づくりを専門とし、これまで富山市のLRT整備事業を始め、数々のプロジェクトを手掛ける。1990年から3M運動に関わり、現在も「工房文化の都市企画委員会」委員として、3M運動の認定審査等に携わる。
すみだ3M運動PR実行委員会 委員(2016年当時)
  片岡 恭一 / 丸山 壮伊知 / 中野 克彦 / 村松 栄理 / 片野 一恵 / 田中 英二

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